
ずっとあとまわしにしてきた大事なことをやろう。

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「魔女の一番大事なこと」
Lead Character:がんばったひと
魔女
Major Happening:大きなできごと
魔女は伝説のプリキュアとの決着をつけるという800年あとまわしにしてきた約束を思いだし、さらに約束の相手がすでに亡くなっていることを悟った。これにより“永遠のあとまわし”から解き放たれた魔女は本来の「破壊の魔女」としての本分を取り戻しかけるものの、まなつと伝説のプリキュアが約束の履行を迫ることで、決着をあとまわしにしつづけた裏の思い、人間の友達と仲よくしたいという魔女自身も自覚していなかった本心が暴かれた。
Sub Questions:小さなできごと
伝説のプリキュア
後に「伝説のプリキュア」と呼ばれることになる少女・アンネーゼは、プリキュアとして立つ前、一度破壊の魔女と出会っていた。魔女に友誼を感じていた彼女は、プリキュアとして戦うべき敵がその魔女であることを知って深く悲しむ。しかし世界を守るために争うしかなかった。
忠臣バトラーの個人的願望
バトラーは古くから破壊の魔女に仕える忠実な臣下だった。魔女が「あとまわしの魔女」と呼ばれるようになり、“永遠のあとまわし”を所望するようになってからも変わらず、真摯にその願いを叶えるべく奔走した。
ただし、彼が心酔していたのはあくまで「破壊の魔女」である。「あとまわしの魔女」の願いを叶えるべくバトラーが用意した愚者の棺は、同時に「破壊の魔女」の本分をも同時に達成できるものだった。魔女が消滅したあと、彼が遺志を継ぐことにした主人は必然、「破壊の魔女」のほう。
Battle Depiction:どんなバトルだったか
魔女は長年あとまわしにしてきた約束をなかったものとし、まるで「破壊の魔女」としての本分を取り戻したかのようにやる気に満ち、荒々しく暴れまわった。これに対し、プリキュアは“約束”というかたちで彼女に芽生えていたはずの優しい気持ちを思い出すよう訴え、説得した。
Like It Here:ここ好きポイント
伝説のプリキュアに名前を尋ねるまなつ
アンデルセンの『人魚姫』において、人魚姫は愛する王子様に思いを伝えることすら叶わず、人知れず海の泡となって消えた。そのあと人魚姫自身は風の精霊として転生するものの、地上には彼女の生きた爪痕がどこにも残らない。その物悲しさがこの童話の特徴だが、一方でキュアオアシスと魔女の物語はまなつの胸に長く刻まれることになるだろう。
あの様子だとバトラーの忠誠心に裏はないだろうとは思っていましたが、それが愚者の棺の意義にまでかかってくるというところまでは想像が及んでいませんでした。
どうして世界を滅ぼすのか?
“永遠のあとまわし”にのみ拘泥する魔女からしたらそれは比較的どうでもいい犠牲でしかありませんでしたが、バトラーにとっては逆にこちらこそが個人的な本懐。なぜならバトラーが心酔していたのは「破壊の魔女」だったわけですから。
すっかり腑抜けてしまった主人のかつての野望を、彼は今の主人の願いを叶える過程で達成しようとしていたんですね。「破壊の魔女」に忠誠を誓っていた自分の心にウソをつかず、それでいて「あとまわしの魔女」にも変わらぬ忠誠を示すには、この副次効果が物騒すぎる愚者の棺こそがむしろ都合がよかったんですね。
お見事です。
「ぐうう・・・。魔女様。どうして私を置いていってしまわれたのです。人間の少女などに惑わされて。――こうなったら、魔女様の遺志はこのバトラーが! この世界は私が破壊しましょう!」
彼は、魔女が泡となって消えるよりも前からずっと、彼女の遺志を継ぐつもりで努力しつづけていたんですね。
アウネーテと人魚
「私はアウネーテ。あなたは? ・・・答えたくないならいいよ。あなたはどこから来たの?」
「――海。海の世界から」
「へえ! 海のなかにも私たちの知らない世界があるんだ! ねえ、聞かせて。あなたの国のことを。あなたの友達のことを」
アウネーテというのは、デンマークの民謡に伝わる、とある主人公の名前です。
『アウネーテと人魚』。その物語は、あのアンデルセンが著した『人魚姫』の原形にもなりました。
