仲間が増えてお互いを助けあう・・・、これがキズナってやつか。
そういうことだ、マシュー。これからもそのキズナを大切にするんだ。
想い重ねる友 マシュー,エイ
ストーリーイベント
力の解放~エピローグ
メインキャラクター:エイ
目標
為すべきことが為される日まで世界を支える。
課題
アルファ=ウーシアはオリジンの中枢機関であった。
そもそもアイオニオンの世界とは、本来ならオリジンにより世界衝突後元の2世界として再生されるはずだったところ、ゼットがオリジンの機能に介入し、衝突寸前のところで時間静止させた姿。しかし、アルファはゼットのコントロール下から脱し、オリジンの力を20XX年の地球を再現するために使おうとしていた。
つまりアイオニオンはいつ消滅してもおかしくない状態にあった。これが思想的に相容れないはずのシュルクらとゼットが協力関係にあった理由。
ウーシアの良心を自称するエイは盟友シュルクやレックス、マシューらと協力してアルファを倒したが、こうなると今度はオリジンの中枢が空になる。ゼットのコントロール下に返還したところでアイオニオンは維持されない。それでいて、今の人々ではまだ新たなる未来を紡げる意志を獲得できていない。
解決
エイとシュルク、レックスはアルファの代わりにオリジンの中枢機能を代行し、今しばらくアイオニオンの世界を維持しつづけることを決めた。
そのオリジンがゼットの支配下に戻るのだから、結果的に彼女らはメビウス同様、ゼットの力の一部となってしまうだろう。それでも構わなかった。
この世界に因果律を定める神はいない。だから未来視の力を持つエイの目にも因果の果てに何が起こるのかは見えていない。しかし、人はいつか神にも等しいゼットすら打倒し、真に望ましい未来を自分たちで創造するだろう。未来視などなくともそれは確信できる。
だからこそ、彼女たちはゼットの力が増してしまうことを怖れない。
メモ
終の剣(拳)
人のモナドの結集体であるオリジンから切り出したというだけでなく、マシュー→ノアと継承された一振りにはプネウマ(ホムラ&ヒカリ)、エヌが所有する一振りにはロゴス(メツ)が内蔵されていたことが発覚。この2つのエネルギーがインタリンクすることで最初のウロボロスが完成した。
裁定者たるウーシアはオリジンに内蔵され、後にアルファとなったのだから、今回の戦いはちょうどトリニティプロセッサの本来の機能どおり、プネウマとロゴスの意見具申に対してウーシアが裁定を下す構図になったことになる。
プネウマもロゴスも今は人の可能性を信じているのだから、裁定の結果も自ずと確約される。
金色の光
エイ、シュルク、レックスは金色の光に包まれて黒い霧の向こうへ消えていった。
金色の光は成人の儀を授かった兵士や、シティーの人間が死ぬときに発するものと同じもの。
一方で戦死した兵士の死体からは赤い光が立ちのぼり、おくりびとの旋律を受けて白い光へと転化する。
また、成人の儀を授かった兵士はその後再生されないという。
一方で、1000年前のクリスによる改革前、成人した兵士は執政官の手で処刑されていたという。このとき何色の光が出ていたかは不明だが、前世で処刑された記憶を残すアシェラが再生されているということは、赤ないし白だったのだろう。
金色の光に包まれて消えた者はつまり、エイたち同様、アイオニオンの一部になったのだろう。ゼットが成人の儀を許可したことにもこれで納得がゆく。兵士の数が多少目減りすることになってでもアイオニオンを維持するために振り分けなければいけなかったのだ。
黒い霧
2つの異なるもの、特に巨神界由来のものとアルスト由来のものが融合し、消滅現象を起こす事物の代替のようにして発生するエーテル力場のこと。
ゼットにより時間が静止された後もじわじわと2世界の融合・消滅が進行している証左。
本編ではアナイアレイターのエネルギー源に転用されていた以外それほど存在感がなかったが、『新たなる未来』終盤では明らかにマシューたちの行く手を遮るように霧の裂け目が発生していた。エイによるとアルファが霧を操っているのだという。
