ひそねとまそたん 第4話感想 それでも彼は飛んでいた。

絶対なってみせる。私が。ファーストペンギンに!

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(主観的)あらすじ

 日本各地の基地からDパイとOTFが集合することになりました。合同訓練です。ところが彼女たちときたらどいつもこいつも個性派揃い。当然足並みもちっとも揃いません。ひそねも負けじとがんばります! 岐阜の顔として! まそたんのっけから大暴走! 個性派!!
 一夜明け、OTFだけで編隊を組んでの初の模擬戦が行われましたが、これももちろんうまくいくはずがありません。女性初の戦闘機乗りを目指す意識高い系Dパイ・星野が独断専行したあげく、無茶をしてOTFを暴走させてしまうのでした。訓練後、Dパイたちはそれぞれの不満と我の強さとをぶちまけあい、溝はますます深まるばかり。最悪だー。
 ところが軍としてはむしろこの結果こそが本意だったようで・・・?

 揃いも揃ってコミュ障ばかりを選ぶとは、OTFはどんだけ独占欲が強いのでしょうか。そういえば浮気しそうかどうか(交友関係が“狭い”かどうか)を結婚相手選びの条件として重視する人って意外と多いらしいですね。いや、言われてみれば当然っちゃ当然なのかもしれないけれども。えー。
 いや、マジな話。4人の共通点って何だろうかと考えると、“コミュ障”“友達少なそう”“マイペース”“我が強い”とか、そのあたりかなあと。異類婚姻するならコミュニティへのしがらみが少ない方が都合がいいでしょうし、「富み栄えさせる(何らかの願いを叶える)」という機能を果たすには望みを曲げない頑固な人物が似合いですし。

 なんにせよ、この4人に比べたら名緒のなんと真人間っぽいことか!

彼女たちの個性

 「整備班が通常業務を離れてまで付いてきてる。今回の合同訓練がどれだけ重要視されているか、あれを見ればわかるよね」
 星野絵留は個性的な人物です。
 なんといっても降機のムダなスタイリッシュぶり! あれ機体前方の空きスペースが余分に必要で、非合理的にもほどがあると思うんだ。偽装解除を拒否しているせいで口を大きく開けられないのはわかるけれども。
 キャラクターとしては典型的な意識高い系。実行力はあるので意識高い“系”というより純粋に意識高いというべきか。高い理想を抱き、目標に向かってストイックな努力を貫ける人物のようです。
 問題はその高い理想を当然のように周囲に押しつけるところですね。キレイゴトなので一見正論のように思えますが、現在の能力や状況、モチベーションなどを一切考慮に入れていないため、実態は実現性を度外視しすぎで正論でもなんでもありません。群れを先導して最初に海に飛び込むペンギンのことを、その勇気を称えて“ファーストペンギン”といいますが、果たしてアザラシの口の中に飛び込む者を勇者と呼んでいいものか。
 今話では主に独断専行のせいで悪目立ちしていましたが、自分から積極的に同僚を飲みに誘っていた(単に最先任だからという事情もあるけど)ように、決して仲間との連携を軽視しているわけではないんです。自分以外の意見を聞く気がないので結果として言いっぱなしになってしまうだけで。

 「わあ。くんくん、ぱっくん、ごっくん。うん。岐阜の空気もおいしいね、フトモモ」
 日登美真弓は個性的な人物です。
 温和でいつも笑顔で、ゆるーい空気を纏わせていて、おまけに動物に対して愛情深い。一見すんなり仲よくなれそうな人物ですが、その口からはナチュラルに電波な言葉ばかりが飛び出します。「太もももりもりの、モーリス」
 要は自分の思っていることを相手に理解してもらおうという気がまるで無いんですね、この人。よくよくセリフを咀嚼してみるとどういう思考経過からそういう結論に至ったのかはなんとなくわかるのですが、その噛み砕く手間を自分では一切負担してくれません。まあこのブログみたいな語りスタイルですよね。
 どうやら他人との間に波風を立てることは好まないらしく、衝突しそうなことを言うときはとたんに小声になります。だからといって黙るという選択肢は無い。相手に理解させる気は無くても、まして説得する気も無くても、自分が主張しているという事実だけははっきりさせておきたい派なんでしょう。口から出るものことごとくが自己満足。いっそそこがチャームポイント。