少女アウネーテは海岸で、上半身が男性で下半身が魚の人魚に誘惑され、恋に落ちました。アウネーテはこの人魚に娶られて海底の世界へ移り、彼との間に7人の子どもをもうけ、8年間を幸せに暮らしていました。
しかしそんなある日、不意に海底まで教会の鐘の音が聞こえてきました。アウネーテは自分が信心深い人間だったことを思いだします。たちまち地上に戻りたい気持ちでいっぱいになり、夫といくつかの約束を交わしたうえで一度里帰りすることにしました。
ところが、地上に戻ったアウネーテは、不本意にとはいえ人魚との約束を全て破ってしまうのです。人魚の夫が提示した約束は全て、実はキリスト教的な道徳に真っ向から対立するものだったからでした。
やがて人魚が地上までアウネーテを迎えにやって来ました。「早く帰って来てほしい。子どもたちも母親の帰りを待ち焦がれている」と。
すると、教会の聖像たちがまるで地上を守るかのように揃って彼に背を向けるのでした。
アウネーテは神への信仰と人魚の魅惑との間で板挟みとなりますが、結局最後には地上に残ることを選ぶのでした。
キリスト教的価値観がキツく、『人魚姫』に比べるとだいぶ共感しにくい物語になっていますね。人魚も主人公の信仰心を惑わす明確な悪役として描かれています。
名前を聞けなかった。花を贈った。きちんとしたお別れもできずに会えなくなってしまった。やがてプリキュアにまつわる不思議な運命で再会することになった。
キュアオアシス/アウネーテと魔女の出会いは、まなつとローラの出会いと符合する部分が少なくありません。
けれど、これこそが魔女とローラの根本的に異なるところ。
「お前がプリキュア!?」
「あなたが破壊の魔女? どうして!?」
「私は破壊の魔女。この世界を破壊するために生まれた」
「お願い、やめて!」
「その願いは聞けぬ」
「・・・だったら、悲しいけど私はあなたを倒すしかない!」
「破壊の魔女」は、人間の敵でした。
アウネーテが破壊の魔女に贈った花、アネモネ。この花は赤く美しい花である割に、とても不吉な謂れを持っています。
アネモネの花言葉は「見捨てられた」「恋の苦しみ」。神話の時代、アネモネは花の女神・フローラに仕える侍女でした。なのにその夫である春風の神・ゼピュロスに見初められてしまいます。ほどなくしてこの不倫は女主人の知るところに。そしてアネモネは、夫婦関係を保とうと望むゼピュロスの手によって、物言わぬ野の花へと姿を変えられてしまうのです。
「友達・・・?」
「一緒に遊んだり、ご飯を食べたり、たまにちょっとケンカしたり。そんな友達。あ、私たちももう友達だよね! へへっ。――あ、そうだ。これ。アネモネっていう花よ。キレイでしょ」
わたしが不思議
「私は破壊の魔女。この世界を破壊するために生まれてきた・・・」
彼女はそういうシステムとして生まれました。
人が他の命を殺して食べるように、山が噴火して辺りを焼き尽くすように、ただ、そうするために生まれてきた存在でした。
彼女がそうしようとすることに疑問を持つ必要はありません。彼女を止めるためにその思いを理解する必要はありません。
彼女はただ、そこに生まれただけで、世界の敵でした。
友達になろうだなんてそもそも間違いだったのでしょう。
友達になれるだなんてそもそも勘違いだったのでしょう。
魔女は平然と、アウネーテの住む街にまで破壊の手を伸ばしてきました。
けれど、「破壊の魔女」だった彼女の物語はそこでおしまい。
「・・・決着は明日にしよう」
ハタから見ていて気まぐれにしか思えない唐突な心変わりが、100年、200年、拍子抜けするくらい彼女の活動を沈静化させました。
「魔女様。『明日』になりました。プリキュアとの決着を」
「明日にするわ」
「魔女様。今日こそは――」
「いや。明日にしよう」
「魔女様」
「明日にしよう」
かつて、魔女は破壊しか知りませんでした。かつて、魔女には破壊しかできませんでした。
魔女とは生まれつきそういうシステムでした。
だから、魔女が「破壊したくない」だなんて思うはずがありませんでした。
だから、明日。
明日になればきっと、この妙な気まぐれは収まって、また私は破壊したい気分になる。
なのに、そんな明日はついぞ訪れることがありませんでした。不思議なことに。
今、一番大事なことをしよう!
