魔法つかいプリキュア!第30話感想 現在のあなたは未来のあなたにつながっている。

私は人に教えてあげることが大好き。だから先生になろうと思った。

魔法つかいプリキュア! Blu-ray vol.3

(主観的)あらすじ

 魔法界で過ごす夏休み最後の日、みらいたちはジュンたちの自由研究を手伝うことにします。アーティストを目指すジュンは絵画、博物学者を目指すケイはモフルン大図鑑の執筆、美容師を目指すエミリーはヘアメイク。ひょんなことから再会したリズ先生も、自分が先生を目指しているのは幼い頃リコに魔法を教えてあげたことがきっかけだと話します。それぞれはっきりした将来の夢に向かって努力しているのでした。
 リコはそういうみんなの姿を見て、自分が立派な魔法つかいを目指して何をしたいのか、具体的な将来像を持っていないことに気がつきます。はーちゃんは自分が努力なしにすごい力を使いこなせることに疑問を持ちます。
 ちょうどそこにラブーが襲いかかります。ムホーは努力なしに操れる強大な力。そのあり方はリコやはーちゃんの悩みに暗い影を投げかけます。ラブーは撃退できましたが、ふたりの悩みの答えは出ないまま、夏休みが終わろうとしています。

 溜め回。リコの夢がふんわりしていることも、はーちゃんの力が理不尽なことも、当初からきっちり否定的な材料として描かれてきたのでこの展開は順当ですね。今年は変化球が多くて、もしかしたらピックアップされずに別のテーマを取りあげられるかもと思っていたので嬉しい限り。
 努力することの価値が示されて初めてみらいの「夢がない」という弱みが生きてきます。必然として彼女の物語はアレキサンドライト入手以降に描かれるでしょうから、当面はリコとはーちゃんがどういう過程を通じて答えにたどり着くかに期待しましょう。「夢」という昨年のテーマは、果たして「手をつなぐ」今年のテーマにどうつながっていくのでしょうか。

あなたはどうして夢を抱くのでしょうか

 第6話の水を操る授業で「デコりまくったブーツ」を形づくったジュンがアーティストを夢とするのは順当な流れですね。仕立屋フランソワさんのナシマホウ界留学経験と併せて説得力を強めています。メモをとる習慣を身につけたケイも同様。身の回りのあらゆるものに興味を向けてその情報を収拾することを博物学といいます。全ての科学の出発点であり基礎です。唯一エミリーに関しては夢に至る過程が描かれていませんが、お婆ちゃん子であり恐がりという子どもっぽい欠点も持っている彼女らしい、幼い頃の体験を大切にした夢といえるかもしれませんね。

 対して、「立派な魔法つかいになる」というだけのふんわりした夢に向かって努力を続けてきたリコ。彼女の夢にはジュンたちのように現在の自分らしさからつながる道筋が存在しません。「あなたにとっての立派な魔法つかいってどんな人なのかしら?」 夢の原点を探るその質問に彼女は「お父様にお母様、それにやっぱりお姉ちゃんよ」 としか語ることができません。
 それは「やりたいこと」ではありません。ただの「憧れ」です。父親は考古学者、母親は料理研究家、リズは学校の先生。それぞれしていることはまるで異なっているのに、全部まとめて理想としてしまっているリコには具体的な将来像を描けるはずがありません。
 GO!プリンセスプリキュアの春野はるかは「かわいいから」という憧れを原点として終わらない夢を追いかけましたが、リコの場合はもう少し事情が異なります。彼女は「魔法が使えない」という劣等感の対として「立派な魔法つかいになる」夢を育んできました。先にあったのは「立派な魔法つかいになる」夢の方ですが、その夢が彼女の中で大きくなっていったのは「魔法を使えない」劣等感があったからこそです。
 「魔法が使えない」現在があるからこそ「立派な魔法つかいになる」将来像に憧れる。当初のリコには現在の自分から夢へとつながる道筋が存在していました。ところがその劣等感はみらいとの出会いを通じて解消されてしまったのです。
 皮肉なことに、ある意味で彼女の夢を支えていたものはすでに失われてしまいました。はるかのように憧れだけを動機として憧れに向かって邁進するのもひとつのありかたですが、劣等感に支えられていたリコの憧れは残念ながらはるかほど情熱的なものではありません。劣等感を解消した今、彼女に残されたのはふんわりした夢だけです。

