キラキラプリキュアアラモード 総括感想その5 りすさんのあしあと

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知性と勇気を! レッツ・ラ・まぜまぜ!

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起源(大好き / 知性+)
「すごく不思議で、その答えを知りたいと思って、一生懸命調べて、研究した。大好きなスイーツの秘密を解き明かしたくて」
屈折(嘘つき / 勇気-)
「その話、要るか?」
変身(出会い / 勇気+)
「私は、せっかくできた友達をなくしたくないんです!」
絶望(大嫌い / 知性-)
「きっと私のせいで。もっとうまくやれば。私なんて、私なんて・・・先生の助手ができるはずなかったのに」
統合(気付き / 知性と勇気を!)
「私は私のままで、それでもスイーツがあれば、これからも新しい出会いが待ってる!」

 結論からいうと、キラキラプリキュアアラモードの個人エピソードはいずれも自分を大好きになるための物語でした。
 6人はみんなそれぞれ自分のなかに何かしら好きになれない部分を持っていました。そしてそこから目を背けようとするばかりに、自分の持っていたステキなところすらまっすぐ見つめられなくなっていたのでした。
 そんな少女たちがキラキラパティスリーという場に集い、変わっていきます。みんなそれぞれ違う個性の輝きをときに好ましく、ときにうらやましく思い、その輝きに照らされて少しずつ自分を見つめなおしていったのです。
 この1年間、彼女たちは何か新しい自分を手に入れたわけではありません。ただ、自分のなかの嫌いだったところを好きになり、ステキだったところをもっと好きになり、ありのままの自分を全部まるごと大好きになっていっただけです。
 それがいかに難しいことか、彼女たちより少し大人なあなたにはきっと痛いほどよくわかるはずです。それがどれほど大切なことなのかも、きっと。

 有栖川ひまりの歩んだ物語は、ネガティブな気持ちをはね返す「大好き」の強さを描き出しました。
 6人のなかで唯一、彼女だけが最初から最後まで自分の「大好き」を見失いませんでした。ただ、ちょっぴり欲を出して挑戦して大コケして、そのせいで差し引きマイナスに見えていただけで。

 「すごく不思議で、その答えを知りたいと思って、一生懸命調べて、研究した。大好きなスイーツの秘密を解き明かしたくて」
 ひまりの物語は内向きの探究心からはじまりました。彼女の興味は誰に干渉することなく、誰からも干渉されることなく、ただひたすら黙々と思うさま追求しつづけられるものでした。
 ひまりの「大好き」はそもそもひまりだけにしか触れられない聖域で、つまりムテキでした。

 そのムテキを、ひまり自らが破ります。
 「その話、要るか?」
 彼女は欲を出してしまいました。
 自分ひとりで楽しんでいれば傷つかずに済んだものを、わざわざ自分からその楽しみをみんなと共有しようとしたせいで、ひまりは心ない言葉をぶつけられてしまいました。彼女はただ、それが自分にとってもみんなにとっても楽しくなれることだと信じただけなのに。
 誰かと触れあうことには確かに楽しいこともたくさんありますが、そのかわり軋轢、摩擦を避けて通ることはできません。小さな勇気は小さな失敗を生み、まるでリスのような彼女の臆病さは、たった一度転んだだけで巣穴から出ることを諦めてしまいました。

 有栖川ひまりの「大好き」はひとりぼっちでした。

 ひまりの諦めを打ち破ってくれたのは、いちかでした。
 ひまりと同じくスイーツが大好きで、けれどヘタっぴで、ひまりの知識を必要としてくれたいちか。うっかりまたやらかしてしまった長広舌をもなんとか受けとめ、いちかはひまりにもう一度勇気を出すチャンスを与えてくれたのでした。
 「私は、せっかくできた友達をなくしたくないんです!」
 いちかを信じてふりしぼった、なけなしの小さな勇気ひとカケラ。けれどあの出来事を経てもなくすことはなかったひとカケラ。彼女はこの小さなカケラを大切に大切に育てていくことになります。
 ひまりはいちかたちと出会って、変わりはじめました。

 けれど、自分を変えていく日々は必ずしも楽しいばかりとは限りません。
 勇気はいつもリスクと隣りあわせです。ひまりの勇気はいくつかの場数を踏まえて大きく育ち、そして大きく育ったがゆえに、ひまりに大きな失敗をもたらすことにもなるのでした。
 「きっと私のせいで。もっとうまくやれば。私なんて、私なんて・・・先生の助手ができるはずなかったのに」
 大きな勇気、大きな失敗は、ひまりの一番の「大好き」すらも脅かしました。一番大切に思っていた自分らしさにすら胸を張れなくなるほどに、彼女を深く深く傷つけました。私なんて、私なんて、と。
 ですが、このときすでにひまりはひとりぼっちではありませんでした。これまでたくさんの失敗とともに経験してきたいくつかの成功が、彼女の知性の素晴らしさをたくさんの人たちに教えてくれていたのでした。
 その素晴らしさを知る人たちの声が、ひまりにひまりの「大好き」を否定させませんでした。

 「大好き」ははじめからひまりの傍にありました。

 ひまりの物語は内向きの探究心からはじまりました。それでもあえて、その素晴らしさを信じ、自分もみんなも楽しくしてくれることを信じて、あえて外へと飛び出そうとした、ひまりの最初の勇気。ひまりの最初の失敗。あの挑戦は決して間違ってはいませんでした。
 一度勇気をふりしぼってみれば、果たして事実、ひまりのスイーツ知識は多くの人の心を動かすことができました。そしてひまりにたくさん賞賛の言葉を返してくれたのでした。
 それがひまりの自信を固め、ひまりの「大好き」をもっと大好きにさせてくれます。
 「私は私のままで、それでもスイーツがあれば、これからも新しい出会いが待ってる!」
 ひまりの「大好き」は自分ひとりのものじゃなくしたときに一度ムテキじゃなくなりましたが、勇気を出してたくさんの人とつながりあうことで、再びムテキの強さを獲得したのでした。ここまで育てあげた大きな勇気とともに。
 長い道行きの果て、ひまりは自分のはじまりに「大好き」を見つけました。

 「私は好きなものを、スイーツの科学を学びたい!」

 これが、知性と勇気の間をさまよったりすさんが自分を大好きになるまでのあしあと。
 このあしあとは物語が終わってからも続いていきます。
 りすさんの「大好き」のある方へ、ずっと。

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