キラキラプリキュアアラモード第6話感想 知り合ったばかりのお兄さんと唯一心を繋ぎうるもの。

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大好きな人に心を届けたいって気持ち、私にはわかるから。

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(主観的)あらすじ

 いちかは隣に引っ越してきたお兄さんにおネツ。面白がったあおいたちに背中を押されてデートまでしてしまいます。お兄さん・・・剣城あきらお目当てのチョコレートを買うまでの短い時間でしたが、いちかはドキドキ、あきらは紳士的で、とても楽しいひとときでした。
 ところがそこに悪い妖精が現れ、あきらのチョコレートを奪い去ってしまいます。街中のチョコレートのキラキラルも奪われて買い直すことすら叶いません。そこで、いちかは自分たちの手でチョコレートをつくることにします。
 あきらをイメージしたカッコイイ(かわいい)いぬチョコレートのできあがり。また悪い妖精がやってきますが、いちかが一生懸命手伝ってくれたチョコレートを守るため、あきらはキュアショコラとなって戦います。
 ちなみにあきらは女の人でした。

 ヅカ系プリキュア誕生回。あきらが女性なのは全視聴者が当然に知っていることなので、今話はあえてそれを逆手にとり、ツッコミどころ満載ないちかの初恋模様がほのぼのと描かれました。あきらの王子様っぷりが遺憾なく描写されて・・・いやはや、マジカッコイイですね、キュアショコラ。
 カッコよさ全力プッシュな反面、今回あきらの内面はさほど掘り下げられませんでした。今話で描かれたのはあくまでいちかの視点から見たあきらの外面。彼女の抱える内面の思いは、今回意図的に省略されたゆかりとの交流や妹のお見舞いを通じて、また今後描かれていくことでしょう。舞台俳優のカッコよさはその人の人となりを知るまでもなく、ただその演技によって輝くのです。

ふぁーすとらぶ

 ベッタベタな初恋奮闘記。思いがけずあらすじで“おネツ”なんて死語を使っちゃいましたが、そのくらいベッタベタで古典的。
 お姫さま抱っこからはじまり、食事が喉を通らないとか、ジュッと音を立てるくらいおでこが熱くなるとか、友達のおせっかいでデートすることになるとか、商店街の人にからかわれるとか、自然体を褒められるとか、こっそり一歩距離を詰めるとか、相手に女の影を感じてハラハラするとか、涙を拭われるとか、ノートにひたすら名前を書き連ねるとか、これでもかと定番ネタを山盛りもりこんでいます。多すぎてここまで拾ってもまだまだ拾いきれていないくらい。

 あきらが女性だとわかりきっているからこそできることですね。この恋の行方にコメディタッチなオチがつくことがわかりきっているからこそ、私たち視聴者は「お約束」の飽和爆撃をニヤニヤ楽しむことができます。今話のいちかは視聴者の感情移入先としての主人公ではなく、アタフタしているさまを神の視点から見つめる対象として描かれています。
 そういうシナリオデザインなので、端々であきらが女性であることを示唆する描写はあっても、最後の最後までいちかに対してクリティカルな情報はもたらされません。むしろ示唆描写すら「いちか、気付け気付け」なんて具合のツッコミどころのひとつとしてしか機能していません。
 いちかさんには30分めいっぱいドキドキハラハラアタフタうずうずしていただきます。あなたがそうしていると私はとてもとてもとても楽しい。(ゆかり的な考え方)

 いちかの素直で行動的な性格もこの出来レースなラブコメにぴったり合っていていいですね。
 「まさか恋?」 指摘されて否定することなく素直ににやける。
 「いちかの王子様の名前は聞いてなかったわね」 からかわれても素直に受け入れて自分も王子様呼びする。
 「いちか案内したら。私たちは帰るからさ」 急にお膳立てされて素直に勇気を振り絞る。
 話がサクサク進みます。
 本格的なラブコメヒロインではこうはいきません。ラブコメは主人公と一緒に読者も恋を楽しむものなので、恋に付随するメンドクサイ葛藤のあれこれまで盛り込みますが、今話はあくまで恋する女の子とヅカ系お姉さんを眺めて楽しむものです。その違いですね。
 いちかの性格があってこそ、私たちは初恋ネタのおいしいところだけめいっぱい詰め込んで楽しむことができます。

