魔法つかいプリキュア!第33話感想 愛ははじめからそこにある。隠れているだけ。

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当然だろ。子どもを思わない親はいないよ。

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(主観的)あらすじ

 リコの父親リアンがやってきました。ところが、久しぶりに会えたというのに仕事ばかりしているリアンに、リコは拗ねてしまいます。リアンもまた、今まで親らしいことをしてあげられずにいたリコにどう接するべきか迷っていました。
 みらいは自分を育ててくれた親に自分への愛情があることを絶対的に信頼しています。はーちゃんも育ての親の愛情を確信し、その向こうに彼女たちもまた愛された思い出があるのだと見通します。みらいの父親大吉は親のいないところでも成長していく子どもを見守る、密やかな愛情のありかたを示します。
 誰もが親子の愛情を信じているように、リコとリアンもまたお互いを愛していました。リアンは人並みの魔法の力しか持っていないにも関わらずキュアマジカルを守り、マジカルもまた父親を傷つけられた怒りでいつも以上の力を発揮しました。互いの愛情を確認したふたりは再会を約束して、笑顔で別れます。

 秘めたる思い綴る親子回。前話から続く精霊編、みらいのお母さんあたりにウンチクを語ってほしいくらいパワーストーンの意味が重要になっているように思うのですが・・・そういう些末なところまで気にしなくても「いいことを経験した」「大切な思いを知った」「3人の成長を精霊が認めた」だけで物語としては充分機能するので問題ないですね。自己解決。自分のアンテナに触れるところにばかり公式のウンチクを期待してしまうのはオタクの悪癖だと思います。気になることは自分で調べましょう。子どもが質問してきたら一緒に考えましょう。
 ベニーギョはもしかするとカミナリ様としても、ヤツデの団扇を持っているシャーキンスと対になっているのでしょうか。光輪は万国に共通する太陽の象徴なのであまり重要視していませんでした。

ルーツ

 リコの物語は夢を追い求める物語であると同時に思い出を取り戻す物語でもあります。この子どもは当初、遠い夢を追い求めるばかりに現在をないがしろにして、過去を振り返らずにいました。夢を掴むための実力が身につかないというだけで現在の自分をことさらに卑下し、過去の自分がたくさんの人に愛されていたことを忘れていました。
 魔法商店街の人々に、姉に、父親に、母親に、あるいはみらいやはーちゃんに、自分が愛されていることをひとつずつ確認していく彼女の物語は、プリキュアの歴史において夢にまつわる新たな物語を綴ることになるでしょう。

 GO!プリンセスプリキュアは夢に向かってひたむきに努力し続ける強い少女たちの物語でした。しかし彼女たちとてたったひとりの力で努力し続けられたわけではありませんでした。春野はるかがノーブル学園に入学するまで夢を保ち続けるために、カナタの励ましと家族の応援を必要としていたように。
 今ここで綴られているリコの物語は、例えばはるかのそういう背景のように、昨年だけでは語りつくされなかった部分の物語です。強い子どもがはじめから強かったわけがありません。大志を抱く子どもがはじめから立派だったわけがありません。すべての夢は過去からつながっています。
 「立派な魔法つかいになりたい」 どうして? それは「立派な魔法つかいである両親や姉に憧れていたから」。
 今、彼女は過去も現在も捨てたために形骸化してしまっていた夢を脱ぎ捨て、本来の夢を取り戻そうとしています。夢から逆算して現在の自分らしさを規定するなんて不健全です。だってそんなの、リコ自身が経験したとおり自分を息苦しく追い詰めるだけでしたから。
 だから今の彼女が必要としているのは過去。家族の愛。あなたがいかに愛されていたか。あなたがいかに愛していたか。あなたが憧れていた立派な魔法つかいたちはどういう人たちでしたか? あなたはどういうところに憧れていたのですか?

