ドラゴンクエスト3 HD-2Dリメイク プレイ日記その7 グリーンオーブ入手まで

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この国の王は謂れのない罪で無実の人々を捕らえ、厳しい処罰を与える・・・。そんな危険な人物なんだ。
私の父サイモンもそのひとり。10年ほど前、王に逆らった罪で捕らえられ、どこかの牢獄に幽閉されてしまった。

勇者サイモンの息子

このブログはあなたがプレイ済みであることを前提に、割と躊躇なくネタバレします。

冒険の書13

 戦士シュアン記す。

 マソホが旅の仲間から離れる前に、我々は一度アリアハンに戻ることにした。

 慌ただしい一週間だった。
 まずは国王陛下へご挨拶と旅の進捗報告。細かい内容はソーリョクに任せ、その日のうちに俺はマソホはとともに彼女のご家族のもとへご説明に伺った。
 ヒイロは家に帰した。ムオル村で譲り受けたオルテガの形見の品を母親に見せてやらねばならんし、あいつには今のうちに休息が必要だろう。師として情けない話だが、あいつが心を開ける相手はそうそういない。今後はこれまで以上に辛い旅になるだろうしなあ。

 マソホはご両親に旅をやめる理由を説明するだけでなく、今後の商売についての打ち合わせもしたいようだった。アリアハンで商船を見た記憶はないが・・・、何かアテがあるのだろう。
 あいにくそのあたりの話はさっぱりだ。俺のそんな顔に目ざとく気づいたのだろう、マソホは俺を中座させて、一人の男に引き会わせた。

 男はカナリアと名乗った。最近アリアハンに来た人間で、今は商会の馬車の護衛として働いているらしい。歳のころは18か9。顔のつくりを見るに、ロマリアあたりの出身だろうか。
 素振りを見せてもらったが、若い割になかなかのものだ。これで我流だというのだから、2,3年どこかの流派の指導を受けるだけで一端のものになるだろう。
 そうマソホに伝えてやると、やつはこめかみに指を当てて、「旅の仲間としてはどうですか?」と聞いてきた。
 なるほど。そういう意味だったか。

 俺たちはカナリアを新たな仲間に迎え入れて、旅を再開した。
 正直なところ、1週間やそこらで背中を預けられる人間かどうかの見定めはできない。剣の腕も、俺たちの旅の目的を考えると即戦力とはいえない。だがまあ、マソホが推薦した男だ。少なくとも人間性は信用していいだろう。話していても誠実そうな印象は受ける。
 歳がヒイロに近いというのも正直助かるしな。あいつが気心知れた道場の兄弟弟子から腕の立つのを選ぶのではなく、この男を連れてきたのも、そのあたりが一番大きいのだろう。

 いったいどういう経験を積んできたのやら、カナリアはなにかと小器用な男だった。
 エジンベア国の王城に忍び込んでは少数部族から略奪してきたと噂の渇きの壺をくすね取り、今度はその壺を土産に元の持ち主から話を聞いて、秘された祠を開く方法を教わってはそのまま壺ごと借り受けた。
 祠には世界中あらゆる扉を開けてしまう、最後の鍵と呼ばれる秘宝が収められていた。この鍵を持ってテドンに行こうと言いだしたのもカナリアだ。以前我々が見つけた、壁に書かれていたオーブの手がかりが気になったのだという。日が落ちるまでじっくりと村跡を調べてまわり、・・・まあ色々と不可思議な体験をしたうえで、みごとグリーンオーブを発見することができた。

 今は旅の扉をいくつか経由して、サマンオサという国を目指しているところだ。
 山間にあるこの国は、かつてオルテガと同時期に勇者を輩出したことがあるのだという。

冒険の書14

 勇者ヒイロ記す。

 すごいものを見た。

 サマンオサ国王が魔物と入れ替わっていることを知った私たちは、変化の術を打ち破る神器を持ち出し、偽サマンオサ王と対決した。
 偽サマンオサ王は見上げるほどに巨大な怪物、ボストロールだった。

 その巨体と、手に持つ丸太のような棍棒を見た瞬間、シュアンさんが久しく聞いていなかった大声で私たちに指示を出した。

 「ソーリョクは呪文で攻撃! 敵に狙われても全部俺がしのいでやるから、呪文を唱えることだけに集中しろ! カナリアは離れたところで敵を観察! 棍棒以外での攻撃を仕掛けてきそうなら妨害してくれ! ヒイロも俺の後ろに下がってカナリアの護衛! 攻撃に参加するのは隙があったときだけでいい! カナリアと自分の身を守ることを最優先!」

 誰かの指示のもとで魔物と戦ったのは初めてだ。
 私はひとりでも戦える自信があったし、旅の仲間もみんな自分の身は自分で守れる人たちだったから、それぞれの判断だけでうまくやれていた。