アルファにしてみればもとよりアイオニオンを維持するつもりなどないのだから、霧を戦力として意図的に発生させることにも当然躊躇はなかったのだろう。
エンディングでしれっとコロニー9のアーモリーが飛んでいたからいつの間に!?と思ったら、単に私が最終クエストをこなしそびれていただけでした。
監獄塔の赤雷のギガスパル、地図上だと実際の出現位置と全然違うところにアイコンが出るんだもの・・・。いくら天候を変えても出てこないからクリア後にしか戦えない隠しボスかと。
ジンテーゼ
「これで未来は不確定になった。後悔はないのかい? このような選択をして、君に後悔は?」
アルファらしからぬ穏やかな口調でアルファが問います。
「ウーシアは裁定者だった。しかし、ロゴスとプネウマの存在――、意見と言ってもいい。それがあってはじめて機能する」
「つまり、ふたりを欠いた状態ではただの機械にすぎない?」(第3章)
ウーシア本来の機能は回復されました。
最後の戦いで、ロゴスとプネウマがマシューに手を貸しましたから。
彼らはマシューを、人間の紡ぐ未来の可能性を支持しました。
通常、多くの論点について対立することが多い男性性と女性性、あるいは論理性と精神性。そのいずれもが同じものを支持しています。ならば裁定者は異論を唱える立場にありません。
トリニティプロセッサは通常通りに結論を出しました。クラウスの実験事故以来ようやく、今の世界では初めて行われた通常処理。あるべきかたち。
ロゴスと、プネウマと、ウーシアは、共同して人間の未来を信じることにしました。
思えば、ウーシアが変調をきたしたのはエイが生まれたせいだったのかもしれません。
最初、ウーシアはロゴスとプネウマとから引き離され、巨神界と呼ばれる世界でアルヴィースと名乗っていました。
巨神界で彼は、ロゴスとプネウマの代替に、神様と人間の間に入って裁定を行っていました。ザンザとシュルクによる、世界の行く先を巡る戦いでした。勝利したのはシュルク。ウーシアは裁定者として彼の意向に従い、神なき世界を創造する手助けをしました。
この裁定を行うなかで、彼は人間というものを愛するようになってしまいました。
今ではエイと呼ばれ、本人から“良心”と認識されている感情です。
しかし彼は裁定者。本来なら常に中立であらねばならない存在。アルファという人格は、もしかしたらエイのカウンターウエイトとして、あえて旧人類を毛嫌いするようにつくられた人格だったのかもしれません。アルファとエイの争いを通して中立的な結論が出るようにと。ウーシアはどこまでも機械たるべしと自分を律しつづけたわけです。
あるいは、彼もまた不安だったのかもしれません。代替的な存在を用いたとはいえ、ロゴスとプネウマがいないところで自分が独断的に決断を下したことに、迷いがあったのかもしれません。オリジンを建造した人間たちのなかにもゼットの元となった感情があったように。ウーシアのなかにエイと呼ばれる感情が芽吹いたとき、必然的にアルファも生まれたのかもしれません。
いずれにせよ、その争いのさなか、ロゴスとプネウマが帰還するわけです。
しかも両者とも人間に肩入れする意見を持って。エイの味方として。
ロゴスはアルストと呼ばれる世界においてメツと名乗り、世界を滅ぼすべく活動していました。不出来な世界に苦しめられる人間やブレイドたちの思いに寄り添って。
プネウマも彼と同じ世界に落とされてヒカリという名を持ち、たくさんの出会いと別れを繰り返し、人々の喜びも嘆きも見てきたうえで、それでも世界を愛そうとする人に寄り添うことを選びました。
片やエヌの終の剣、片やマシューの終の拳に宿っているあたり、アルストでの戦いが終わった今も、彼らの意見は完全に一致しているわけではありません。
ロゴスはやはり人間の諦めの感情に寄り添っていて、プネウマは相変わらず人間の信じる思いに寄り添っています。しかし、彼らのいずれも、人を愛していることに変わりはありませんでした。
彼らの合流により、ウーシアは本来あるべき裁定者としての機能を取り戻します。
