キラキラプリキュアアラモード第49話感想 今、私たちに必要なものは。

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私、がんばる! スイーツで世界のみんなを笑顔にするために!

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(主観的)あらすじ

 あれから1年経ち、みんな自分の夢へと走りはじめました。今日はキラキラパティスリーでみんないっしょにスイーツをつくる最後の日です。
 そんな希望あふれる楽しい日なのに、いちかはひとり涙をこぼしてしまいます。いちかには世界へ羽ばたく夢ができました。けれど、いちご坂の町とキラキラパティスリーも大好きでした。誰かがここを守り続けなければいけません。なのに今ここに残っているのはいちかひとり。だから、いちかだけは夢に向かって走りはじめることができずにいたのでした。ままならない思いにいちかは心を引き裂かれます。
 時を同じくして、すっかり忘れ去られていた長老の肉体が悲しみのあまりに暴れだしました。ならばいちかが戦わなければなりません。
 ・・・いいえ。この町には、キラキラパティスリーには、ペコリンがいます。妖精たちがいます。たくさんのみんながここを守って、戦っています。「大好き」のために戦っているのはいちかだけではありません。いちかはひとりぼっちではないんです。
 いちかは走りはじめました。みんなの「大好き」に支えられて。「大好き」のために自分ができることを果たすために。ホイップ、ステップ、ジャンプ! いちかの元気でみんなを笑顔にするために!

 この世界はたくさんの「大好き」で満ちています。ひとりの心のなかにすらいくつもの「大好き」が踊っていて、そうなるとやっぱり「大好き」同士がぶつかってしまうことはあるんです。エリシオのいうとおり、「大好き」あるかぎり衝突の可能性は常に残りつづけます。
 それでも、私たちにはたくさんの「大好き」があるんです。プリキュアが描いてみせました。「大好き」がぶつかりあうのではなく、つながりあう、キラキラ輝かしい世界を。
 すべては「大好き」からはじまりました。「大好き」をもっともっと輝かせるために、さあ、あなたはこれから何をしますか?

 私は・・・とりあえず武田鉄矢にケンカでも売ろうかな! (衝突)
 今回は海援隊の『スタートライン』をBGMに感想文をお送りします。ケンカ売ってる私がいうのもナンですが、著作権的なアレの都合があるので、お手数ですが各自でご用意ください。

夜明け前の薄暗い道を誰かがもう走っている

 「うまく言えないんだけど・・・。みんなすっごく前進してる感じで、考えちゃうなって」
 「でも、ただ好きっていうか、ひまりんみたいに将来の夢とか意識したことないし・・・」

 あのときのお父さんとお母さんはそれでもいいと言ってくれました。
 あのときのいちかもそれでいいと納得していました。

 「あきらさんは本命の医学大に合格」
 「ひまりが行く高校は食品科学で有名」
 「あおいのバンドも人気上昇中」
 「ゆかりさんは留学先でもマイペースらしいし」
 「で、私たちはスイーツコンテストで連続優勝!」

 いちかの「大好き」はみんなを笑顔にすること。それはみんなと違ってどこでだって叶えられる願い。
 だからいちかは、自分だけの夢を見つけて走りだす仲間たちの背を見送りながら、自分はキラキラパティスリーに残ることを選びました。
 いちかはキラキラパティスリーも「大好き」です。みんなの大好きと出会えたここが大好きです。
 みんなを笑顔にする「大好き」とキラキラパティスリーという「大好き」は、幸いなことに両立することができました。
 「大丈夫だよ。私はここにいるよ。ずっと、ずうっと、一緒だよ」
 ここにはいちかの「大好き」の全部がありました。
 夢へと向かうみんなと違ってひとところに立ち止まっているように見えるけれど、ここにはちゃんと、いちかの目指すものがありました。

 「ペコリンのせいペコ。ペコリンがまだうまくできないから。だからいちかの、いちかの大好きなことができないペコ」
 「すまんジャバ」
 「気がつかなくてごめん」
 「自分のことばっかりで」

 だから、大丈夫なのに。
 毎日楽しいのに。
 いちかはちゃんと自分の「大好き」のためにがんばれているのに。

 どうしてみんな、そんな悲しそうな目をするの?

