オクトパストラベラー プレイ日記その15 テリオン第3章 at ウェルスプリング

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俺はお前の腰巾着じゃねぇ!

このブログはあなたがプレイ済みであることを前提に、割と躊躇なくネタバレします。

今回のバトルメンバー

トレサ(バトルジョブ:踊子)
プリムロゼ(バトルジョブ:神官)
テリオン(バトルジョブ:学者)
オルベリク(バトルジョブ:盗賊)

オープニングロール(=妄想)

 砂漠の陽射しに追い立てられ、トレサたちはオアシスの市・ウェルスプリングに到着するやいなやまっすぐ酒場へ逃げ込みました。何でもいいから、というオーダーに応じて出されたサボテンジュースはとろりとした喉越しで少々クセのある味わいでしたが、乾ききった身体に独特の爽やかな苦みがよく染みました。

 人心地ついたところでサイラスが何気なく訊ねました。
 「そういえば――、みなさんはどういった縁でともに旅をされているんですか?」
 初めに答えたのはプリムロゼでした。
 「そうねえ。トレサがかわいかったからかしら」
 冗談めかした調子にアーフェンもノリを合わせます。
 「それをいうなら、俺は荷物持ちだったっけ?」
 「俺はたしか、迷子のお守りを引き受けたんだったか」
 「ああ。だったら私は迷子を送り届けるためだともいえるな」
 「みなさん、ひどいですよ。私はみなさんに助けられて、それで――」

 わいわいとどこまで本当なのかわからない冗談を語りあう旅の仲間たちの様子に、サイラスも今回は自分の個人的興味を早々に諦めました。ふと、ひとりだけ会話の輪から一歩引いているのに目を向けます。
 「ええと、テリオンはどうかな?」
 いつの間にかひとりだけ飲み物をエールに切り換えていた青年は、サイラスと目を合わせないまま、独り言のようにボソリとつぶやきます。
 「・・・雇い主の命令だ」
 これはこれで、なんとなくこの青年の纏う雰囲気には似合わない発言のように感じられました。

(主観的)あらすじ

 緑竜石を求めてウェルスプリングの闇市を探っていたテリオンは、その開催場所が街の近くの洞窟であることを突き止めました。さらに深く潜り込み緑竜石を売ろうとしている人物を見つけたところで、突如横槍が入ります。強盗団が男を殺して緑竜石を奪っていったのです。
 テリオンが強盗団を追うと、そこで懐かしい顔と再会することになりました。ダリウス。かつてテリオンが義兄弟として背中を預け、そしてこっぴどく裏切られた人物でした。偶然にもこの男こそが緑竜石を狙う強盗団の頭目でした。
 ダリウスはテリオンを嘲笑います。ずいぶん情けない目をするようになったと。この男に裏切られて以来、他人を信頼できなくなっていたテリオンの傷ついた自尊心を、ダリウスは再び踏みにじるのでした。

 ダリウスの部下に阻まれてまんまと緑竜石を持ち去られてしまったテリオンは、一度レイヴァース家へ報告に戻ります。そこで彼は雇い主であるコーデリアの意外な過去を知るのでした。
 いつもテリオンに対してお人好しなことばかり言うこの貴族の娘は、テリオンと同じように、近しい人々に裏切られた過去を持っていたのでした。そのうえでなお、彼女はテリオンを信頼しようとしてくれます。裏切られた痛みを知る人であればこそ、人を信じる本当の意味がわかる、と。
 その誠心誠意からの信頼にテリオンは毒気を抜かれ、奪われたふたつの竜石を取り戻すためダリウスのアジトへ出発します。コーデリアに何と言って答えたらいいのかよくわからないままに。

 久しぶりの適正レベル帯(ちょっと足りなめ)でのボス戦です。
 初手2回行動? 取り巻き倒すと3回行動化? かといって放っとくとブレイク即時治療? 弱点が実質杖と風だけ? SPダメージ攻撃? 全体HP吸収攻撃? おまけに回避率まで高いだと? ・・・ふぁっく! ストーリー上はぽっと出のモブのくせに!
 ボヤくわりにパーティ構成があんまり合理的じゃないのは私の趣味のせいです。各章のプレストーリーを読んで、今回のお話に似合いそうかどうかでパーティメンバーを選んでいます。バトルジョブも見た目最優先。そこらへんを完全に趣味で固めたうえで、心許ない手持ちのカードとにらめっこしながら勝負するのも楽しいものです。
 メイン火力はテリオンの奥義、プリムロゼが全体化したうえで反射のヴェールを張るのも意外と火力面で貢献しました。魔法反射ってまともなダメージが発生するんですね。オルベリクはデバフを撒きながら庇ってまわり、そしてトレサがブレイカー兼バッファ兼BPパサー兼アイテム係。この意味不明な忙しさがうちのパーティでのトレサの立ち位置を象徴しています。今回の戦闘での反省をふまえてラストアクトを修得させました。さらにこき使う所存。