 けれど忘れてはいけません。リコの夢はそれでも「立派な魔法つかいになる」ことなのです。
 リズ先生が妹と魔法の練習をした原体験から夢を得たように、ジュンたちがそれぞれの夢に理由を持っていたように、すべての夢には現在とつながる接点が必ずあります。はるかの夢が「かわいいから」という憧れに支えられていたように、現在と夢は必然でつながっています。
 赤いバラの花言葉は「情熱」。黄色いバラの花言葉は「嫉妬」。今のリコは明確に夢への道程を言語化できるジュンたちを羨んでいるだけです。ふんわりしたものとはいえ現在も夢を失っていないのであれば、彼女の現在には間違いなくその夢を支えている情熱が存在しているはずなのです。それがどんなものなのか、ただ単に気付いていないだけ。
 「リコもみらいさんも、焦らず自分の好きなことを探してみればいいんじゃないかしら」 今、自分は何が好きなのか。それこそがあなたの夢を支えている情熱のかたち。それさえ見つけることができれば現在から夢へとつながる道筋を再発見することもできるでしょう。そうして初めて夢はしっかりした輪郭を獲得するものです。

あなたは何に悩んでいるのでしょうか

 「私は勉強しないで、なんであんなに見た人がびっくりするような魔法が使えるのかな」 こちらの悩みを満足させる答えはリコのそれよりは明白ですね。そもそもはーちゃんの悩みの根本はそこではありません。「私、やっぱりみんなと違うのかな」 こっちです。

 センダングサの花言葉は「不器用」。リコもそうですが、人はなかなか自分の今を正しく見つめることができないものです。
 「みんなと違う」 それがどうしたというのでしょう。私とあなたは違います。みらいとリコは違います。はーちゃんとモフルンは違います。みんなそれぞれ別の人です。あなたと同じ人なんて世界中どこを探したって絶対に居やしません。
 「びっくりするような魔法が使える」 ステキなことじゃないですか。はーちゃんの魔法はこれまでみんなを笑顔にしてきました。彼女は純真で善性の人ですから、その力が誰かを不幸にすることはありません。みらいたちには少々の苦労をかけることもありましたが、しかし彼女の魔法がみんなを幸せにするものであることはみらいたちも肯定しているところです。
 それでも「違う」ことはどうしようもなく恐ろしいことです。だって私とあなたが「違う」ということは、私とあなたの生きる世界が「違う」ということですから。彼女たちの生きる世界は、例えばナシマホウ界と魔法界とで明確に別れています。あるいはプリキュアと闇の魔法つかい、ムホーとで明確に別れています。「違う」ということはきっとそれだけで別れを意味します。
 だったら「同じ」になれば別れずに済むのでしょうか。いいえ、それはできません。先にも書きましたが、人は元々それぞれ別人です。それでももしみんなが「同じ」になれるとしたら。・・・それはすなわちドクロクシーになることです。何もかもを取り込んでひとつになって、そうしてひとりぼっちになる道です。みんなと「同じ」世界に生きるためには「同じ」人になってはいけません。
 八方塞がりですね。

 「おーい! はーちゃーん!」 けれど、はーちゃんの沈んだ気持ちはみらいたちの顔を見ただけで霧消します。だって彼女はみらいたちと「同じ」世界に生きることを何よりも喜ばしく思っているのですから。
 さて、彼女は気付いているでしょうか。彼女たちが互いに「違う」人であったとしても、今まさに「同じ」世界に生きていることを。「違う」ことが別れを意味するなんて、そんなことあるわけがありません。
 それでももし「違う」ことが恐ろしいなら、たったひとつの言葉を投げかけるだけで解決することができるでしょう。「私はあなたが好き」 たったそれだけで済みます。そうすればきっと向こうも「私もあなたが好き」 と「同じ」言葉をくれるでしょうから。
 なんて不器用な悩みごと! 違うことも同じことも、別れを意味したりなんかしません。初めからみんな「違う」し、どこか「同じ」なのですから。もしもお別れの日がやって来るとしたら絶対に別の理由です。みらいたちと再会したあの日、お別れを阻止したのははーちゃん自身ではありませんか。「魔法をかけたの。みんなとずっと一緒にいられますようにって。みらいとリコとモフルンは私の家族だから」 奇跡の魔法に「違う」も「同じ」もありません。