プリキュアがことあるごとにそういうお題目を口にしますが、大事なことくらい当時の魔女にもありました。
世界を破壊すること。それが「破壊の魔女」として生まれた自分の本分。
ただ、なんとなく今日はそういう気が起きなかっただけで。
「そう! いつだって今が大事だよ! だから、私は大人になったら――、大人になったそのときの私が一番なりたいものになる!」(第34話)
プリキュアに言わせたら、あとまわしにしている時点で“一番大事なこと”じゃないはずなんですけどね。
「何が楽しいか、そのとき何が大事かって、人それぞれだから書類には書けません。生徒会長にもきっとあるはずです。今、一番大事って思うことが。胸の奥からこう、ぶわーって湧きあがってくる、真夏のキラキラした太陽みたいな気持ち!」(第6話)
今、一番大事なことだから、今やるんです。
今、一番大事なことだから、今すぐやりたくなるんです。
まなつがいつも言っている“一番大事なこと”は、そのくらい強烈に、そして自然と、心に作用するものです。
もし、何を差し置いてでもやりたいことがあるのなら、それこそがあなたにとっての“一番大事なこと”。
いつの間にか、魔女のなかに世界を破壊することよりももっと大事なことが生まれていたんですね。
「破壊の魔女」は「あとまわしの魔女」と呼ばれるようになりました。
「これはそんなお話。それが私たちの物語。最初はバラバラだった5人が出会って、仲よくなって、それぞれの大切なものを見つけるってお話」(第41話)
出会わなければ、と出会ったから思う
「ずっとあとまわしにしてきた大事なことをやろう」
とても残酷な言葉。
どうしてあとまわしにしてきたかといえば、とある何かをどうしてもやりたくなかったから。
どうしてそのあとまわしが“世界を破壊すること”よりも優先されてきたかといえば、あとまわしこそが魔女にとって一番大事なことだったから。
まなつはひどいことを言っています。
重たくて、冷たくて、今さらどうしようもなくて。自分の不甲斐なさと嫌が応なく向きあわされて、そのくせろくな救いはもたらされない。そんなことがわかりきっている。魔女もわかっているからあえて避けてきた。記憶が薄れるほどずっとずっとあとまわしにしてきたことを、この子は今、あえて突きつけています。
今でなければならない理由はありません。むしろとっくに時機を逸しています。今後どんな瞬間であってもタイミングは常に最悪でしょう。だからこそ永遠のあとまわしを望んでいたのに。
それでも、今。
「これからは後悔しないようにな。そのとき感じた、一番大事なことをやるんだ」(第37話)
「今なりたいものがあってもなくても、未来には無限の可能性があるってことだ」(第34話)
最悪だろうとなんだろうと、一番大事なことは“今”やるべきです。
だって、“今”の向こうには次の“今”が待っているから。
「あなたが本当にあとまわしにしてきたことは、破壊じゃなくて、仲よしになること! 人間の女の子と仲よしになること!! それが、あなたがずっとあとまわしにしてきた、勇気がなくてできなかったこと!」
きっと最善のタイミングは今じゃありません。
だけど、やるなら今が一番です。
今、一番大事なことをしよう!
「思いだした。あいつはもうこの世にいない! ならば、私のやるべきことはひとつ! 破壊だ!!」
このまま忘れ去るという選択もありでしょう。今さら履行を求めてくる誰かがいるわけでもなし。
約束そのものをなかったことにしてしまえば、踏み倒してしまえば、しれっと昔の自分に巻き戻ることだってできるはず。
「そうだ。お前たちじゃない。あいつはもういない! いない! いない!」
「そうよ! あなたの大切な人はもういない! でも、その人を思う心があれば!」
「心などない! 私には必要ない!」
「そんなことない! あなたは心を持っている! 優しい心を!」
「あなたはもう『破壊の魔女』なんかじゃない!」
「私は『破壊の魔女』だ!」
「あんたは伝説のプリキュアとの対決をずっとあとまわしにしてきた。彼女のことを大切に思ってたんだ!」
「そのときの気持ちを思いだして!」
約束相手が大昔に亡くなっていたことを思いだし、絶望し、もはやあとまわしにしていた約束そのものをなかったことにしようとする魔女に対して、まなつたちはそんなの不可能だと指摘します。
あなたは昔、『破壊の魔女』だったかもしれない。
でも今はそうじゃない。『あとまわしの魔女』よ。
あとまわしをやめたところで、今さら『破壊の魔女』には戻れない。
だって、あなたは変わったのだから。
これはそんな物語。出会って、仲よくなって、それぞれの大切なものを見つけた物語。
まなつも、ローラも、さんごも、みのりも、あすかも、そうやって変わってきました。
だったら魔女だって同じはず。魔女にも、まなつたちと同じようにステキな出会いがあったのだから。
過去と現在と未来は連続しています。
過去を積み重ねた先に現在があって、現在の延長線上に未来があります。
“今”を生きている時点で“昔”を無かったことにはできません。
その前提を踏まえたうえで願います。
今、一番大事なことをしよう!
