ふらいんぐうぃっち第10話 調理シーンをみると無意味に茶々入れたくなる、これもきっと日常の魔法。

特別なこだわりがあるわけでもないのに、不思議ですね。

ふらいんぐうぃっち(4) (週刊少年マガジンコミックス)

レシピあれこれ

 カレー。小パッケージのカレールーはだいたい5~6人前で、このレシピの具材もそれに準じた分量になっています。・・・提出分を加味しても3人で食べるにはちょっと分量多すぎですね。
 ・・・と思ったら水の量だけは3人前。金沢カレーよりもさらにモッタリ粘度高い仕上がりになりそうですよ、先生。

 ハンバーグ。なんでこれひとつだけレシピ凝っているんですか先生。ハンバーグ好きなんですか先生。4人前で挽き肉600gも使ったら、タマネギその他と合わせてひとりあたま200gサイズですよ先生。これにカレーやサラダを合わせて食べたらちょっとした体育会系ボリュームですよ先生。おいしそうなソースですが、調理実習にバルサミコ酢だなんてよく予算おりましたね先生。言うほど高いものとはいえ。
 牛乳大さじ10よりは3/4カップの方が計りやすいと思うのですがどうでしょうか。10回も大さじに牛乳を注ぐのって結構な手間ですよ。
 蒸し焼きはともかく、ハンバーグを終始強火で焼くのはいかがなものでしょうか。
 トマトベースの濃厚なソースなのでてっきりグレイビーを活用するタイプのレシピと思いきや、ソースは小鍋でつくるんですね。
 ところでこのレシピだとハンバーグを仕上げてから10分近くかけてニンジンのグラッセに取りかかるようですが・・・。しかもバターと砂糖は分量外ですし。

 サラダとクッキー。ハンバーグに比べてこのシンプルさよ。特にドレッシング。家庭科の教科書によく載っている基本のフレンチドレッシングですね。調理実習はあくまで調理器具の扱い方や食材の特性、栄養バランスのよい献立を学ぶために行われるものなのですから、このくらいシンプルな方が学習目的がわかりやすくていいと思います。
 ただ難癖つけるならクッキーを上に書いて先につくらせた方が合理的だと思います。クッキーは後半工程にオーブンで焼いたり冷ましたりする待ち時間がありますし、サラダも(マリネするのでなければ)なるべく出来たてを食べた方が野菜の水分がボウルに溜まらなくて済みますし。

 無粋な重箱の隅つっつき終わり。

とりとめのないこと

 「助けてぇぇ」 俯いていながらバストのこの控えめな垂れ具合。日がな一日寝こけている茜お姉さんとは雲泥の差です。もちろん元々の器の違いもありますが、最大の違いはやはりブラジャーをつけているか、いないかでしょうね。ノーブラの柔らかさもいいですが、こうしていかなる体勢でも形を保とうとするブラジャーのいじらしさもときにはよいものです。

 家庭科の先生。訛った演技は思いのほか難しいものです。方言を使わない場合はなおさら。普段自然に発音しているイントネーションが、頭の中でセリフをこねくり返すうちに似ても似つかぬ言葉に変わってしまうんですよね。「津軽訛りってどこにアクセント付くんだっけ・・・?」 とか考えてしまった時点で失敗確定。口から紡がれるのはフランスよりも遠いどこかの言葉になってしまうでしょう。

 「一番失敗しやすいのってどれ?」「サラダ来い、サラダ」 残念ながらサラダ係はクッキー兼任のようなので難易度高めだと思いますよ、なおさん。黒板に貼ってあるレシピを見た感じ、一番難易度が低いのは明らかにカレーです。

 「ハンバーグってタマネギ入れんの?」「食ったことあんだろ・・・」 料理に慣れた人と慣れない人の埋めがたい溝のひとつですね。普段料理をする人はどの食材がどんな味になるか、なんとなくイメージがつくもので、完成品を食べてもよほど複雑な調理でなければどうやってつくるのか想像できるものです。むしろ同じものを食べて想像が利かない人が理解できない。
 ところでタマネギは初めに頭を切り落とした方が皮をむきやすいと思います。

 「教えーい!」「さっき言おうとしたんだけど」「ああそっか」 ふらいんぐうぃっちの物語は悪意が登場しないところが魅力のひとつですね。自分に非があればあっさり素直に納得する、こんなささやかな会話にまで善性が張り巡らされていてステキですね。