 夢が生まれたルーツを、リコは今、ひとつひとつ拾い直しています。今回彼女が父親の愛情を再発見したのは、きっといずれ自分らしい夢を再定義するために必要不可欠だから。
 すべての夢はなにかしら過去からつながっています。あなたが大好きだった昔こそが、あなたが本当に望む未来のかたちです。だから子どもたちには愛情が必要なのです。愛情が深ければ深いほどに、思い出が輝いていれば輝いているほどに、子どもたちはきっとステキな夢を描いてくれることでしょう。
 夢はひとりでは描くことができません。幼いはるかのようにたやすく折られ、踏みにじられてしまうことでしょう。家族や周りの人々の愛情こそが夢を強く大きく育ててくれます。たくさんの人に愛され、自分もまた愛することが立派な夢を育む秘訣です。
 こんなところにも、手と手を繋ぐ、奇跡の魔法。

 ここまで前フリ。

ズキズキときめき

 そんなわけで、リコにはすでに父親を受け入れる素地が整っています。そういう物語を彼女は歩んできました。リズ先生のときのように会った瞬間から気持ちが沈んだりしなかったのはそういうことですね。
 彼女がわだかまりを抱いているのは、父親の主目的が娘と会うことではなく仕事のためだったということです。しかも長い間同じナシマホウ界に滞在していて、プリキュアになったという大事件まで把握していたのですから、今まで会いに来てくれなかったことに拗ねるのも無理はありません。
 ええ、今回彼女は拗ねているだけです。

 「しかし我が家に代々伝わるペンダントがリンクルストーン・ダイヤになるとは」 ずっと不機嫌そうな顔をしていたくせに、自分の方に話が振られたとたん表情を柔らかくするリコかわいい。顔を背けられたとたんすぐにまた眉に力が入ってしまうリコかわいい。
 もうそれ以上言うことはないですね。彼女はこの時点で父親が大好きです。半ば自覚もしているはずです。「あなたにとっての立派な魔法つかいってどんな人なのかしら」 と問われて「お父様にお母様、それにやっぱりお姉ちゃんよ」 とまっすぐ答えることのできる彼女ですから。
 自分の「大好き」に見合う愛情を示してもらえないからガッカリしちゃうんですよね。下の子が産まれたばかりの上の子と両親、言いたいことを言えずにいる友達同士、忙しくて毎晩一緒に食事もできない夫婦、おおよそ犬も食わないとされるありふれたわだかまりの裏には愛情が満ちています。

 父親の方もどうやらうまく愛情表現ができていないことを自覚している様子ですね。リコがいなくなったことに気付いたときの表情には「心配だ」というよりも「やってしまった」という感情が濃く出ているようにみえます。
 「リコには長い間、親らしいことを何もしてあげられなかったんです」「あの子は私をどう思っているのやら」 吐き出す弱音はいかにもこの親にしてこの子ありって感じですね。理想の父親像があって、けれどそれができていないから現実以上に自己評価が低い。立派な魔法つかいになりたいのにろくに魔法が使えず落ち込んでいたリコとそっくりです。先ほどの表情からして、リコがいなくなった理由、本当はわかっているでしょうに。
 だとしたら、かけてあげるべき言葉はひとつに決まっていますね。

ウキウキ好き好き

 「そんなの好きに決まってるよ!」
 第1話、かつてみらいが最初にリコの心を開いた言葉は「本当にありがとうね、魔法つかいさん」 でした。立派な魔法つかいになれず落ち込んでいたリコに向かって、みらいは彼女が魔法つかいであることを認め、感謝します。その一言がどれほど自信を喪失した人の心を救うものか。
 リコは魔法つかいでした。立派でなくても、空は飛べるし不思議なことも起こせる魔法つかいでした。それと同じくらい、彼は否定のしようもなくリコの父親です。そして子どもは親が大好きなものなのです。子どものはーちゃんにとってはなおさらよく知った当たり前のことです。

 「リコはね、私を優しく見守ってくれたの。私を暖かく育ててくれた。わかるの。それはきっと、リコも同じように家族から優しさをいっぱいもらったからだって」
 はーちゃんは知っています。リコと同じくらい自分を愛してくれたみらいに、ステキな家族がいることを。
 はーちゃんは知っています。リコと同じくらい自分を愛してくれたモフルンが、みらいにいっぱい愛されてきたことを。
 そしてはーちゃんは知っています。目の前にいるリコの父親が、大好きな娘のために苦しんでいることを。
 はーちゃんがみらいを大好きなように、はーちゃんがモフルンを大好きなように、はーちゃんがリコを大好きなように、だったら、リコだって父親のことが大好きに決まっているじゃありませんか。愛は受け継がれるものです。リコが愛ある人で、その父親もまた愛ある人なら、ふたりはお互いが大好きに決まっています。