あなたが憧れているもの

 今話の主題ではありませんが、ついでにみらいの物語。

 「魔法の勉強だってたいへんだけどステキなことがたくさんあった。私はそんな魔法が大好きなの!」 リズ先生からの問いかけを受けて、彼女はさっそく自分の好きなものを分析しはじめます。彼女は魔法が好きです。それから夢を持つ人に憧れもしています。どちらも物語が始まる以前からの傾向でしたが、リコとの出会いがそれをいっそう強めました。努力と夢とワクワクもんの経験が不可分だと知ったからです。
 リコが一生懸命に努力して、それでもなかなかうまくいかない魔法。そんな魔法にふたりで取り組んだ思い出は、これまでのどんな経験にも勝るかけがえのないものでした。みらいはリコの夢に向かって努力するところを尊敬しています。そんな彼女が打ち込む魔法が大好きです。
 ある日、友達のジュンたちもそれぞれ夢に向かって努力していることを知りました。その努力する先も魔法でした。みらいから見た魔法は努力に応えるし、きっといつか夢も叶えてくれる、ステキなものなのです。「ジュンたちの道具を返して!」 だから魔法と夢を媒介する道具を奪うなんてことは許されません。
 今のところ、彼女の主張はGO!プリンセスプリキュアと大差ありません。怠惰なラブーと努力の要らないムホーの力を相手にするには実際適切です。ただし、春野はるかたちと違ってみらいには自身の夢がありません。夢を見ない夢の守り手。「地球のため、みんなのため、それもいいけど忘れちゃいけないものあるんじゃないの?」 プリキュアという物語はそのような不健全さを許しはしません。
 みらいが守るべきは誰かの夢ではなく、あくまで手と手をつなぐ奇跡の魔法です。それらがどう違っていて、どう重なるのか。おそらく早々に限界が訪れるこの道行きの先に、彼女はどんな物語を展開していくのでしょう。正直なところさっぱり予想が付かないのですが、それだけに楽しみです。

今週の魔法文字

モフちゃん大図鑑 中身左:「MOHURUNN」「MOHUMIMI」「KURIKURIME」「MOTTIRINIKUKYU」「-NPOKO -KA」「MOHUMOH- ASHI」
「モフルン」「モフ耳」「クリクリ目」「モッチリ肉球」「ポンポコお腹(?)」「モフモフ足」
 昔のヒーロー大図鑑みたいな。文字や落書きは手書きなのにモフルンのイラストだけ妙に鮮明なのは写真を使っているのでしょうか。お腹の部分に付いては隠れている箇所が多いので半ば推測です。

モフちゃん大図鑑 中身右:「NO-」「SOSH-」「MEZURA-」「KONOKENNKYUU-」「MOHUC-」
 ブルーレイ画質ならもう少しまとまった文量が読めそうなカットもあるのですが、今回はこれが限界。レポート中に「モフちゃん」表記はいかがなものかと思いますよ、ケイさん。

モフちゃん大図鑑 表紙:「MOHURUN ZUKAN」
「モフルン図鑑」
 魔法界の表記ルールなのか文章担当者のタイピングのクセなのかはわかりませんが、基本的に魔法文字では「ふ」を「HU」と表記します。「F」はあんまり見かけません。

おまけ:魔法陣について

 レインボーキャレッジが展開する魔法陣、オープニングの時点で気になっていて前々からリンクルストーンの配置について色々思いを巡らせていたのですが、結局さっぱり意味を見いだせなかったのでこの期に放出。たぶん色的に見栄えがする配置ってだけなんじゃないかな。何か法則性を見つけた方がいたら教えてください。
 支えのリンクルストーンの数から七芒星→フェアリースターと呼ばれる→ニチニチソウの一品種→プリキュア・エメラルド・リンカネーションの背景に描かれた花、とたどり着いた思い出。

全体位置 石名 内外位置 誕生石 登場順
12時 エメラルド 守り1位 5月 12番目
1時 ムーンストーン 支え1位 6月 9番目
2時 ダイヤ 守り2位 4月 1番目
3時 アクアマリン 支え2位 3月 3番目
4時 サファイア 守り3位 9月 4番目
5時 タンザナイト 支え3位 12月 7番目
6時 ピンクトルマリン 支え4位 10月 5番目
7時 アメジスト 支え5位 2月 11番目
8時 ルビー 守り4位 7月 2番目
9時 ガーネット 支え6位 1月 10番目
10時 トパーズ 守り5位 11月 6番目
11時 ペリドット 支え7位 8月 8番目

シェアする?

フォローする!