魔法つかいプリキュア!第31話感想 悩むあなたと幸せなあなた、その二面性。

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巡り会う奇跡よ! つながる魔法よ! 育まれし幸福よ! 今、私たちの手に!

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※ キュアフェリーチェの衣装について割とどうでもいいことを追記しました。

(主観的)あらすじ

 夢が揺らぐリコ、出自がおぼろげなはーちゃん。けれどそんな悩みとは関係なしに今の彼女たちは成長していて、冷凍ミカンの解凍魔法もついに初成功します。
 本気を出したラブーがみらいたちを襲撃します。彼の誇るムホーの力はあまりにも大きく、プリキュアがこれまで培ってきたどんな魔法をも嘲笑います。散り散りに吹き飛ばされたミラクルたちは暗闇のなかで、無力な魔法の存在意義を自問します。
 魔法がどんな存在なのかはまだわからないけれど、魔法があったから3人は出会えた。またみんなで繋がりあいたいから、今は魔法の力を信じる。その思いは寄り集まって結晶し、新しい伝説、リンクルストーン・アレキサンドライトを生みだします。
 奇跡の魔法はいともたやすくラブーを打ち破り、みらいたちはまた日常へと帰って行きます。

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 前話で溜めたリコとはーちゃんの問題は今話でも特に解決されることはありません。とても魔法つかいプリキュア!らしい語り口です。彼女たちがなによりも大切にしているのは日常で、ならば問題を解決する種は日常のなかから生まれるべきです。未来よりも過去よりも、現在こそが愛おしい。夢や出自を恐れるのは、それが現在の日常を壊しかねないものだから。今の彼女たちはまずそのことを自覚しなければいけませんでした。ええ、率直に言って予想の斜め上を行かれましたとも。
 プリキュアはロジカルな物語です。大切なことから一歩ずつ、着実に歩みを進めるのがプリキュアです。

親はなくとも子は育つ

 ・・・というのはずいぶんズレたことわざの引用になっちゃいますかね。
 あれだけ苦手としていた冷凍ミカンの解凍魔法を、リコはこのタイミングで成功させます。これまでのプリキュアの文法なら気持ちと能力は連動しているので、夢に迷っている今のリコのような状態ではなにもかも上手くいかないものなのですが・・・。

 リコは努力の子です。魔法が使えなかった物語初期においても努力を欠かさず、だからこそ結果が実らない自分の才能のなさに鬱屈して、リンクルストーン・エメラルドを求めるという無謀に至るほど自分を追い詰めてしまっていたのでした。実際は才能がないのではなく、魔法を使うための思いが伴っていなかっただけなのですが。
 そんなリコですから、たとえ「立派な魔法つかいになる」夢が霞んで見えても、日々の努力は欠かさなかったことでしょう。彼女が苦手としていた魔法はこの日ついに成功します。ミカンを手に取るはーちゃんたちの後ろで、諦めともとれる表情を浮かべるリコ。彼女自身、まさかこのタイミングで成功するとは思ってもみなかったでしょうね。そんな彼女が愛おしい。
 「まあ、私もずいぶん魔法、上達したし?」 成功の味にひとり瞳を潤ませながら、どうしても強がらずにはいられない彼女を、私は心から祝福します。

 夢は人の努力を呼び起こしますが、さりとて必ずしも夢なくとも努力はできるものです。こう書くとGO!プリンセスプリキュアの物語を否定するようですが、いいえ、そうではありません。リコには夢の他に努力するのための動機付けがあっただけです。
 「それにきっと、リコとはーちゃんとモフルンと、みんなで一緒に食べるからだよ」 今話は全体的に妙にお婆ちゃん臭い物言いの目立つみらいのこの言葉こそが、さすがはプリキュアのお婆ちゃん、実に的を射た解説になっています。魔法つかいプリキュア!の物語はシリーズでもひときわ日常に根ざしていて、まだまだ幼い子どもであるみらいたちを成長させるきっかけは、いつだって日常のちょっとしたところに隠れています。「かわいいから」 ただそれだけをきっかけとして無限の努力を開始した春野はるかのように。
 夢はなくとも魔法は育つ。少なくとも子どものうちは。

二面性

 アレキサンドライトは二面性を持つ石です。太陽光(あるいは蛍光灯)の下ではエメラルドのような深い緑色に、蝋燭の炎(あるいは白色電球)の下ではルビーのような鮮烈な赤色にその輝きを変えます。この奇跡のような特性は、持ち主の複層的な性質をあるがままに守り、あなたがあなたらしく生きることを手伝うでしょう。
 友達と比べて自分の夢のあやふやさに悩むのもあなたらしさです。得体の知れない力に自分の出自を疑うのもあなたらしさです。未来や過去に思いを馳せるのは人間としてとても大切なことです。そういうステキなあなたらしさはそのまま大切に守られるべきです。
 けれど、一方であなたはただそれだけの人物ではないはずです。あなたがなによりも大切にしているものは何でしたか? 今の日常を、大好きな友達、あるいは家族と一緒に過ごす日々を、あなたは大切にしていたのではありませんか?
 人は二面性を持つものです。二面どころか三面も四面も、複層的に様々な側面を見せることこそが人間らしさです。