たったひとつの別れのためにまっすぐ涙を流す人がいる

 昨日の私と今日の私は別の存在です。

 「本当にバラバラの生きものがつながる世界をつくれるというなら・・・見てみたいものです」
 最後の戦いでいちかはエリシオと心を通わせました。
 キラキラプリキュアアラモードにおいて、いちかたちが成長するきっかけは、いつだって誰かの「大好き」に出会えたことでした。
 エリシオの「大好き」に触れたいちかは、昨日までとはちょっとだけ違っています。
 「キラパティの笑顔が世界に広がって、みんなをつなげられるかもって!」
 いちかの心に、新しい「大好き」が生まれました。

 ――そのせいでみんなが悲しむことになりました。

 「そうしたら、なんかじっとしていられなくなって」
 「私がいなくなったらキラパティがつづけられなくなっちゃう」

 衝突。
 いちかの新しい「大好き」は、キラキラパティスリーという別の「大好き」とぶつかってしまいました。

 「何かを得るためには何かを捨てなければならない」
 「才能のある者は最高のステージに立つべき」

 いつだったか、才能を愛する人がそう言っていました。
 いちかの抱いた新しい夢はキラキラパティスリーに留まっていては叶えられません。
 新しい夢を追いかけるならば新しい舞台に立たなければなりません。
 たとえそれがどれだけステキな夢であっても。
 何かを得るためには何かを捨てなければならないのです。

 「ダメです! いちかちゃんの『大好き』を諦めたら絶交です!」
 そんなこといわれても。
 だってどちらも「大好き」なのに。
 自分の「大好き」のせいで、別の「大好き」を諦めなくちゃいけなくなる。

 叶わない「大好き」を、私たちは何と呼んだでしょうか。
 「オレはスイーツなんて大嫌いなんだよ!」
 「許さない。楽しそうなヤツ! 幸せなヤツ! 愛されてるヤツ! みんな、みんな!」
 「その生意気な目。人間だったとき俺を追い出したやつらと同じ目だ!」
 「おのれルミエル! 私はまだ終わらんぞ。私は必ずや世界を闇に! なにがスイーツだ!」
 「互いの気持ちが強ければ強いほど、光と闇の争いは終わらないだろう。それではあまりに・・・哀れな」

 「大好き」の反対は「大嫌い」。
 願いが叶わない絶望が心の闇を生みました。

 お互いの気持ちが強ければ強いほど、戦いは永遠に終わりません。
 思いがぶつかるのはなにも人と人との間だけとは限りません。
 「ひとつふたつ重ねるたび色は濁っていくの。キラキラル」
 さあ、悲しい戦いをはじめましょう。
 いちかの心に闇を染み出し、「大好き」を「大嫌い」に裏返す戦いをはじめましょう。

今、私たちに必要なものは

 いいえ。
 それはプリキュアから最も遠い考え方です。
 ふたつの選択肢を前にしたとき、プリキュアは選びません。
 プリキュアなら両方をつかみます。

 宇佐美いちかはプリキュアです。
 だから涙を流しました。
 どちらかを選ばなければならないのにどちらも選べないから、いちかの胸は苦しみでいっぱいになって、あふれてしまいました。

 ひまりたちもプリキュアです。
 だからいちかの涙にそっと寄りそいました。
 選ばなければならないことを選ばなかったいちかを、優しく抱きしめました。

 それから。
 「どうしたペコリン。傍に行かんのか?」
 ここにはプリキュアが他にもいます。

 「守らなきゃ。いちご坂の町だって、誰かが守っていかなくちゃ。私が、この町を・・・」
 いいえ。
 「ここはホイップたちに任せるジャバ」
 いいえ。

 「大好き」をめぐる戦いは大いなる物量戦です。
 いちかや、たかだか6人ぽっちのプリキュアだけのものではありません。

 「キュアペコリン、できあがり! 行くペコ!」
 ペコリンはプリキュアです。
 妖精たちはプリキュアです。
 いちご坂の住人たちはプリキュアです。
 この1年、みんなみんな何度も戦いに参加してきました。いちかたちにキラキラルを届けて、みんなで一緒に闇と戦ってきました。

 世界中みんながプリキュアです。
 この世界はみんなの「大好き」を集めてつくられました。
 私たちはみんなそれぞれの「大好き」のために、みんなで力を合わせてみんなの「大好き」を守ってきました。
 私たちはプリキュアです。
 ならば私たちはプリキュアとして、選ばなければならないことを選ばなかったいちかを、応援してあげなければなりません。

