誰かが挫けかけても誰かが立ち上がる。そしたらこうして、次々勇気が湧いてくる!
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(主観的)あらすじ
前話のお手当てが終わった直後、ラテがまたくしゃみをしました。駆けつけてみるとこれまでになく強大な力を持ったメガビョーゲン――、いいえ、ギガビョーゲンの姿がありました。自らメガパーツを取り込んでパワーアップしたシンドイーネが、エレメントさんではなく孝太くんのお父さんを使って生み出した怪物のようです。
圧倒的な力の差を前に、のどかたちは為すすべなく倒されてしまいます。
キングビョーゲンに目をかけてもらえるだけの力を得たシンドイーネは大喜び。ただ、リスクを厭わずパワーアップしようとした彼女のやりかたをダルイゼンやグアイワルは冷ややかに見ていました。
一方、のどかたちは動物園の隅で泣いていた孝太くんを発見。大きなショックを受けた彼のため、プリキュアが絶対助けてくれるからと、心を込めて励ましました。助けてあげられる自信は無くとも、彼を勇気づけるために約束をしました。
再びギガビョーゲン出現。最高のチームワーク、持てる力の全てを発揮して体勢を崩し、すかさずプリキュア・ヒーリングオアシスを叩き込みますが、そこまでしてもギガビョーゲンはびくともしません。さすがのアスミですら心が折れました。
けれど、のどかとラビリンだけは諦めませんでした。孝太くんと約束したから諦めるわけにいきませんでした。そして、諦めないのどかたちの姿はアスミたちにも勇気を与えました。プリキュア4人みんなが立ち上がります。
諦めず力を合わせて戦おうとするのどかたちのもとに発現する新たな力。
のどかたち4人とラビリンたち4人、それからエレメントさんたちにもらった12本のエレメントボトルのパワー。ありったけの全てを重ね、のどかたちはプリキュア・ファイナル・ヒーリングっどシャワーの力でギガビョーゲンを浄化するのでした。
シンドイーネさん、あれだけ不穏なフラグを重ねておきながら意外にも退場しませんでした。今しばし本人すら気付いていない悲惨さをじっくりと見せつけてくる構えのようです。
今話で描かれた形勢逆転のキーはバラバラの個性を集めること。第11話のプリキュア・ヒーリング・オアシスのときも“諦めない思い”、“プリキュアのチームワーク”、救うべきエレメントさんをも巻き込んだ“みんなで病気に立ち向かう意志”の3本立て。おおむね今回と同じテーマ性でパワーアップしたわけですが、今話は特にみんなのキャラがバラバラであることにフィーチャーしていきました。
のどかたちはラビリンたちと協力しあうことでプリキュアになる力を得ました。協力することで、本来の自分にはできないことをできるようになるためです。それは単純に2人分の力というわけではなく、きっともっと尊く絶大な力。現実にも、ひとりでがんばるときの倍じゃ済まないくらい、ふたりでならできることの幅がずっと広がることでしょう。まして、それが4人なら、8人なら、20人なら。
今話はその協力する強さの具体例として、ひとりが諦めなければみんなでまた立ち上がれるという物語を描きました。
みんなで協力する強さの秘訣がバラバラのキャラにあるならば――。
それは、またひとつ、彼らと手を取りあう理由が見つかったということにつながります。
たとえこの身朽ち果てようとも
「私はね、進化したの。この身体にメガパーツを取り込むことによってね。そしてさらなる力を得たの。私は地球上の生きものを使ってギガビョーゲンを生み出せるようになったのよ! フフフ。あんたらとは違うのよ。この身体も、キングビョーゲン様への愛も!」
そんな自己犠牲的なこと言われちゃうと去年を思い出すじゃないですか。
「私は全てを捧げ、力を得た。お前たちは甘い! 守るべきものが大きければ力が出るだと? たまたま拾ったそいつのために力が? 笑わせる!」(『スタートゥインクルプリキュア』第32話)
捨て身の覚悟こそが力になると何の根拠もなく信じていた、哀れなオッサンのことを。
「大丈夫フワ。フワがみんなを守るフワ! ――思いを重ねるフワー!!」(『スタートゥインクルプリキュア』第47話)
誰もがやめさせようとしていたのを聞かずに全部抱えて突っ走っていった、愛しい友達のことを。
バカバカしい。
「フッ。素晴らしい成果だ、シンドイーネ。お前の忠誠心は必ず我の助けとなろう」
「いやーん! 『愛してる』なんて!」
もしあなたが愛されているのなら。
あなたという存在が失われたとき、本来あなたが受け止めるはずだったその愛情はどこに向かうのですか?
