魔法つかいプリキュア!第8話感想 あなたは空を飛べる。だって飛ぶ理由があるから。

自分を信じて飛びだせば、きっとできますよ。

魔法つかいプリキュア! 魔法のほうき

(主観的)あらすじ

 今日の課題は空を飛ぶペガサスと記念撮影すること。いよいよみらいも魔法のほうき初挑戦です。みらいもリコもそれぞれにきっかけがあってなんとか飛ぶことはできましたが、ペガサスとの記念撮影まであと一歩というところでふたり一緒に墜落してしまいます。
 落ちた先には苦しみうずくまっているペガサスの子どもがいました。みらいがケガを癒やす花を見つけてペガサスの子どもを癒やしたとき、折りよくペガサスの母親が降りてきます。再会を喜ぶペガサス親子の涙から生まれる新たなリンクルストーン・ピンクトルマリン。
 ところがそこにスパルダが襲いかかり、ペガサスの母親をヨクバールに変えてしまいます。これではヨクバールを攻撃できません。ミラクルとマジカルはお互いを信じてチームワークとピンクトルマリンの力で無事ペガサスの母親を救出し、ヨクバールを浄化します。
 すっかりペガサス親子と打ち解けたみらいとリコはもちろん記念撮影にも成功。残る授業はあと1回だけです。

 ほうきで空を飛ぶ話とペガサス親子との交流、2つのエピソードと2つのテーマが混在していて、あらすじだけを追いかけるとちょっと取っ散らかった印象の今回。ふたりがこれまでやってきたことを確認し、ふたりがこれからやっていくであろうことへとつなげる橋渡し。物語は次回の序章総まとめへ向かって一度収束します。
 それはそれとしてメルヘンチックな魔法の森は絵本のように優しくて、それだけでとても魅力的。またなにかの機会に訪れてほしいですね。

飛べる自分を信じて

 「とにかくはーちゃんを助けなきゃって、そのことで頭がいっぱい」「みらいを助けようと思ったからうまく飛べたモフ」「上手にほうきに乗るコツは、信じること」 みらいとリコが飛べた理由とアイザック先生の教え、字面ではまるで話がつながっていませんが、結局のところこれに尽きます。彼女たちには「飛べる自分」が必要で、だから「飛べる自分」になれる可能性を信じたのです。

 みらいが飛べたきっかけは、1度目ははーちゃんが飛ぼうとした姿に勇気づけられたからでした。もっとも、まともに成功したのは浮かぶところまでで、すぐに暴走させてしまいましたが。2度目はリコの手の中から落ちたはーちゃんを助けるため。こちらはとても速く上手に飛べました。ただしこちらもはーちゃんを助けて一息ついたとたんに墜落してしまいます。
 彼女は好奇心旺盛で、目の前に何か目指すべきものがあれば躊躇なくまっすぐ突き進む強さがあります。第4話、授業1回目に見せた活躍が典型例ですね。躊躇なさすぎてあとで困ることもありますが、そのまっすぐさは間違いなく美徳です。だって、これまでも誰よりも先頭に立って課題クリアの道を見つけてきたのですから。「できる。できるって信じれば何だってできる!」 それは彼女の生き様を肯定する言葉です。飛べると信じていれば飛べます。はーちゃんを助けられると信じていれば助けられます。これまでもそれでうまくいっていたのですから。
 けれど一方で彼女には将来の夢がありません。魔法を学ぶ目的も好奇心、あるいはリコを助けるため。短期的な目標にはあれこれとすぐに飛びつくくせに、長期的な目標を持っていないのです。短期的な目標を達成したら次はどうするべきなのかという発想がありません。だからとりあえず浮けたことに満足してしまってほうきを暴走させてしまうのです。はーちゃんを助けられたことに満足して油断してしまうのです。思い返せば第6話、魔法の杖の課題でもこの悪癖が出ていました。
 総じて、みらいが飛べたのはそれだけ彼女が自分が飛べることをまっすぐ信じられたからでしょう。善くも悪くも「飛べる自分」以外の余計なことは考えないのがみらいらしさ。困ったことになってもきっとリコが助けに来てくれるからいいんです。要はアレです。オープニングで調子に乗ってほうきの上に立とうとして落ちかけるアレ。あの姿が今の彼女の全てを象徴しています。