 「星野さんへの一言、私が言われたらとてもじゃないけど生きていけないレベルです」
 絹番莉々子は個性的な人物です。
 視線恐怖症とのことで、いつもテンションが低くてネガティブ思考。ですがその分一歩引いた視点からものを考えられるのか、言っていることは意外と冷静で的確だったりします。ネガティブ+的確のコンボで発言の大半がナイフのような切れ味になっているのはご愛敬。
 そこらへんはまあ、私の低い閾値からするとまだまだ真人間の範疇なのですが、この人の最も厄介なところは一対一でしか会話しようとしないところですね。全体に向けて話すのは自己紹介とか情報解析とかの言いっぱなしで済む内容だけ。他のふたり(+ひそね)は周りの言うことを聞く気がありませんが、この人に至っては自分も言う気がない。
 で、一対一の会話なら自分が頭の回る人間なので反論を許さず完封できるわけですよ。厄介な人です。自分の土俵の上でしか戦ってくれません。Dパイのなかからひとり友達になりたい人を選べといわれたらこの人が比較的安全かなと思うのですが、一方で一番ケンカしたくないのも間違いなくこの人。(そもそも安全な友達って何だ)

彼女たちの条件

 「私は絶対に負けないんだ。他のDパイにも。他のパイロットにも。そして絶対なってみせる。私が。ファーストペンギンに!」

 他のDパイたちがどういう経緯でDパイになったのかはまだ語られていません。だからとりあえずはひそねの場合をベースにして考えてみましょう。
 ひそねは「自分にしかできない何か」を求めて航空自衛隊に入隊しました。そこでまそたんと出会い、まそたんに選ばれたわけですが・・・ふたりがパートナーとして一定の信頼関係を築くまで、アニメ3話分の過程を要しました。
 OTFとDパイにはそれぞれ自由意志があるからです。OTFが望まなければDパイは搭乗することができず、Dパイが搭乗を拒否すればOTFは飛ぶことができません。OTFが空を飛ぶとき、少なくともOTFとDパイはそれぞれに何らかの目的を持っているわけです。

 星野はどうしてDパイに選ばれたのでしょうか。OTFをモノ扱いするような、理解のない人間なのに。どうしてその“モノ”扱いされている当のOTFは、今も彼女をパートナーとして受け入れているのでしょうか。どうして待機中もF形態を維持しろだなんて指示に粛々と従っているのでしょうか。
 まそたんは飛ぶことを拒否したことがありました。ひそねがDパイの役目を名緒に譲ってあげたいと言ったときのことです。それから、航空祭のため基地が大勢の人間で賑わっていたときのことです。Dパイが不適格でも、OTF自身が飛びたくなくても、彼らは自分の意志でDパイを拒絶することができます。
 星野のOTFが何を考えているのか、具体的なことはわかりません。ですが、少なくとも彼は自ら望んで星野を選び、自ら望んで指示に従い、自ら望んで彼女と一緒に空を飛んでいます。
 つまり彼は叶えてあげてもいいと思っているわけですよ。星野の望みを。女性初の戦闘機乗りになる、“ファーストペンギン”になるという彼女の夢を。ああいう扱いを受けていてなお、彼は自分のパートナーを気に入っているわけですよ。それが惚れた弱みなのか、もっと別の理由によるものなのかはわからないけれども。

 「イヤです! なんとかします! イヤだ。イヤだ。こんなところで! イヤだー!!」
 彼はできうる限り星野の望みを叶えようとしました。星野と気持ちを同じくして、彼女と共に空の上で咆哮しました。
 ・・・本当に星野は間違っていたのでしょうか?
 もちろん、事実として訓練には失敗していますし、飛行隊としてあの態度は致命的な問題ですし、OTFをかわいがっている人間にしたら憎たらしいでしょうが。それでも。
 彼女はDパイとして不適格な人物だったでしょうか?

 その答えは彼女のOTFかーー
 「最高ですね。実にベターな展開といえるでしょう」
 あるいは、飯干事務次官が知っています。

 といったところで、次回もどうやらDパイ4人の掘り下げ。なんか無人島で共同生活をするっぽい?
 今話は全体的に彼女たちのイヤなところばかり目につく感じでしたが、次回はもっと彼女たちの良いところを見ることができるのでしょうか。

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