これまであなたは愛しても愛してもけっして満たされることがなかった。その愛を受け取ってもらえている確信が欲しかった。だから今回、自分を被験体にしてまで貪欲にパワーアップを求めた。キングビョーゲンに自分を見てもらいたがった。
愛とはそういうものであるのなら。
あなたがその身を粗雑に扱うことが、本当にあの人のためになるのですか?
あなたの愛する、あなたを愛してくれる人は、その気高い自己犠牲の精神を本当に喜んでくれますか?
「・・・こんなの、何でもないよ。・・・お父さん。お父さんが、怪物に食べられて――。うっ、うっ・・・」
「孝太ー!! 孝太! ――ごめんな、心配かけて」
愛とはそういうものであるのなら。
あなたは、あなたがされて嬉しいことを、愛する人のためにするべきだ。
「“大好き”?」
「そうよ。大好きよ! 悪い?」
「いいえ。“大好き”は悪くありません。ですが、あなたの“大好き”のために、私の、そしてみなさんの“大好き”を傷つけることは許しません!」(第22話)
知らない思い、知っていく思い
シンドイーネの話はさておき。
後々重要な話になってきそうではありますが、それが語られるのは今話ではありません。
「そんな・・・。これほどまでに力の差があるとは。申し訳ございません、ラテ。私ではこれ以上お役に立てそうにありません」
今話の核となる物語はこっち。
「これほど絶望に満ちた気持ちを、私は感じたことがありません」
きっとアスミじゃなくても同じ気持ちになるでしょう。アスミと違って十数年、ウン十年生きて、たくさんの感情を学んできた人間でも、そこまで痛烈な絶望を味わう体験はけっして多くありません。
わからない不安。
わからない恐怖。
初めて知る感情、初めて巡る思考。どんな強者だってうまくできなくて当たり前。体が震えて当たり前。だって、私たちは自信があるからこそ希望を抱けるんです。自分すら信じられない状況で、未来なんてあやふやなものを信じられる人なんていない。
そう。わからない。
わからないのが怖い。
・・・だけど。
「泣かないで。大丈夫だから。前はね、原因がわからないままずっとずっと苦しいのが続いて、体も心も不安で辛いままだったけど、今はビョーゲンズのせいだって知ってるもん。体はやっぱり辛いけど、でもね、心はがんばれる。だってね、ラビリンがいてくれるもん」(第28話)
あなたのその、わからない怖さをわかってあげられる人は、きっとどこかにいる。
「孝太くん。泣かないで。きっとお父さんは助かるよ。・・・ね?」
「うん。お父さんもまだ怪物のなかで戦ってるはずだよ。だから孝太くんも希望を捨てないで」
あなたもつい先ほど見てきたはずです。
かつて先の見えない不安に苦しめられ、そして今は不安に打ち勝てるようになった、強い子の姿を。
「ごめんね、今すぐに君を治してあげることができなくて。でもぼくたちは諦めない。だからのどかちゃんにも諦めずに戦ってほしい」(第11話)
あの子はずっと、そういう強い人の言葉に支えられ、励まされ、――そして憧れて、あんなにも強くなった。
あの子の言葉には、幼いころに支えてもらった強い人の言葉が、今も息づいている。だからあの子は強い。だからあんなにも戦える。
あなたはまだ絶望との戦いかたを知らないかもしれないけれど、それを知っている子がいることなら知っている。
「のどか・・・。ごめんラビ。ラビリンはヒーリングアニマルなのに、どうしたらいいかわからないラビ。――何もしてあげられないラビ」(第28話)
そして、かつてあなたと同じように自分の無力さに絶望し、けれどあの子の強さに倣って克服してみせた、もうひとりの強い子のことも知っている。
「――それでも。私は諦めたくない。先生の、ビョーゲンズのせいで苦しむ人の気持ち、わかるから」
「そんな大切な人の無事を祈る孝太くんの気持ち、分かったラビ」
生まれたばかりのあなたにはまだ知らない気持ちが多いかもしれない。
だけど、これから知っていくことができることを、あなたはもう知っているはずです。
「アース。私たち、まだがんばれるよ」
ひとりじゃないから
「だってね、ラビリンがいてくれるもん。ラビリンと出会って、ビョーゲンズと戦う力をもらったもん。毎朝ランニングもしてるもん。だから私、絶対負けないよ」(第28話)
のどかはけっして強い子ではありません。強くないからこそプリキュアをやっています。
ひとりでは自分の叶えたい願いひとつ叶えることができないから。
叶えたい願いを叶えるために、ラビリンと手を取りあわなきゃいけないと思ったから。
