
大好きだから友達やってんだ!

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(主観的)あらすじ
あおいが有名スイーツメーカーの新作発表会に招待されました。それを聞いてひまりは興味津々。一緒について行くことにしました。けれどスイーツマナーに社交マナー、あおいが当たり前にこなしていることでもひまりにとっては初めてのことばかり。なかなか大変です。個性が全然違うのにどうして友達でいるんだろう。心細さのあまりそんな疑問まで首をもたげます。
ちょっとした不注意でステージ発表を台無しにしてしまいました。ディアブルが闇を振りまいたこともあり、まわりの大人たちがひまりたちを責め立てます。けれどひまりとあおいはお互いを庇いあい、お互いの良いところを見つけあい、心の闇から身を守ります。ふたりは大好きなことに一途な、似たもの同士の友達です。
前話に引き続きゲスト脚本回。「だいぶん」とか「お菓子」とか珍しい単語が出てきました。というかプリキュアに敵幹部以外で嫌な大人が出てきたのなんて何年ぶりでしょうか。今回脚本を担当した吉成郁子さんはたまごっちのテレビアニメシリーズで活躍した方。最近は集英社で漫画原作やノベライズを手がけているようですね。
ところで立食パーティならそこまで喫食マナーにこだわらなくてもいいと思うの。きっちりやろうとしたら今回のひまりたちのようにわざわざテーブルを探すことになりますから。あれはあくまで座って食べるときに所作を美しく見せるためのテクニックです。というかそもそもフルサイズのスイーツを提供するのに立食形式を採用した企画者が悪い。(無粋)
もっと知りたい!
スイーツマナー講座のときに飾ってあった黄色い花はシャクヤク。花言葉は「恥じらい」「思いやり」。ということで今話の主役はひまりです。
「シックロッシュって、あの大手お菓子メーカーのですか!? ちょっとお高めで、特別な日に食べられる、あの!?」
有栖川ひまり。ちょっぴり引っ込み思案だけれど、ことスイーツの話題に関しては誰よりも前のめりな女の子。彼女が司るものは勇気の物語です。
リポーター。実験会の助手。これまで彼女は大好きなスイーツ語りのために自分の引っ込み思案と戦ってきました。今回彼女の前に立ち塞がるのはスイーツマナーに社交マナー。多少毛色は違いますが、それでもやることはいつもと変わりません。
「私も、新たなスイーツレシピのためにがんばります!」
だって「大好き」のためなんですから。
初めは社交界の雰囲気に飲まれて萎縮していたひまり。ですが、この子ってばどんなときでも自分を崩しません。
「おいしいです、これ! いったいどうやってつくられているんでしょう。砂糖・・・にしては複雑な甘みがあるというか」
ひとたび興味のアンテナが何か受信するとたちまち無敵モード。第一歩こそあおいのフォローを必要としますが、二歩目からはあおいがいなくたって自分で踏み込めます。いつも通りに。
ただし今回は悪意との戦いの真っ最中。いつもと違って一筋縄ではいかない妨害が入ります。
「は? あーそうですか。道理で。ただの学校のお友達ってやつか。こんなところに連れてくるからてっきり・・・」
いい歳した大人による、大人げない悪意に満ちた言葉。
とはいえ今年のプリキュアのなかでこの手の妨害に一番強いのがひまりって子なので、あんまり心配することないんですけどね。あおいの助けがなかったとしてもそのうち勝手に立ち直っていたんじゃないかと思います。
「ひとつだけ訂正させてください」
「本当のあおいちゃんを知らないのに勝手なことを言わないでください」
こういう頑とした強い言葉を正面切って言えちゃうのがひまりらしさ。
この子しょげやすいんですが、それはまわりの人に迷惑をかけたことを反省しているだけであって、最後には結局自分で決めたことをやり通すんですよ。
いつもそう。「その話いるか?」とか言われちゃった幼い時分からして、それでも周りに合わせずスイーツ研究に没頭するゴーイングマイウェイ。どんなに苦しいときでも自分の「大好き」だけは絶対に曲げようとしないんですよね。
超オタク気質。超ガンコ。絶対無敵の自由人。そこらへんゆかりみたいなメンドクサイ子とは対照的です。
おかげでこの子の主役回は書くことがなくて困ります。ゆかりと同じくらい好きなキャラクターではあるんですけどね。
自由のために!