あこがれアトラクティブ

 よく聞く話で、宝塚のトップスターは男性よりも男性らしいといわれます。表情のりりしさ、たたずまいの優雅さ、細やかな気遣い、優しさ、時折見せる屈託のない笑顔。俳優本人の気質かそういう役柄かはこの際問題になりません。舞台上で役を演じている限り、俳優と配役は切り離して考えられるものではないからです。最高の演技で最高のキャラクターとしてふるまうからこそのトップスター。
 実在のヒーローよりもつくりもののヒーロー。スポーツ選手や俳優にヒーローの理想像を押しつけたってどこかで生っぽさが出て崩壊するだけですが、アニメキャラクターや舞台上の登場人物は最後まで理想のヒーローらしさを貫きます。
 現実というのは複雑怪奇で多様で多面的で、「理想」という美しくも薄っぺらい価値基準で誰かの人生全てを語りつくすことなんて絶対にできません。逆に全人生を「理想」の型にはめきるなんてことももちろん不可能です。理想を語るのはあくまでフィクションのお仕事。平たくいうと2次元サイコー、現実のヒーローかわいそう。
 男性より男性らしい人間なんて、舞台上にしか存在しえません。

 「妹はチョコが大好きでね、お見舞いに持っていくと喜んでくれるんだ」「うちの両親は病院の近くに引っ越したんだ」「みくがチョコを食べるときの顔、大好きなあの笑顔だけで心の底から幸せになるんだ」
 今回いちかが知ったあきらの心の中の思いはこのくらいです。たったこれだけ。恋をした時点ではこれらすら知らず、ただ立ち居振る舞いと優しさだけで好きになりました。いくつか心情を吐露された現在でもあきらの人となりを理解するにはまだまだ全然足りないでしょう。それなのに、いちかはあきらに夢中です。
 そう、夢。いちかが好きになったあきらは虚構の存在でしかありません。いちかは本当のあきらを知る前に、あきらに見出した王子様性にまず恋してしまいました。
 誰かを好きになるのに必ずしもその人の人となりは関係ありません。プライマリだろうとペルソナだろうと、カッコイイものはカッコイイ。あんまり子ども向けアニメの感想文らしからぬ意見ですけどね。

一縷の共感をたぐって

 もちろんプリキュアは子ども向けアニメなので、こんな子ども向けらしからぬ恋愛観だけでは終わりません。

 「そんなの絶対に心配しちゃいますよ!」
 妹のためのチョコレートが手に入らない大ピンチ。カッコイイあきらはカッコよく自分の問題を自分だけで抱えこみます。
 けれどこのカッコよさばかりは虚構に恋するいちかも認めません。
 「大好きな人に心を届けたいって気持ち、私にはわかるから」 お母さんのためにショートケーキを焼いた彼女にとって、あきらの苦悩は心をわしづかみされるようによく共感できることでした。そういう話なら、いちかは恋ばかりしていられません。「希望は捨てちゃダメなんです」

 それは共感する思い。知り合ったばかりのいちかとあきらが唯一気持ちを同じくする一点。だからいちかは自分のチョコレートをあきらのために使います。あきらの妹のためにチョコレートを用意したいのは、あきらもいちかも同じ気持ち。
 あきらの思いに自分の思いも乗せて、結局いちかは今日も自分のためにお菓子をつくります。

 「誰かのために」と願うのは尊いことですが、その願いは「誰かの幸せを願う自分のために」生まれるべきだと、私は思います。自分を犠牲にしてはその後が続きませんが、自分のためなら同じことを生涯に渡って続けることができるでしょう。そもそもがどうせ誰かを幸せにするならついでに自分も幸せになった方がいいに決まってる。

 そしてこれは共感です。いちかの一方的な思いではありません。あきらの王子様性はあきらにとってどうかわかりませんが、少なくとも妹のためにチョコレートを用意したいというのは、いちかと気持ちを一致させた、あきら自身の願いでもあります。
 「これはいちかちゃんが、妹のために・・・私のために、一生懸命手伝って、守ろうとしてくれた、大切なチョコなんだ! このチョコは渡さない!」
 いちかが自分の思いをあきらの思いに乗せていぬチョコレートをつくったように、あきらも自分の思いをいちかの思いに乗せて、キュアショコラへの変身を果たします。

