キラキラプリキュアアラモード第11話感想 つくる人も食べる人も、みんなみんなスイーツが大好き!

スイーツは食べたら消えちゃうけど、受け取った気持ちは思い出になってずっと残る!

キラキラ☆プリキュアアラモード! Blu-ray Vol.1

(主観的)あらすじ

 今日はいちご坂スイーツフェスティバル! 去年までは食べる側だったいちかも今年はキラキラパティスリーとして出店。自分たちのつくったスイーツでみんなが「おいしい!」と笑顔になってくれる、つくる側の幸せを強く実感します。
 悪い妖精たちがフェスティバルのスイーツを狙って暴れ回ります。集合した悪い妖精たちの力は強大で、プリキュアでも歯が立ちません。ショートケーキを買ったいちかのお父さんも襲われます。が、彼は傷だらけになってでもそれを懸命に守ろうとします。それは愛する娘のために買った、彼女の好物だからです。
 お父さんの守ったショートケーキをひとくち口に含むキュアホイップ。そのおいしさは食べる側の幸せのかたち。会場中のつくる人と食べる人、みんなの思いを集めてプリキュアは新しい力を生みだします。キャンディロッド。その大いなる力は悪い妖精たちの心を浄化します。

 まとめ回・・・と見せかけて同時に新しい論理も提示する、物語の節目。スイーツをつくる楽しさを描いてきた今作ですが、いちかの原体験はお母さんのつくってくれたショートケーキ、つまり元々は食べる側としての幸せでした。キラキラルを生みだすのはスイーツをつくる人だけではありません。そのスイーツを食べる人もまたキラキラルを生みだしているんです。
 ゲストキャラクター総決算、プリキュア周知、街の人のパワーを借りる・・・プリキュア最終決戦の定番要素を総ざらいした今話ですが、つくる側にかまけて食べる側の幸せを忘れていたいちかたちはまだまだ半人前、スイーツを巡る幸せの論理もまだまだ未完成です。つくる側でなく食べる側も視野に入った彼女たちがこれからどんな物語を紡いでいくのか、期待しましょう。

つくる幸せ

 かわいいかわいいえみるちゃんに、恋する辰巳さん、今日は表情がマイルドなゆかり親衛隊とあきら親衛隊。あおいがもてなすのはまりこお姉さん。ひまりが出迎えるのは学校のクラスメイトたち。スイーツがたくさんの人といちかたちを繋いでくれます。

 「楽しい。すっごく楽しい! 自分たちがつくったスイーツがこんなにもたくさんの人を笑顔にするなんて!」
 その楽しさがどんなものかは今さら語るようなことでもないでしょうが、いちかは改めてしみじみ実感します。スイーツをつくらなければひまりたちと友達になることもありませんでした。スイーツをつくらなければたくさんのお客さんと知りあうこともありませんでした。スイーツをつくらなければフェスティバルに出店側で参加する楽しみを発見することもありませんでした。
 全てはあの日、悪い妖精に脅されても諦めずにショートケーキを完成させたあのときから繋がっています。スイーツをつくりはじめてからいちかの日常は劇的に変わりました。きっとステキな方向に。

 「いちか! ・・・まさかこんなことをやっているとは。父は・・・父は・・・感動した!」
 子の成長を喜ばない親はいません。まあね、ないがしろにされるのはちょっぴり寂しいでしょうけれど。
 いちかの世界は大きく広がろうとしています。それもこれも、スイーツを食べる側からつくる側に、視点をスライドさせたおかげ。

 「私食べるのも大好きだけど、つくるのもどんどん楽しくなってきてる! 去年まではただ食べてまわるだけだったのに」
 ねえ、いちか。つくるのって楽しいよね。つくるのと食べるの、どっちが楽しい?

食べる幸せ

 「これはただのスイーツじゃない。とても大事なものだ」
 悪い妖精たちの襲撃。そのさなか、いちかのお父さんはひとつのショートケーキを守るために抵抗します。どれだけボロボロに傷つけられても諦めません。まるでいつものいちかたちのように。
 彼のショートケーキは買ったものです。いちかたちのように思いを込めて手づくりしたものではありません。
 「たかがスイーツだろ。キラキラルの入れ物じゃねえか」
 悪い妖精の言葉がいつにも増して正論に聞こえます。だってそれはしょせんそこらのお店で買っただけのもの。騒ぎが収まってから改めて買い直せばいいじゃないですか。なにも世界にひとつきりのものというわけでもあるまいし。
 「絶対に渡さん!」
 それでも彼は必死に守ろうとします。どうして?