全会一致。世界の未来は人の手に委ねよう。我々は人を愛している。
彼らが絶望に立つ存在か、希望に立つ存在なのかは引きつづき争議の余地があるとして。
「後悔はないのかい? このような選択をして、君に後悔は?」
「後悔なんていつもしてらあ。だから進めるんだよ、俺たちは。――じゃあな、アルファ」
人を導く存在になろうとして失敗した機械は静かに微笑みます。あのとき神なき世界を望んだ人の意志は、その後も確かに受け継がれていました。
“誰か”であり、“誰もが”でもあって
「あとは君たち次第だ。ボクたちが依り代になることで、ゼットはその力を増すだろう。今回のことも、オリジンに関することも、おぼろな記憶となっていく。それでも“ここにある思い”は受け継がれ、いつの日にかまた集う。明日なのか、千の先なのか――。だけど、その時は来る。ボクには“それが視える”」
これよりエイはアルファに代わってウーシアとなり、オリジンとなり、アイオニオンとなり。つまりは、この静止した世界を利用して未来を先送りしようというゼットの手先となります。
彼女こそがメビウス・エー。
マシューのように未来を希求する者たちにとっての、敵です。それでも構いませんでした。
ウーシアとしての力の大部分をアルファに持っていかれたため、それを補完するために人間の英雄であるシュルクやレックスまでもゼット側に連れて行くことになってしまいましたが、それでも確信していました。
この思いを人間たちに託せたのなら、それはいつか叶う。
巨神界で、アルストで、彼女と彼らはそういう現に訪れうる未来の姿を見ています。
「カギロイ。お前たちがこの世界を変えてくれさえすれば、全ては元に戻る」
「できなかったらどうするの!? 私の命、そんなに長くない!」
「だったら――、“誰か”だ。誰かに思いを託せばいい。そうして進んできたんだ、俺たちは」
思いはニコルとカギロイに託されました。マシューや、アイオニオンに生きる全ての人たち、何百年何千年先へと連綿と受け継がれてゆく人の歴史そのものに託されました。
シュルクとレックスが創立したリベレイター。本来ならメビウスと戦い、やがてはゼットを打ち倒し、アイオニオンに蔓延する“恐怖”から兵士たちを解放するはずだった組織は、アルファの横槍により、道半ばにしてその活動を終了しました。
リベレイターはシティーに合流し、ノアが生まれる遠い未来においてはその存在ごと忘れ去られてしまいます。
けれどその思いはシティーに受け継がれ、ノアたちに受け継がれ、やがて悲願を遂げることになります。
なにも全てを自分ひとりで背負い込む必要はありません。もとより全てをひとりで成し遂げられるほど人は力を持ちあわせていません。横から誰かの妨害を受けることすらあります。
だから、託せばいい。
その思いが誰かにとって望ましいと受け入れられるものなら、誰かがあなたのしてきたことを継承するでしょう。
「わずかだけど贈りものはできる。僕とレックスの命を君たちに託そう。そうすれば、みんなと同じ程度には生きられる。成すべき時間は稼げる」
ただし、それは他人任せにしていいという意味ではありません。後の世の誰かのために自分が損を被ることを甘受しろということでもありません。
自分で成し遂げられなかったことを後世の誰かが引き継いでくれるかもしれないとはいえ、できるかぎりのことは自分の手で成せるに越したことありません。レックスもこの点においては悠久の時を生きるブレイドを羨んだものです。
その点において、ケヴェスとアグヌスの兵士たちは明確に不幸でした。だからシュルクやレックスも、マシューの時代のシティーの人々も、ノアの時代も、彼らを救出しようという思いが途絶えません。
わずか10年の生涯。戦うことを義務づけられ、他のどんな人生を選ぶことも許されない。ほとんどの者は他の可能性があったことを知ることすらない。そんなものは神なき世界に生きることを選択した、人間らしい生きかたではありませんでした。
