スタートゥインクルプリキュア 第1話感想 新しい出会いって、とってもワクワクする。

それ、タンポポっていうんだよ。ふーって息かけてみて。

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→ TVerアーカイブ配信(放送後1週間限定)

(主観的)あらすじ

 主人公・星奈ひかるは宇宙と星座が大好きな中学2年生。ある夜、流れ星とともにキラッと降りてきたイマジネーションに導かれてノートにオリジナルの星座を描き込むと、その星座のとおりの姿の宇宙妖精・フワが目の前に現れました。 フワはどうやら好奇心旺盛な子らしく、朝になると目をキラキラさせて家の外に飛び出していきました。でもそれはひかるも同じ。初めて見た宇宙妖精に興味津々な彼女は自転車に乗ってフワを追いかけます。 友達になる秘訣はおいしいスタードーナツと、ふたりおそろいの好奇心。いっしょに食べて、いっしょに遊んで、ひかるとフワはあっという間に仲よしになりました。

 さて、すっかり打ち解けてお昼寝していたひかるたちの前に、今度はロケットが降りてきました。中にいたのは宇宙人のララとタコ型宇宙妖精のプルンス。旅の途中ではぐれた仲間のフワを探していたようです。  さらにはフワを追いかけてきたノットレイダーという悪者までやって来て、ララたちは慌ててフワを捕まえ、宇宙へ逃げようとします。けれどひかるはせっかく友達になれたばかりのフワとお別れするのがイヤでした。ララたちのロケットに飛び乗って、いっしょに宇宙に飛び立ちました。

 ノットレイダーはしつこくて、宇宙に逃げても追いかけてきます。フワが攫われそうになります。  ひかるはフワを守りたいと強く思いました。するとその思いにフワの力とひかるの星座ノートとが反応して、ひかるを伝説の戦士・プリキュアに変身させるのでした。  ひかるはノットレイダーからフワを守りきり、そして・・・なんやかんやあって地球に帰ってくるのでした。

 さあ始まりました新しいプリキュアの物語。第1話を見た感じ、テーマは“多様性”と“イマジネーション”といったところでしょうか。すごい取り合わせですね。この時点ですでに意味がわからない。このふたつを“好奇心”という要素が橋渡しして物語としての一貫性をつくります。
 話の流れとしては、ひかるとフワが出会って仲よくなって、けれど引き離されようとしたからプリキュアに変身してつながりを守った、というプリキュアシリーズいつもの構成です。そこにやたらと登場人物やら設定やらがてんこ盛り顔出ししていて、めっちゃ賑やかなストーリーとなっています。まさに“多様性”。

 個人的にはいかにもヘンクツそうなひかるのお爺ちゃんがひかるとどう関わっていくのかが楽しみですね。
 あと敵が今どきハゲ頭を強調したカッパキャラだというのも。もしかしてゆくゆくは『五体不満足』的な、お互いの違いを違いとしてユーモア混じりに受け入れていく協同を描いていく展開もあるのでしょうか。無きゃ無くてもいいけど。

大きな宇宙

 1年続くアニメの第1話だから諸々の仕込みが必要という作劇上の都合を無視すると、ぶっちゃけ今話の登場キャラ数はこんなに必要ありません。
 ひかるに、フワに、ひかるのお母さん、お爺ちゃん、お婆ちゃん、天文台の遼じい、12星座のスタープリンセスたち、それからララと、プルンス、ノットレイダーのカッパード。おまけに天宮えれなと香具矢まどかの顔出しまで。
 要らない要らない。こんなに要らない。今話の物語はひかるとフワの出会い、そしてその絆を守るための戦いです。ひかるとフワと、あとプルンスかカッパードのどっちか仲を引き裂こうとする役。その3人だけいれば成立します。
 実際、物語の主軸に関係ないキャラクターがたくさん登場した影響で少々トッ散らかった、ムダの多い展開になっていますね。あげく恒例のタイトルコールまで省略しなければならないほどの情報過多。

 けれどこの登場キャラ数の多さこそが、ひかるとフワの行動原理に視聴者が共感できるようになるための動線となっています。
 「いいでしょー。楽しい、大好きなことで埋めてって、ステキな本にしたいんだ!」
 「星座と宇宙、宇宙人とか大好きなの! あとUMAにオカルト、あ、それに・・・」
 
