ゼノブレイド つながる未来 プレイ日記 その1「ハイエンターの希望として」

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もし巨神肩に皇都があって、住んでいる人がいるなら――、メリアは会いたくない?

このブログはあなたがプレイ済みであることを前提に、割と躊躇なくネタバレします。

(主観的)あらすじ

 人が神を斬り、人の未来を切り開いた戦いから1年。
 シュルクとメリアは高い空の上にいました。そこには巨神亡きあとも未だ浮遊している巨神肩の陸塊があり、そして、皇都アカモートもまたそこに残されているとの噂を耳にしたのです。
 かつてはテレシアの巣くう死の都と化していた愛しい故郷――。けれど戦いが終わった今なら、もしかしたら誰か帰ってきているかもしれない。

 ところが不意に皇都の方角からビーム砲撃を受け、シュルクたちの乗っていたジャンクスは墜落。不時着した近隣陸塊で野営していた元皇都兵たちの代表・マクシスから話を聞くと、どうやら現在皇都には霧乃王と呼ばれる化け物が巣くっているとのこと。マクシスたちは一度は皇都に帰還していたものの、霧乃王を討伐できずに巨神肩へ移ってきたそうです。
 皇都へ向かおうとするシュルクたちをマクシスは止めます。できるかぎりのことを尽くしてなお討伐できなかった霧乃王。これ以上、叶わぬ夢のためいたずらに被害を増やすわけにはいかないと。

 マクシスが立ち去ったあと、もうひとり兵士がシュルクたちに接触してきました。貼りついたような笑顔の彼の名はゲルガー。混血至上主義とマシーナ排斥思想を掲げる、ちょっと偏った思想の持ち主のようでした。彼は混血であるメリアをハイエンターの主君たるべき人物として敬っており、シュルクたちが皇都へ向かおうとすることを密かに支援してくれました。
 純血に近い兄や父王を戦いで亡くし、マシーナの友人もいるメリアにとってゲルガーはいけ好かなく、また、平和が訪れた今なお彼のような人物がいる現実に悲しい思いを抱きますが、ふと、兄や父王の最後の言葉を思いだします。
 自分を「ハイエンターの希望」と呼んでくれた者たちの暖かい思いに報いるためにも、メリアは自分の為すべき事を為さなければなりません。

 ずっと楽しみにしていた『ゼノブレイド Definitive Edition』。とりあえず追加エピソードの『つながる未来』から始めます。
 シュルクとメリアの初期レベルは60。スタート直後からスターライト☆ニーを楽しめます。他にリキの子どもであるキノとネネがバトルメンバーに参加。それぞれカルナ(ヒーラー)とライン(タンク)のコンパーチブルキャラクターなので、バトルで困ることはあんまりない感じ。
 それからノポンジャーというNPCも総勢12人ほど付いてくるようです。現在4人。よくある派遣型サブイベント用のキャラクターかと思いきや、ふつーにパーティインするのね。しかも探索中もちゃんと表示されて後ろを追いかけてきてくれるし、バトル中もリキの技を使って支援してくれるという。かわいい。これアレか。モノリスソフトが最新のAI技術の検証としてあれこれ盛り込んでみた結果のアレか。ゼノブレイドクロスのころから思っていましたが、モノリスソフトはつくづく探索アルゴリズムの研究に熱心ですね。メインメンバーが地形を回り込むときの挙動もさりげなく『ゼノブレイド2』以上に改良されていますし。
 3時間ほどマップをうろついてみると、レベル80近くのモンスターもちらほら見かけました。『ゼノブレイド2 黄金のイーラ』ほどじゃないにしても、それなりにプレイボリュームはありそうです。・・・誰だこのゲームをリマスター版と言い張って売り出したの。

希望として生まれた子

 物語はシュルクがメリアを皇都アカモートへの小旅行に誘ったことから始まります。

 「気遣い感謝する。だが、ザンザがいなくなり平和になったとはいえ、復興は道半ば。為すべきことは多いのだぞ」
 「それはわかっているよ。メリアがそのために毎日がんばっているのも知ってる」
 「それならばなぜ?」
 「もし巨神肩に皇都があって、住んでいる人がいるなら――、メリアは会いたくない?」

