超人女子戦士ガリベンガーV 第12話感想 なんてったってアイドル。

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生徒役:電脳少女シロ、ときのそら、金剛いろは

私は甘いもの好きだから、きっと自分の好きな人もスイーツの匂いがすると思います。

出演バーチャルYouTuber

電脳少女シロ

「エイジが言うなら何でも合ってる!」

 清楚(アップランド)。シロちゃんは清楚な子なんだから、清楚っていうのはシロちゃんみたいな子を表す言葉なんだよ! ・・・てな具合であらゆるものをシロ色に染めあげてきた愛すべき暴君。後に残るのはみんなが優しくなれる世界です。
 やたらと語録が豊富、そしてやたらと逸話も豊富。というのも彼女は多趣味・多芸なうえ、やたらと柔軟な発想力も持ちあわせ、ついでに傍若無人な性格なため、自由にさせると大抵常人に理解できない奇矯な言動をしはじめるからです。彼女の動画を見てなんともいえない気持ちになったときは「シロちゃんの動画は為になるなあ」と、とりあえず納得しましょう。彼女はあなたが為になることを望んでいます。
 まるでアブない人のようですが、そして実際アブない人なのは確かなのですが、こう見えて彼女は共演者をよく見ています。聡明です。共演者の対応力を推し測り、ギリギリ捌ききれる程度のムチャ振りを仕掛けるのです。きわめてタチが悪い。

ときのそら

「えっと。好きな人とはすごい近づきたくなるんじゃないかって私は思ってて――」

 清楚(ほんとう)。歌声爽やか、雰囲気ほのぼの。きわめて真っ当にアイドルしている清純派です。メジャーレーベルからアルバムを出していたり、アニメやドラマなんかにも出演していたり、本当にアイドル。特に裏の顔もなく普通にアイドル。
 おっとりマイペースでいつも前向きなのがこのキャラクターの魅力です。ちょっとやそっとのことでは笑顔を崩しません。それはもう、怖ーいホラーゲームをプレイしているときですらニコニコです。むしろホラーゲームをしているときの方がニッコニコです。怖がりな人にホラーゲームをプレイさせて隣で見ているときなんて無上の喜びです。若干サドっ気が垣間見えます。いつでものほほん笑顔を絶やしていないのは本当です。
 最近はよくできた後輩も増えてますます勢いを増しているアイドル道。これからもぬんぬんマイペースに、止まるんじゃねえぞー!

金剛いろは

「そういうことになっちゃうのか。どうしよう。笑わなきゃ・・・!」

 清楚(ツッコミ待ち)。言うこと為すことだいたいアタマワルイ感じに見られてしまうのが金剛いろはという女です。映画フリークなおかげでそこそこ幅広い知識を持っているはずなのに、いかんせん態度が伴わない。
 キャラクターの特徴としてはとにかく粗忽者。テキトーに変なバカゲーを買ってきてはグダグダなプレイを見せたり、プライベートの話をしては何も考えずだらしないエピソードばかり披露したりします。けれどそれで視聴者がイライラしはじめてからこそが彼女の真骨頂。こう見えて聡い子です。ささくれ立った視聴者の気持ちをほどよく煽りかえし、それでいて絶妙な愛嬌で心に深く潜りこみ、いつの間にかイライラを笑いに変えてしまいます。人を喜ばせることに関しては動物的な嗅覚を持った女の子です。
 引き笑いをすればニワトリか南米のサルのごとく、普通に笑えばジブリ映画に出てくるババアキャラのごときガハハ笑い。とことんかわいげのないキャラクターですが、悔しいけれどかわいいことを認めざるをえない。しばしばボルゾイの仔犬に喩えられている愛されキャラです。

授業構成おさらい(+ 補足事項)

超難問:恋愛の謎を解明せよ!

 恋愛学で有名なモリカワ先生ですが、実は本来の専門は政治学だったりします。人間が政治判断を下すとき、実は意外と先天的な性質の影響を強く受けて意志決定しているのではないかと仮定し、進化生物学的なアプローチから政治のメカニズムを読み解こうとしている学者さんです。恋愛学はそこからフォークしてきた研究分野のようですね。今回の授業で人間の本能に関する話題が多く出ていたのはこのためです。
 ちなみにこの手の学問はあくまで全体としての傾向を考察するものであって、全ての人に当てはまる絶対的な法則というわけではありません。実践的なテクニックとして盲信したり、逆に自分に当てはまらなかったからといって学問の価値そのものを誹謗したりするのはやめましょう。

トピック1:人を好きになるとなぜキスをしたくなるの?

