ひそねとまそたん 考察 間租譚とは何者か?

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 かわいいかわいいまそたんは、正確には間租譚と表記するようです。
 第2話、ひそねがまそたんの体内にそんなふうに書かれたレリーフを見つけました。見慣れない字体ですが、まず「間租譚」で間違いないでしょう。
 ちなみに曽々田団司令によると、どうやらこれはまそたんの真名だそうです。

 「間」・「租」・「譚」。
 すべての言葉には意味があります。たとえ固有名詞であったとしても。いやさ、個体に与えられた名前であればこそなおさら、そこには名付け親が愛しさめいっぱいに込めた大切な願いがあるものです。
 では、この3字はいったい何を意味する言葉なのでしょうか。
 そこには変態飛翔生体という存在のルーツ、人間との関係性、その他、なんだか想像もつかない何かが隠れているに違いありません。暴けるかどうかは知らない。

 ・・・という切り口の考察に見せかけて、実はただそれにかこつけて日本語で遊んでみようというのがこの記事の本当の趣旨だったり。
 説得力度外視で好き勝手書いていくので、あなたも好き勝手に真に受けるなり鼻で笑うなりしたらいいんじゃないかな。

 「間」という文字は、古くは「閒(もんがまえに月)」と表記されていました。
 門のなかに月。つまり、閉じた門扉と門扉の隙間から月の光が漏れ覗く様子を表した言葉です。
 そこから、ふたつのものの“中間”を意味する言葉になったわけですね。

 どんなにぴったりくっついているように見えるもの同士であっても、その間にはわずかな隙間がある。あるいはふたつのものをくっつけている仲介者が存在する。
 ある場所にモノがふたつあったなら、そこにはモノとモノだけではなく、さらにふたつの「間」というモノもまた必ず存在するのです。

 「租」とは、ざっくりいうと「税」のことです。もちろん字が違うということは、つまり厳密にはそれぞれ微妙にニュアンスが違うわけですが。

 「租」と「税」に共通する「禾(のぎへん)」は稲穂をかたどった象形文字です。どことなく、たわわに実った穂が頭を垂れているように見えませんか? 昔は米や麦などの穀物を税(年貢)として納めていたので、税に関連する漢字にはだいたい禾が含まれています。
 「租」のつくりである「且」は、台の上にたくさんの捧げ物を積んだ様子をかたどった象形文字です。もともとは祭事のときの神様への供物を意味する言葉だったのですが、まあ、捧げ物を用意する側としては贈り先が神様だろうと為政者だろうと大した差はありませんからね。神様への供物と為政者への納税は似たようなものとして同じ字を当てられたわけです。
 ちなみに「税」のつくりである「兌」の方は“抜け落ちる”というニュアンスを持っています。要するに、せっかく収穫した作物の一部を持って行かれちゃう=納税ってことですね。

 というわけで、「租」とは税のことではあるのですが、その厳密な意味合いは“誰かに捧げるために用意したもの”であり、「税」という字とは微妙にニュアンスが違うわけです。
 『ひそねとまそたん』はどう考えても納税ウンヌンの物語には見えませんから、おそらくはその“捧げる”というニュアンスが重要になってくるものと思われます。

 「冒険譚」などの用例があるように、「譚」とはつまり物語のことです。
 「言(ごんべん)」はいうまでもなく言葉に関係する字に付く部首です。
 そしてつくりの「覃」はさらにふたつの字がくっついた構造になっていまして、――本来の字形から変形甚だしくて説明がメンドクサイのですが――、“塩辛い”という意味の言葉と“奥深い”という意味の言葉が合わさってできた字です。つまり“塩味がちょうどいい”、さらに転じて“味わい深い”という意味を持つことになりました。
 「言」と「覃」を合わせると、“言葉”が“味わい深い”、つまり聞く人を楽しませる“物語”という意味になるわけですね。

 さて、まそたんにとっての物語る人とは誰かと考えたなら・・・。

というわけで

 「間」「租」「譚」、3つの字の意味を、多少(?)の意訳を交えつつ解釈してみるなら。

 間租譚とは、巫女が何者かのために捧げる物語を仲介する存在、ってな具合になるんじゃないかなーと。捧げる対象とか目的とかがわからなければ結局何の意味もない解釈なんですが。

 ひそねは放言癖を自重できない困った子です。
 それは裏を返せば、思ったことすべてを言葉にして語ることができる人物として見ることもできるわけですよ。何のしがらみにも囚われず、躊躇せず、好き勝手思うさま自分の語りたいことばかりを次々に繰り出す存在。

 その例に倣うなら、星野は意識高い系らしく周囲に自分の考えを押しつけてまわるし、日登美もおっとりに見えて言うべきことは頑として曲げずに言う人物だし、絹番は口数少ないくせにいざ口を開けばナイフのような言葉を繰り出してかかるわけですよ。どいつもこいつも好き勝手に。
 こいつらに比べたら名緒のなんと自重を利かせていることか!

 こんな連中を「(白い)恋人」に選ぶまそたんたちって何なの? ドMなの? 
 ――などと、こないだの感想文と重複することを書きつつ、投げっぱなしで唐突にこの記事を終えます。

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    コメント

    1. Umeronn より:

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      非常に面白い考察でした。今後どんなことが明らかになっていくのか楽しみですね。

    2. 疲ぃ より:

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      コメントありがとうございます。今後の物語も楽しみですね。

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