 辻褄だけ合わせてほとんど感性だけで訴えかけるはーちゃんの言葉を、みらいの父親がフォローします。「子どもってのは、親が思っているほど子どもじゃないですよ」
 たとえ父親となかなか会えなかったとしても、リコは立派に育っています。一緒に暮らしているみらいの父親はそのことを見ています。自分の娘も春休みの間あずかり知らぬところで勝手に育って帰ってきたのを見て、なんとなくそんなものだとわかっています。
 結果を見るなら、つまりリコにとって父親が父親らしくふるまえなかったことは大した問題になっていません。彼にそれを悔いるほどの愛情があるというなら、はーちゃんのいうとおり優しく育ったリコは確かに彼の愛情を受け継いだのでしょう。
 「何もしてあげられなかった」 なんてことはありません。リコは父親に愛されていることを知っています。

 「すごいね、リコのお父さん」 拗ねていてもその言葉をそのまま素直に受け入れちゃうくらい父親が大好きなリコですから、こちらもかけるべき言葉は簡単です。
 「当然だろ。子どもを思わない親はいないよ」 要するに相手が自分を愛してくれているかが不安で拗ねているのですから、それを保証してしまえば解決です。

 父親自身も行動で示してくれたことで、ふたりの間のわだかまりはあっという間に氷解します。ふたりともお互いのことが好きで好きで、それゆえにギクシャクしていたのですから、ちょっとすれ違いを解きほぐしてしまえばそれで問題は解決です。
 ムーンストーンは持ち主の秘めたる気持ちを応援してくれるパワーストーンです。隠した気持ちはなかなか相手に伝わりませんが、そんなすれ違いとは関係なしに、思い人のためにコツコツ頑張ってきた努力は実を結ぶし、気持ちもいつかは思い人の救いとなるでしょう。
 たとえ何年も通じ合うことのなかった愛情であっても、その気持ちは積み重ねた年数だけ大きく膨れあがるものです。「しょぼい力しかないくせに」 そんなことはありません。父親の愛情は子どもに伝わって、互いに大きく成長しました。「家族を思う優しい気持ち、それが何より強い力になる!」
 手と手を繋ぐ奇跡の魔法、その源は互いを思いやる気持ちそのものです。それを武器に戦うプリキュアですから、今ようやくつながった親子の絆が手の中にあるなら、ひとりぼっちのムホーなんかに負けるわけがありません。

リアンのお土産

 左上から順にロッククリスタル(水晶)、サファイア、ペリドット、ミルキークォーツ、トルマリン、タンザナイトといったところでしょうか。あんまり自信はありません。
 いずれもパワーストーンのお店でそこそこいい値段で売っていますね。パワーストーン好きは必ずしもジェムクオリティ(宝飾品にできる最高品質)にはこだわらず、むしろ自然な味わいを好むので、色味や不純物などのため宝飾品に向かない無骨な結晶であってもたいへんな人気があります。
 リアンのお土産に関しては結晶が非常に大きく、色味も悪くなさそうなので、やろうと思えば充分に宝飾品に加工できそうですが・・・たぶんみらいの母親ならそのまま飾るんでしょうね。店を構えるほどのパワーストーン好きですし。

今週の魔法文字

校長先生の机の本:「MAHOUPIE-」「-BON」「PIAHO-」
校長先生の机の本2:「SORATOB-」

 つぶれがきつくて読めません。ちなみに今週はところどころ「A」がいつもと違う字体になっているようです。

魔法界の伝説:「MAHOUROUSOKU」「DENSETUNOYAKATA」「MAHOUJIN」
「魔法ロウソク」「伝説の館」「魔法陣」
 伝説の館ってこれ魔法学校のことじゃないんですかね? 伏線?

リアンのメモ:「MAGIC ARE REAL」「MIRACLE」「MAGICL」「MY VERY BEST FRIEND」
「魔法は現実」「ミラクル」「マジカル」「とっても大切な友達」
 「気持ちは十二分に伝わってきたよ」 と言っていましたが、本当にそこが重要だと思っているんですねお父さん。

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