 電脳少女シロが唇を内臓が表出した器官だとして「五臓六腑を支配したい」、ときのそらが「好きな人とはすごく近づきたくなる」と、それぞれ仮説を出しました。要するにいずれも“パートナーと最大限接近したいから”という説ですが、今回の授業はそこからさらに踏み込んで、ではなぜ接近したくなるのか?を科学的に読み解くものでした。

 そもそも恋愛は、まずお互いを見て(視覚)、次に語りあい(聴覚)、やがて距離が縮まってお互いの匂いが嗅げるようになり(嗅覚)、デートして手を繋ぎあい(触覚)、最後にキスする(味覚)という段階を踏みます。パートナーを五感で味わいつくす集大成としてキスがあるということで、モリカワ先生はキスを「恋愛の総合芸術」と表現しました。
 キスをすることで人間はパートナーの何を味わおうとするのかといえば、それはバクテリア(常在菌)。パートナーの体に住むバクテリアが自分にとって有益なものか有害なものかを知るために、人間は本能的にキスを求めあうというわけです。

 バクテリアの交換を目的とするとされるキスは人間以外の野生動物にも広く見られる行動で、特に親子間でのキスが多く見られます。キスじゃなくても親が反芻したものを子が食べるなどしてバクテリアの授受を行うこともありますね。
 また、世界中たくさんの異なる文化圏においても人間はキスという行動を自然発生的に獲得してきました。キスが外国の習慣として捉えられがちな日本においても、性交渉としてのキスは古来から行われています。少なくともキスが何かしらの本能による営みだという発想はそう突飛なものでもないでしょう。

トピック2:なぜ好きな人は良い匂いがするの?

 ときのそらが「自分と相性のいい人とかを探すため」と仮説を立てました。おおむね合っているのですが、今回の授業内容はもっと踏み込んだものでした。
 正解はHLA(白血球の血液型みたいなもの)の遺伝子が自分と近いかどうかを判断するため。白血球の型の違いが大きければ大きいほど幅広い抗体を遺伝させることができるので、病原体に強い子が産まれやすくなります。これを「雑種強勢」といいます。
 『人類最大の悩み 体臭SP』でも体臭には血液由来の匂いが含まれると勉強したとおり、体臭を嗅げばパートナーの免疫系について情報を得ることも不可能ではないわけです。人間が性交渉としてキスを行うのは体臭を嗅ぐためだ、という学説もあるようです。

 ちなみに金剛いろはが気付いたとおり、思春期の女性が父親の臭いを拒絶するようになるのは、この逆のメカニズムが起きていると考えられています。

トピック3:なぜ男は一目惚れをしやすいの?

 ホモサピエンスの遺伝子は発生初期から現代に至るまでほとんど変化していません。このため、最も古く最も本能的だったネアンデルタール人などの生活様式から、人間の本能的による活動様式を推察することができるとされます。
 旧人類の社会では主に男性が狩猟を受け持っていたとされます。狩猟を行うには視覚が重要。だから現代においても男性は視覚に頼ってパートナーを選ぼうとするんだ、というのがモリカワ先生の説です。

 ここでときのそらが「男性が自分に一目惚れしたら、どうやったらわかるのかな」と質問、授業が発展的内容へ移りました。
 オランダのファン・ストラーテンらの研究によると、男性は初対面で好感を持った女性を平均8.2秒ほど見つめつづけることができ、そうではない女性に対しては4.5秒程度しか持続させられないという有意な差が認められたそうです。また、反対に女性が男性を見つめる場合には気に入っても気に入らなくても有意な差が出なかったとのことです。

トピック4:なぜ男は過去の恋愛を引きずるの?

