キボウノチカラ~オトナプリキュア’23~ 第12話感想 この幸せが未来でも永く続きますように。

この記事は約9分で読めます。
スポンサーリンク

ココ、言ったよね。私の幸せを願ってるって。私の幸せにはココが必要なの。

↓dアニメで全話配信中!↓

↓YouTubeチャンネル限定コンテンツも配信中!↓

「キボウノチカラ」

大きな出来事

メインキャラクター:のぞみ

目標

 町の未来を守る。

課題

 プリキュアが戦っているのに町の人たちは応援することしかできない――。その他人事めいた意識が人の心に影を落とし、赤黒い粒子となって、かえってシャドウに力を与えてしまっていた。

解決

 それは違う、とのぞみたちは思う。たとえ目に見える成果がなくとも、できることはいつだってここにある。がんばることは子どもだって、大人になってからだって、いくらでも続けられる。
 プリキュアたちの必死な姿に感化された町の人たちが少しだけ意識を変えると、その思いは白い粒子となって今度こそプリキュアのもとに届き、シャドウを倒すことができた。

 未来の町を滅ぼした環境問題も、結局は遠いどこかでの出来事、自分の力だけではどうにもならないという意識が問題を放置させ、取り返しのつかないところまで悪化させてしまったものだ。
 他人事ではない自分事として日々考えていく。その意識が未来を変えていくと信じて、のぞみたちはこれからもがんばりつづける。

ピックアップ

空の亀裂(状況整理メモ)

 セリフでの説明が無いため少しわかりにくいが、空の亀裂は現在の世界と未来の世界を繋げている。集合して力をつけた巨大シャドウが出現させた。実はベルが開いたものではない。

 プリキュアは第11話Aパートにおいてベルに連れてこられた未来世界で戦い、Bパートで巨大シャドウが空の亀裂を通って現在側へ移動したためプリキュアも現在世界に移動して戦った。第12話冒頭でプリキュアが巨大シャドウを未来世界へと吹き飛ばしたうえ、シャイニールミナスの力で空の亀裂をふさいだため、決戦の舞台は再び未来世界に移った。
 なお、プリキュア・バタフライエフェクト・シャインドリームで巨大シャドウを倒した直後プリキュアたちはしれっと現在世界に帰ってきていて空の亀裂が閉じるのを見守っている。シャイニールミナスにもう一度開けてもらったのかもしれない。

 また、第11話ではプリキュアの戦闘とは別に現在世界側にもシャドウが放たれていて、健太たちが避難活動をしていた。
 このときのシャドウたちはその後現在世界に移動してきた巨大シャドウに吸収されている。(そして再び未来世界へ移動した) 第12話での町の人々の様子に比較的余裕があったのはこのため。

 ベル手持ちのシャドウ戦力が無尽蔵だったのは、未来世界の荒んだ人間たちの心の影を連れてきていたからでもあったのだろう。
 ちなみに前話でベルが町を壊すシャドウを見て「どうしてこんなことに・・・」とショックを受けていたが、あれは未来世界で戦うぶんにはシャドウがどんなに暴れても現在世界の町は壊れないはずだったため。シャドウが自力で現在世界へ移動する力を獲得し、町を壊しながら暴れはじめたのは全くの想定外だったのだろう。

 今話でベルに語りかける役目をシャイニールミナスが務めたのはそもそもの話、現在世界側でお留守番していた主要登場人物がこの2人しかいなかった(正確にはココとナッツとブンビーも残っているが)ためといえる。
 ところで満と薫はいつの間に未来世界側に移動してたの?

海鮮チャーハン(シーフードピラフ)

 ピラフとは炒めた米を炊いた料理であり、炊いた米を炒めるチャーハンとは明確に異なる料理。そこは料理人として混同してはいけないラインだろう、健太・・・。と思わせておいて、後ろではなにやら優子が空のフライパンを火にかけており、直前までフライパンを調理に使っていたことを窺わせる。
 ・・・あれ? 料理名間違っているの、もしかして優子?

総理大臣

 いうまでもなく日本の政治制度における首長のこと。
 ミルク・・・。パルミエ王国は王政だぞ・・・?

 「総理」とは”全体を統合し管理する役目”のことであり、この言葉だけでいうならあくまで各部門の大臣の上に立つ統括管理者の立場でしかないといえる。その上に国王を置くなら王権は揺らがない・・・と思いたい。
 でも象徴天皇制下では当然として、それに移行する前の大日本帝国政治体制下ですら天皇と内閣総理大臣のどっちが発言権が強かったかを考えると、まあ、うん。実務量=責任の重さ=権力だからね・・・。

青いバラ

 青いバラの花言葉は「夢かなう」「不可能を成し遂げる」「奇跡」など。
 webで検索するともっと鮮やかな青色をしたバラの画像も出てくるが、あれは白いバラに青い色水を吸わせて染めたもの。サントリー社が開発した生きた青いバラはこのくらいの色味。

