キラキラプリキュアアラモード第14話感想 届け、届け! あなたに気持ちを伝えたいんだ!

そんなに叫ぶな。わかっている・・・。

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(主観的)あらすじ

 いつものように青空の下でシャウトするあおいは、ある日燕尾服姿の男にさらわれてしまいます。彼はあおいの執事にして幼馴染みの水嶌。実はお金持ちの家の生まれだったあおいはロックバンドやキラキラパティスリーでの活動を反対されていたのでした。
 いちかたちの手引きによって、水嶌に自分の歌を聞かせるあおい。自由を求める彼女のシャウトは鉄仮面の裏に隠した水嶌の心にまで届きます。彼とてあおいの幸せを願う家族のひとり。条件付きではありますが、あおいは引き続き大好きな活動をすることを認められるのでした。

 作画陣から愛されガールなあおいの当番回。身の回りにある優しさに気付く物語が大好きな私としては、水嶌のようなキャラクターは大好物です。そういう物語はつまり、与えられた環境に甘んじるという意味でもあって、水嶌の見せるようなヤヤコシイ愛情は子ども向けアニメでは割と拒絶されがちなんですけどね。はてさて、あおいと水嶌の関係はどういう形で着地するのでしょうか。お嬢様キャラの醍醐味ですね。

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 「水嶌のわからず屋ー!」
 ごもっとも。確かに水嶌はあおいの気持ちを無視して行動しています。
 「小さい頃はもっと素直だったのですが・・・」
 あおいが水嶌の気持ちを考えずにワガママを言っているように。もっとも、水嶌の場合はあおいに本心を隠しているようなので、そもそもわかってもらえるわけがないのですが。

 お金持ちの家に生まれたあおいは間違いなく幸せ者です。上等の衣服、上等の食事、そして上等の教育。校内5位以内の良好な学業成績のみならず、彼女の愛するバンド活動ですら、その音楽的素養はおそらくバイオリンの手習いによって培われたものでしょう。立神家に生まれたからこそ今のあおいがあります。
 天涯孤独の水嶌にしてみればそのたぐいまれな幸福の価値は骨身に染みていることでしょう。そんな彼が「立神家の子女らしくあれ」と言うのであれば、それは疑う余地なく彼なりの祝福です。あおいは立神家に適応するだけで将来必ず幸せになれることを約束されているのですから。

 「私の気持ちはどうなるんだ」
 水嶌はそれをないがしろにしてでも優先すべきものを知っています。
 「我慢してください」
 「全ては立神家と、お嬢様のためです」
 あなたが未来永劫幸せな日々を送るための最優先事項。まだその尊い価値に気付いていないあなたは、もしかしたらちょっぴり窮屈に感じるかもしれないけれど。お家とあなた、ふたつを並べながらも水嶌がアクセントをつけて話すのは「お嬢様」の方です。
 あなたがまだわかってくれないというなら、私があなたに代わってあなたの幸福を守りましょう。
 彼が自称する「保護者」とはそういう意味の言葉です。

わかってもらえない理由

 今話のあおいはずいぶんと表情が動いていましたね。
 アクティブな印象のある彼女ですが、いちかと違って積極的に他人の都合に首を突っ込まないこともあり、意外と普段の立ち居ふるまいはおとなしめでした。スイーツを食べるときなんかもさりげなく上品なんですよね、この子。「べー!」と舌を出すなんてキラキラパティスリーでは絶対に見せない表情です。
 何のかのいっても心の底では水嶌に甘えているんでしょうね。こっちはこっちで素直じゃありません。

 ところであおいさん。あなた、どうしてロックバンドをやりたいのか、これまでどのくらい真剣に水嶌に説明してきましたか?
 「ちゃんと言ってくれないとわかんないよ」
 ハートキャッチプリキュア!の来海えりかが口癖のように言っていた言葉です。どんなに近しい間柄であっても、伝えようとしなければ気持ちは伝わりません。
 「素直な言の葉は、ときに魔法となって人の心を動かす」
 魔法つかいプリキュア!の校長先生がはーちゃんの思いを受け取ったときに言ってくれた言葉です。水嶌は頑固な人ですが、それでも初めから諦めてしまっては何も伝わりません。
 「大海原に飛び込むときが来たようだな。ブラボー!」
 Go!プリンセスプリキュアの海藤みなみの告白を受けて、彼女のお父さんが言ってくれた言葉です。彼女もあおいのように家との約束は絶対だと思い込んでいましたが、いざそれに反する夢を告白してみれば拍子抜けするほどあっさり祝福してもらえました。むしろいつも従順だったことを心配さえされていました。

 「もうみんなのところに戻れないのか・・・」
 嘆くよりも先に、あおいにはしなければいけないことがあります。
 「決まりごとに縛られるのがだんだん苦しくなってきて。でも、青空に響く岬さんの歌で自由な気持ちになれたんだ。私も感じるままに歌いたい!」
 あなたはせっかくステキな気持ちを持っているんです。それをないがしろにされてしまうのは確かにもったいない。

 けどね、それがなかなか伝わらないのには理由があるんですよ。
 あなたがそれに真剣なのと同じくらい本気で、水嶌も心からあなたの幸せを願っているんです。だって彼はあなたの家族なんですから。
 だから、家族だからこそ、あなたはその真剣な思いを全力で彼にぶつけなければいけません。そうしなければ本気の彼は考えを改めようとしないでしょう。ちょっとやそっとの説得で気持ちが伝わるだなんて、そんな甘えた気持ちじゃ何も変えられません。