ひかるは新しい出会いをなんでもかんでもとりあえず愛する子です。不思議なフワとの出会いはもちろん、ララやプルンス、それどころか不審きわまるカッパードの登場にすら目を輝かせます。
 私たちも同じです。ひかるの家族に遼じい、スタープリンセスたちに、後々プリキュアになるえれなとまどか。新しいキャラクターが登場するたび、これからの物語に胸ふくらませ、物語とたいした絡みがなくたって、単純にワクワクします。
 新しい出会いってワクワクするものなんだなあって、改めて実感します。

 「それ、タンポポっていうんだよ」
 「たぁぽぽフワ?」
 「ふーって息かけてみて」
 「ふー! ・・・フワー!」
 
このシーン、今話のなかでも特に好きなんですよね。フワが初めて見たタンポポに目を輝かせるシーン。
 きっとタンポポの綿毛を吹いて遊んだ経験って誰にでもあると思うんですよ。私ももちろんやりました。子どものころ何度も摘んできては飽きることなくあっちこっちに綿毛をバラまきました。家の中でやって叱られたことも一度や二度じゃありません。あれ、楽しいですよね。
 あのシーンを見て、最初にフワが部屋から飛び出していった理由に納得しました。
 ああ、この子は初めて見る地球の景色にワクワクして、だから飛び出していったんだなあって。白いタンポポのようなワクワクとたくさん出会いたかったんだなあって。

 今話で描かれたものはふたりの出会いでしたが、もしこのふたりしか登場しないのであれば、かえってふたりが仲よくなる流れに少々強引さを感じていたことでしょう。
 たくさんの出会いが私たちをワクワクさせてくれることで、ああ、ひかるとフワも今すっごいワクワクしているんだなあって共感できて、ふたりがあっという間に仲よくなった理由にも納得することができるんです。

 今作の舞台は宇宙だそうです。
 地球上、観星町の町内のなかだけでもこれほどの出会いがあったんです。これが本格的に宇宙に飛び出して、見たこともないような多様な宇宙人たちとの出会いが描かれていくとしたら、ねえ、今から超ワクワクしてきますよね。
 多様性。たくさんの人やものが存在していることを知っているからこそ、私たちやひかるの好奇心はどんどん刺激されていきます。

心の宇宙

 「え? あ、そうだ! こうして、こうして、いいねいいねー! できた! オリジナル星座完成! かわいすぎ! キラやば! 流れ星に感謝だねえ。なんて名前の星座にしようかなー・・・」
 ひかるとフワの出会いは、ひかるがオリジナル星座を描いたことからはじまりました。どうしてこんな不思議なことが起きたのかは今話ではまだ説明されません。
 “イマジネーション”を謳う割に、別にフワはひかるの想像の産物というわけではなく、もともとこの世界に存在していたフワが星座を魔法陣代わりに召喚されたんだということのようです。
 それならこれまでのシリーズと同様、“ある日妖精が空から降ってきた!”ってお決まりのパターンを踏襲したっていいはずなのに。いったい何のためにわざわざこのタイミングでイマジネーション要素をねじ込んできたのやら。今話だけではまるで必然性が感じられません。

 ですが、あえてこういうややこしい手続きを描写したからには、そこには絶対に何かしらの意図があるはずです。これからの物語を追いかけながらその意図を探っていく必要がありますね。
 「――しかし、ひかるにあげて正解だ。ひかるの想像力がいっぱい詰まったステキなノートになりそうだ」
 今作において“イマジネーション”とはいったいどういう役割を果たすのか。
 そもそも“イマジネーション”とは何なのか。
 どうして“イマジネーション”が賛美されるのか。

 「恐怖は思考を停止する」
 
さしあたってノットレイダーは恐怖によって奔放な思考を束縛しようとしているようです。
 「きらめく星の力で憧れの私描くよ」
 
そして、プリキュア側は“憧れの私を思い描く”というイマジネーションの力によってこれに対抗していくようです。
 ということは、さしあたってノットレイダーの恐怖による思考停止は、イマジネーションの対立概念ということになります。

