元気と笑顔を! レッツ・ラ・まぜまぜ!
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起源(大好き / 元気+)
「それはね、お母さんの気持ちを込めたからよ。いちかが大好きって気持ち。その気持ちをケーキのなかに込めたのよ」
屈折(嘘つき / 笑顔-)
「だって、だってさ。お母さんが教えてくれたんだよ。私が笑顔でいればみんなも笑ってくれる。みんなが笑ってくれると私も笑顔になるんだ」
変身(出会い / 笑顔+)
「初めてのお客さんだもん。あの子のションボリ顔が笑顔になったら、めっちゃ嬉しい!」
絶望(大嫌い / 元気-)
「私のつくるスイーツがもっとおいしかったら、噂なんてなんてことなかったのかな・・・」
統合(気付き / 元気と笑顔を!)
「だってわかるもん。あなたの思いも私たちと同じところからはじまってる。『大嫌い』の反対の『大好き』。その思いがあるなら、きっとあなたを笑顔にできる!」
結論からいうと、キラキラプリキュアアラモードの個人エピソードはいずれも自分を大好きになるための物語でした。
6人はみんなそれぞれ自分のなかに何かしら好きになれない部分を持っていました。そしてそこから目を背けようとするばかりに、自分の持っていたステキなところすらまっすぐ見つめられなくなっていたのでした。
そんな少女たちがキラキラパティスリーという場に集い、変わっていきます。みんなそれぞれ違う個性の輝きをときに好ましく、ときにうらやましく思い、その輝きに照らされて少しずつ自分を見つめなおしていったのです。
この1年間、彼女たちは何か新しい自分を手に入れたわけではありません。ただ、自分のなかの嫌いだったところを好きになり、ステキだったところをもっと好きになり、ありのままの自分を全部まるごと大好きになっていっただけです。
それがいかに難しいことか、彼女たちより少し大人なあなたにはきっと痛いほどよくわかるはずです。それがどれほど大切なことなのかも、きっと。
宇佐美いちかの歩んだ物語は、みんなと「大好き」を響かせあう物語でした。
「大好き」とはエネルギーであり、つながるきっかけであり、そして共感装置でもある。「大好き」のムテキなパワーをストレートに追いかけていく物語でした。
「それはね、お母さんの気持ちを込めたからよ。いちかが大好きって気持ち。その気持ちをケーキのなかに込めたのよ」
どうしてお母さんのケーキはこんなにおいしいの? いちかの物語はお母さんのくれた「大好き」からはじまりました。いちかが大好きなケーキの、その「大好き」がいったいどこから来るのか。
お母さんに教わったその秘密を、いちかはずっと大切に暖めつづけます。
それははじめ、与えられるものでした。
いちかにとっての「大好き」は、あくまでお母さんがケーキに込めて与えてくれるものでした。
だからお母さんがいなくなって、急いでお母さんの代わりにならなきゃいけなくなったとき、いちかは少しだけ間違えてしまいました。
「だって、だってさ。お母さんが教えてくれたんだよ。私が笑顔でいればみんなも笑ってくれる。みんなが笑ってくれると私も笑顔になるんだ」
どんなに辛いときもがんばって笑顔をつくる。だってお母さんはいつも笑顔だったから。だってお母さんの笑顔はいつも元気をくれたんだから。だから、笑顔は誰かに元気を与えるためにある。
当時はまだ与えられる「大好き」しか知らなかったいちかだから、お母さんの魔法の言葉の一番大切なところ、自分が元気になるためというメソッドに気づけませんでした。
いちかの「大好き」はお母さんのマネごとでしかありませんでした。
それはやがて、つくるものに変わりました。
いちかは初めてのうさぎショートケーキづくりで、誰にも与えられることない「大好き」の大切さに思い当たりました。誰かのためを思って心を込めること、それ自体が自分にとっても不思議と幸せな気持ちにつながりました。
だからいちかはまず友達と一緒にスイーツをつくることからはじめ、つづけてお店を開くことに挑戦してみました。
「だって初めてのお客さんだもん。あの子のションボリ顔が笑顔になったら、めっちゃ嬉しい!」
いちかの「大好き」が、“与えられるもの”から“つなぎあうもの”へと変わった瞬間です。
誰かを笑顔にするためだけにあったそれは、自分も幸せになれるという気付きを経て、誰かも自分も一緒に笑顔にするものへ。
いちかはスイーツづくりを通じて、変わりはじめました。
けれど、自分を変えていく日々は必ずしも楽しいばかりとは限りません。
「私のつくるスイーツがもっとおいしかったら、噂なんてなんてことなかったのかな・・・」
それが誰かとつなぎあうことで意味をなすものであるならば、食べてもらえないスイーツには何の意味もありません。そんな悲しい現実の一側面を前に、一時期のいちかはシエルのような一流の技術に傾倒しかけていました。
もちろん技術を磨くことは大切なことです。けれどいちかのスイーツづくりの根底にあるものはあくまで「大好き」であり、そのことをないがしろにしてまで技術に傾倒していくというのは本末転倒でした。
ここでいちかは改めて自分の「大好き」とは何だったかを見つめなおすことになります。
「大好き」ははじめからいちかの傍にありました。
いちかの物語はお母さんのくれた「大好き」からはじまりました。今のいちかならお母さんの気持ちの全部がわかります。「大好き」を与えられるばかりではなく、自分でつくり、みんなとつなぎあえるようになったいちかなら。
お母さんがケーキに込めた「大好き」って何だったんだろう。それはいちかに元気になってほしいという願い。
どうしてお母さんはいつも笑顔だったんだろう。それはいつもいちかの元気を分けてもらっていたから。
私が笑顔でいればみんなも笑ってくれる。みんなが笑ってくれると私も笑顔になる――。笑顔の魔法の本当の意義が、いちかには今度こそ正しくわかったのでした。
「大好き」ある限り、いちかはぴょんぴょん跳びはねるウサギのように、いつでも元気いっぱいです。
そしてそれは、響きあうものへと変わっていきます。
「だってわかるもん。あなたの思いも私たちと同じところからはじまってる。『大嫌い』の反対の『大好き』。その思いがあるなら、きっとあなたを笑顔にできる!」
いちかの元気がみんなを笑顔にして、みんなの笑顔がいちかを元気にする。お互いがお互いに影響しあう「大好き」の循環はやがて、お互いの気持ちすらも伝えあうようにもなっていったのです。
どんなさびしがり屋にも、どんな孤独な人にも、こちらから「大好き」を響かせたなら、いつかきっと返ってくる。わかってあげられる。元気にしてあげられる。そう信じられる。
長い道行きの果て、いちかははじまりの「大好き」を大きく成長させることができました。
「『大好き』があったからみんなと出会えた。それぞれ違う『大好き』があるからこそ未来に向かって歩いて行ける!」
これが、元気と笑顔の間をさまよったうさぎさんが自分を大好きになるまでのあしあと。
このあしあとは物語が終わってからも続いていきます。
うさぎさんの「大好き」のある方へ、ずっと。
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