プリキュアはなぜ変身するのか? 『スマイルプリキュア!』の場合。

キラキラ輝く未来の光! キュアハッピー!
太陽サンサン、熱血パワー! キュアサニー!
ピカピカピカリンじゃんけんぽん! キュアピース!
勇気りんりん、直球勝負! キュアマーチ!
しんしんと降り積もる清き心! キュアビューティー!

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※ このブログは基本的にネタバレに配慮しません。

 『スマイルプリキュア!』は、語ろうとするとちょっと難しい作品だと思っています。
 本作は震災アニメとしての性格を持った作品でした。本作の放送前年に東日本大震災がありました。未だ爪痕癒えずにいる被災地の子どもたちのため、本作は明るく楽しい、見ていて笑顔になれるエピソードを中心に展開していきました。

 ・・・その割に、プリキュアが絶望してうちひしがれる描写の多さもシリーズ随一なんですよね。
 本作のプリキュアは弱さを強調して描かれます。すぐやられるし、すぐ泣くし、序盤なんて浄化技を1回使うとまともに動けなくなる弱点まで設定されていました。そのくせ彼女たちときたら考えなしにポンポン浄化技を使おうとするアホの子でもあり。そんなわけで、しょっちゅうピンチになっていました。
 というのも、本作は“絶対に諦めない気持ち”を主要テーマのひとつとして置いていたためです。プリキュアシリーズ全体としてもお馴染みのテーマですね。
 生きていれば辛いこともあります。苦しいことも、悲しいこともいっぱいあります。けれど、たとえどんなことがあったってプリキュアなら諦めないんです。どんなにボロボロになっても立ち上がって、最後にはにっこり笑うんです。この作品はプリキュアのそういう姿を描きつづけたんです。
 このあたりもやっぱり震災アニメなんですよね。例年のような独自テーマを展開するのは控えめにして、傷ついた子どもたちのために範を示すことに徹していました。

 子どもたちの憧れの存在、という意味では『スマイルプリキュア!』ほどヒーローらしいプリキュアを私は知りません。

星空みゆき / キュアハッピー

「諦めないよ! 私、がんばるって決めたことは最後までやるんだもん! それが私の、それが私の・・・、ハッピーなんだから!」(第1話)

 みゆきはドジで夢見がちな女の子でした。大事な転校初日の自己紹介でカチコチに緊張してしまいますが、あかねをはじめとしたクラスメイトたちの優しいフォローに助けられて、最後にはちゃんとウルトラハッピーな自分らしさをアピールすることができました。
 放課後、不思議な巡り合わせによって妖精・キャンディに出会った彼女は、キャンディを追ってきた敵の幹部が「がんばってもムダ」と嘲る瞬間に立ち会います。相手はとても恐ろしい姿をしていましたが、その言葉にみゆきは黙っていられませんでした。
 がんばれば最後にはハッピーになれることを証明するため、みゆきはプリキュアに変身します。

 前述のとおり、『スマイルプリキュア!』は情けない姿を見せがちな印象とはウラハラ、非常にヒーローらしいヒーローです。子どもたちの規範としては意外にも最初から完成しています。
 1年間で成長は描かれるものの、理想は初めからちゃんと体現できている子たちなんですよね。足りていないのはそれを実現する力だけ。

火野あかね / キュアサニー

「星空さんはウチを励まして応援してくれたんや! 次はウチが助ける番や! ――弱っちいやと!? ウチの大切なもんバカにするんは絶対に許さへんで!!」(第2話)

 あかねにはバレー部という真剣に打ち込んでいるものがありました。部内にはもっとうまい子がいて、なかなかエースになれずに悔しい思いもしていたけれど。でもそんな彼女を励まして、みゆきが練習を手伝ってくれました。
 なのに、部活中に現れた敵の幹部はそんなみゆきを笑うのです。「友達がいないと何もできない弱虫野郎」と。あかねはそれが許せませんでした。
 友達がいてくれることの頼もしさを証明するため、あかねはプリキュアに変身します。

黄瀬やよい / キュアピース

「私は弱虫だけど、すぐ泣いちゃうけど、ふたりは私が勇気を出すきっかけをくれた大切な友達だもん! ふたりを傷つけるのだけは絶対に許さないんだから!!」(第3話)

 やよいはマンガを描くのが好きな子でした。弱虫な性格のせいでなかなかその個性を表に出すことができずにいたのですが、ある日みゆきがポスターの校内コンクールに推薦してくれたおかげで、初めてそれを発揮するチャンスを得ました。みゆきはやよいが本当は挑戦してみたいと思っていたことにちゃんと気づいてくれる子でした。
 彼女の前に現れた敵幹部は「弱虫は引っ込んでろ」と言い放ちます。けれど、やよいは引き下がりませんでした。
 友達が見つけてくれた勇気の確かさを証明するため、やよいはプリキュアに変身します。

緑川なお / キュアマーチ

「家族はバラバラになんかならない! 私たち家族の絆は永遠に切れない! あんたたちがどこの誰かは知らないけど、もし私たち家族の絆を断ち切ろうっていうのなら、私が戦う!!」(第4話)

 なおは家族思いのお姉さんでした。たくさんいる弟や妹の面倒をよく見ていて、日々家族の絆というものを強く実感して暮らしていました。
 けれど、家族の楽しい時間を邪魔して敵幹部が言うのです。「仲間? 家族? そんなもの最後には全部バラバラになる」と。なおはそれが許せませんでした。
 自分を支えてくれている家族の絆を証明するため、なおはプリキュアに変身します。

青木れいか / キュアビューティー

「私はこの七色ヶ丘中学校生徒会副会長・青木れいか。あなた方の校内での乱暴なふるまい、生徒会副会長として見過ごせません。いいえ。私、青木れいかが許しません!!」(第5話)

 「道」フリークのれいかは生徒会副会長として責任ある日々を送っていました。あるとき生徒会主催の行事にトラブルが生じて困っていたところ、みゆきたちが協力を申し出てくれました。れいかとしては申し訳ないので初めは断ろうとしたのですが、みゆきたちがとても楽しそうにしてくれているのを見て、そのままお願いすることにしました。
 しかし、その行事も敵の幹部にメチャクチャにされてしまいます。あげくみゆきたちのアイディアがいっぱい込められた小道具を「こんなもの何の役に立つ」と踏みにじられて、れいかは激昂します。
 自分自身の思いに従って行動することの尊さを証明するため、れいかはプリキュアに変身します。

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