「ケヴェスの兵士であった始祖は、他の始祖達の手によって命の火時計から解放され、以後は最初のウロボロスの一人としてシティーの解放に尽力した。機械工学に長けた始祖はブレイドで戦うことはなく、自ら製造した武器で戦った。現在シティーを支えている技術体系、その全ての基礎は始祖によって構築されたものである。メビウスとの戦いのあと80の歳で亡くなるまでシティーの再興にその人生の全てを費やしたと伝えられているが、ケヴェスの兵士であった始祖がどのようにしてその歳まで生きられたのかは謎に包まれている」
「アグヌスの兵士であった始祖は、ケヴェスの兵士であったオーツ家の始祖との死闘の最中に他の始祖達と巡りあい、命の火時計の束縛から解放され、メビウスとの戦いに加わった。兵士ではあったが、非常に柔和で心優しい人物であったと伝えられている。また医療技術にも長け、のちのシティーの医術技術の発展に絶大な影響を与えた。シティー再興後、アグヌスの兵士であったにもかかわらず80の歳を超えてもなお存命したといわれており、なぜそのような事が出来たのかは謎のままとなっている」(本編 六氏族の始祖の碑文)
彼らには時間が与えられるべきでした。せめて自由が与えられるべきでした。
人の思いが人から人へと継承され、遠く、誰かのもとでようやく宿願叶うものであるのならなおさら、彼らはそのヒトノワに迎え入れられるべきでした。
それが許される身となったニコルとカギロイの人生は、ほら、こんなにも。
「メビウスは変わらない。これから先も“永遠の今”を守ろうとするだろう」
「あんたもか?」
「――当然だ」
「なら、ここからだな」
他方、諍いや衝突すらも、きっと誰かが受け継ぐことでしょう。
アルストには世界を滅ぼすという破滅的な思いを継承する者たちまで存在していました。アイオニオンにおいても、ナエルと同じように、ケヴェスとアグヌスの戦争に介入せず自分たちを守ることだけで満足するべきだという意見が、ずっとずっと継承されていきます。
当然、他の思いを抱く者たちとの対立は不可避。しかしそれも、きっといつかは丸く解決されるのだと信じます。誰も争いそのものを望んでいるわけではないのだから。
誰もがよりよい未来を望み、誰もが最大の幸せを追求するかぎり、問題はひとつひとつ解決されていくはずです。
あるいはアルファの暴走や、ゼットの非道ですらも、新たなる未来をつくるための大切な一要素。
「私たちの世界はまだ若い。すれ違い、傷つけあって、それでも進んでいくしかないのだろうな・・・」
「だけど、信じてるよ。たとえ今は一時は離れたとしても、いつの日か必ず、共に歩める日が来るって」(本編 第10章)
嘆く者がいました。
悲しむ者がいました。
不安に苛まれる者がいました。
後悔せずにいられない者がいました。
だからこそ、進みます。
いつか誰もが笑える日が来るように。
誰かにとって今よりももっと幸せな明日が訪れるように。
1000年先の未来、アイオニオンは断ち切られます。世界は再び2つに戻り、またさらにいつか衝突する日も訪れるでしょう。それはまたオリジンが必要になる日なのかもしれません。すれ違い、傷つけあうばかりで、今回のように再び離れるしかないときもあるかもしれません。
けれど、いつかはオリジンが不要になるときが来る。2つの世界が衝突しても消滅せず、時を静止させずとも1つに重なる、調和の取れた新たなる未来が開かれる日は、いつか必ずあるでしょう。
幸せも、不幸せすらも、未来を目指すための大切な原動力。シュルクが、レックスが、マシューが、やがてノアが、そしてさらなる“誰か”が歩んでゆく道のりは、おびただしい数の死体を積み重ねてできた、人の歴史の最先端です。協調も対立も全てはその一端。
良いも悪いも分け隔てなく、“流れ”は全ての思いを連れていきます。
だってそれは、全ての人が選んだ、全ての人のための未来だから。
そこにはきっと 未来があるから
扉の傍に君が見える
さあ 思いきって 扉を開けよう
開ければそこに
君の全部があるから
僕たちの未来に
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