 「もう! なんで? そこまで・・・」
 いつもスイーツを守ってきたキュアホイップでさえ、彼がここまでこだわる理由はわかりません。
 かつて彼女はつくりかけのショートケーキを奪われそうになったことでプリキュアに変身しました。ですがそれはショートケーキに込めたお母さんへの思いを捨てたくなかったから。お母さんに届けられないとわかっていながら、それでも彼女はそこに込めた自分の思いを守ることを選んだのでした。
 彼女の視点はつくる側にあります。だからこそ、自分でつくったわけでもないスイーツに彼がここまでこだわる理由がわかりません。

 「娘の好物だ」
 お父さんの教えてくれた答えは単純明快。愛する娘のためのスイーツだから。
 「去年まではふたりでフェスティバルに来ていたんだが、今年は一緒にスイーツをつくる友達ができたようだ。・・・よかった。それでも父親ってのはおせっかいがやめられなくてな。せめて友達と一緒に食べてほしくて。だからこれだけは絶対に守りたいんだ」
 自分でつくったものであれ、買ったものであれ、そこに誰かのための気持ちが篭もっていることに変わりありません。守らなければいけないことに変わりありません。
 ひとくち食べてみましょう。それはきっととってもおいしいはずです。なにせお父さんが愛するあなたのために買ったものなんですから。
 幼い頃、いちかの目にはお母さんのつくってくれたケーキがキラキラして見えました。それはお母さんの込めた思いがケーキを輝かせているのではなく、ケーキを通してお母さんの思いをいちかが受け取ったから。

 大切なものはスイーツそのものではなく、そこに託された思い。いちかたちがこれまで守ってきたものはいつだってそういうものでした。
 「たかがスイーツだろ。キラキラルの容れ物じゃねえか」
 いいえ。人がスイーツに込める思いはつくっただけで完結するものではありません。誰かが心を込めてつくり、誰かが心を込めて贈り、誰かが心から味わう。その一連の流れを仲介するものこそがスイーツ。断じてつくり手の思いを運ぶだけの「容れ物」なんかではありません。
 「スイーツは食べたら消えちゃうけど、受け取った気持ちは思い出になってずっと残る!」

 お父さんの気持ちの篭もったショートケーキを食べたことで、いちかの心にキラキラルが満ちあふれていきます。
 つくるだけがスイーツの楽しみではありません。食べることだってスイーツの大切な楽しみのひとつ。キラキラキラルン・キラキラル! あなたがスイーツづくりを楽しむとき、あなたはいつも誰かにおいしく食べてほしいという願いを込めていたじゃないですか!

つくる幸せと、食べる幸せを! レッツ・ラ・まぜまぜ!

 つくる幸せと食べる幸せ、どちらがより大きいかなんて考えるまでもありません。プリキュアはいつだってこう答えてきました。「どっちも大切」と。

 いちかに満ちるキラキラルに呼応するかのように、会場内のみんなの心からキラキラルが溢れてきます。それこそ、つくる人、食べる人の別なく。えみるちゃん、辰巳さん、学校のクラスメイトたち、まりこお姉さん、パティスリーシュガーの店長さん、ヴィテラスの店員さん、・・・。今日はスイーツを愛するみんなのお祭りの日。つくる人の心にも、食べる人の心にも、キラキラルは満ちています。
 そんなみんなの思いを、レッツ・ラ・まぜまぜ!
 「イメージしよう!」「かわいく!」「くるくるで!」「きれいで!」「大事なものを守れる力!」
 こうして、プリキュアの新たな力はスイーツを愛するすべての人の思いから生まれたのでした。

 ・・・まさか序盤からこれをやるとは。
 キラキラプリキュアアラモードにおいて、いちかたちは世界を守るなんてご大層な使命を持ちません。彼女たちは自分のスイーツが脅かされるから悪と戦っているだけの、どこにでもいる普通の女の子です。
 このあたりは魔法つかいプリキュア!から継承したものです。あちらに至ってはむしろプリキュアが大人たちに守られる展開すらしばしばありましたね。近年のプリキュアは個人主義的なテーマを扱っているため、基本的に世界がどうのこうのという重たい設定を必要としません。というかむしろ邪魔。それは自分の中の問題を抱えている子に他人の都合を押しつけるようなものです。
 キラキラプリキュアアラモードも「スイーツを通して何を思うか」というごく個人的な問題をテーマに扱っているので、この路線の継承は必然でしょう。しかしそうでありながら、今作は序盤からいきなり「街の人たちの代表として戦う」展開を起こしました。例年ならテーマが円熟した最終盤にしかやらない展開です。
 どうしてこんな展開を必要としたか。それはおそらくスイーツというもののステキさが個人の中だけでは描ききれないものだからでしょう。スイーツを取りまく世界にはつくる人と食べる人がいます。自分がつくりたいからスイーツをつくり、自分が食べたいからスイーツを食べる。そこはいつもの個人主義です。ですが、個人主義といえどひとりきりでは成立しないんです。キラキラルはスイーツを通して受け渡してこそ強く輝きます。