 「強さと愛を! レッツ・ラ・まぜまぜ!」
 その「愛」は自分ひとりのものではなく、誰かから与えられたものでもなく、その両方を混ぜ合わせることでより強い輝きを放ちます。

その他細々したことをとりとめなく

 宇佐美家の朝食。焼鮭に卵焼き、ベーコンと青菜の炒め物、みそ汁、漬物。自営業とはいえ父子家庭なのに大したものです。タンパク質多めな献立だったり卵焼きに焦げ目が付いていたりと、いかにも男料理なおもむきですが、それでも朝からこれだけ用意できるのは本当にすごい。私ならどれか1品+ごはんで済ませちゃいます。
 いちかの食器のセンスについてはツッコミませんぞ。

 恋するいちかの表情。この子はだらしない笑顔がよく似合いますね。Go!プリンセスプリキュアの春野はるかに似た愛嬌があります。映画でもふたり並んでニヘラと笑ってほしいところ。

 シーツ(タオルケット?)。風に流されて・・・というか空気読んでどっか行きました。

 オープニング。Go!プリンセスプリキュア特集。どっちかというとゆかりとあきらのキャラの濃さが目立ってる感じ。プリキュア以外のキャラクターまで出演できるのはやっぱりいいですね。特にゆいはサブキャラという枠ではくくれない重要キャラでしたし。それにしてもキュアフローラがいるだけで戦闘がやたらパワフルに見えますね。
 どうでもいいことですが、私来週地元に帰らなければいけない用事があるので映画とTVアニメ両方の感想記事が遅れます。たぶん。

 「伝説のパティシエ、プリキュア。今は私を入れて4人いるのね」 ようやく物語背景の説明をはじめるのかと思いきや、恋のため息キャンセル。個人的にはこういうの無きゃ無くてもいいと思っているくらいですが、どうやら次回がそういう説明回っぽいですね。

 「どんな方なんですか?」「気になるの?」「ならないんですか?」 ゆかりさん、隙あらばいちか以外の子もイジリに来るんですね。

 剣城家。屋根の色が茶色かったり赤かったり安定しません。たぶん隣の瓦葺きの家があきらの住んでいる家だと勘違いしたスタッフがいちかの家の色と塗り間違えたんでしょう。瓦葺きの方はお婆ちゃんが住んでいる母屋でしょうか。
 訂正。屋根が茶色いのは宇佐美家、瓦葺きは宇佐美家の道場でした。(第1話参照) 剣城家は赤い屋根の家で合っていて、宇佐美家の右隣です。正面から見て左から順に、道場、宇佐美家、剣城家という並びですね。宇佐美家も剣城家も裏手側にバルコニーと庭を備えていて、そこから海を眺めることができます。宇佐美家と道場は連絡通路で繋がっています。宇佐美家と剣城家の間には青いブロック敷きの歩道があり、その歩道が表の道路にぶつかったところには横断歩道があります。
 第1話でケーキをつくり、第6話で朝食をとっていた宇佐美家の居間は正面から見て右側1階。LDKです。大きな窓は裏手の庭に面しており、そのすぐそばに食卓、正面側にはキッチンと小さな窓がついています。剣城家に面する右手側の壁にはテレビが置いてあり、確認できるかぎり窓は付いていません。通行人や隣家からの視線が入りにくい間取りというわけですね。黒電話が置いてあるのは居間の左手(玄関)側、柱かなにかの影。そしていちかの部屋は正面から見て左手奥の2階になります。
 おーけー、位置関係はひととおり把握しました。今後はバカな勘違いをしないように気をつけます。

 「王子様は、剣城あきらさん!」「剣城? そう」 ゆかりさんつくづくイイ性格してます。あきらの性別を黙っているどころか、一瞬たりともあきらに自分の姿を見せようとしない徹底ぶり。おかげでプリキュアに遅刻しちゃいました。

 CACAO CACAO。今週のスイーツショップ。ボンボンショコラを一粒売りしているチョコレート専門店のようです。行きたい。

 「ついこないだまでオムツして泣いてたのに」 子どもと大人では時間の感覚が違います。大人のこういう言い方、昔は冗談だと思っていたのですが、最近自分でも10年があっという間に感じられるようになってきました。前回会ったとき哺乳瓶を咥えていた親戚の子どもが、久しぶりに会ったらもう漢字の書き取りをやっていたんですよ。このおじさんくらいの年齢になったらどのくらい短くなるのやら。