エンジェル

 舞台衣装のシルエットが色々とポスターのものと異なる。(そもそもポスターの原版製作時点で舞台衣装ができあがっているようなことが稀ではある)
 ベルが着ていた服に着想してうららから注文をつけたのかもしれない。

「ドーナツ王国が水不足カカ」「パルミエ王国に新しいため池をつくるといいモモ」

 渇水が常態化していることをいいことに相手国のライフラインを握ろうとかエグいことを考えるね君たち。
 ため池の水を供給できる位置関係ってことは、ドーナツ王国がある場所は今後せき止めることになるその河川の下流なんじゃ・・・? 恨まれるだけだから、ため池をつくるのはドーナツ王国内にして、技術協力だけに留めたほうがいいと思うよ。

The 5th International Peace Conference 202X

 202X年だけで5回も開催してるのかこの国際会議・・・。

 史実の万国平和会議は1900年前後に過去2回開催され、その後第一次世界大戦の勃発によって途絶えている。戦時国際法(戦争中であっても人道的に許されないことを定めたルール)であるハーグ条約のもととなった宣言が取り纏められた。

「教科書に載っていることを覚えるのも大事なことだけど、もっと大切なのは”考えること”」

 そもそも義務教育において国語数学理科社会・・・と広汎な知識を学ばせているのは、その知識そのものが生きるうえで有用であるという以上に、それを学ぶことで思考すること自体を学ぶことになるからだ。
 学校で学ぶ知識はそれ自体が様々な学者たちが思考を重ねてきた歴史の集大成であり、彼らがものを考えるうえで何に軸足を置いてきたか知るための標本でもある。学校現場ではどうしても詰め込み型の授業になってしまいがちだが、そこで教わったことについてふとしたときに「どうしてそうなるんだろう?」と想像してみるだけでも、”考えること”への扉は容易に開かれる。

 プリキュアになると若返ることとか、プリキュアになることが不吉だとか、そのあたりの話は最初からテーマに組み込んでいなかったみたいですね。
 作品テーマとしてはあくまでSDGs。というか環境問題。現在進行形の未解決な社会問題なので、具体的にどうすればいいのかといった明確な答えにはなかなか踏み込めません。そのくせ、よっぽどの科学的裏付けでもなければポリティカルコレクトネスの枠から外れた思想も出しにくいですしね。

笑顔に光を

 最終的な結論は”考えること”となりました。
 これは遠いどこかで起きている問題ではない。たとえ遠く離れたどこかで兆候が見られたとしても、それでも他人事だと思ってはいけない。自分ひとりの手に負えなくても諦めていいことにはならない。漫然と構えていても解決しない。
 だってこれは自分たちの未来を脅かす問題なのだから。
 他人事ではない、自分事なのだから。
 自分で考えてみることが、この大きすぎる問題を解決するための第一歩。
 そういうお話です。

 これまで描かれてきた大人の世界のままならなさは全て「それでも努力をやめていいことにはならない」というメッセージ性に集約されていて、環境問題解決に非協力的な人たちが大勢いることも「それでも善く生きることをやめてはいけない」という視点に結びついていて。
 小さな子ども向けに夢と希望を語るプリキュア本編シリーズに比べると、ちょっと息苦しいテーマ取りになっているところはあると思います。

 「辛いときや挫けそうなときもあるよね。自分は無力だって落ち込むことも。でも、今できることを精一杯やればいいんだと思う。ひとりの力は弱くても、みんなの力を合わせれば、そうすればきっと未来は変わる。小さな蝶の羽ばたきが風を起こし、大きなうねりになっていくみたいに!」
 「そうですよ。私たちはひとりじゃないですから!」
 「すぐには成果が出ないかもしれないけど」
 「諦めずにがんばりつづければきっと」
 「”続ける”」
 「それが大事!」
 「楽しい未来にしたいしね」
 「できるよ。ぶっちゃけ、できるって知ってる!」
 「みんなでがんばれば絶望の未来を変えられる。絶対に!」

 咲のセリフ以外あんまり幸福感のあるイメージが語られないあたりに顕著に表れてますよね。
 ポジティブなのはポジティブなんですけど、あんまり自分に益がないこと前提というか。
 やりたいからやるんじゃなくて、やらなきゃいけないからやるんだっていう感じというか。
 チョコパフェとかイケメンとかよりも、地球のためみんなのためを意識しているというか。

 そういうところがいつものプリキュアと少し違っていたように思います。
 せめて「みんなと一緒にがんばる」要素にもう少し楽しげな印象を持てたら全然違っていたんでしょうが、これまでのお話だいたいどれも「周りにはあまり頼れないからせめて自分だけでも自分らしさを貫こう」みたいな展開だったのでなおさら。

