キラキラプリキュアアラモード第48話感想 世界は「大好き」からはじまった。――そこ! 関係ないって顔すんな!

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エリシオのキラキラルも一緒にまぜまぜするペコ!

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(主観的)あらすじ

 「大好き」のない平穏こそが理想と謳うエリシオ。「大好き」のない自分は自分じゃないと抗ういちかたち。「大好き」あるかぎり世界に争いは尽きないのかもしれません。だからエリシオはあらゆるものすべてを自分のなかに飲み込んで、本当に何もない、完全な静寂の世界をつくります。彼は終わらない憎しみが続く私たちの世界を哀れに思っていたのでした。
 それこそが「空っぽ」とうそぶくエリシオの秘めていた心。やっと見つけたエリシオの「大好き」でした。いちかたちはエリシオに取り込まれてなお消えることなかったみんなの「大好き」をまぜまぜして、エリシオの「大好き」も一緒にまぜまぜして、もう一度世界をつくりなおします。
 みんなバラバラの「大好き」は確かにぶつかりあうこともありますが、世界に「大好き」がたくさんあるのならみんなでつながりあうかたちだってあるのだと、そんな確信を胸に。
 今日はみんな一緒の気持ちでお祝いしてくれる、いちかの誕生日です。

 空っぽのエリシオにみんなのキラキラルを注ぎ込む展開じゃなかった! (フツーにそういう流れだと思っていました)
 「女の子はね、『大好き』から気持ちがはじまるの。だからときどき思い出すのよ。気持ちがはじまったそのときを。大切な思いのはじまりを。思いは女の子の輝く力になるの」
 「大好き」の論理は普遍です。すべての気持ちは「大好き」からはじまり、そして「大好き」ある限り人は誰かと思いをつなぎあうことができるはず。エリシオに対してもそれは変わりません。(エリシオは「女の子」じゃないって? オメーこのアニメ本来の視聴者層を考えろ!)
 そしてつながりあうことさえできれば、あとはいつもの物量戦。寄ってたかってみんな好き勝手にエリシオの「大好き」を叶えてあげましょう。プリキュアはつないでくれました。ここから先は私たちみんなの仕事です。

ゴージャスタンゴ

 「人や物への『大好き』をなくせば世界は穏やかになれるのです。戦いなど必要としない。まさに理想ではありませんか」
 エリシオの主張に対するいちかたちの反論はこうです。
 「『大好き』があったからみんなと出会えた。それぞれ違う『大好き』があるからこそ未来に向かって歩いて行ける!」
 「私は好きなものを、スイーツの科学を学びたい!」
 「自分の思うままに歌いつづけたい!」
 「私は大切な人の笑顔を見たい!」
 「自分のトキメキをもっと輝かせたい!」
 「可能性がある限り、パティシエの高みを目指したい!」
 「おいしいもの、みんなと食べたい!」

 反論になってない。

 そりゃそうです。そもそものエリシオの主張自体がポッと出なんですから。なんでそんなものの相手をしてやらにゃならんのか。
 この世界にはバラバラの個性が息づいています。
 いちかも、ひまりも、あおいも、ゆかりも、あきらも、シエルも、ペコリンも、それぞれ別の「大好き」のために生きています。今はたまたまみんなの歩む道がキラキラパティスリーという場で交差しているだけで、この先はきっとまたバラバラに生きていくことになるでしょう。
 だからエリシオの語る理想ですら、そんなバラバラの個性のなかのひとつでしかありません。

 「気持ちがないなんてウソよ! 私たちの気持ちをオモチャにしてたくせに!」
 「じゃあ、あなたが見せる表情は何なの!?」

 プリキュアは初めからエリシオにも個性があると確信していました。彼がどれだけ「空っぽ」とうそぶこうとも、ハナっからそれを信じてやるつもりはありませんでした。
 だって彼女たちは知っています。それぞれ身をもって体験しています。空っぽな心のありようを。すべての望みが潰えた絶望を。
 「どんだけ奪われたって、私の『大好き』はここからたくさん生まれてくるんだから。いちか印のキラキラルに賞味期限はないのだー!」
 そして本当に空っぽな心なんて、この世界にはありえないってことも。

 いちかたちはその論理の普遍であることを信じています。
 「エリシオ。私、こんなさびしい世界をつくったあなたに伝えたい」
 「私たちの『大好き』を込めたキラキラル、全部あなたにぶつけるよ」

 だから「大好き」を否定するエリシオにすら、やることはいつもと一切変わりません。

 私の「大好き」は、どんなあなたとだってつながりあうことができる。
 なぜならあなたにも絶対に「大好き」があるはずなのだから。あなたがいる限り「空っぽ」だなんてありえないのだから。

この世界に足りないもの

 この世界に「空っぽ」はありえません。
 たとえ地球というかたちを失ったとしても、人というかたちを失ったとしても、それが無になることはありません。
 プリキュアがそれを許しません。