犬の首輪から伸びたロープを、絆という

 「堕ちたなぁ、テリオン。昔のお前は腕だけはよかった。だからこそとことん利用してやったんだがなぁ」
 ダリウスに裏切られたテリオン。というか、まあ、明らかに価値観が噛み合っていませんでしたからね。
 ダリウスが実利を求めてのし上がろうと思うのなら、テリオンの自己満足的な美学にこだわる姿勢は鬱陶しいものだったことでしょう。彼は早々に自分とテリオンのウマが合わないことに気付いていたようでした。
 一方で、テリオンの方は裏切られるそのときまでダリウスのことを信頼していたようです。別に頭が悪いわけでも、勘が悪いわけでもないくせに。この人、たぶん本質的には芸術家気質なんですね。基本的に自己表現にしか興味がないというか。そのくせ妙なところで他人に盲信的というか依存的というか。

 自分のやりたいことに専念したいからこそ仲間が必要なんです。興味があること以外の些事を引き受けてもらうために。悪い表現をするなら、任せきりにするために。
 その意味で、テリオンにとってダリウスは最高の相棒だったのでしょう。ダリウスは実利を重んじていました。テリオンがさほど執着していなかった価値観です。そちらの方面をダリウスが引き受けてくれるなら、テリオンはいつも好きなことだけを考えていられます。
 ですがダリウスにとってはそうではなかった。ダリウスが自分の相棒に求めていたものは、おそらく同志だったのでしょう。つまりは彼と同じく実利を最大限に追求できる野心家。自分と違う価値観の持ち主ではなく、自分と同じ志を共有できる者。そこに齟齬がありました。

 芸術家の場合は自分の仕事に集中するためにパトロンと契約します。
 パトロンというと多少変なイメージがあるかもしれませんが、現代に置き換えるならプロデューサーのようなものです。ただの酔狂による資金援助者というわけではなく、その人の関心に合わせた仕事とのマッチングや、新たな技術に発展させる方法の発案を本人に代わって考えてくれるのが、パトロンという存在です。
 まあ要するに何が言いたいのかといえば・・・。テリオンさん、実はレイヴァース家に雇われて大正解だったんじゃない? ということに尽きます。この人はこんな感じで、自分の身の振りかたを他人に提示してもらえる方がそもそも性に合ってる。

 「・・・それは、私たちのためでしょうか?」
 「それは違う。この罪人の腕輪を外すためだ」

 腕輪を言い訳に、テリオンは自分の為すべきことを見つけます。本当は腕輪なんて必要ないくせに。コーデリアが外してもいいと言った腕輪を、自分から後生大事に握り込んでいるくせに。
 テリオンに罪人の腕輪は必要ありません。こんなもの、彼をコーデリアに引き合わせるためのきっかけに過ぎません。
 「あなたをどこか放っておけなかったその理由が、今わかりました。あなたも人に裏切られた――同じ痛みを知る人だったから」
 同じ傷を絆に、テリオンは自分と違う視点を持った雇い主と巡りあいました。

 「裏切られる痛みを知っているからこそ、人を信じる本当の意味がわかる」
 「裏切られたとき、『もう二度とこんな思いはしたくない』――そう思えるほど信じていたのでしょう?」
 「テリオンさん。私はあなたのことも信じています。・・・どうか、お気を付けて」

 彼女はテリオンが求めていたもの全てを持ちあわせていました。信頼。理解。共感。同じ傷。異なる立場。
 腕輪なんかなくたって、テリオンはすでにコーデリアから逃れられません。逃れたくありません。気がつけば、腕輪とともに、目には見えない絆がつながれていました。

 「・・・ああ。行ってくる」

エンディングロール(=妄想おかわり)

 「じゃ、今度はセントブリッジで合流ね。オフィーリアの式年奉火の儀式があるからそれなりに長く滞在するつもりだけど・・・ちゃんと追いついてきてよね」
 ひとりレイヴァース家へ報告に戻るテリオンに、トレサはこれからのことを打ちあわせました。
 「・・・ふん」
 「・・・。あのね、セントブリッジの次はまたクオリークレストなの。あなたが道案内してくれなきゃ、私また迷子になっちゃうかも」
 「・・・知るか。盗賊を信用するのはバカのすることだ」
 そう言って、テリオンはついに合流すると約束しないまま出発しました。

 「――彼は信用できるのかい?」
 一緒に旅をするようになってまだ日の浅いサイラスが訊ねます。
 トレサはあっけらかんと笑って力強く頷きました。
 「信じられる。だって、あの人ウソつきだもん。はじめて会ったときからしていきなり騙されたわ。だから、テリオンが信用するなっていうなら、私はそういうウソをつくあの人を信頼するの」
 そう言って、テリオンの背中が見えなくなるまでその場でずっと見送りました。

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