ゆゆ式8巻感想 24ページ右4コマ目の縁かわいい!

114ページ左2コマ目の縁もかわいい!

ゆゆ式 8巻

終わらない毎日、変わる日常。

 別にこの巻に限ったことではないのですが、ゆゆ式はいつも同じ日々を描きながらも少しずつ登場人物たちが変わっていくお話ですね。
 それはテンプレート化されたキャラクターを踏襲していないから揺らぎやすいという意味でもあり、彼女たちひとりひとりがいつもお互いにより良い友達でありたいと願っていることの表れでもあります。楽しいから笑うし楽しくしたいからやっぱり笑う彼女たちのじゃれあいは愛に満ちていて、眺めているだけで心が暖かくなりますね。こっちも面白いから笑っているのか嬉しいから笑っているのか、たまにわからなくなります。

ゆずこ

 最近は自らハードルを上げていく芸がマイブームな模様。その後の展開が“意表を突いてみる(6ページ)”だったり“ハズして涙目(22ページ)”だったり“ミラクルが起きて損した(60ページ)”だったりとけっこうパルプンテで、芸のハズなのにいっそゆずこの生き様そのものを表しているようです。言い換えれば「すっかりモノにした」と言えるかもしれません。
 あいかわらず話題の切り出し役を担っているのは変わりませんが、その割に今回はどちらかというと話題の中心にいないことが多い気がします。今回は縁の突拍子もない思いつきが場の空気を持っていくパターン多めですしね。それでも唯をからかいつつ縁を翻訳しつつ、輪の中でごく自然にケラケラ笑っている彼女は、一時期の寂しがり屋アピールしていた頃に比べてずいぶん精神的に安定したなあと思います。
 いえ、根っこは今も寂しがり屋のようではあるのですが、自分からわざわざそれをアピールしなくなったなと。自分のことより唯と縁のことを優先する余裕が出てきたなと。あれ唯と縁を心配させるだけであって「彼女たちにとっては」笑いにつながっていませんでしたしね。とてもステキな傾向だと思います。

 ツッコむときあきれるとき、口角が持ち上がるようになりました。巻を増すごとに、この子は自分がこの場を楽しんでいるという気持ちを素直に表現できるようになっています。初期はクールぶってて感情と表情が一致していないこともしばしばでしたが、ずいぶん表情を崩すようになったものです。表情のデフォルメが効いているコマだとちょくちょく顔の半分くらいが口になっていたりしますね。大きく口を開けることができるのはリラックスしていることの表れです。
 ここ最近、ゆずこ縁に比べて妙に自己評価を低く見積もる傾向がありましたが、今回はそういうコマがありませんでしたね。苦手意識がある様子のギャグで思いっきりスベっても(50ページ)多少照れる程度で特に気にした様子も見せませんでしたし。
 最近の彼女はとても自然体で、3人の間でのポジションがツッコミ役だから努めてツッコミに専念しているわけではなく、素直な反応をするとそれが結果的にツッコミになっているという状態が続いています。健全でいいと思います。

 いつの間にかずいぶん積極的に場の空気を担っていくようになりました。初期の頃はなんとはなしにトンデモなことを口にして、それをゆずこ唯に拾われる受動的なパターンでしたが、最近は話題に合わせて自分から積極的にトンチキな話を切りだすようになりました。初期のおっとりお嬢様然とした雰囲気はどこへやら、見てください、この表紙の活発そうなポーズを。
 それでいて人の心の機微を冷静に観察しているのは今までどおり。77ページで相川さんの「えっ」 が本気度の高いものだったことにいち早く気付き、「しないよー? あいちゃん」 と、きれいにフォローしてみせたのはさすがの一言。逆に12ページで「おかーさん今日部室くるー?」 とごく自然に追い詰める外道ぶりも発揮。この子コワい。
 場の空気を調律することに長けたこの子は、お嫁さんでなくても実業家としてだって普通に成功できるんじゃないだろうか。どう考えても現時点でのゆゆ式ラスボス枠です。彼女がいる限り、たとえ何かイベントが起きたとしてもゆゆ式はゆゆ式であり続けられるでしょう。

おかーさん先生

 実はたいがい大人らしくない、隙の多い先生ですが、なんかもう彼女はこのままでいいんじゃないかなと思わせる安定感がありますね。もうずいぶん前から「ニコニコ部室に入ってきてゆずこに驚かされて、なにか質問されたら当たり前なことを言う」という自分のポジションを理解してふるまっている様子が見受けられます。「あ 20代後半も楽しいですよ?」「こう2いいですよね」「ねえー」(89ページ) 強引な会話の流れにに困惑せずさらりと適応するあたり、彼女は自分に求められているものを正しく理解しています。
 教え子たちにステキな大人であることを期待されているならそれらしくふるまおうとする、その一点で彼女は立派な大人だと思います。

相川さん

 近頃自分の気持ちをはっきり口にするようになりつつありますね。相川さんトコのグループはどちらかというとダウナーでまったり居心地のいい空間でした。その中でお姫さま扱いだった彼女が「困らせたり困らされたりってなんかいいよね」(63ページ) とゆずこさんトコのグループ的なことを言いだしたのは変革の兆しのようで、色々と楽しみな出来事です。
 新しい友達と接するならその影響を受けなきゃウソですよ。個人としてもグループとしても。きっと。

おかちー

 たぶん現時点のゆゆ式で最も不健全な状態にある人。初登場から未だに大きく変わっていません。少し態度が柔らかくなったくらい。相川さん至上主義がいきすぎていて人間関係の変化を求めず、結果として他のみんなが少しずつ変化していっている中で取り残されている感があります。
 「あれ? 今日はあいちゃんよりふみおちゃんなの?」(80ページ) と、ゆずこにすら見透かされているとおり、変わりつつある相川さんと自分の望む変わらない相川さんとの齟齬に少々居心地の悪さを感じているのではないでしょうか。困らされたいという相川さんを前に、そろそろ現状維持は難しくなりつつあると思いますよ。がんばれ。

ふみお

 おかちーより一足先に変わろうとしつつある子。マイペースといえば聞こえはいいですが、身内のノリそのままでグループ外の友達であるゆずこたちとコミュニケーションを試みる姿は若干コミュ障の気が見え隠れしててハラハラします。
 もともと包容力のある縁を起点に、今回は自分の好む芸風に近いゆずこと接触しました。(45ページ) どうにもスローペースな交流ですが、引き気味なのは唯だけで、ゆずこと縁は彼女を水のようだと好感を表しています。ちゃんと成果は出つつあります。相川さんの困らされたい発言を追い風に、今一番応援したいキャラですね。

 ノーイベント、グッドライフ。ゆゆ式の物語にイベントはありません。けれどドラマはあります。誰かがなにかに心を動かされる物語は、舞台上に人が立っている限り必ず起こります。私は日常系のそういうところが好きです。事件に振り回されないありのままの心の動き。理不尽なく、悪意なく、どこにでもある当たり前の幸せを描く物語。だから、ゆゆ式が好きです。

 あと単純に可愛いし。

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