どうか、誰もが後悔しないで生きられますように。
過去を嘆くために“今”を浪費するのではなく、これから幸せになるために“今”を使っていけますように。
過去を忘れることは許しません。
それは今のあなたをつくった大切なものです。
過去に縛られることも許しません。
それは今のあなたを停滞させるものです。
「それが、あなたがずっとあとまわしにしてきた、勇気がなくてできなかったこと!」
まなつは今、とても残酷なことを言っています。
取り返しのつかない大きな絶望を、それでも今、この瞬間、飲み下せと。
これからの魔女がトロピカれるように。
「どう?勇気が湧いてこない? 『トロピカるぞー!』って感じで!」
「『トロピカる』って何?」
「『トロピカるぞー!』っていうのはね、常夏の太陽みたいにキラキラ眩しい幸せな気持ちが、胸の奥からこう、ぶわーっ!って湧きあがってくるような感じ!」(第1話)
アネモネの花にはもうひとつ有名な神話があります。
あるとき、ひょんなことからキューピッドの矢を胸に受けてしまった美の女神・アフロデューテは、地上に暮らす美しい青年・アドニスに一目惚れしました。アフロデューテは毎日飽きることなくアドニスの姿を眺めていたのですが、そんなある日、アドニスが狩りの最中の事故で命を落としてしまいます。アフロデューテは失意の涙をこぼします。そして、その涙はアドニスから流れた血と交わって、赤く美しいアネモネの花となりました。
だからアネモネの花言葉は、「儚い恋」「あなたを愛する」。悲しい謂れであることには変わりありませんが、こちらに裏切りの意味はありません。もし魔女があの出会いを前向きに受け止めたいと望むなら、こちらの花言葉のほうがずっとふさわしいでしょう。
「――やっと会えた」
「私は。私も――、会いたかった」
「さあ。あなたの今一番大事なことを」
「私は・・・、お前と友達に――」
「うん――」
アウネーテと人魚の道徳的に誤っていたとされる悲恋の物語は、時代を経て、立場を反転させて、人魚姫が王子様への愛を守ったまま消えていく気高い物語へと書き換えられていきます。
コメント
今日のトロピカル~ジュプリキュアは後まわしの魔女から破壊の魔女に本性をアラワすも、プリキュアが巧く導いた話でした
しかしトロピカル~ジュプリキュアの最終決戦におけるラスボスはバトラーですね
チョンギーレ達のやる気パワーを抜き取ると、プリキュアが「仲間を」と言ってますけど、裏切り者といった方が的確でした!!
で、プリキュアが「(前略)いるのよ」というセリフにはシックリ着ましたね!!☆☆♬
2016年の秋の広島大会の3位決定戦の高校野球観戦記にて、キントレスキーが召喚したウザイナーと戦うキュアベースボールギャンブラー達は、ウザイナーがミサイルを吐き出すと、一旦止まって軌道修正すると、私の車を中心源に一直線になってしまいます(冷や汗)
これを見てキュアアイドルギャンブラーが「あのミサイル。私達を第1ターゲットに見せかけて本当は○○=亀ちゃんの下の名前。の足である乗用車を狙っていたのよ」と口にします
これがきっかけかテレビ東京系にて5時55分から6時にかけてのタイミングで始まるテレビ東京系のアニメと同時上映のたまごっちの映画の中で、乙女たまごっちが「狙っているのよ」と過去形を現在進行形に置き換えたモジったセリフを口にします
そしてプリキュアでも(前略)いたのよと口にするあまり、初めてプリキュア的に感慨深くなりました!!☆☆♬
さらに少女に人気のアニメ的にも感慨深いですね!!☆☆♬
>で、最近良くあるちょっとした雑談は
ロッテリアの鹿肉バーガーは鹿肉のパティ―がシックリ着ましたね!!☆☆♬
だからセンター長には後日話し込みます
ロッテリアは2,3年食べに行っていない気がしていましたが、実際には1,2年ぶりだったことも確認しました!!
