超人女子戦士ガリベンガーV 第11話感想 かわいそうはかわいい。

生徒役:電脳少女シロ、北上ふたば、甲賀流忍者!ぽんぽこ

先生! それは見つけたあと召し上がったんですか? ああ、これは味はほぼないです。 食べてる! 食べてる!?

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→ TVerアーカイブ配信(放送後1週間限定)

→ 未公開シーンが投稿されているYouTube公式チャンネル

出演バーチャルYouTuber

電脳少女シロ → YouTube公式チャンネル

「やっぱり先生タダモンじゃねーな」
 物騒なことばっかり言ってる割にはグロテクスなものが人一倍苦手な一歳児。でも“キモい”という第一印象を“物騒”に変換することさえできれば一瞬で普段の調子を取り戻すことができる不思議な感性の持ち主でもあります。「ねえホント嫌なのー。ホントにゾンビは嫌なのー」
 やたらと語録が豊富、そしてやたらと逸話も豊富。というのも彼女は多趣味・多芸なうえ、やたらと柔軟な発想力も持ちあわせ、ついでに傍若無人な性格なため、自由にさせると大抵常人に理解できない奇矯な言動をしはじめるからです。彼女の動画を見てなんともいえない気持ちになったときは「シロちゃんの動画は為になるなあ」と、とりあえず納得しましょう。彼女はあなたが為になることを望んでいます。
 まるでアブない人のようですが、そして実際アブない人なのは確かなのですが、こう見えて彼女は共演者をよく見ています。聡明です。共演者の対応力を推し測り、ギリギリ捌ききれる程度のムチャ振りを仕掛けるのです。きわめてタチが悪い。

北上双葉 → YouTube公式チャンネル

「ピコン。行ったことがないのでわかりません」 すっかり常識人枠と不幸属性が板についてきたゆるふわガール。この一文だけですでに意味不明なキャラ付けになっていますが、実際に両立できてしまうのがフィクションとノンフィクションの境界を反復横跳びするバーチャルYouTuberならではの面白さ。
 今はやりのASMRを得意としており、kawaii癒やしボイスと、それを生かす音響ノウハウによって、聞く者の脳を甘くとろけさせます。声という絶対的なアドバンテージを持つ彼女ですが、一方でその歩んできた道はけっして平坦ではありませんでした。人より多くのトラブルにぶつかり、人より多くのことに悩んできました。挫折し、膝をつき、けれどそのたびに凜と立ち上がる姿はまさにアイドル。
 そんなわけで外見から受ける印象とウラハラ、意外と精神的には成熟していたりします。気がついてみればいつの間にか貴重な常識人枠に。大食いとオッサンみたいなセクハラトークはご愛嬌。

甲賀流忍者!ぽんぽこ → YouTube公式チャンネル

「でっかくてかわいくてキモチワルイのがまたかわいくてなんかオッシャレーみたいなサブカル」
 
このキャラクターについては私が詳しくないのでちゃんと紹介できません。
 特定のプロダクションに所属せず、兄妹で個人として活動しているバーチャルYouTuberです。個人で活動しているキャラクターとしては珍しくコンプライアンスやプロモーションがしっかりしているようで、たくさんのバーチャルYouTuber事業者と良い信頼関係を築いています。ちなみにご当地チューバーとの紹介がありましたが、調べてみるとくまモンではなくふなっしーの立ち位置のようです。 お兄さん
 (厳密には兄ではないけれど実際兄なのは公然の秘密)のピーナッツくんはああいうキャラクターです。『ガールズ&パンツァー』に出てくるボコられグマのボコみたいなノリだと思えばだいたい合ってる。(例えのほうがマイナー疑惑)

授業構成おさらい(+ 補足事項)

超難問:深海の謎を解明せよ!

 6週間ぶりのナガヌマ先生。深海の定義から深海独特の環境条件を解説し、そこに適応した例として具体的な深海生物たちを紹介していく授業・・・だったんだと思います。“千本ノック”と銘打たれていますが明らかにオムニバス形式を意図したものではありません。トピックの構成を見ると相変わらずよく練られているのが伝わってくるのですが、編集時点で何かあったのか、実際の番組はなんだか妙にチグハグとした流れになっていました。

トピック1:そもそも深海って何?

 北上双葉の「行ったことがないのでわかりません」という発言がおそらくこの場では一番の正解。私たちの知っている環境とはまったく違うというのが深海の特徴です。
 “深海”とは一般に、水深200m以上の海域のことをいいます。200mより深い海には太陽光がほとんど届かず、従って光合成で生育する植物が存在できず、従って表層の海とはまったく違う特異な生態系が構築されているからです。
 ナガヌマ先生は深海を解説する3つのキーワードとして「暗黒」「水温」「高圧」を挙げました。暗く、冷たく、圧力がキツい。地上や表層の海の生物では生存できないことが容易に想像できる過酷な環境下で深海生物たちがどうやって生きているのか、次のトピックで見ていくことになります。

トピック2:深海に行ってみよう!

 いつもの「スン」で実際に深海の様子を見てみました。深海のなかでも特に海底火山周辺の様子です。
 甲賀流忍者!ぽんぽこが「ジャコ! ジャコじゃない?」と、(正しくは)エビが火山周辺にたくさん群がっている様子に気付いたり、電脳少女シロが「すごい食べ物がいっぱいで、深海のお魚っておいしいのかな?」などと発言したりしたように、深海と聞いてイメージする風景とウラハラ、海底火山周辺では非常に多様な生物たちが活動しています。
 ここから話題がどんどん授業から離れていってしまったのか番組では詳しく解説されませんでしたが、実はこの海底火山というのが深海生物を語るうえではすごく重要なようです。火山があるということは、すなわちその周辺の水温は温かいということだからです。トピック1で語られた深海環境の過酷さを説明する3つのキーワードのうち、少なくとも「水温」がこれで解決できます。たぶんこのあたり、収録時点ではかなり詳しく語られていたのではないでしょうか。

 また、ナガヌマ先生が一部の深海魚の食味について「かなり脂っこくて――」と語ったことも実は重要。深海の水圧下では浮き袋が使えない(体内に気体を取り込むと破裂してしまう)ため、これらの生物たちは体内に水より比重が小さい脂を蓄えることで代わりの浮力を得ているんです。

トピック3:「深海神7」を発表!

