ふらいんぐうぃっち第3話 津軽人は津軽弁が大好き

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このエピソード、ネットのそこかしこで津軽弁のダメ出しをしている人を見かけますが大目にみてください。
津軽人は津軽弁をネタにするのが大好きなんです。

とりとめのないこと

 天気予報。青森県の天気予報は基本3分割です。面積的には三八上北と下北を合わせてもまだ津軽の方が広いのですが、地形でわかるとおり気候区分上この分け方が適正です・・・と、頭ではわかっているのですが、割と三八上北と下北の天気はよく被るので、津軽人から微妙にヘイトを集めていたり。ちなみに農家の方々が見るような時間帯の天気予報はもう少し詳細に表示されますが、そうなると今度は面積の広い津軽の方が観測地点が多くなります。こちらの方が津軽人の精神衛生上ちょっと優しい。

 津軽弁。先に書いたとおり、津軽人は津軽弁が大好き。「訛るが勝ち」とか「いいでば!英語塾」とか「津軽弁の日」とか、津軽弁をテーマに扱ったテレビ・ラジオ番組やイベントをよく目にします。むしろローカル番組で津軽弁が扱われないものがないレベル。こんなことしているから津軽と南部の対立が激しくなるんだ。
 ちなみにどこの方言でもそうですが、津軽弁もやはり地域によって訛り方や単語に多少の差が出ます。ネットで見かける津軽弁が人によってマチマチなのはこのせいですね。テレビやラジオでよく聞く伊奈かっぺい、野津こうへい、黒石八郎、大友寿郎あたりの津軽弁が基準として認識されていますが、聞く人が聞くと彼らのあいだですらそれぞれ結構な差異があるとか。私はあんまり津軽弁が得意ではないのでよく分からないのですが。
 それぞれ別の集落の津軽人同士で飲み会を開くと津軽弁談義が花開きます。というかどちらかというと自分とこの方がより強烈に訛っているんだという張り合い大会ですね。津軽では何言ってるんだかわからないしゃべり方をする人こそが官軍。「お前の言葉きれいだな」「東京の人みたいな話し方するな」が悪口になる世界です。言葉のきれいな人もそれはそれで尊敬されたり重宝されたりするので、要は中途半端が一番よくないって話ですね。
 ・・・何気なく出てきましたが、この「一番よくない」って言い回しはとっても津軽的。よく使われる津軽訛りに「いぐね」という言い回しがあるので、それを標準語に直訳して「よくない」という言い方を多用するわけです。津軽人は「悪い」という言葉をあまり使いません。

 家の裏の畑。当然ながら農家は生計を立てるための広い田畑を持っているわけですが、それとは別口で家の敷地内に小さな畑を持っていることが多くあります。ここで自家消費用のものや趣味のものを小規模に育てるわけですね。要は家庭菜園。都会の方がイメージするよりもうちょっと大規模かもしれませんが。
 ちなみに家のすぐそばに畑を持つと虫がしょっちゅう家の中に入ってくるので、家庭菜園に幻想を抱いている方はお覚悟を。

 農具。剪定ばさみがあるってことは倉本家はリンゴ畑も持っているんですね。市町村合併の影響もあり、農地面積がとにかく広い弘前市はリンゴ生産量日本一です。比較的観光地として有名(青森県民基準)な弘前市が農業面でも一番を取っていることで他の市町村民から若干のやっかみがあるとかないとか。
 主力品種は「ふじ」。もう50年以上育てている品種なのでいいかげん代替わりすべきなのですが、ブランドイメージというのは強烈なもので、なかなかスムーズに移行されませんね。新潟県ががいつまでも「コシヒカリ」を作り続けているのと同じ事情です。実際優秀な品種ではあるのですが、弘前大学が日夜新しい品種の研究を進めているので、本当はより食味よく収量も多い品種は無数に存在するのですよ。それでも新品種に置き換わらないのがブランドという広告価値の偉大さですね。ただ美味しいだけじゃ売れないんです。

 畑仕事。ここまでエラそうにウンチク語ってきましたが、実のところ私は農家の事情はさっぱりです。両親が勤め人でしたので。一度祖父母の家の畑を手伝ったことはありますが、真琴と同じへっぴり腰で一本一本雑草を引き抜いていたら戦力外通告をされて、その後呼ばれなくなりました。

 キジ。畑仕事をろくに手伝ったことがないので野生のを見たことはありません。ただ庭先でペットとして飼っている家はいくつかありましたね。キジとか、あとクジャクとか。地元民でもやっぱり捕まえたくなるみたいですよ、千夏さん。

 休憩のおやつ。農家の休憩時間といえばベルミーコーヒー(今はジョージア)でしょうが!なに麦茶なんて飲んでるの!・・・体力を使うからか農家の方は甘い缶コーヒーを好みます。今調べたらベルミーコーヒーってカネボウが出してたんですね。へー。プルタブ時代の缶ジュースは意外なメーカーが意外な商品を出していることが多々。
 お茶請けはチョコパイもいいですが、どちらかというと工藤パンのイギリストーストとかチョコスプレーとかのイメージ。まとめ買いされるので地域密着型のローカルスーパーでは菓子パンのおつとめ品を5、6個詰め合わせて売っていることが多いですね。

 トレーナー姿の真琴さん。アニメ絵は乳袋でないおっぱいが良いですね。かわいらしくて且つエロい。だいたいが2次元の女の子は細すぎ&胸大きすぎなのですよ。現実にはある程度胸を強調したシルエットじゃないと胸が小さく太って見えてしまうものですが、彼女たちのスタイルならだぼっとした服の方が釣り合い取れてると思うのです。むしろ柔らかそうに見えることこそ重要。