そもそもバトラーは裏切り者じゃないんですよ。彼はあくまで徹頭徹尾魔女のために働いているわけですから。これまではチョンギーレたちにも働いてもらわないと困るのでやる気パワーを抜き取りませんでしたが、計画が仕上げの段階になったら実際ああいうのもアリだと思います。どうせ愚者の棺が発動したら不老不死になる1人を除いてみんな死ぬわけですし。自分以外の従者にも最後まで主人のために尽くせる機会をつくってあげたバトラーは親切だと思いますよ。論理的に考えて(?)。
どう考えてもキュアオアシスにお迎えが来たのを悟ったショックで記憶を封じたか、普通に時間経過で忘れたか、後回しにすることを宣言するうちに言霊として魔女様本人に跳ね返ったか、あるいは記憶消す装置が関わってるのか。
いずれにせよどうにか思い出せて、もっと良いことにきちんと思い残したことを果たせて何よりでした。
で、遺されたバトラーがやっぱり心配です。
そもそも世界滅亡自体たまったもんじゃありませんけど……
それしか知らないし愛せない精神状態の、他者を深く愛する心があるはずの彼を助けられないなんて、少なくとも私は嫌です。
キュアオアシスが亡くなったとき、まだ約束を覚えていたのか、すでに忘れてしまっていたのか気になるところですね。まあ、引きこもっていたわけですからそもそも彼女が亡くなったことすらウン十年知らずに暮らしたかもですけど。
バトラーについては私も注目しているところです。心酔していた魔女に置いていかれ、これで彼にも“忘れてしまいたい記憶”ができました。彼を救おうとするならば、必然的にローラの記憶の問題にも答えを出すことにもなるでしょう。
逆をいえばローラやまなつにとっても他人事ではないはずなので、きっと救ってくれるんじゃないかと期待しています。
キュアサマーに名前を訊かれた伝説のプリキュアは何故、「アウネーテ」ではなく「キュアオアシス」と答えたのか?
たぶん、人間の少女アウネーテは既に亡くなり、此処にいるのは“亡霊”キュアオアシスに過ぎない……と言いたかったんでしょうね。
さらに言えば――――破壊の魔女に手を差しのべた心優しき少女アウネーテは、彼女が魔女と戦うことを決意し「(破壊の魔女と同様の)破壊することしか知らない“兵器”」キュアオアシスへと変身(変貌)した時点でもう“死んでいた”――――と伝えたかったのかもしれません。
もしアウネーテに、桃園ラブや野乃はなのような「“敵”の心の中にひそむ深意に迫る」勇気や「闇の中に沈む敵を光の中に引っ張り出す為に一歩踏み出す」勇気があったなら、破壊の魔女は「あとまわしの魔女」になどならず、東せつなやルールー·アムールになれたかもしれず……この“勇気”を出せなかった悔恨から亡霊に成り果てたキュアオアシスが、もっぱら夏海まなつにメッセージを送り続けていたのは、オアシスがまなつの「相手の心の中に踏み込む」“勇気”を買っていたからなんでしょうね。(さんご、みのり、あすかだとこの種の“勇気”にやや欠けているところがあるし、ローラだと“次期女王”という立場から自由になりきれないところがあるし……ああ、だからローラの“上司”であるメルジーヌ女王にはアクセスしたのか)
さて……
「バトラー、もう終わったんだあとまわしは。終わったんだ!」
「何も終わっちゃいねえ!!何も!百合成仏だけじゃ終わらねえんだよ!」
……とばかりに、破壊の途を突き進む深海のジョン・ランボー(CV:渡辺謙)、バトラー君。
ふと気になったんですが、チョンギーレやヌメリー、エルダはバトラーのことをどう思っているんでしょうね?もし、彼らがバトラーのことを“仲間”とか“家族”のように思っているなら……バトラーを救える余地もありそうななさそうな、はてさて。
魔女はまさにそこを“あとまわし”にしてしまいました。
本人は自分があとまわしにした理由を深く考えておらず、従って自分がアウネーテとの心の距離に一歩踏み込もうとしていた自覚すらありませんでした。しかしまなつが指摘していたとおり、そのときの彼女に欠けていたのはただ一歩を踏み込むための勇気で、望みは仲良しになることだったはず。
引きこもってしまったのもよくありませんでした。近年のプリキュアはそういった相手すらも取り漏らさない方策を模索してはいますが、基本的には自分がまず救いを求めて手を差し出さなければ誰にも手を引いてもらえないものですから。
アウネーテはずっと待っていたのでしょう。魔女がほんの一握りの勇気を出してくれることを。手を差し出してくれることを。
逆を言えばアウネーテは亡霊になるなんていう掟破りをしてすらそこまでが限界ということであり、救う側から引きこもりに働きかけることができたまなつはすでに伝説のプリキュアを越えたともいえます。