 「女の子はね、『大好き』から気持ちがはじまるの。だからときどき思い出すのよ。気持ちがはじまったそのときを。大切な思いのはじまりを。思いは女の子の輝く力になるの」
 すべては「大好き」からはじまっています。すべてのものは「大好き」があるからこそ存在しています。
 さあ、ここで「大好き」の論理を裏返しましょう。
 エリシオがすべての存在を飲み込んだというのなら、つまりここには世界中すべての「大好き」があります。たとえそれぞれのかたちをなくしたとしても、すべてのはじまりはここに全部揃っています。
 だったら話は簡単です。私たちの世界は私たちみんなの「大好き」からはじまりました。ならば世界中みんなの「大好き」を混ぜあわせれば、世界をまたはじめることができるはず。
 世界のレシピは単純明快。材料:みんなの「大好き」。工程:まぜまぜ。たったそれだけ。
 「キラキラルを調理してスイーツをつくるジャバ!」
 「力を貸して! みんなのキラキラルを!」

 まあ、いちかたちは一度失敗するんですけどね。
 「そんな! もう少しだったのに」
 正確にレシピを踏襲しさえすれば結果がついてくるスイーツづくりにおいて、失敗する理由は明白です。
 何かが足りなかった。
 けれど世界のレシピはみんなの「大好き」をまぜまぜするだけだったはず。みんなの「大好き」はここに全部揃っているはずなのに、それでも何か取りこぼしがあったとでもいうのでしょうか?

 ありました。
 「ムダなことはやめなさい。私の中では人の心など無力です」
 デウス・エクス・マキナ気取りの厨二病患者が、この場にいるくせに、さも自分は関係ないですよといった顔でひとりだけ不参加を決め込んでいました。
 「心のない私はキラキラルも残りません。ともに無に還りましょう」
 いや、だからあなたが空っぽだなんて誰も認めてませんってば。
 あなたはここにいます。
 世界のすべてが集められたこの場に。
 その意味、わかれ。

 いちかたちの世界創造は一度失敗しました。
 材料がひとつ足りなかったからです。
 ねえエリシオ。「空っぽ」とうそぶくあなただって、この世界を構成していた大切な個性のひとつだったんですよ。

 「エリシオのキラキラルも一緒にまぜまぜするペコ!」
 「キラキラキラルン・キラキラル! アニマルプラネットスイーツできあがり!」

大いなる物量戦

 「人や物への『大好き』をなくせば世界は穏やかになれるのです。戦いなど必要としない。まさに理想ではありませんか」
 エリシオの理想はエリシオのものです。そんなもの、いちかたちには関係ありません。

 けれど、今のエリシオは世界の一部として、みんなの「大好き」の輪に組み込まれています。より正確にはわからず屋に自覚を促したというべきか。
 そういうことならポッと出の主張だなんてドライなことをいわず、いちかたちにもまだしてあげられることがあります。
 私たちみんなが力になってあげられます。

 「ねえエリシオ。気持ちのぶつかりあいを避けるのは難しいって私も思うよ。『大好き』はみんな違うから。『大好き』はいっぱいあるから。ひとつの『大好き』でぶつかっても、別の『大好き』でつながることもできる」
 たくさんの悪意や心の闇を払ってきた、バラバラの個性の強み。百の手段、千の手段、みんな思うままにできること全部を試していけば、いつかひとつくらいはエリシオの理想を叶えられる方法に行き着くはず。
 とりあえず現時点でこの地球上には76億人ほどの人間が生きているそうです。人間以外の生物を含めるならさらに無数倍、時間軸を現在この瞬間に限定せず過去と未来まで勘定に含めるならさらに無限倍。それら数多の個性が全部エリシオとつながっています。天文学的な数字・・・どころの騒ぎではないたくさんの可能性が、今のエリシオには与えられています。
 これでも「大好き」の行く先を悲観するとでも?

 「いっぱい戦っちゃったけど、ひとを思う気持ちがあるなら、私たちきっと心をつなぐことができるよ」
 いちかは確信しています。具体的にはなんの根拠もないのだけれど、いちかは「大好き」がつながっていく無限のパワーを信頼しています。
 そしてそのうえで、ついでにもうひとつ欲張っちゃいます。
 「でも、どうせつながるならさ、あなたもみんなも、みんな笑顔でいられる世界の方が良くない?」
 そのくらいのワガママならいつか必ず叶えられるくらい、私たちのパワーはすごいから。

 私たちの「大好き」はいつだって無限の可能性とつながっています。
 「大好き」をめぐる戦いはいつだって大いなる物量戦です。

 たとえば、ほら、今日はいちかの誕生日。
 「せーの――。いちかちゃん! お誕生日おめでとう!」
 たとえばこんなありふれた出来事だって、みんな一緒に笑顔にさせてくれるんだ。

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