プリキュアはなぜ変身するのか? 『キュアエコー』の場合。

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思いよ届け! キュアエコー!

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このブログはあなたが視聴済みであることを前提に、割と躊躇なくネタバレします。

 キュアエコーはどのシリーズ作品にも属さない唯一のプリキュアです。プリキュアのオールスターズ映画第4作(厳密には第5作目)『映画 プリキュアオールスターズNewStage みらいのともだち』の目玉企画として誕生しました。
 もっとも、プリキュアの映画作品は基本的にその年放送中のテレビシリーズとテーマを共有するものです。その意味ではキュアエコーは『スマイルプリキュア!』に近しいプリキュアと見ることもできるかもしれません。変身アイテムもキュアデコルですし。
 ただ、その『スマイルプリキュア!』が(ヒーロー性を除くと)そもそもテーマ的にかなりニュートラルな作風でした。キュアエコーが『スマイルプリキュア!』を含めた全てのシリーズから独立した立ち位置を獲得したのは、この影響もあると私は考えています。(私はね)
 ・・・どんなシリーズともよく馴染む子だと思うので、また映画に出演してくれていいのよ?

坂上あゆみ / キュアエコー

「私、ひとりぼっちだと思ってた。私の気持ちなんて誰もわかってくれないって。でも違った。私はひとりじゃない。ちゃんと言えば気持ちは伝わる。――フーちゃん。私の本当の思いを知ってほしい! 絶対、絶対伝えるんだ! フーちゃんのところに、行きたい!」(みらいのともだち)

 あゆみは友達がいない子でした。転校してイチから友達をつくりなおさなければいけないというのに、内気な性格のせいで誰にも話しかけられずにいました。
 そんな彼女の前にフーちゃんという不思議な存在が現れました。彼はあゆみによく懐き、あゆみの気持ちをよく察してくれ、あゆみと一緒に遊んでくれました。彼は言葉を話せませんでしたが、気持ちはあゆみと通じあっていました。・・・少なくともあゆみは通じあえていると思っていました。

 けれど彼はあゆみの望まぬかたちで暴れはじめます。近所の犬が怖い。お母さんが嫌い。こんな街なくなってしまえばいい。あゆみのちょっとしたぼやきをフーちゃんは全部真に受けて、不思議な力でそれを叶えようとしてしまったのです。
 大切なところで、あゆみとフーちゃんの思いは通じあっていませんでした。

 ・・・とまあ、そういうわけで、あゆみの物語は“思いを伝えること”がキーとなっていました。
 あゆみは今度こそ自分の思いをちゃんと伝えるため、フーちゃんの元へ駆けました。
 道が塞がれたり気持ちが挫けそうになったりもしましたが、あゆみがプリキュアに助けてほしいとお願いすると、彼女たちは喜んで手を貸してくれました。
 フーちゃんの力に飲まれてどうしようもなくなったときも、絶対に思いを伝えるんだと強く決意を固めると、プリキュアに変身する奇跡まで起きました。

 キュアエコーは思いを届けるプリキュアです。
 ただ一度フーちゃんに思いを伝えるためだけに誕生したプリキュアは、その日以降変身することはありませんでした。(翌々年の映画再出演までは)
 けれど、その日以来彼女は変わりました。勇気を出して、ちゃんと言葉で気持ちを伝えて、新しい友達をつくることができるステキな女の子になれたのでした。

 あゆみが変身したキュアエコーは、彼女のやりたかったことがそのままかたちとなって現れたものです。戦う力を持たず、ただひたすら近くに行って思いを伝えることだけに純化したスタンスからもそのことがよくわかります。
 最初にやりたいことがあって、次に決意をより強く固める成功体験があって、その先に奇跡のような変身がありました。そして、坂上あゆみの姿に戻ってからも彼女の本質は理想の体現者・キュアエコーのまま。彼女の変身はその後の日常にまでリンクしています。
 他のプリキュアたちを見ていても、変身という“転機”がそういう性格のものだということはおおむね共通しているように思います。決意を固めるプロセスが初変身の前になったり後になったりというブレはありますが。プリキュアに変身するという行為は例外なく、少女たちの日常を望ましいものに変えていくものでした。
 とりあえずそこまではいいとして。

 あとは、どうしてプリキュアが正体を隠したがるかの問題ですね。
 この件についてはあゆみの物語から読み解くことは難しいです。なにせそもそも一度しか変身しませんから。もうちょっと他のプリキュアたちも見てみましょう。

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