 戸棚に急須。物語には全くもって関係ない話ですが(今までもたいがいそうでしたが)、学校の調理実習で一番生活の役に立つのって、お茶の煎れ方だと思います。あれは普段の生活ではまず身につきません。急須を温めるとかお湯を冷ますとかお湯を注ぐ前に茶葉を入れるとか、そうする理由から教わらなきゃイチイチやる気になりませんもん。そのくせイザやってみれば味が全然違うし。
 昨今は調理実習をやらない学校が増えてきたらしいですが、あれだけは教えた方がいいと思います。人生の宝です。

 卵。「コンコン、パカッ」のリズムです。真琴でなくてよかった。あやうく次回予告と本編とで色を差し替えられる事態になるところでした。(プリキュアネタ)
 ところで卵を触ったら必ず手を洗ってから食材に触れてくださいね。

 ひとりで淡々と料理を進める圭。この人はつくづくモブの鑑ですね、主要キャラクターなのに。先ほどなおさんが“はじめての(たまねぎ)いっとうりょうだん”を披露したときも心乱されずジャガイモの芽を取っていました。
 ところでその10リットルくらい入りそうな寸胴鍋は何でしょうか。レシピによると加える水の量は300ccだったはずですが。

 「カレーにハチミツ入れんの!?」「味がまろやかになるんよ。ちゃんと煮込まないとトロミなくなっちゃうんだけどな」 カレーの隠し味と言えばコーヒー、ヨーグルト、リンゴあたりが定番ですが、実のところこれらはうまく使わないと隠れてくれません。初心者にお勧めの隠し味は糖類。まろやかさって基本は甘みと油の味の複合なので、ハチミツでなくても白砂糖を少し加えるだけでずいぶん変わりますよ。
 ちなみにハチミツにはデンプンの分解酵素が含まれます。圭が「トロミなくなっちゃう」と言っているのはこのことですね。充分に加熱すると不活化します。

 魔女の小指。ググってみると、どうやらハロウィン菓子のようですね。まれにオランジェット(チョコがけオレンジピール)のことも魔女の小指と呼ぶことがあるようです。
 材料はクッキー生地に、爪を模したアーモンド、それから血液を模したカシスジャム。ちなみに青森県はカシス生産量日本一です。我が県はリンゴに代わる商品作物を模索中なので、この手のややニッチな農作物の増産に余念がありません。
 ところで圭のハチミツといい、このカシスジャムといい、どうして彼女たちは当然のようにレシピ外の食材を持ち込んでいるのでしょうか。

 「カレー完成。あとは提出」 提出用もあるって言ってるでしょう、なおさん。どうしてお皿3枚しか持ってないんですか、なおさん。

 荷台に乗車。当然のことながら道路交通法違反です。けれど農繁期は必要があってこうしている農家がほとんどですから、警察からお目こぼしをもらっているのが実情ですね。

 「千夏ちゃんはすごいですね、何でも知ってて」 魔女見習いたる千夏にとって茜は師匠役、圭は保護者役であるなら、真琴の立ち位置はお姉さん役。たまに魔法を実演したりもしますが、基本的には千夏に愛を注ぐのが主な役割ですね。普段教わってばかりいる子どもは、たまに教える側に回るととても喜びます。さりげなく子どもにそういう役割を与えてあげられるのって、大人として立派な慈しみ方ですね。

 すごい顔の真琴。運転席側の壁は背もたれにちょうどいいのでついつい寄りかかりたくなりますが、それは罠です。進行方向の逆側を向いていると車酔いしやすくなりますし、実際以上にスピード感を感じます。無駄にしんどい目に遭うので素直に前を向きましょう。

 おばさん方。こういうのはご近所さんどうし持ちつ持たれつ共同作業するものです。「この畑の摘花は今日で終わるど思うので」 とお父さんが言っていますが、「この畑」以外の他の畑は倉本さんちの別のリンゴ畑かもしれませんし、ご近所さんのリンゴ畑かもしれません。全部みんなで協力しあいます。
 所有する畑の面積に差があって作業量に不公平があるときは・・・バイト代を出すかお歳暮等に力を入れるしかありませんね。ひと家族じゃ時期中に作業が終わりませんから。

 枝に頭をぶつける。リンゴ畑で走り回って、枝に頭をぶつけて、その拍子に頭から地面に倒れたことがあります。木の枝は高いところにあるという先入観がありますが、リンゴの枝は小学生の身長でも当たり前に頭をぶつけるくらい、本当に低い位置にありますよ。

 摘花作業。リンゴに限らず果樹栽培は大抵この作業をやっているのではないでしょうか。リンゴしか知らない青森県民の勝手なイメージですが。基本的に果実が少なく、葉が多いほど、果実に栄養が行き渡って品質が良くなります。