 「寄り道。脇道。回り道。しかしそれらもすべて道!」 スマイルプリキュア!の青木れいかは周囲の期待と自分の望みとのギャップに苦しんでいました。周囲の期待に背くことは、みんなの思う彼女らしさを損なうことになるのではないかと。けれど、本当はそもそもが他人からみたれいかも、彼女自身が思うれいかも、どちらもれいかなんですよね。
 「ともだちだから。私たちが笑って送り出してあげなきゃ」「・・・ごめん、やっぱ無理。友達がいなくなるのに笑えるわけないじゃない!」 友達の二面相矛盾する慟哭を聞いて、彼女は自分以外にも二面性があることを理解します。自分の二面性を理解して、許容して、そうしてようやく彼女は自分の意志で自分の歩む道を選び取れるようにるのです。「私の名前は青木れいか。またの名をキュアビューティー!」

 リコとはーちゃんが悩んでいたのは、彼女たちの未来、あるいは過去に陰りがあるからではありません。その陰りが現在に何か悪い影響を及ぼすのではないかという恐れがあったからです。夢が間違っているならば、今からでも訂正して生き方そのものを変えなければいけないかもしれない。出自に恐ろしいものが眠っているならば、いつかそれが大好きな日常を壊してしまうかもしれない。
 彼女たちという存在を規定するものがただそれだけならば、あるいは本当にそうかもしれません。しかし、実際の彼女たちは二面性を持つ人間です。夢に、出自に悩む一方で、彼女たちは現在の日常を愛していました。それらは別の問題です。たとえ片方が陰っても、もう片方の輝きが損なわれる道理はありません。
 彼女たちに二面性があるならば、彼女たちは片方に悩みながらも、もう片方の輝きを糧として新たな一歩を踏み出せるはずです。見方を変えましょう。未来に、過去に向けていた瞳を現在へと向け直しましょう。あなたの大切にしている日常はこんなにも輝いているのですから。

 「魔法が私にたくさんのステキな出会いをくれた」 ふたりより先に立ち上がり、ふたりに日常の輝きを知らしめたみらいとて、二面的な存在です。
 みんなと過ごす今の日常を楽しむことと、いつかお別れの日が訪れることは本来別の問題です。「悲しいお別れはもう嫌なの」 彼女が取り憑かれた日常への異常なまでの執着は、彼女が自分の二面性をまだ切り分けられていないから起こる呪縛です。今はまだそれは問題になりません。リコたちとは反対に、みらいの瞳は現在にしか向いていませんから。現在が陰りなく輝いている今はまだ、みらいははリコたちの導き手たりえます。

 けれど、二面性とはなにも今この瞬間のあなたのありかただけを示すものではありません。変えたい自分もあるでしょう。変わりたいと願う日も来るでしょう。それもまた、あなたらしさです。
 アレキサンドライトは今のあなたらしさを守る一方で、変わりたいと願うあなたらしさをも導いてくれるパワーストーンです。この石はあなたの二面性を助けるための二面性を備えています。
 いつか彼女たちの現在・過去・未来、七色の彼女たちらしさすべてに渡って、彼女たちが自分らしく成長できる日が訪れますように。

キュアフェリーチェ・オーバーザレインボースタイルについて

 ミラクルとマジカルはオールスターズの時の衣装をそのままブラッシュアップした感じでいかにも魔法つかいっぽいデザインですが、フェリーチェだけ妙に独特なデザインになっていますね。
 ミラクルとマジカルのデザインも決めポーズではためくマントが比翼の烏のようだったりとたいへん興味深いのですが、ここではフェリーチェに注目。

 全体的にオリエンタルな雰囲気を纏っています。ベースとなったモチーフはアオザイでしょうか。裾こそ女の子らしくゆったり広がっているものの、上半身のシルエットはぴったりとしていて、薄くて純白な生地と相まっていかにも清浄そうな印象がありますね。天女のような羽衣や帯もそうですし、弥生巫女のような額飾りも同じく。

 あしらわれている花はテッポウユリとボタン。花言葉はそれぞれ「純潔」「威厳」、「壮麗」「風格」など。原産はどちらもアジアで、これもまた花言葉どおりの印象をフェリーチェに纏わせながらオリエンタルな雰囲気を強めていますね。

 ひときわ目を引く、大きく丸く結った髪はおそらく宝髻をイメージしたものと思われます。菩薩像の頭頂部でこんもり結われているアレです。古代日本では女性の儀礼用の髪型とされていたようですね。
 「上求菩提・下化衆生」 菩薩は自らは悟りを求め、同時にすべての人を教えによって救済する慈悲深い仏です。「あまねく生命に祝福を」のフェリーチェは菩薩のありかたに通じるものがありますね。

今週の魔法文字

校長先生の読んでいる本:「SODATEYO MIKAN」
「育てよう ミカン」
 この人ほんっとミカン好きですね。いえまあもちろんピーカンミカン不作問題の調査の一環なんでしょうけれど。

机の上の本1:「SHISEN」「HANA KUSA SORA MORI」
「視線」「花草空森」
 なにに気付いてなにを調べようとしているのかはわかりませんが、やはり調べているのはピーカンミカン問題のようです。

机の上の本2:「NEKO」「HOURENSOU」「EDA」「EDAMAME」「MIZU」「HANA」「GERRY
「猫」「ホウレンソウ」「枝」「枝豆」「水」「花」「ゼリー(?)」
 このあたりはもう常連って感じですね。図書館にはこれらの本がいったい何冊蔵書されているのでしょうか。

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