 おーけー。理解した。
 これはメリアを正しく“ハイエンターの希望”にするための追加エピソードなんですね。

 健気って言葉が似合いすぎるくらい真面目なメリア。
 国策だったとはいえ混血の生まれ。ゆえにハイエンターの誇りたる翼も小さく、実母が逝去したこともあって皇宮での立場も悪く。不遇な生い立ちにめげることなく、ずっと皇族としての責務を果たそうと真摯に努力してきました。だからこそ、彼女の愛する兄や父が彼女のことを「ハイエンターの希望」と呼んでくれたこと、それが彼女にとって大きな救いとなっています。
 望まれない子だと思っていた自分が実は誰より望まれていた。何も為せないと思っていた自分に実は大切な役目があった。父に、兄に、本心から愛されていた。
 だから誰よりもがんばろう。これからも務めを果たすため全力を尽くそう。
 そういう子です。

 「何をおっしゃいます、メリア陛下。先の大戦で悪しき純血は滅びました。我々混血が新たな時代の担い手として選ばれたのです。そしてあなた様は我らの象徴。陛下と呼ばずして何と呼びましょう」

 いいえ。メリアは混血の象徴ではありません。ハイエンターの呪われた運命から脱するために混血としての生を受けましたが、彼女が象徴するのは混血の正しさではありません。
 彼女を混血として生み落としたのは代々の皇族たちが継いできた切なる祈り。未来に希望をつないでほしいと願う父親の愛。ゲルガーが「悪しき純血」と悪罵するまさにその彼らこそが、メリアに混血というギフトをくれたんです。
 メリアは純血を含む全てのハイエンターたちの希望。
 けっして混血だけを尊ぶための存在では、まして純血を蔑むための存在では、ありません。

 メリアは自分がそういう存在であることを知っています。
 メリアは自分がそういう生まれであったことを誇りに思っています。
 だって自分は、愛する家族から“希望”と呼ばれて深く愛された子なんだから。

 「私は思い違いをしていた。大戦が終わり、平和が訪れ、道半ばとはいえ復興も進み、皆笑っているものと思っていた。そう。ここの者たちも平和を享受しているものと思っていた。だが――、そうではなかった。光を求める者。反目しあう者。未だ笑えぬ者たちがいるというのに、私はのうのうと――!」

 だから、私はがんばるべきだ。
 この世の何よりも大きな愛に、一生をかけて報いるために。

大恩に慈しまれた子

 「ごめんなさいも。・・・恩返ししたかったも。ひとりだったキノを育ててくれたとーちゃんとかーちゃんに」
 「ひとりだった?」
 「そうですも。とーちゃんがある日、突然連れてきたんですも。弟だもって」
 「そんなキノをみんな何も言わず受け入れてくれたも。キノ、とっても嬉しかったも。だから、だから――、早く立派な勇者になって恩返ししたかったんだも!」

 ノポンらしい悪ーい顔してジャンクスに忍び込んでいたキノ。
 けれどその大それた行動力の割に、彼はいちいち自信なさげで、人見知りで、引っ込み思案。そんな自分の弱さを乗り越えて、ノポンらしくない打算抜きの真摯な思いから冒険を志しました。
 ちなみに彼のとーちゃんは村に散々迷惑をかけたダメ人間だから勇者として体よく村を追い出されたんだってこと、私は覚えています。wii版で4回ほどそのシーンに立ち会っています。

 メリアはすぐに彼に好感を抱きます。
 似た者同士ですしね。かつて不幸だったこと。大きな愛を受け取ったこと。おかげでまっすぐ育ったこと。その愛に報いたいとがんばっていること。