一方あおいの方はどちらかというとゆかり寄りな気質。ロックだなんだ言っている割に、実は意外と我を通しません。むしろ誰よりも和を尊ぶ子です。いちかたちとの出会いからして横入りしてきた「自由」なお兄さんたちを咎めていましたっけ。
「ま、好きなことやるために約束したからね」
「大変申し訳ありません。私の不注意です」
プリキュアシリーズのお嬢様キャラって、だいたい抑圧されている(というか自分で自分を追い込んでいる)ところを「もっと自由にしていいんだ」と解放していくパターンが基本なんですけどね。
この子の場合はその逆です。自由を認めてもらうためにあえて自分から型にハマりにいきます。
私、この子みたいな考え方をするプリキュアをずっと待っていました。Go!プリンセスプリキュアの海藤みなみのときも普通に家業を継ぐのを期待していたくらい。まああちらは作品テーマを考えるとそういう方向に進むわけがなかったんですが。
誰かに与えられた環境ってときどき息苦しいですが、本当はそう無闇やたらと反骨しなきゃいけないくらい悪いものではないはずなんですよ。与えてくれたのが家族ならなおさら。だってそれは愛するあなたのためを思って贈られた、一種の祝福なんですから。
それはあなたを害する目的ではなく、むしろ幸せにするために与えられたもの。だったらあなたが自由を求めたって、たいていの場合はその与えられた枠組みの中でも実現できるはずなんです。子どもが自分なりの夢を抱くことは絶対に幸せなことなんですから。
「でも、ま、とりあえずおいしく食べるのが一番のマナーだよ」
「よっしゃ、お待たせ! さあスイーツいっぱい食べに行こ!」
ときどき息苦しさを覚えるかもしれませんが、あなたに与えられた環境はあなたのために用意されたものです。型にハマって役割を演じることはそう不幸せなことではありません。そしてやるべきことをやったなら、あなたはもう自由です。
こういう自由だってあるんです。
「いくら立神家のお嬢様でも許されないことがある」
「そもそもバンドなんぞやっているお嬢様なんて聞いたことがない」
「お嬢様はお嬢様らしくおとなしくしていればいいんだ」
悪意に冒された外野は勝手なことを言うかもしれませんが、聞いてやる必要なんてこれっぽっちもありません。
あなたを幸せにするためのものと、あなたを傷つけるためにあるもの。どっちが大切かなんて考えるまでもありませんね。
その生き様、「ロック」ではないだろとやっぱりツッコミたくなりますが。
マストアイテム!
「しかしなんというか、おふたりは変わった組み合わせですね。タイプが全く違うのに仲がよろしくて」
一方は引っ込み思案で、もう一方は活発な子。
「いいか、ひまりはな、自分の好きなことにはすっごくガンコなんだぞ! いっぱいスイーツのこと調べてて、たまにちょっとズレたるすることもあるけど、そんな一生懸命なところが好きなんだ!」
「私にとっては、ロックが大好きで、ハキハキしてて、元気で、でもとっても優しくて、強くて、好きなことやるために一生懸命がんばってる、本当にカッコイイ女の子なんです!」
あるいは、一方はガンコに我が道を貫き、もう一方は和のなかに自由を求める。
バラバラの個性は悪意の闇を払う破邪の力。お互いの長所と短所が噛み合えば噛み合うほどに、悪意につけ込まれる心の隙は塞がれていきます。
「私たちってどうして友達なんだろう?」
自分と違うタイプの子と仲よくするのはなかなか大変なことかもしれませんが、しかし彼女たちはすでに“みんなと”繋がる術を持っています。実践しています。
「『大好き』だから友達やってんだ! 友達でいる理由なんてそれだけでいいんだよ!」
悪意さえ邪魔しなければ「大好き」はどんな人にでもいつか必ず伝わります。スイーツがそれを教えてくれました。
まして「大好き」に一途な彼女たちならなおさらのこと。
「それであの、ひとつお聞きしたいことが。パーティに出されていたスイーツのことなんですが、あの複雑な甘みは蜂蜜、もしくはメープルシロップでしょうか?」
胸に「大好き」が輝く限り、彼女たちは絶対無敵。
そしてその「大好き」をもっとみんなに広めるために、プリキュアは悪意の闇と戦います。
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