魔法つかいプリキュア!第5話感想 気持ちがぶつかってしまうのは、あなたのことをもっと好きになりたいから。

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ケンカなんてしてない!

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(主観的)あらすじ

 2日目の補習は氷の島で魔法のやかんを使うこと。それ自体は簡単な魔法ですが、寒さでなかなか魔法に集中できません。今日の授業の課題は集中力。「暖かければ魔法使えるんだよね」 みらいはクラスメイトを巻きこんでおしくらまんじゅうをはじめます。一方リコは「集中力の補習なのにありえないわ」と、ひとりで魔法を試しつづけますが、やはりなかなかうまくいきません。体の暖まったみらいたちに先を越されてしまい、結局リコひとりが魔法を成功させないまま、授業は終わってしまいます。
 授業のあと、リンクルストーンの気配を感じたみらいたちは島を探索しますが、先ほどのこともあってギクシャクしどおし。何を言ってもケンカになってしまいます。気まずい沈黙の中、みらいはリコの手がしもやけになっていることに気がつきます。思えば先ほどの授業で彼女は指先の冷たさを我慢して杖を振りつづけていたのでした。リコが意固地になっている理由に気がついたみらいは反省し、自分の正直な気持ちを打ち明けます。するとリコも心の内を打ち明け、ふたりは仲直りします。ケンカを乗り越えたふたりの絆は襲いかかるヨクバールにも負けません。この一件以来、ふたりは名前で呼び合う仲になったのでした。

 オールスターズ映画が本当に本格的なミュージカルをやるようで期待感MAX。
 それからテレビシリーズの音響演出が例年どおりに戻りましたね。これまで妙にBGMなしのカットが多くて気になっていたのですが、どうやら演出手法が変わったのではなく、映画の方にリソースをとられていただけのようです。ミュージカルって大変。
 語られるべき膨大な物語背景もおおむね消化したのか、次回はついにリコの家族が登場。いよいよ魔法つかいプリキュア!の物語が加速しはじめます。

好意のお仕着せ

 みらいはリコの事情を知りません。「立派な魔法つかいになりたい」という夢は聞いていますが、それが彼女にとってどれだけ大切な願いなのかわかりません。どういう家に育ってどういう価値観を育んできたのか知りません。ただ偶然に出会って、憧れの存在で、しかも親切に面倒を見てくれるから懐いているだけです。ある意味で依存しているといって差し支えないでしょう。
 リコの方もみらいを気に入って何かと気にかけてはいますが、彼女がどういった人間なのかを計りかねて、必要以上に自分のことを話せずにいます。
 今回はこの浅い関係がケンカの種になりました。

 前話に引き続き、みらいはまた新しい発想を提案しますが、この行動力はリコがそばにいるという安心感から来ています。もし何か困ったことになってもリコが助けてくれる。リコのことをよく知らないので根拠は薄弱なのですが、今までも必ず助けてくれたという経験が安心感となって、彼女の大胆な行動を支えてくれます。知り合って2日目のクラスメイトとおしくらまんじゅうなんて、なかなかできることじゃないですよ!(引っ込み思案の感性)
 試行中のリコを押しのけてまで自分の魔法を試したがる感覚に至っては、年長のお姉さん(あるいは母親)に甘える子どもそのものです。あまり気をつかわなくても許してくれる相手。上手くできたたらなんでも褒めてくれる相手。失敗してもなんとかしてくれる相手。そういう一方的な信頼をしていると、ついつい自分と相手の気持ちを同一化しがちなんですよね。つまり、自分が相手のために行動したなら向こうも絶対に喜んでくれる、そんな感覚。
 ところがリコは本当はそんな都合のいい人間ではありません。当然ながら彼女には彼女の考え方がありますし、特別なこだわりもあります。立派な魔法つかいを目指す彼女にとって、自分以外の力で達成した課題には何の意味もありません。むしろ学ぶ機会、能力を披露する機会を奪われたとすら思えます。補習が始まる前まではみらいの協力はリコにとってありがたいものでしたが、補習中に限ってはみらいのやりたいこととリコのやりたいことが一致しなくなったんですね。
 みらいがリコの事情をよく理解できていれば、あるいは避けられたすれ違いかもしれません。リコの目的が単に補習をパスすることではなく、立派な魔法つかいになるために成長することだと、みらいに正しい認識があれば今回のケンカは起きずに済んだでしょう。けれどそれは問題の引き延ばし。今後もふたりが仲良くしていくならいつかは必ずぶつかる問題です。
 だから今求められているのはお互いの理解ではなく、一方的な依存関係の解消。対等な友達関係の再構築。

人はね、みんな違う。愛し方や痛みも違う。

 ふたりが対等な友達になるために、物語はまずみらいのリコへの同一視を正します。具体的には補習の課題をリコに変わってみらいが達成すれば、リコも喜んでくれる、という誤解ですね。
 リコは手がかじかんでもひとりで杖を振りつづけました。あのときのおしくらまんじゅう自体は褒められるべきアイディアで、それに参加できなかったことはリコ自身の問題でもありますが、それはきっと今後解消される課題。ここで大切なことは、彼女がたったひとりででも努力していたことです。しもやけになっているリコの指先を見て、みらいはそのリコの努力に思い至ります。以前から「立派な魔法つかいになりたい」という夢は聞いていたので、その努力を支えるだけの動機があることに思い至ることはそう難しいことではありません。今まではその発想自体がなかっただけです。
 「リコちゃんの気持ち考えなかった」「リコちゃんにとって魔法はとっても真剣なこと」「私ひとりで夢中になっちゃって、魔法が使えたことが嬉しくて、はしゃいじゃった」 一度気付いてしまえば正しい認識ができることが、素直なみらいのステキなところ。今度は自分と違う考え方を持つリコの視点に思いを巡らすことができています。みらいの中でリコが「お姉さん」から「友達」に変わった瞬間です。

 相手が「友達」に変わったのはみらいだけではありません。リコだってそうです。みらいが対等な立場から自分を思いやってくれるなら、こちらもまたひとつ自分の気持ちを開示することができます。
 「うらやましかった。魔法を使えたあなたが」 今度さらけ出したものは自分の醜い心。恥ずかしい事実、分不相応な夢に続き、またひとつ他人に知られたくないものを開示します。あなたになら知られても平気、あなたとならもっと近しい仲になりたいという表明。
 仲良くなりたい気持ちを秘めていたからこそ、とっさのときには名前が出ますし、ちゃん付けを取り払ってお互いに呼び捨てしあう仲を求めます。話に聞くところによると、どうやら女の子にとって敬称というのは思いのほか厳格な意味があるようで、上下関係のない親しい仲であればあるほど敬称の一致を求めるものらしいですね。

 アクアマリンは自己表現を助けるパワーを持った石。海の持つ安らぎの力を司り、穏やかな心でもって人と人とのコミュニケーションを円滑に取り持ちます。
 水ならともかく氷のリンクルストーンとして扱われるのはいまいちピンと来ませんが、物語を象徴することを優先してのチョイスでしょうか。
 どうかふたりがお互いに違うことを理解し、それでもお互いに何もかも打ち明けられる、かけがえのない友達であり続けられますように。

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