ムホーの面々のモチーフについて(2度目)

 先週予想して大ハズレを引いたわけですが、そのまま黙って流すのも据わりが悪いので、(懲りずに)またモチーフの想像をしていきます。今回は3人の姿を確認してからの想像ですね。
 相変わらず根拠は薄弱なので本気にしないでください。

前回→ ムホーの面々のモチーフについての予想

悪魔の辞典 (角川文庫)

ラブー

 イスラム教圏の悪霊、ジンですね。いかにもアラビアンナイトに出てきそうな出で立ちですから、ジンのなかでも特に強力とされるイフリートかもしれません。
 アラビア地方土着の信仰において、神やそれに類する人間よりも上位の存在とされてきました。あまりに広く信仰されてきた存在だったので、後発のイスラム教においてもその存在をある程度そのままのかたちを残したまま教義に取り込むこととなりました。布教するときに元々信仰されていた存在を悪し様に扱うとケンカになりますからね。
 ただし、イスラム教はキリスト教をベースにした一神教ですからジンを神として扱うことはできず、あくまで唯一神につくられた人間と神の中間存在であるという落としどころに落ち着いたようです。
 必ずしも悪事をはたらく者とされているわけではありませんが、神話の常として、強力な個体ほど神に反逆し、人間に害をなす傾向があるようです。

 封印されていたものはランプ。言わずと知れたアラジンと魔法のランプがモチーフでしょう。これに限らずアラビアンナイトには他にもいくつかランプに封印されたイフリートが登場します。

シャーキンス

 まさか天狗とは。もちろん仏教圏、日本の妖怪です。
 素朴な山岳信仰をルーツとして、そこに山で修行する仏教徒(山伏)の悪名が合わさったことで妖怪としてのイメージが成立しました。山神はもともと自然災害のイメージから荒神と解釈されることが多く、山伏の方はどうやら傲慢で自惚れが強いというイメージがあったようですね。悟りを開くためとはいえ、自らあえて厳しい山のなかで暮らそうという人たちですから、プライドの高い人が多かったことは想像に難くありません。
 仏教は教義として天狗を積極的に取り込むことはなかったようです。仏教も日本の土着信仰(神道など)も一神教ではないので緩やかに宥和できたのでしょう。仏教が天狗にもたらしたものは名前(天狗はもともと古代中国に伝わる別の伝説上の生物の名前)と、前述した山伏の影響くらいでしょうか。・・・見方によっては悪魔に堕とすよりもタチが悪いような。
 そういう成立過程なので基本的に人間に対して敵対的です。ただし日本は仏教と並んで土着信仰がゆるゆると現代まで残った土地柄なので、力の強いもの、神秘的なものは善悪関係なしにすべて信仰対象だったりします。

 シャーキンスが天狗なら、封印されていた石碑っぽいものは道祖神で決まりですね。天狗を祀る道祖神としては東京都町田市のものが著名です。見比べてみるとそっくり。

ベニーギョ

 キリスト教圏のデーモンですね。赤くて女性といえば、数多いるデーモンのなかでもバビロニアの豊穣の女神をルーツに持つ、アスタロトでしょうか。
 キリスト教は布教の過程でたくさんの土着信仰をその教義に取り込んできました。イスラム教におけるジンの扱いと同じく、土着神を神と人間の中間に置くことで異教徒にも布教しやすくするためですね。キリスト教といえば異教の神を悪魔扱いするイメージを持たれることがありますが、常識的に考えていきなり無駄に異教徒にケンカを売るようなマネはしません。
 例えばアスタロトのルーツ、バビロニアのイシュタルも旧約聖書において異教の「神」として扱われています。人気のある「神」なので、唯一神を戴く神学者たちには苦々しく思われていたようですが。それが悪魔として扱われるようになるのはキリスト教圏の土着信仰がほぼ消滅しかけた中世、悪魔学の流行からです。誰にも信仰されていない神を悪し様に描いたところで文句を言う人なんているはずがないですからね。気がつけば異教の神々は地獄へ引っ越し、魔術師たちにその神秘性を貸す者になっていました。

 見るからに西洋悪魔のベニーギョが日本式土偶に封印されていた理由について確実なことはわかりませんが、おそらくイシュタルのような豊穣神からの連想ではないかと思います。土偶もまた豊穣神をかたどったものですからね。豊穣神はしばしばグラマラスな女性の姿で描かれます。土偶も胸とお尻が大きくて腰が引き締まった、女性的な体型をしているでしょう? ちなみにかつてイシュタルが信仰されていた土地でもグラマラスな神像が発掘されているようですね。

 ちなみにこの3人、ベニーギョをアスタロト(毒蛇を持つ悪魔とされる)とするなら結局また豚・蛇・鳥の組み合わせで、前回予想した仏教の三毒に立ち返ることもできるのですが・・・名前にすら関連付けられない今回はいくらなんでも根拠薄弱すぎますね。さすがにないでしょう。我ながら女々しい。

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