 ただ、あの棍棒での一撃をいなせるのは私とシュアンさん、マソホくらいのものだろう。軽装のソーリョクさんにはさすがに無理だ。カナリアさんも、私が見るかぎり剣の腕前はマソホに劣る。
 全員が生き残るにはこの隊形じゃなきゃダメだと、シュアンさんは一瞬で判断したんだ。

 ずっと疑問に思っていた。
 私たちに守りの剣術を教えてくれたのはシュアンさんなのに、どうして得意の型を変えてまで、私たちに教えてなかったような危険な間合いで戦おうとするのかなって。
 そうじゃなかったんだ。今までは私たちのことまで気を配る必要がなかったから、攻撃に集中できていただけなんだ。

 シュアンさん本来の剣の型は、やっぱりこっち。

 怪物の、風を切ってズシンズシンと繰り出してくる縱打横打を、シュアンさんは全部受け止める。受け流す。
 私が勇者として名乗りを上げるための最大の壁だった、あの剛さ、あの柔さ。久しぶりに見た。どんな角度から剣を振っても必ず全部止められたし、どれだけ息をずらしても必ず全部合わせられた。私の浅はかな考えなんて全部お見通しだった技の冴え。まるで水の塊にでも剣を打ちこんでいるような気分だった。
 焦った怪物がときおりこちらにも棍棒を振るってくる。だけど私だってシュアンさんの弟子だ。こんな力任せの打撃をいなす技くらい、体に染みつくくらい教えてもらっている。
 小癪にも呪文でこちらの調子を崩そうとしてくる。だけどそれもカナリアさんが魔法の道具で逐一阻む。

 戦いは今回も一方的に終わった。敵の巨体は、ソーリョクさんが撃ちこんだ数十発の火球によって隅々まで焼き焦げ、くずおれた。私たちの勝利だ。

 「シュアン先生! 先生って、やっぱり強かったんですね!」

 興奮してつい昔みたいな生意気な口ぶりになってしまった私を見て、シュアンさんもなぜだか嬉しそうに、ニカッと笑った。

 いやまあ、実際にはレベル20そこそこの盗賊なんて連れてる舐めプだったのもあって、ボストロールは大激戦だったんですけどね。運の低さがぼちぼち響いてきたのか、ラリホーどころかマホトーンすら安定して通らないし。

 最終的には戦士が魔法使いを「かばう」(におうだちと違って2ターン継続するため)→「うけながし」のローテーション。
 魔法使いはひたすら「メラゾーマ」。
 盗賊は戦士のルカナン対策として「さざなみの杖」でマホカンタ。戦士のHPが減ってきたら「特やくそう」。
 勇者は盗賊に攻撃が飛んできたとき「ベホイミ」or「ザオラル」、自分に来たら「めいそう」、暇なターンは「ライデイン」。
 ・・・という作戦でどうにかこうにか下しましたとさ。

キャラクター設定

カナリア(盗賊;くろうにん)

【過去】――何が自分をつくったのかという認識

1【誰の役に立ちたいか】(A+C)

 商人マソホ。

 カナリアはバハラタ地域でマソホにスカウトされた、元カンダタ子分だ。現在18歳。鞍替えした理由は単純に、金を積まれたから。
 ただ、そのマソホは盗賊団のなかから自分を選んだ理由を「あなたはたぶん裏切らないから」と言っていた。これから買収しようという相手をそんなふうに評する人間を見るのは初めてだ。だが、確かにそのとおりだと思った。

2【誰に支えられているか】(B+D)

 アリアハンの人々。

 マソホからは用ができるまで実家の手伝いをするよう指示され、しばらくの間アリアハンで隊商の護衛をして暮らしていた。
 アリアハンの人は気安かった。単純にヒイロたちの近況を聞きたがったのもあるし、そうでなくとも事あるごとに親切にしてくれた。次に何かあったとき返してくれればいい、という緩やかな互恵関係は、普通の街で暮らしたことがほとんどなかったカナリアにとって新鮮で、それでいて意外にもしっくりとくるものだった。

3【嬉しかった想い出】(B+C)

 カンダタに拾ってもらえたこと。

 カナリアは奴隷として売られた子だった。奴隷商人の馬車で故郷から街へ運ばれる途中、たまたまカンダタの襲撃に遭い、そのまま彼の盗賊団に拾われた。
 カンダタは気さくな性格ではあっても特段面倒見のいい人物ではなかった。一緒に拾われた子どもは他に6人いたが、カナリア以外は1年以内に全員死んだ。カナリアはカンダタや他の子分たちに必死にごまを摺り、かわいげを見せ、気に入られているうちに見よう見まねで盗みの技術を身につけることでなんとか生き延びた。
 盗賊団を抜ける直前には倉庫番を任せられる程度に信用されていた。もっとも、それはただ団の外に頼れる人がおらず、裏切りの心配がなかったというだけでもある。それでも媚びを売れば大事にしてもらえるだけ、子どもを売るような親に育てられるよりよかったとカナリアは今でも思う。