 「キラやばー! やっぱり宇宙人だよね、何それ、触角!? かわいー!」
 「グイグイ来る! この地球人、宇宙人とか怖くないでプルンスか!?」
 
つまり、ひかるのこういう恐れを知らない好奇心も、イマジネーションと何か関連があるということなのでしょうか。

 “イマジネーション”って何なんでしょうか。
 “好奇心”と“多様性”が前面に押し出されたこの第1話において、わざわざイマジネーション要素が出張ってくることに、いったい何の意味があるのでしょうか。
 そこを考えていくと、ふと気付くことがあります。

 「オリジナル星座完成! かわいすぎ! キラやば! 流れ星に感謝だねえ」
 
そういえば、フワの星座を思いつくにあたって、ひかるはどうして流れ星というきっかけを必要としたんでしょう。
 もっといえば、オリジナルの星座なんてどうせいくらでも好き勝手つなげられるものなのに、どうして天体観測しながらじゃないと描けないんでしょう。

 「ふわっふわ。――フワ! 名前、『フワ』ってどう? ふわふわの『フワ』!」
 「あ、そうだ。『フワ座』っと。星座の名前も決まり!」
 
それはきっと、新しい誰か(何か)との出会いが想像力を刺激してくれるからなのではないでしょうか。
 イマジネーションは自分のなかから湧きあがってくるもののようで、実際は外部からのいろんな刺激によって生まれてくるもの。ひとりでいては想像できる幅に限界があるけれど、自分と異なる価値観に触れて、これまで知らなかった新しい世界をどんどん知っていくことで、イマジネーションは無限に広がっていく。
 人の心にある内的宇宙と、地球の外側に広がっている外的宇宙は同じ広さをしている。
 イマジネーションを描くためには新しい出会いが何よりも必要で、だからこそひかるとフワの出会いにはイマジネーション要素が挿入される必要があったのかもしれません。

 ・・・もっとも、このあたりは第1話の感想として語る分にはさすがに先走りすぎ、これから話数を重ねながらもっとゆっくり考えていってもいいことでしょうけれど。

新しいプリキュア

 いずれにせよ、今話はひかるとフワが出会い、仲よくなり、お別れの危機に際して戦う物語です。

 お別れの危機は2回訪れました。
 「さあ、渡すのだ! お前の代わりに我々がその力を使ってやる!」
 ひとつはもちろん敵であるノットレイダーのカッパードによるもの。
 「ララ、逃げるでプルンス! 世話になったでプルンスー!」
 
そしてもうひとつは、本来味方のポジションであろうプルンスによるもの。
 ・・・プルンスさん、もしかして前作のハリーと同じ立ち位置にあるキャラクターなんでしょうか。プリキュアの理解者っぽくふるまっていながら、実際はプリキュアと対立する思想を持ってストーリーを深掘りしていく役割だったアレ。

 ひかるはどちらの危機に対しても同じ対応をしました。
 フワを追いかけ、無茶を承知で知らない世界へ飛び込んでいく!
 「私はフワを、フワを・・・フワを守るー!!」

 ただの好奇心と呼ぶだけでは収まらないこの無鉄砲さは、宇宙の多様性を守るものとして発展していくのか、はたまた自分のイマジネーションを拡張させるものとして発展していくのか。
 いくらでも今後の展開を妄想できてしまうのが新アニメ第1話の楽しいところですね。

 キュアスターの頭の上にある星に描かれている花はコスモス
 読んで字のごとく“宇宙”を意味する「cosmos」と同じ語源から名付けられています。花言葉は「調和」「美しい」「愛や人生がもたらす喜び」など。
 花の名前も花言葉も、宇宙の星々と同じく、少しずつ色の異なる花々がどこまでも一面にぶわーっと咲き並ぶ様子に由来しています。

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『スタートゥインクルプリキュア 第1話感想 新しい出会いって、とってもワクワクする。』へのコメント

  1. 名前:ピンク 投稿日:2019/02/03(日) 18:33:09 ID:589fc6ab0 返信

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    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    はじめまして。プリアラの終盤くらいから拝見してます、ピンクです。