キュアグレースはふたりでひとつです。
のどかはひとりだとそれほど強くないかもしれないけれど、事実として今は誰よりも強い子です。
ラビリンが隣にいるから。あるいは、ちゆやひなた、アスミが傍にいるから。
あるいは――。
「お父さんはきっとプリキュアが助けてくれるからね」
今は、約束もあるから。
「ギガビョーゲンがどんなに強くても」
「放っとくわけにいかないラビ!」
そうとも。のどかが憧れたあのお医者さんたちは、のどかと交わした約束を違えることなく、最後まで一緒に病気と戦ってくれました。
だったらその約束はのどかにとっても力になるでしょう。のどかはあの人たちと同じ強さを目指しているのですから。
「酷い。動物園じゅうが被害に」
「動物は自然の変化に敏感ペエ。きっと余計に怖いペエ」
「そんな。かわいそうだよ」
「殺気立ってますね。――急ぎましょう」
あのお医者さんたちだって、のどかのものほど困難な病気を経験したことはなかったでしょう。けれど、ちゃんとのどかの辛さを分かってくれました。
今ならのどかたちにもわかるはずです。彼らがどうしてわかってくれたのか。
「キャラが違うからこそ楽しいってこともある。興味のなかった動物を見たり、いつもなら注文しない料理をおいしいと感じたり。相手がいるから自分の世界が広がる。友達はいいもんだ」(第30話)
自分ひとりで経験できることは、学びうる気持ちは、けっして多くないかもしれません。
それでも私たちはたくさんのことを知ることができます。私自身のものだけじゃない、私たちの周りにいるたくさんの人たちと語りあい、交わりあうことによって。
それこそが、1人と1人が手を取りあうことで、たった2人分の力よりはるかに多くのことをできるようになった理由。
手を取りあうことでふたりがそれぞれ2人分の経験を学べたなら合計4人力。4人になったら16人力。8人なら64人力。20人ともなれば400人力!
ヒーリングっどプリキュアは4人でひとつのチームで、8人でひとつのチームで、もっとたくさんのみんなでひとつのチームです。
まだ、何か不安なことがありますか?
「ラビリンたちヒーリングアニマルと、人間のパートナー。それに、地球と風から生まれたアース」
「そして、いろんなエレメントさんから力を預かってるペエ」
「こんなにたくさんの人が、たくさんの力が集まってるんだもの」
「まだまだイケるよ。そんな気、してこない?」
「――はい! みんなで手を取りあえば、必ず!」
あなたは強い。あなたは絶望なんかしない。
だって、あなたはあなたひとりでは経験しえないたくさんの気持ちを、知ることができるんですから。
コメント
主人公の成長の核が「戦闘部隊のリーダーとして成長すること」にならないように気を使ってきたプリキュアシリーズにあって、着実に「頼れる戦闘部隊のリーダー」として成長してきた花寺のどか/キュアグレース。
どうにもこの人「ピンクプリキュア」というより「戦隊レッド」という雰囲気が益々強くなってきた印象ですが、それに対して平光ひなた/キュアスパークルが伝統的なピンクプリキュアーーーーーー「プリキュア活動はあくまでその人の人間的成長に対する触媒的なものにとどまる」というプリキュアシリーズのセオリーを体現した存在ーーーーーーの特性を引き受けている感じで……ああ、だからひなたの制服姿がピンク基調なのか、と。
ピンクプリキュアの伝統継承は平光ひなた/キュアスパークルに任せ、プリキュア作品にスーパー戦隊の特性(そもチームワークの価値の強調はスーパー戦隊シリーズがプリキュアに先行して打ち出していた基本姿勢)を流入させる役割を担う(?)新世代ピンクプリキュア・花寺のどか/キュアグレース。
……あ、もしかすると来年3月公開の劇場版で「バディ物からチーム物に移行した初のプリキュア作品」と共闘するのも「女児アニメ版スーパー戦隊」という立ち位置をより明確にするため……なんでしょうかね?
私にとって『YES!プリキュア5』は特撮というよりRPGでしたね。技に属性があったり、キャラごとのロール分けがあったり。
むしろシリーズで一番スーパー戦隊っぽかったのは『フレッシュプリキュア!』だと思っています。チーム全員そこそこどんなロールでも受け持てていたり、戦う理由をチーム内で共有できていたり。作品テーマからちょっと離れたようなバトル展開が多かったのも『フレッシュプリキュア!』でしたね。『YES!プリキュア5』はなんだかんだで毎回夢とか約束とか言っていた印象。