キラキラプリキュアアラモード 総括感想その4 ぺがさすさんのあしあと

夢と希望を! レッツ・ラ・まぜまぜ!

キラキラ☆プリキュアアラモードボーカルベストアルバム スイート☆エチュード☆アラモード

起源(大好き / 夢+)
「おいしいキラ。こんなおいしいワッフルはじめてキラ!」
屈折(嘘つき / 希望-)
「ずっとずっと一緒にいたのはキラリンなのに、ピカリオの気持ち、全然わかってあげられなかったキラ。――キラリンにはいちかみたいな力はないキラ」
変身(出会い / 希望+)
「スイーツでみんなを幸せにするんだろう? なら、今は完成させることに集中するんだ。――キラリン! なれ! プリキュアに!!」
絶望(大嫌い / 夢-)
「許さない。楽しそうなヤツ! 幸せなヤツ! 愛されてるヤツ! みんな、みんな!」
統合(気付き / 夢と希望を!)
「ピカリオ。あなたはひとりじゃない。罪なら私も一緒に背負う。ふたりなら乗り越えられる。私たちふたりの力でキュアパルフェが生まれたみたいにね」

 結論からいうと、キラキラプリキュアアラモードの個人エピソードはいずれも自分を大好きになるための物語でした。
 6人はみんなそれぞれ自分のなかに何かしら好きになれない部分を持っていました。そしてそこから目を背けようとするばかりに、自分の持っていたステキなところすらまっすぐ見つめられなくなっていたのでした。
 そんな少女たちがキラキラパティスリーという場に集い、変わっていきます。みんなそれぞれ違う個性の輝きをときに好ましく、ときにうらやましく思い、その輝きに照らされて少しずつ自分を見つめなおしていったのです。
 この1年間、彼女たちは何か新しい自分を手に入れたわけではありません。ただ、自分のなかの嫌いだったところを好きになり、ステキだったところをもっと好きになり、ありのままの自分を全部まるごと大好きになっていっただけです。
 それがいかに難しいことか、彼女たちより少し大人なあなたにはきっと痛いほどよくわかるはずです。それがどれほど大切なことなのかも、きっと。

 キラ星シエルの歩んだ物語は、「大好き」を分かちあう物語でした。
 ひとりでは乗り越えられない限界にぶつかっては誰かの手を借りて乗り越え、また誰かが立ちすくんでいるのを見つければ今度は自分が手を差しのべる。「大好き」のパワーは循環します。

 「おいしいキラ。こんなおいしいワッフルはじめてキラ!」
 シエルの物語は大切な人の傍ではじまりました。パティシエを夢見て、プリキュアを夢見て、スイーツづくりの高みを夢見た彼女の夢は、ずっと傍にいた双子の弟と共有されていました。
 シエルが一番おいしいと思ったのはピカリオのつくってくれたワッフル。ピカリオが一番憧れたのはいつも自分の先を行くシエル。
 シエルとピカリオは、お互いを心の支えとしてきた仲よし姉弟でした。

 それなのに、ある日ふたりはすれ違ってしまいます。
 いいえ。ふたりだったからこそすれ違う日も訪れる、と考えるべきでしょうか。
 「ずっとずっと一緒にいたのはキラリンなのに、ピカリオの気持ち、全然わかってあげられなかったキラ。――キラリンにはいちかみたいな力はないキラ」
 ちょっとしたボタンのかけ違いが姉弟の絆を遮り、そしてシエルにはさらに致命的な欠落を自覚させることとなりました。
 シエルは周りのことがあまり見えない子でした。心の機微に疎い子でした。だからこそひたすらひとつのことにのめり込み、師事したジャン=ピエールと同じに孤高の技術を磨きあげていくこともできたわけですが・・・、しかしそのせいで彼女は一番大切なときに、一番大切な人の手を取り漏らしてしまったのでした。
 すべてを知ったシエルは自らの罪に胸をかき乱され、自ら絶望の泥へ沈むことを選びます。夢折れたペガサスは再び飛び立つための翼をなくしてしまいました。

 シエルの「大好き」はどうしようもなく不完全でした。

 けれど、シエルにもう一度翼を与えてくれたのは、それでもピカリオでした。
 「スイーツでみんなを幸せにするんだろう? なら、今は完成させることに集中するんだ。――キラリン! なれ! プリキュアに!!」
 姉への親愛が憎悪に裏返り、スイーツに託した希望が絶望に裏返っても、それでもピカリオの親愛は、希望は、憎悪と絶望の裏に残っていたのでした。
 シエルはピカリオから希望を託されました。心を込めたワッフルはもう一度夢へと向かう翼に姿を変えました。だからシエルは誓います。ピカリオが救ってくれた自分を否定しない。ピカリオが託してくれた夢と希望を捨てない。ピカリオが信じてくれた可能性を諦めない。
 シエルは大切な人と思いをつなぎ直して、変わりはじめました。

 「許さない。楽しそうなヤツ! 幸せなヤツ! 愛されてるヤツ! みんな、みんな!」
 改めて周りを見渡してみれば、そこにはピカリオのように憎悪に塗りつぶされた人、シエルのように絶望に打ちひしがれた人は他にもいました。
 シエルはそんな人のために手を差しのべます。あのとき自分がそうしてもらえて嬉しかったのと同じに。
 だって、シエルはあのとき気づいたんです。

 「大好き」ははじめからシエルの傍にありました。

 シエルの物語は大切な人の傍ではじまりました。シエルの一番はピカリオのところにあって、ピカリオの一番はシエルのところにあって、だからこそふたりは一緒にいられたときが一番幸せでした。シエルの「大好き」はピカリオと共有してはじめて完全(Parfait)になれたのです。
 そのことに気がついて、シエルは孤高であることをやめました。自分には無いものを持っているいちかと一緒に学び、自分とは違う悲しみを背負ったビブリーと一緒に暮らし、一度はすれ違ってしまったピカリオとまた一緒にいられる日をずっと待ち望んで、たくさん、たくさんの人と「大好き」を共有していきました。
 シエルの希望はピカリオに借りたもの。シエルの夢はみんなと分かちあえるもの。きっとそうした方がもっともっと高みを目指すことができる。
 「ピカリオ。あなたはひとりじゃない。罪なら私も一緒に背負う。ふたりなら乗り越えられる。私たちふたりの力でキュアパルフェが生まれたみたいにね」
 長い道行きの果て、シエルは自分のはじまりに「大好き」を見つけました。

 「可能性がある限り、パティシエの高みを目指したい!」

 これが、夢と希望の間をさまよったぺがさすさんが自分を大好きになるまでのあしあと。
 このあしあとは物語が終わってからも続いていきます。
 ぺがさすさんの「大好き」のある方へ、ずっと。

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