    公式サイトによると、まずイメージするという行為自体が未知の世界に対する足がかりとして定義されてるみたいですね。
    実際冒険作だったHUGっと!プリキュアの感想をネットで調べると、自分の中の世界だけであーだこーだ批判するだけの人がなんと多いことか(これまた身勝手な愚痴)
    私自身は宇宙とかUMAに興味ないんですが、これからひかるを通して少しずつワクワクもんにしていけたらいいかなと思ってます。

    ところで……今作から全文章に下線部引くようになりましたか?
    少しごちゃごちゃした印象だったので気になりまして。

  2. 名前:疲ぃ 投稿日:2019/02/03(日) 20:04:29 ID:589fc6ab0 返信

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     はじめまして。
     下線はどうやらHTMLタグが崩れていたみたいです。ちょくちょく妙なセンスの文字装飾をしていることはありますが、さすがにこれはわざとじゃありません。ご指摘くださりありがとうございます。

     私、今ちょっと私生活の方が芳しくない状況でして、今年は事前情報ほとんど仕入れる余裕がなかったんですが、イマジネーションを未知の世界の受容とリンクさせていく発想には本当にびっくりしました。もうこれ自体が柔軟な発想ですよね。
     第1話の感じだと『HUGっと!プリキュア』よりもさらに尖った物語になりそうなので、昨年から引き続き可能なかぎり先入観を持たず周りの言論にも振りまわされずに(自分の主観で)視聴していきたいと思っています。

  3. 名前:東堂伊豆守 投稿日:2019/02/07(木) 02:06:59 ID:589fc6ab0 返信

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    主人公・星奈ひかると妖精フワ、プルンスそしてララが出会う第一話を視ていて、「家臣(プルンスとララ)の目を盗んで堅苦しい城を抜け出し城下町へやって来た姫様(フワ)が、自由奔放な若侍(ひかる)と出会って意気投合する」という時代劇の定番モチーフを思い浮かべた私のイマジネーションは完全に昭和路線……。
    ひかるとララが交流するシーンなんかは「ローマの休日」ぽくもあるんですが(これも昭和だ)、「藩乗っ取りを企む悪家老一派(ノットレイダー)が送り込んだ刺客(カッパード)に襲われた姫様を若侍が助ける」展開が後に続いて、ああやっぱり時代劇やん、と。
    この私のイマジネーションが的確なんだとすると、プルンスは「体面とか建前にうるさい組織人で、腕っぷしの強さを買って若侍に姫様の用心棒を頼むものの、自由人気質の若侍と反りが合わずちょくちょく衝突する家老」キャラなのかもしれません。本作のテーマに沿って言うなら「立場や役目に追われているうちに、イマジネーションの大切さを忘れてしまった大人」といった感じの。
    そして、もしかするとララもまた……どちらかというと"大人"側の存在なのかもしれない。公式サイトに掲載されている彼女のプロフィールも、そう考えると腑に落ちてくるんですよね。
    ともあれ……さあ、果たして、ひかる侍の愛刀"いまじねいしょん"は敵が仕掛ける「恐怖による思考停止」の罠を叩き斬り、フワ姫様と宇宙の平和を守ることが出来るのか!?じっくりと見守っていきたいですね。

  4. 名前:疲ぃ 投稿日:2019/02/10(日) 15:25:59 ID:589fc6ab0 返信

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     第2話で思った以上にガッツリ大人として描写されましたね、ララ。思考が固いんじゃなくて責任感があるという意味での大人でしたが。
     私、このポジションはそれこそプルンスかひかるのお爺ちゃんが担うものだと思っていましたよ。「堅苦しいお説教を言うのも実は相手を守ろうとしてのことだったんだ」みたいなエピソードで。想像よりステキなかたちで大人を描いてもらえて良き良き。

     『Imagine』は私も好きな曲ですが、こちらは個人のこだわりを放棄して平準化していく世界を願う詞になっているので、『スタートゥインクルプリキュア』とは目指す理想が少々異なりますね。改めて聴くと時代が変わったなあと思います。
     “多様性の受容”という平成後半らしいテーマを掲げつつ、モチーフとしてSFとかいう昭和末期の流行を取りあげるあたり、つくづくプリキュアシリーズはへそ曲がりだなあと思いますね。そういうのも多様性の一環か。