 プリキュアは欲ばりです。ひとつの幸せともうひとつの幸せ、ふたつが天秤にかけられていたら両方かっさらうのがプリキュアの基本思想です。
 大人は子どもにそうあってほしいと願うものです。今の私たちが知るどんな人生よりももっと幸せな人生を、どうかあなたたちの手で。その助けになるなら大人は何だってできるでしょう。だから教えてください。どうすれば私たちが想像するよりもっとずっとあなたたちを幸せにできるのかを。

 「その思い、もう一度伝えてみようよ。あおちゃんの得意なやり方で」
 気持ちをぶつけるって、そういうのあなたの一番の得意分野じゃないですか。ねえ、青空に吠えるライオンさん。
 「今叫べ高らかに! ただ走れ全力で! もう誰にも追いつけやしないだろう?」

伝えられなかった人の絶望

 「自分の気持ちを人にわかってもらおうなんて、はなからムリなんだから」
 今回スイーツからやや離れ気味なところでキラキラルを語った分、かえってリオくんの絶望の正体には近づけた感がありますね。

 かつての彼はどうやら優れたパティシエだったようです。ですが今の彼はスイーツを憎んでいます。
 パティシエだったのであれば、かつての彼はいちかのようにたくさんのキラキラルを生みだしていたことでしょう。ですが今の彼は他人のキラキラルを弄んでばかり。
 「実験」と称するからには、彼はキラキラルの意義がわからずにいるのでしょう。どうすればキラキラルに価値が生まれるのか、自分なりに模索しているように見えます。
 キラキラルはスイーツを食べた人を元気にするエネルギー。そういう素朴なあり方はすでに劇中で散々提示されているというのに。どういうわけか彼はそれで納得しようとしません。
 つまり、彼はキラキラルで元気になれなかった。
 スイーツづくりは彼を幸せにしなかった。

 どうして? きっとその答えが、「自分の気持ちを人にわかってもらおうなんて、はなからムリなんだから」
 彼の生みだしたキラキラルは誰にも届かなかった。もしくは届いたことが彼に伝わらなかった。
 きっと、そういうことなんでしょうね。

 だからどうした。
 リオくんのキラキラルは届かなかったかもしれない。だからどうした。いちかはスイーツをつくる人のキラキラルが食べる人に届くことを知っています。食べた人がキラキラルを生みだしてつくった人に返してくれることを知っています。
 どちらも彼女自身が、両方の立場から経験してきたことです。
 リオくんは届かなかったことを経験しているかもしれないけれど、だからどうした、いちかは届くことを経験しています。

 「あおちゃんの気持ちはきっと伝わるから」
 今、いちかはお互いの気持ちが届かずにいるふたりを知っています。
 あおいと水嶌。なまじどちらの気持ちも強いがゆえに、どちらの真意もお互いに伝わっていません。リオくんが言うような絶望のかたちそのものです。
 ですがいちかは知っています。ふたりが本当はお互いに気持ちを伝えあいたいと思っていることを。
 だったらこの絶望は変えられる。いちかはこれを変えられる手段を知っています。
 そう、スイーツ。つくる人と食べる人それぞれが生みだすキラキラルを仲介してくれる、プリキュア6人目(7人目?)の頼れる仲間。

 あおいの考えたスイーツは絶対の絶対にふたりを結んでくれるから、だからそのあとふたりの気持ちがお互いに伝わるかどうかは当人の頑張り次第。スイーツの力を信じましょう。
 いちかはそれを信じられます。その力を見てきたから。リオくんは信じられません。その力を見ていないから。違いはたったそれだけ。論理的に考えて、こういうのは知っている人の知見の方がだいたい正しい。リオくんはこれから知っていきましょう。

 あおいも水嶌も、それからリオくんも、ちょっと伝わらなかったくらいですぐ諦めちゃって。そんなのプリキュアらしくないじゃないですか。(いやまあリオくんのは未確定だけれど / そして私が偉そうに言えることでもないのだけれど)
 「諦めない、負けない」がプリキュアの合い言葉です。伝えたい言葉があるなら伝わるまでがんばりましょう。その努力はきっと、あなたを今よりもずっと幸せにしてくれます。

今週のアニマルスイーツ
 イルカゼリー。難易度星1つ。ちなみに材料はらいおんアイスとほぼ共通しています。

 劇中でひまりが指摘しているとおり、ゼラチンは加熱すると固まりにくくなってしまいます。これはゼラチン(=タンパク質)が加熱されることでアミノ酸に分解されてしまうからです。赤い生肉が焼くと白っぽくなるのと同じことで、こうなるとどうやっても元のかたちには戻りません。気をつけましょう。
 というかレシピにゼラチンを火にかける工程なんてないはずですが、いちかさんどんだけぼんやりしてたのさ。

 ちなみに中のイルカは寒天でつくっているので、こちらは火にかけてしっかりと煮溶かします。寒天は多糖類なので熱に強い・・・というか、むしろ高温じゃないと溶解してくれないんです。
 融解点が高い分、温かいゼリー液の中に入れてもかたちが崩れにくいということで、イルカだけ寒天でつくっているわけですね。

 今回から「1分間クッキング」が「レッツ・ラ・デコレーション」コーナーにリニューアルしましたね。製菓工程から始めたら1分間じゃ雰囲気すら伝わらないという判断でしょうか。ごもっともだと思います。でも今回は中のイルカがミソなだけに、さっそくほぼ最初の工程から映さざるをえないという。難儀な。
 重箱の隅をつつくようですが、公式レシピでは丁寧に泡取りするよう指導しているクセにこの映像ではなぜか泡だらけになっています。(そして完成写真ではキレイに泡がなくなっているという)
 とはいえこれはこれで趣深い見た目になるのでアリですけどね。
 もしこちらを自宅で再現したい方がいたら、ゼリー液をつくるときに炭酸水を使うといいでしょう。人の手で攪拌するより泡がきめ細かくなりますし、食感もシュワシュワして美味しくなりますよ。

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