 1匹目はダイオウイカ。一部の深海魚は体に脂を蓄えることで浮力を得ているわけですが、このダイオウイカは油ではなく塩化アンモニウムを蓄えることで浮力を稼いでいます。
 2匹目はダイオウグソクムシ。この生物は甲殻を持つことで深海の高水圧環境から身を守っています。また、海底火山から離れて活動するためきわめて省エネルギーな生態をしており、何年もエサを摂らなくても生存できますが、代わりに動きはとても鈍いようです。ナマケモノみたいですね。
 3匹目はオオグチボヤ。番組でも紹介されたように、富山湾の巨大コロニー発見はナガヌマ先生の功績のひとつです。大きく開いた口(正確には入水孔)から海水ごと周囲の生物を取り込み、エサとしています。深海は生物分布がまばらなため、より多くの海水を吸い込むために口が大きくなっているわけですね。
 4匹目はオオイトヒキイワシ。この生物の進化は深海の“暗黒”という環境特性にアプローチしています。自分からエサを探しに行くのが難しいから、その場に立ったまま向こうからエサが来るのを待ちつづけられるように三脚のようなヒレを獲得したわけです。
 5匹目はユメナマコ。これは単純に見た目の面白さからピックアップされたのでしょうか。衝撃的な歩きかたに電脳少女シロがビビっていましたね。ちなみに次のアカチョウチンクラゲと同様、発光します。
 6匹目はアカチョウチンクラゲ。海中の発光生物を捕食するため、必然的にこの生物も胃から発光します。提灯のように見える赤い部分が胃です。深海では光が稀少なため、ムヤミに目立ちすぎないよう胃を赤く進化させたといわれています。
 7匹目はチューブワーム。ナガヌマ先生のお気に入り。基本的には海底火山周辺に生息しています。トピック2で甲賀流忍者!ぽんぽこが見つけたエビなどは火山から出る硫黄成分をエネルギーに変えるバクテリアを捕食して生活しているのですが、このチューブワームはそもそもそのバクテリア自体を体内に住ませていて、捕食活動すらすることなくただ海底火山周辺に存在するだけで生存に必要なエネルギーを得ています。植物が光合成しているようなものですね。

 最後に、甲賀流忍者!ぽんぽこの「一番おいしい深海魚は何ですか?」との質問に対してアブラボウズとの回答がなされました。ギンダラの仲間で、小田原漁港で水揚げされる非常に脂が乗った魚だそうです。脂が多いのは深海魚の特徴のひとつですね。バラムツなどと違ってちゃんと人間にも消化できる脂なのでご安心。
 ちなみに“オシツケ”というのは正しくは料理名ではなく、アブラボウズの異名のようです。煮付けが小田原の名物料理になっているようなので、ナガヌマ先生は居酒屋なんかで単に「オシツケ」とだけ説明されて煮付けを出されたのを勘違いして覚えているのかもしれませんね。あるいは地元ではアブラボウズ=煮付けにするものという認識で、アブラボウズの煮付けのことも「オシツケ」と呼んでいるのかもしれません。私の母の出身地では「馬スジ」といえば馬スジを味噌煮にした料理のことでした。

感想

 トピック1の3つのキーワードをもう少し詳しく解説したうえでトピック3の「深海神7」の紹介に移ることができたらもっと充実した授業風景になっていたかもしれません。それぞれの生物について調べてみると、そのほとんどが「暗黒」「水温」「高圧」のいずれかに適応するため、このような突飛な姿に進化していることがわかります。そこだけは正直もったいないと思いました。トピック2にもう少し尺を使えていれば。
 ・・・まあ私は(この番組をきっかけにして)自分で調べるからいいんですけどね。この調べようとする意欲自体、ガリベンガーVに好奇心を刺激されつづけたおかげです。

 トークの方はグロテスクなものニガテな電脳少女シロがナガヌマ先生に翻弄されまくっていたのが面白かったです。
 「いいものをお見せしましょう」
 「やったー!」
 「ユメナマコというものです」
 「・・・ナマコ? えー、グロい・・・。わー! 山神様(おそらく『もののけ姫』のタタリ神のこと)じゃん、これ! ヤバいんだけど!」
 
この流れは美しかった。実に美しかった。「かわいそうはかわいい」という電脳少女シロ自身の持論を地で行く急転直下ぶりでした。そのあと「臓器が歩いてるみたい」と表現することで自力で立ち直ってコトウゲ教官をイジる流れに変えてしまう奇人っぷりも併せて、さすがシロちゃんは見ていて為になるなあ!って感じです。

 他にもオオグチボヤを官能テストしていたエピソードとかね。(富山漁協から名物料理の開発でも打診されました?)
 チューブワームの体液を注射してみたエピソードとかね。(ペンギンのワンダーネットの件といい、他生物の身体特徴を取り込もうとするの好きですね)
 想定を大幅に上回るナガヌマ先生の変人っぷりを目の当たりにしたときの、電脳少女シロの茫然自失としたリアクションがいちいちかわいらしかったです。

 「やっぱ天才なんだな」
 せやな。

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