 倉本家の玄関。田舎の家は鍵を掛けません。最近はそうでもないですが、古い家は今でも割とそんな感じです。なにせそもそもインターホンがついていませんから。ただでさえ風除室含め戸が2枚あるのですから、戸をノックされても家の中には聞こえません。用があるなら勝手に中まで入って「いだがー?」と声を張り上げろ、の精神。代わりに居間はたいてい玄関が見える位置にあるので、声を出してもらえればすぐ応対できます。訪問調査のアルバイトをしたときはいきなり知らない家に入るのにはさすがに抵抗があって、割り切るまで苦労したものです。

 お花見は平日に。本州最北端の桜の名所というだけあって、弘前公園の観光客はとても多いです。朝の東京駅みたいな感じで人の波に合わせて移動しないと身動きが取れません。そのうえ当然というかなんというか、地元の人はそういう歩き方に慣れていないので結構混沌とした流れになりますね。
 ちなみに桜祭りとしてのピークはちょうど今、ゴールデンウイーク期間。枝々にびっしりと咲く花の見事さも有名ですが、弘前公園の観光地としての強みはむしろこのタイミングにこそあります。まあ聞くところによると、残念ながら今年はもう咲き終わりつつあるようですが。ソメイヨシノの見ごろは短いですからね、毎年タイミングばっちりとはいきません。・・・八重桜やしだれ桜はまだ見ごろだと思うので、まだ見に行っても損じゃないんじゃないかな、たぶん。出店もいっぱい出ているはずですし。

 「あら、ケニーさん」。真琴のこのねじを数本締め忘れた感じのレスポンスの遅さが大好きです。圭もたいがい遅いのに目立たないマイペースぶり。

 カカオ豆。カカオの加工には発酵とか乾燥とかの処理が必要ですが、果たして日本の気候でできるものなんでしょうか。・・・まあ青森でもゴーヤやモロヘイヤが育つくらいですし、意外と植物様ってたくましいので、案外やってみればいけるかもしれませんね。

 岩塩。せっかくの板状なら、鉄板代わりに調理器具として使うのも楽しいですよ。肉や野菜をそのまま乗っけて焼くだけでほどよい塩味に。表面が水に溶けるので焦げつき落としも楽々。ただし割と趣味的なアイテムなので過度の期待は禁物。

 原油。確かにこればかりは使い道に困りますね。仕方ないのでカメムシ退治グッズにでも活用したらいかがでしょう。カメムシは灯油のニオイに誘引されますし、灯油に浸かると即死するので、カメムシの多い地域では灯油を入れた瓶をカメムシの駆除グッズとして活用します。原油なら粘り気もありそうですし、より強力なアイテムになりそうです。

 コーヒー豆。これは家庭でも普通に焙煎して使えますね。ネタ度低め。むしろ麻袋の高精細なテクスチャが気になります。

 「人目につかないところ?大概つかないよ」。ただでさえ人口密度低いうえに車社会なので、普通の住宅地で出歩く人を見かけることはほとんどありません。ただし人がいない分逆に変わったことをするとたいそう目立つので注意。人気がないように見えて住宅の中ではおじいちゃんおばあちゃんがお茶飲みながらテレビ見てます。ちゃんと神社に場所を移した茜さんはよく分かっています。

 呪文。どこかで見たことのある文字だと思ったら、これヘブライ文字ですね。ゴーレムの額に貼り付けるやつ。用事が済んだら「EMETH(真理)」の頭文字を消して「METH(死)」にして処分しましょう。
 ちなみに当てずっぽうでいくつか適当にgoogle翻訳に放り投げてみたところ、どうやら今回の呪文は「鳥」と書かれているようです。

今週の津軽弁

「ん、なした?植物の勉強?野菜?・・・はだげが。んだば、ぃえの裏さあるはだげっこばつかえばい。草おがってまってらはんで、なんぼがとろけねばないけんど、あそごだばいびょん。小屋さ鍬どかシャベルあるはんで、それも使っていいはんで。ズキもわんつかあるはんで、それ撒げばいい」

「ん、どうした?植物の勉強?野菜?・・・畑か。それなら、家の裏にある畑を使うといい。草が生えてしまっているから、いくらか片付けなければいけないけれど、あそこならいいだろう。小屋に鍬とかシャベルがあるから、それも使っていいからな。肥料も少しだけあるから、それを撒くといい」

「おお、やっちゃーな。・・・おお、いい感ずだ」

「おお、やってるな。・・・おお、いい感じだ」

「おお、なんぼでも聞げ」

「おう、いくらでも聞け」

「んだなー、確かに色々あるばって・・・おっ、キジだ!真琴、キジ見だごどねべキジ。までろー、今捕めで見せでやるがら。コラ、待で、待でってばこの、おめ、わばバガにしてらのが!待でって!捕めでみせれってが?上等だ、おい、待でー!」

「そうだなあ、確かに色々あるけれど・・・あっ、キジだ!真琴、キジ見たことないだろうキジ。待ってろ、今捕まえて見せてやるから。コラ、待て、待てってばこの、お前、俺をバカにしているのか!待てって!捕まえてみせろってか?上等だ、待てー!」

 あえて直訳気味に。あくまで大本は日本語なので落ち着いて聞けばだいたいは聞き取れるはず。県外向けにかなりマイルドな訛り方になっていますしね。少し古めの日本語だと思って聞くのがコツです。
 基本的に日本語は京都で新しい言葉が生まれるたびに、人の移動とともに全国に更新されていきました。そのため京都から離れた東北や九州の方言はやや古い日本語がベースになっているのです。このあたりの事情は『全国アホ・バカ分布考』(松本修 著、太田出版)という本に詳しく解説されています。さらっと気軽に読める本なのでもし興味があれば読んでみてください。

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