 元々ドキドキ!プリキュア時点で見えていた到達点ではあります。「世界を独り占めしたら確かにワガママ勝手し放題。けどね、たったひとりの世界だったらあなたは横入りも信号無視もできなくなるんだよ」 個人主義を突き詰めると、結局のところ社会との関わりを無視して考えることができなくなるのはわかっていました。悪役の姿で描いていることからわかるとおり、当時はまだまだこれを良いこととして描く下地が揃っていなかったのですが。
 同作以降、プリキュアシリーズは4年かけて個人主義について熟考を重ねてきました。その成果が、新たな段階へのステップが、キラキラプリキュアアラモードにてようやく萌芽しようとしているのかもしれません。
 新しい物語を描くために必要だったのが「スイーツ」というモチーフ。ひとりひとりは個人的な楽しみのために行動するけれど、それでいてお互いを思いやるともっとステキなことが起きる不思議。

 「キラキラルが人の心で輝きを増す」
 いちかたちがスイーツを楽しむためには街の人たちとの関わりあいが不可欠です。彼らの手を借りるといちかたちは今よりもっと楽しくなれます。
 今話はそういう、キラキラプリキュアアラモードを個人主義と新しい何かのテーマ的な架け橋にしようという力強い意志を感じました。

その他こまごましたこと

 「誰!?」 ふたり暮らしの家なのにひどい言い草。・・・と思いましたが、よく考えるとこの家って道場と繋がっているんでしたっけね。いちかの日常には割と良くあることなんでしょうか。

 オープニング。映画の宣伝が終わっても悪い妖精たちは変わりません。今回まとめて浄化されたことですし、何か変化するなら来週でしょうか。

 いちご坂スイーツフェスティバル。要するに最近増えてきた食べ比べ系のイベントってことでしょうか。やたらと飾りつけに凝っていますが、テントの目立つ位置に看板を置けないデザインなのは出店側から不満が出そう。

 えみるちゃん。ええい、この子あいかわらず一挙手一投足がいちいちかわいいな! 毎週出てください。

 みどりさん。デートと茶化されても全くうろたえないあたり、この人やっぱり恋愛慣れしてるでしょ。がんばれ辰巳さん。負けるな辰巳さん。挫けるなめげるなガッツだ辰巳さん。

 親衛隊のみなさま。今回は単なるモブとしての出演なのでホラー臭はありません。顔だちはほとんど変わっていないはずなのにちっとも怖くない! 不思議!

 クラスメイト。たぶん第2話ぶり? デザインを継承しているということは今後学校がらみのエピソードで活躍するということでしょうか。ひとりぼっちだったひまりが嬉しそうにしているのを見ると感慨深いものがありますね。

 「構いたいのよ。親ってそういうものよ」 達観した物言いをさせているあたり、やはりゆかりたち高校生組は視聴者の感情移入先ではなくてお姉さん役として配置されているんですね。

 仮面ロン毛ジュリオくん。彼の立ち位置はまだまだはっきりしませんが、瞳がやたらとファンシーだということはそのうち和解するんでしょうね。レジーナみたいな役回りでしょうか。

 カカオカカオの店員さん。この制服かわいいですよね。ポニーテールがまたイイ。キュアショコラに守られているシーンなんて完全にヒロインの出で立ちです。

 「教えてもらったんだよ。キラキラルがあれば俺の欲望が満たされるってなあ」 ああ、つまりガミーさんたちはキラキラルを集めること自体が目的というか享楽で、その後のことは考えていなかったんですね。道理でスイーツを手放してくれそうな人には妙に紳士的だったわけです。

 お父さんのショートケーキ。真ん中に苺を置くな! 血で血を洗う戦争になりかねんぞ!

 「みんなー! スイーツへの思いをプリキュアに届けてペコー!」「誰の声だ!?」 いつものことながら、この潔いしらばっくれっぷりがクセになります。

 「イメージしよう!」「かわいく!」「くるくるで!」「きれいで!」「大事なものを守れる力!」 この場合、空気を読めていないのはキュアジェラートになるんでしょうか? それともキュアショコラ?

 「スイー・ツー・ワンダフル・アラモード!」 キュアカスタードが素材召喚、キュアジェラートが円筒成形、キュアマカロンが輪切り、キュアホイップがトッピングという分担なのはわかりますが、ところでキュアショコラさん何担当した?

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