 「キノ――。そなたは偉いな。それに立派な志も持っている。リキもオカも、そなたを誇りに思っているだろうな」

 キノの事情を聞いたのは今日が初めてですが、それでもメリアは確信を持って伝えます。
 自分がそうだったから。父や兄を心から敬愛していて、そして父と兄も自分のことを深く愛してくれていたことを知っているから。
 だから、愛に報いようと努力するような子は、絶対に愛されている。その努力を絶対に喜んでもらえる。
 放っておけずにこんなところまで付いてきてくれた姉の存在もまた、彼を取りまく愛の深さを感じさせます。
 メリアは家族の愛とはそういうものだと確信しています。

 ただ、メリアにはひとつだけ忘れてしまいがちなことがありますね。

皆が笑顔になれる未来のために

 「シュルク。俺たちが何もしてなかったと思うのか? 俺たちもバカじゃない。やれることはやったんだ。だがな、故郷に帰りたい――、そんな叶わぬ夢を見てたくさんの命を失ったんだ」

 マクシスの考えかたはひとつの正しさではありますが、この物語においては不適です。
 シュルクたちにとって為すべきは納得するまでではありません。まして限界を見るまでではありません。為し遂げるまでです。叶えるまでです。たとえ神を斬るほどの大それたことが必要だったとしても。

 だからこそ、身に余るほどの愛を受け取ったメリアともなれば、自分の使命のためにいくらでも身を捧げることができちゃうわけですが。

 「未だ笑えぬ者たちがいるというのに、私はのうのうと――!」
 「のうのうとなんてしていなかったよ。コロニー9のハイエンターのため、いや、残された全ての人たちのため、メリアは昼夜を惜しんでダンバンさんや御玉さんたちと指揮を執っていた。だから皆の笑顔があるんだ」

 メリアは兄と父からハイエンターの希望を託されました。
 彼らの愛に報いるため、メリアはその使命を全身全霊をもって果たさなければなりません。

 そうとも。

 「元気出すも。キノ、とーちゃんかーちゃんいなくなったけど元気になったも!」

 実の両親を亡くしたキノは、その後リキ夫妻に拾われて元気に育ちました。
 彼らはキノに見返りを求めませんでした。勇者になって恩返ししたいと決めたのは全部キノ自身の意志です。自発的にそれほどのことをしたいと思えるような大きな愛を、キノは新しい家族から受け取ったのでした。
 その思いは、似た者同士であるところのメリアも同じはず。wii版を99時間()プレイしているゲームプレイヤーも保証します。メリアはたしかにそういう子でした。

 「と、とにかくも。キボーを捨てちゃだめも。とーちゃん言ってたも」

 愛に報いようと努力するような子は、絶対に愛されている。その努力を絶対に喜んでもらえる。
 だけど、その努力は別に愛してくれた人が愛の対価としてやらせたことじゃない。
 愛してくれた人が望んだことは、きっともっと別のこと。もっと単純で、もっと小さくて、もっとずっと私的な願い。

 メリアの父親は言いました。
 「ハイエンターの希望――。それは、そなた自身が選んでなるものだ。それを忘れなければ、資格など後から付いてくる」

 彼らはメリアに希望を託しました。
 けれど同時に、それを為すべきかどうかの判断もメリアに委ねました。
 愛しているから。
 なによりもまず、愛するメリアに幸せになってほしいから。
 ハイエンターの希望となることでメリアを幸せにできるなら本望。メリアなら責務を与えられることをきっと喜ぶでしょう。けれど、メリアにそれをさせること自体が本質じゃない。それは手段であって、目的じゃない。ギフトであって、呪縛じゃない。

 「もし巨神肩に皇都があって、住んでいる人がいるなら――、メリアは会いたくない?」

 だから、メリアは今日、ここに来ました。
 心の機微に聡い、賢く優しい友人に連れられて、懐かしい故郷を訪れました。

 “ハイエンターの希望”となるために。
 大戦が終わり、平和が訪れ、道半ばとはいえ復興も進み、穏やかな世界のまんなかで幸せに笑う。
 そんな、未来への希望に満ちたハイエンターの姿を同胞に示すために。周りだけではなく自分自身も笑顔になるために。大好きな人たちのくれた愛を愛として享受するために。

 メリアは笑うために、ここに来ました。

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