 「みくがチョコを食べるときの顔、大好きなあの笑顔だけで心の底から幸せになるんだ」 あきらがそう言うと輝きはじめるチョコレート。何も手づくりだけがキラキラルを込める手段じゃないということですね。
 キラキラルは人を元気にするエネルギー。大好きな人から贈り物をもらうと元気になるものでしょう? つまり、ただお店で買ってきたものだって送り主が心を込めればそこにキラキラルが宿らないわけがないんです。

 クッキング開始時のペコリンと長老。ぬいぐるみのフリをする知恵をつけたようですが、そもそも前回まで彼らが物陰に隠れていたことを忘れてはいけません。見つからない工夫をしたように見せかけてむしろ大胆になっています。

 湯煎。チョコレート菓子はこのあたりの工程の温度管理が命。しかも絶対の正答がありません。家庭で上手にやるのは難しいですし、だから大抵の人は溶かして固めるだけでこだわってないんですけどね。それでも市販品の味に勝ちたい人はブラウニーなんかの焼き菓子で勝負しましょう。あっちは板チョコほどテンパリングにシビアではありません。

 チョコレート型。シリコン製とはいいものを持っていますね。型自体が柔軟なので、チョコレートのような固いお菓子だと剥がしやすくてとても便利です。板チョコのような薄くて固いお菓子だとシリコン型じゃなきゃやってられないともいう。

 「かわいい!」「え、カッコイイじゃなくて?」 このあたりは幼稚園児~小学校低学年あたりの言語感覚ですね。かわいいは女の子のもの、カッコイイは男の子のもの。ピンクや小動物柄は女の子で、青や乗り物柄は男の子。こういうちょっとしたところで性差を認識するお年頃です。

 変身解除。プリキュアや妖精を積極的に隠そうとしない今作ですが、ついに正体バレを物語に組み込むところまでいきました。「お約束」だからって変に聖域化せず、スマートに話を展開できるなら何でも使っちゃおうという姿勢はいいことだと思います。

 キュアショコラの変身バンク。何よりも視線が常に正面を向いていることに感心します。男装風の衣装よりこの演出の方がよっぽどヅカっぽい。演劇をやるとまず常にお客さんの正面を向くことを教わるんですよね。ふたりで会話するシーンで側面を向けるのではなくハの字に並ぶとか、尻を向けたままセリフを言わないとか。客席と舞台上の距離を感じさせないための基本テクニックです。観劇前提が映画と色々違うので、リアルな位置関係より虚構っぽさを打ち消す工夫が重視されるんです。
 特に宝塚歌劇団はこのあたりを徹底的に厳守している印象がありますね。どうしても舞台奥に移動しなきゃいけないときは身体をひねりつつ斜めに歩いて、振り向くときはサッと一瞬でターン。

 エンディング。今年はこちらも映画番宣に使うんですね。毎年のことながら、早く観に行かないと全編ネタバレされてしまいます。急ぎましょう。
 ひまりがカレーを食べてアチアチしている顔でシメるあたりにあざとイエローの底力を感じますね。

 いぬショコラ。ブラウニーを作る工程が入るからか、難易度は星2つ。とはいえブラウニーなんて大して難しいお菓子ではありません。大抵のお菓子と違って、混ぜすぎてダメになることもなければ、焼きすぎてしぼむこともありません。かなりラフにつくってもちゃんと見栄えのする仕上がりになります。なにせアメリカのお菓子ですよ?(偏見)
 ちなみに誤解されがちですが、一流のショコラティエでもカカオマスからチョコレートをつくることはありません。明治やらロッテやらゴディバやらのメーカーから業務用のチョコレートを買っています。カカオマスからのチョコレート製造は工業的な工程が多く必要で、人力ではあまりにも非効率なんですよ。
 あと散々放送前に突っ込まれていたからか、「動物にはスイーツを食べさせてはいけないよ」というアナウンスが入りましたね。チョコレートをイヌやネコに食べさせてはいけないことは有名ですが、それ以外の大抵の動物にとってもチョコレートは有毒です。また、それがなくても身体の構造や必要な栄養素が人間とはまるで異なる動物に、人間と同じ食べ物を食べさせることはよくありません。カロリー豊富なせいで喜んで食べてしまいますが、飼い主の方で律してあげてください。

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