 「足元になげてって」 この文脈だと「投げる」でも通じますが、津軽人的にはここのニュアンスは「捨てる」になります。「捨てる」を津軽弁では「なげる」と言うんですね。シチュエーションによって通じるような通じないような微妙な紛らわしさがあるので、よく津軽人ジョークとしてネタにされる言葉のひとつです。

 「そっかぁ。君たちはリンゴにはなれなかったんだね」「厳しい世界なんですね」 無理に収量を増やそうとしても価格の安い加工用として扱われるだけなので仕方ありませんね。
 リンゴはバラ科の植物なのでこうして間引いた花も一応食用にできるはず(バラの花のジャムって見たことありませんか?) ですが、青森県でそういう取り組みをしている話は聞いたことがありませんね。もっとも、土汚れのついた軍手で摘んでは商品価値も何もあったものではないですが。

 マメコバチ。青森県のリンゴ農家に普及したのは10年前だったか20年前だったか、結構最近の話だったと思います。私は子どもの頃にリンゴ畑へ数回遊びに行ったきりなので見たことがありません。針を持たないといってもハチ恐いし。
 マメコバチ導入以前は人工授粉を行っていました。すなわち、人がおしべのついた花を手に持って、ひとつひとつの花に擦りつけていくわけです。これがまた摘花以上に大変な作業だったわけで、リンゴに限らず多くの果樹栽培でマメコバチが導入されたのも頷けるというものです。

 「んだば、こいサけ」 マメコバチが噛みつくような悪さをしたなら、その罰として彼らのハチミツを食べてしまえ。・・・いえまあマメコバチはハチミツをつくらないんですが、津軽人はどうもこの手の冗談が好きなようで、よく聞かされたものです。

今週の津軽弁

 第3話よりさらに津軽弁独特の語彙も少なく、マイルドなので普通に聞き取れるのではないでしょうか。唯一リンゴ畑のおばさん方が妙にネイティブな発音をしているのでそこだけ面食らうかもしれません。

 「わいは、めごい子だごど」 あらあら、かわいらしい子ですね。

 「んだば、おめだぢはこの樹がらやってけぇ」 それならあなたたちはこの樹からやってください。

 「摘花作業ってやづは・・・枝サこう花っこ纏まって咲いでるべ? これひとづひとづリンゴサなるのさ。んだばって、これ全部成ってまれば、いいもんサなんねえのさ。んだはんで、ひとづの花サ養分行ぐように、間引ぐんず。こうやって、一番おがってら“中心花”だげば残して、他のは取ってまる。・・・こうなればいいんず。わがった?」
 摘花作業ってやつは・・・枝に、こう花が纏まって咲いているだろう? これひとつひとつがリンゴになるんだ。だけどこれ全部が(果実に)育ってしまえば、(それぞれの果実は)良く育たないんだ。だから、ひとつの花にだけ養分が行くように、間引くんだ。こうやって、一番(大きく)育った”中心花”だけを残して、他のは取ってしまうんだ。・・・こんな感じになるといい。わかったか?

 「あんりゃま、指だ」「こらまだ、わんどの指そっくりだじゃ」 あらまあ、指だなあ。これはまた、私たちの指にそっくりですね。

 「んだば、こいサけ」 それならこれを食べるといいです。

 こうして文字に起こしてみると、なんだか接続詞「サ」の便利さが際立ちますね。

シェアする?

フォローする!

『ふらいんぐうぃっち第10話 調理シーンをみると無意味に茶々入れたくなる、これもきっと日常の魔法。』へのコメント

  1. 名前:atlan 投稿日:2016/07/26(火) 14:07:09 ID:589fc6ab0 返信

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    最終回直前イベントで話されていた内容ですが、実際に津軽弁を喋れる人達を集めたそうです。
    南北それぞれの出身者が左右に分かれて録音していたとの事。

  2. 名前:疲ぃ 投稿日:2016/07/26(火) 23:58:05 ID:589fc6ab0 返信

    SECRET: 0
    PASS: 83849cf6295498c96deb555e00f4c759
    >atlan様
     なるほど、そうでしたか。言われてみるとたしかに「おはよう」の訛りかたがそれぞれ違いますね。(と言いつつ聞き分けできている自信はない)
     ちなみに私は西津軽の出身なのでまたもう少し違う訛りかただったりします。若干アクセントが語頭に寄り気味&もう少し強烈なズーズー弁って感じでしょうか。津軽と南部が別世界というのは県民によくネタにされるのですが、実は津軽平野のなかですら東西南北中央それぞれで言語圏が違うんですよね。

     それにしてもお姉さんがたの津軽弁は演技なのに肩の力が抜けていてステキですね。地元で普通に耳にする津軽弁そのものです。
     「わいは、めごい子だごど」が個人的イチオシ。