4【傷ついた出来事】(A+D)

 口減らしで親に捨てられたこと。

 カナリアは枯れかけた炭鉱町の出身だ。
 5歳の時分、いつものように朝目を醒ますと見覚えのない幌馬車に揺られていた。周りを見回せば何人か見知った顔の子どもが泣きべそをかいていて、大人はひとりもいなかった。
 親からもらった名前は捨てた。カンダタに拾われたあとは代わりに、坑夫だった父親から昔聞いた話から取って、自嘲気味に「カナリア」と名乗ることにした。

【現在】――自分は何者なのかという認識

A【がんばっていること】(1+4)

 誰にも頼らず生きていける力を身につけたい。

 カナリアはあらゆる人間とビジネスライクな関係でありたいと考えている。
 自分の命には自分だけが責任を持つべきだ。自分の命を守るために必要な力は自分だけで賄うべきだ。情などという不確実なものを頼りに誰かに依存していては、いつまた自分の命が脅かされてしまうのか予想を立てにくい。
 別に裏切られても構わない、という前提があってこそ、余計な猜疑心なく人に気を許せるというものだ。

B【任せてほしいこと】(2+3)

 恩は必ず返す。

 カナリアは自分で思っているより義理堅い人間だ。恩を返すべき相手のためなら自分の命ですら平気で投げ出せる。カンダタのもとを離れることにしたのは、それこそ彼から受けた恩は全て返し終えていると認識していたからだ。
 マソホに買収されたとき、カナリアは几帳面にもカンダタに全て説明し、別れの挨拶をした。カンダタは有能な子分の離団を惜しんだが、提示されたという金額を聞いてすっぱりと諦めた。この男なら道義にもとる無理な引き留めはしないだろうと、カナリアも確信していた。

C【よく気がつくこと】(1+3)

 相手が信用していい人間かどうか見抜く処世術には自信がある。

 カナリアは普段、自分がした働き以上の報酬は受け取らないようにしている。次の仕事を断りにくくなるためだ。
 その一方で、自分が自主的に報酬以上の仕事をすることに関しては特に問題だと思わない。相手がそれきりで放っておくならそれまでの関係。自分を高く評価し更なる関係を築こうとしてくれるならその信頼を受け入れるまでだ。
 そんなカナリアが初対面のうちから信じようと思った人物は過去に2人だけだ。カンダタとマソホは、どちらも将来への投資のつもりで、利得を見込んで自分に目をかけてくれたのだ。

D【耐えがたいこと】(2+4)

 身近な人を信じられなくなること。

 幸いなことに、というかなんというか、カナリアはこれまでの人生において、自分を捨てた両親以外の相手に手ひどく裏切られたことがない。・・・というのがカナリアの自己認識だ。
 カナリアは信用できない相手からの施しを受けず、その一方で自分が奉公する側であるなら過剰な仕事も厭わない。自分が勝手に必要以上の仕事をしただけなのだから、仮に報酬が働きに見合わなかったとしてもそれは仕方ない、というふうに考える。自分→相手と、相手→自分で許容する干渉の度合いが不均衡なのだ。
 それはカナリアが自身の経験から組みあげた処世術であるのだが、不用意に誰かを信用して裏切られたくないという彼の臆病な心の表れでもある。

【未来】――これまでの総括とこれからの夢

α【自分の手で守りたいもの】(1+2+3+4)

 自分自身の信用。

 己の身ひとつを頼りに生きてきたカナリアにとって、信用は生命線だ。たとえどんな割を食うハメになったとしても、自分は使える人間だという印象をその都度付きあう相手に見せつけなければならない。

β【自分にまだ足りないもの】(A+B+C+D)

 無償の善意を信じられるようになること。

 カナリアはリアリストの皮を被ったお人好しだ。誰かのために尽くすことを好み、誰かに親切にされることに喜びを感じる。ただ、過去のトラウマから、己の仕事の対価ではない無償の善意を受け取ることに臆病になっているだけだ。

γ【いつか叶えたい理想の自分】(α+β+1+A)

 ただ、人の輪に加わりたい。

 カナリアが思っているほど世界は残酷なばかりではない。
 カナリアが思っているほど、カナリア自身も酷薄ではない。
 彼はごく普通の感性を持つ、ごく普通の人間だ。多少特殊な環境で育った程度のことでは、彼の本質が歪むことはなかった。

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