 ただ、そのあたりは――。

 「のぞみ。君が戻ったら言いたかったんだ。もしできるなら、君も望んでくれるなら――、一緒にいたい。のぞみ。君が好きだ。出会ったときからずっと。これからも」
 「・・・私も。ココ、言ったよね。私の幸せを願ってるって。私の幸せにはココが必要なの」

 眠りつづけるのぞみの前で、一緒になりたい胸の内を正直に語るココ。
 それに応え、自分が幸せになるための道筋をまっすぐに話すのぞみ。

 彼女たちの幸せのため、ベルが小さな奇跡を起こしてくれます。

 「お父さん。この子は誰?」  「天使だよ。神様の使いで、私たちを見守っている。町を守ってくれるんだ」  「天使様。私たちの町を守ってください」  「この町に美しい鐘の音を響かせてください」  「ずっと。ずっと。いつまでも」(第11話)

 彼女は幸せに生きたいという人間たちの素朴な願いによって生まれ、そのために働いてきました。

 「『まさか』『信じられない』――。あなたたちはみな他人事のように言う。人間は勝手だ。『自分には関係ない』『大事なのは自分で、他人はどうなってもいい』。目先の利益を優先し、愚かな行いを積み重ねる。だから町が滅んだのだ! 彼らの行動を止めれば絶望の未来を変えられる」(第11話)

 彼女は幸福な未来を守るための努力を積極的に行おうとしない人間たちの愚かさに怒っていました。

 「私は町を守る。そしてずっと鐘を響かせる。そのためなら――!」(第11話)

 つまり、彼女は自分たちを幸福にしようと努力する全ての人たちの味方でした。

 ベルはのぞみとココが結ばれることを祝福しました。彼女たちが引き裂かれんとしている障害を取り除き、ふたり笑って未来を描けるよう、ささやかな奇跡を起こしてくれました。
 彼女はこの町に建ったときからずっと、このような人々のために働いてきたのでした。

 「プリキュア。――未来で待ってる」

 自ら幸福な未来を描こうとする人々のために。
 幸福であろうとする人々が暮らす町を見守るために。
 そういう生きかたができる喜びをいつまでも絶やさないために。

 人の願いを叶えるための道具は、やがて訪れるであろう未来が待ち遠しいかのように、1分1分、休むことなく針を進めつづけるのでした。

よろしければ感想を聞かせてください

    記事の長さはどうでしたか?

    文章は読みやすかったですか?

    当てはまるものを選んでください。

    コメント

    1. アンダーグ帝国スピンオフアニメ制作希望 より:

      今度オトナプリキュアの新作作るならアンダーグ帝国のスピンオフを作ってほしいです。普段はバッタモンダーがメインで。ひろがるスカイプリキュアの本家をリメイクして一部の展開を変えて本家だは描き切れなかった謎や日常を作ってほしいです。バッタモンダーはスピンオフを作られて主人公になったら逆に感情移入しやすくなるから。

    2. アンダーグ帝国スピンオフアニメ制作希望 より:

      あとオトナプリキュアで「ひろがるスカイ」のスピンオフを作るならリメイクだけでなく本家から見た2期を作ってほしいです。私の構想は、バッタモンダーがプリキュアの正式な変身者になるのです!つまり準主人公の1人になり、本物のキュアパンプキンに覚醒するという事です🎃私の友達も言っていました😄「バッタモンダーとカバトンとミノトンが働いていたり飲んだりしている所を『オトナプリキュア』で見たい」って!あと友達は「バッタモンダーが本物のキュアパンプキンに覚醒した時の技も思いついた!上からカボチャの流星群を落とす技を使いそう」って言っていました🎃見て見たいですよね(笑)キュアパンプキンになった時も戦闘中に「バッタモンモン」なる呪文を唱える設定は健在であってほしいです🧙‍♂それでキュアパンプキンとしての戦い方は…アンダーグエナジーの使い方上手いからスキアヘッドに近い戦い方をしそう🧙‍♂呪文のカムフラージュもカバトンをグレードアップした感じになりそうですね🎃

      • アンダーグ帝国スピンオフアニメ制作希望 より:

        …以上で私がこの要望を持っているのは、未だにバッタモンダーに対して良くないイメージがついてしまっている人達をどうしても見返したいのですよ~😅バッタモンダーと言えば、43話で救済されて新たな人生へと進む所で退場になりましたがどこへ行ったかはまたもや語られていませんね…🤔私の予想ではミノトンと同じくスカイランドのどこかにいるのでは…と思っています🌅⛅あの後はやっぱり、ミノトンと再開してスカイランドのどこかで鍛え直してもらっているのでしょうね🥋ミノトンもアンダーグ帝国から脱退した事で憑き物が落ちたから今となってはわかり合えて仲良くやっていける事でしょう。ミノトンも今ならこう言えると思います。「帝国にいた頃は助けてやれなくて悪かった」って。

    スポンサーリンク
    タイトルとURLをコピーしました