 ここでは金剛いろはが「ワンチャンあると思ってしまうから」と仮説を出しました。ふり返ってみれば当たらずしも遠からずといった感じにも思えますが、例によって今回の授業はその事象をいかに科学的に読み解くかに主眼が置かれています。
 答えは「男の人の方がフられる確率が高いから」。
 俗に「恋愛均衡説」といって、結婚市場ではお互いの主観的な価値が同程度の人物をパートナーに選ぶ人が多いとされています。これは外見や学歴、経済力などを総合的に考えたときの自分と相手の評価です。そして当初は同程度の価値を持っていると思っていたパートナーが、自分より劣っていると感じられるようになったとき、人はパートナーをフるんだというのがこのトピックでの基本的な考えかたです。フった側は相手の価値を低く見、フられた側は依然変わらず対等に見ているため、フられた側だけ過去のパートナーに未練を持つことになるわけです。
 男性より女性の方が、時間経過とともに相手の価値の目減りをより大きく感じやすい傾向があるそうです。それがどうしてかという理屈は・・・けっこう生々しい話っぽいのでここで書くのはやめておきます。

トピック5:合コンで絶対座ってはいけない席は?

 このトピックは「スティンザー効果」という心理学の学説によって解説されました。本来はグループディスカッション時の席選びの傾向を観察した研究です。(学説自体には席選び以外の内容も含まれます)
 これによると、相手の正面に座ろうとする人はその人に対して敵対的な感情を持っている場合が多いそうです。隣に座ろうとする人はその人の意見に同調している人、斜めの席に座ろうとする人は建設的に意見を交わそうとする人という傾向です。

 このトピックについては逆説的に解釈できない学説を逆説的に使っちゃっているので、正直にいうと私としてはマユツバだなあと感じるところです。

トピック6:絶対に失敗しないデートの誘い方は?

 ここでは「ダブルバインド」「おまけ戦術」「戦略的服従」といった、心理学を応用した話術のテクニックを具体的に紹介していきました。
 学術的に正しいかはさておき、広く知られていて、なおかつさほど効果を否定されていないということは、実際にそれなりの効果を期待できるということなんじゃないでしょうか。

感想

 「どうですか。好きな人とかできたらやっぱ、その人いい匂いするなあってなっちゃいますかね?」
 「えー。でもなんか、いい匂いは自分と相性のいい人とかを探すために良い匂いの人がいるのかなって思ってて、で、なんか私は甘いもの好きだから、きっと自分の好きな人もスイーツの匂いがすると思います」
 「あ! ここで補足なんですけど、ごんごんはいつも鼻が詰まっているので嗅いだことなかったんじゃなかったっけ」

 ・・・アイドルってやっぱり大変なんだなあと思った次第。

 今回出演した3人は3人ともアイドルっぽい売り出しかたで人気を得ているバーチャルYouTuberです。見た目こそバーチャルなアニメキャラですが、コンテンツとしてのありかたは生身のアイドルと大して変わらないものと考えていいでしょう。
 おそらく、特定のアニメキャラに入れ込む人たちの存在を知っているアニメファンほど直観的にこのあたりの感覚が理解しやすいんじゃないでしょうか。人は生身の人間以外にも恋することができます。というかテレビの向こうにしかいない生身のアイドルと、同じくテレビの向こうにしかいないアニメキャラやバーチャルYouTuberに、いったいどんな違いがあるものか。

 アイドルには処女性が求められるものだそうです。処女といってもセックス経験の有無ではなく、もっとそれ以前の、恋愛経験の有無にまで遡るんだそうで。要求水準高いですよねー。

 そんなわけで、コトウゲ教官のこの質問って実はけっこうな地雷なんですよね。アイドルである以上、自分の経験として語ることが絶対にできない質問。
 私はその手の話は全然気にしない人間なので、最初どうして電脳少女シロが突然妙な“補足”を話しはじめたのかピンとこなかったんですけどね。感想を書くために見返してみるとなるほど、ナイスな話題切り替え。聡明で配慮上手な彼女らしいフォローでしたね。
 そしてときのそらも1年以上清純派を続けているだけあってさすが見事な躱しっぷり。私がコトウゲ教官の立場だったら、もし電脳少女シロのフォローがなかったとしても「それ糖尿じゃねーか」と話題をズラしてツッコんでいたと思います。
 金剛いろはは――色気のない持ちネタを山ほど持ってて、これはこれでアイドルの資質だなあ。アイドル部を知ったばかりのころ、迂闊なところの多い彼女がそのうち何か大きな炎上騒ぎを起こしちゃうんじゃないかと心配していたものですが、今となってはむしろ彼女こそ安定感があって頼りがいを感じますもんね。

 いやー、それにしても・・・アイドルって大変だなあ。

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