 みんなと出会えたキラキラパティスリーという「大好き」。
 世界中みんなに笑顔を届けるという新しい「大好き」。
 いちかのふたつの「大好き」はどうしてぶつかってしまったんでしょうか。
 それはいちかの体がひとつしかないからです。
 それぞれ違う舞台でしか叶えられない「大好き」だったからです。
 なんだ。それなら簡単なことじゃないですか。
 「ここはキュアペコリンたちががんばるペコ。だからいちかは『大好き』を諦めなくてもいいペコ!」
 片方を私たちが受け持ってあげればいい。

 「大好き」をめぐる戦いはいつだって物量戦です。

闇に向かって走りだすためのスタートライン

 ひとりひとりみんな違う、バラバラの個性というものがあります。
 私たちはみんなそれぞれ違う「大好き」を持っていて、みんなそれぞれできることが違っています。
 「違うけれど、お揃い。『大好き』が一番のマストアイテム!」

 ひまりにしかできないことがあります。
 だからひまりはキラキラパティスリーを巣立って、研究者として新たな「大好き」を生みだしていきます。
 あおいにしかできないことがあります。
 だからあおいはキラキラパティスリーを巣立って、アーティストとしてファンたちの「大好き」を盛り上げていきます。
 ゆかりにしかできないことがあります。
 だからゆかりはキラキラパティスリーを巣立って、遠い海の向こうにゆかりらしい「大好き」を広めていきます。
 あきらにしかできないことがあります。
 だからあきらはキラキラパティスリーを巣立って、医療の現場でたくさんの「大好き」を守っていきます。
 シエルにしかできないことがあります。
 だからシエルはキラキラパティスリーを巣立って、はるかな夢へと姉弟の「大好き」を高めていきます。

 「何かを得るためには何かを捨てなければならない」
 別にそんなことはなかったけれど、
 「才能のある者は最高のステージに立つべき」
 こっちは本当。
 だって、みんなそれぞれできることが違うから。

 それぞれの新しい舞台は、おそらくキラキラパティスリーほど「大好き」で満ちあふれてはいないでしょう。
 そこには自分の「大好き」に素直になれずにいる人たちがたくさんいるかもしれません。
 そこには「大好き」同士がぶつかりあう痛ましい光景もたくさんあるかもしれません。
 そこにはもしかしたら、「大嫌い」に自分を見失った哀しい人たちもいるかもしれません。

 それでも、みんな居心地のいい場所から巣立つことを決めました。
 「大好き」のフロンティアを切り開く開拓者になるために。
 世界を隅から隅までそこらじゅうもらすことなく輝かせるために。

 辛いこともあるでしょう。苦しいこともあるでしょう。
 ですが、彼女たちはきっともう挫けません。
 「そういうときはね、いつも思いだすの。はじまりの気持ちを」
 「女の子はね、『大好き』から気持ちがはじまるの。だからときどき思いだすのよ。気持ちがはじまったそのときを。大切な思いのはじまりを。思いは女の子の輝く力になるの」

 はじまりは、いちご坂のキラキラパティスリーは、今もペコリンたちが守ってくれています。ペコリンたちと心でつながっている彼女たちは、だから、いつだってはじまりの気持ちを思い出すことができます。
 どんな暗い闇のなかでも「大好き」はそれぞれの胸のうちで輝きつづけることでしょう。

 いつか世界中みんなが「大嫌い」に裏返すことなくそれぞれの「大好き」を輝かせることができたなら、そのときはきっと、エリシオが危惧していたような衝突はすべて回避されることでしょう。
 いちかの心に生まれた衝突をペコリンたちが解消してあげられたように。

 いちかにしかできないことがあります。
 「こいつすぐ泣くからさあ」
 「イジワルするからだよ」

 だからいちかはキラキラパティスリーを巣立って、そして元気と笑顔で世界中の「大好き」をつないでいきます。
 「キラキラキラルン、キラキラル。さ、食べてみて。――ほら。ふたりともいい笑顔!」

 あなたの「大好き」は何ですか?
 その「大好き」は今も輝いていますか? 「大嫌い」の闇に負けず、自分にできることでみんなを照らしていますか?
 「大好き」をめぐる戦いは大いなる物量戦です。
 私たちはみんなプリキュア。
 みんなでみんなの「大好き」を守る、仲間です。

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