 リコが上手に飛んだのはほうきを暴走させたみらいを助けるときと、はーちゃんを助けて気を抜いたみらいを助けるとき。それからマジカルとしてミラクルのために陽動を買って出たときもですね。一方ではーちゃんが手の中から落ちたときはほうきが不安定になってみらいに一歩後れをとっています。
 彼女はみらいとは反対に自分を信じていません。幼いころから優秀すぎる姉を目標にして、できない自分とのギャップに苦しんできましたから。「できる。できるって信じれば何だってできる!」 そんなこと言われても実際やってみてダメだったのがリコです。飛んでいる自分なんて想像できっこありません。どう考えても第6話のように無謀な高い目標を掲げ続けて成功体験を積んでいなかったことが原因だと思いますが。
 だから彼女が実力を発揮するには、そういう余計な考えを切り捨てる必要があります。例えば補習に追い詰められてナシマホウ界へエメラルドを探しに行ったり、魔法商店街を傷つけられた怒りでルビーを復活させたり、姉への親愛をどうしても形にしたくてペンダント型の水を凍らせたり。みらいを助けるために空を飛ぶことに至ってはこれが初めてすらありません。余計なことを考えないときの彼女の爆発力はみらいをも上回ります。なにせ彼女には「立派な魔法つかいになる」というステキな夢がありますから。大きな目標を掲げている彼女がまっすぐ突き進んだなら、まだ小さな目標しか持てないみらいより大きな力を発揮するのは道理ですね。
 リコが空を飛べたのは、それだけ余計なことを考えずに自分が飛べることだけを信じたいと思えたからです。信じたいと思ったからって「飛べる自分」を本当に信じられるのは誰にでもできることではありませんね。それだけリコが大切な友達と出会ったということの証明です。それだけ大切な友達が危なっかしいということでもあります。オープニングとか。

 ふたりはお互いに苦手な部分を助け合うことで、それぞれの良いところを開花させる形で成長してきました。苦手なことが解消したわけではありませんしまだまだ半人前ですが、少なくともすでに落ちこぼれではありません。今や人魚たちやエミリーに憧れられる側の存在ですらあります。
 ふたりで手をつなぐ物語は、いよいよその手を外へと伸ばす段階に進もうとしています。(たぶん)

優しい気持ちの輪

 「みんなの優しい気持ちにピンクトルマリンが応えたモフ」 トルマリンには癒やしのパワーがあるとされます。というのも、この石は自然状態で磁性を帯びる唯一の鉱石で、古くからこの神秘性が民間療法に活用されてきたからですね。心身ともに健康にするというのがこの石の主立ったイメージとなります。また磁性を持つということから連想されて、善いものを引き寄せる、人と人とを結びつけるという意味合いを持つこともあります。
 ピンク色の花畑はサイネリアでしょうか。花言葉は「いつも快活」「いつも喜びに満ちている」。こちらも健やかさへの願いを託された花ですね。大きな花の方はキク科の特徴と副花弁があることからダリアの仲間がモデルだと思うのですがちょっと自信ないです。
 毎度言ってることですが、ネットってつくづく便利ですね。

 「甘ーい香りで森の生き物を呼び寄せるんですって」ケイから怪談仕立ての噂話を効きますが、実際その場に行ってみるとどこにも悪意はありませんでした、というお話。とかくよく知らない相手には悪いイメージを抱きやすいものです。前話の人魚たちもそうでしたが、今回は人間の方が相手を怖れる側。どこにだってあるんです、そういうの。誰でも知っていますし、それでいて誰もがきっとどこかで勝手な悪感情を抱いてしまっています。手をつなぐ前から、それどころか知り合う前から、関係性を断絶させてしまう不幸。
 けれどきっと、たとえ出会う前から関係性が断絶していたとしても、手をつなぎあえる可能性はどこかに必ずあるんです。それこそが優しい気持ちの力。「ほんとだ。嫌な感じが全然しないね」「みーんな優しい顔してるモフ」 なにせ優しい気持ちを育むトルマリンは、人と人とを結びつける力も併せ持つのですから。あなたが優しい気持ちで接すれば、あなたが相手の優しい気持ちに気付きさえすれば、たとえどれだけ不幸な出会いだったとしても手をつなぎ合える関係になれます。大抵みんな笑顔でご飯を食べればだいたい解決。
 スイートプリキュアがそういう物語でしたね。響と奏、ハミィとセイレーン。元々は仲良しだったのがふとしたきっかけから反転して断絶、そこから彼女たちはほぼ一から関係を再構築していきました。そのときそれぞれの仲を再生する力になったのが奏やハミィの優しさ。諦めずに何度も相手に語りかけることで関係を結びなおすことができました。その優しさを胸に抱いて、今度は響がノイズへ。全くの他人、明らかな敵対関係であっても、仲よくなれる可能性は絶対にある。

 「ええい、やっぱり心があるものはダメだね」 そりゃそうですとも。お互いに心があるなら、優しさはいつだって必ず人と人とを結びつけるものです。ノイズですら笑顔にさせたくらいです、その力は折り紙付きですよ。

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