映画魔法つかいプリキュア!奇跡の変身!キュアモフルン! とりあえず雑感

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 ひょっとしたらこれまでのプリキュア映画の中で一番好きな作品かもしれません。
 魔法つかいプリキュア!が1年かけて積み上げてきた物語を余すことなく総括した、集大成ともいえる傑作です。テレビシリーズとのテーマの接続っぷりは間違いなく歴代最高です。

このブログはあなたがこの作品を視聴済みであることを前提に、割と躊躇なくネタバレします。

 先に全体の雑感だけ書いていたら思いのほか文量が多くなってしまったので一区切り。いつものノリの感想文は別記事に分けてありますので以下のリンクからどうぞ。
 (エディタからのコピペを間違えて肝心のこの案内文をついさっきまで上げ忘れていたのはナイショ)

 モフルン人気はどうやら私が想像していたよりはるかに影響力が強いらしく、昨年は席の半分しか埋まっていなかった地域最速放映が今年は8割以上埋まっていました。しかしその期待感をはるかに上回るステキな映画を持ってくるというね。スゴイ映画でした。
 子持ち家庭が繰り返し観に来る観劇スタイルを持っているかというとそんなことはないでしょうが、それでもこの出来なら口コミでそれなりに長いこと太い集客を見込めるんじゃないでしょうか。大人のオタクはもちろん2回3回と足を運ぶでしょうしね。いやほんっとスゴイ映画でした。

 今年私が熱中した、君の名は。やレッドタートルにも勝るとも劣らない豊潤な映画です。ターゲット年齢を考えると、私にとってはこれらの映画より乖離甚だしいはずなのに。レイトショーをやってくれないので平日に観に行けないことだけが難点ですね。

前説

 ミラクルライトの注意事項説明はモフルンとリコが担当。今年はモフルンが賢いキャラだからか、反面教師役は妖精ではなくみらいとジュンになりました。劇場版ガールズ&パンツァーの前説のようなSDキャラがかわいい
 今回は後述の短編があるおかげで説明事項は少なくて済み、短い時間ながら忙しなさはありませんでした。

短編『キュアミラクルとモフルンの魔法レッスン!』

 実質的にはミラクルライトのチュートリアルです。それこそイマドキのゲームのように、ミラクルライトを振るべき事件が次々起こり、そのたびにキュアミラクルがライトを振ってとお願いしてくれます。
 そういう目的の作品なので物語のスジは単純明快ですが、去年の映画から引き継いだ高品質な3Dキャラと魔法いっぱいの画面が楽しい短編でした。ちょっとしたサプライズもありましたね。

 先週テレビ放送もあった映画のテーマソング『正しい魔法の使い方』はこちらのエンディングで使用。画面が可愛らしいので大人の私は満足ですが、場が暖まりきっていない序盤だと子どもたちは踊りにくいんじゃないかなと思ってみたり。
 どっちにしろ土地柄的に、踊りたがるようなアクティブな子はめったにいないんですけどね、ウチの地域。

長編『奇跡の変身!キュアモフルン!』

 開幕変身バンク。テレビでおなじみのシーンから始まることで、短編の空気感からシームレスに長編に移行してくれます。
 戦闘シーンと併せてキャラクター紹介も兼ねているので、テレビシリーズを知らない子も安心です。ひょっとしてモフルン人気のおかげで、おもちゃは知っていてもプリキュアを知らない層が想定できているんでしょうか。
 とまあ、そういう意図の開幕変身&戦闘シーンなので、役割を果たしたらサクサクっと本筋に移行します。いっぱいいっぱいな尺に慣れているプリキュア映画はこういうところが小気味いいですね。

 肝心の本筋の方は素晴らしいの一言ですね。観ましょう。何回も繰り返し観るべき。

 戦闘シーンは先述の冒頭部分を除いて3回(+α)。ミラクルマジカルフェリーチェの戦いと、キュアモフルン単独、全員での最終戦という配置で、それぞれきっちりカラーを分けています。メリハリがつきますし、何のための戦いなのかがわかりやすくていいですね。
 おもちゃマイスタータナカリオン監督ならではのギミックに富んだアクションもステキ。テレビシリーズでは序盤以来なかなか使われる機会がなかったあれやこれや、あるいはファンが期待していた設定上可能なあれやこれやを余すことなく総ざらいした、リッチな戦闘です。そのうえ上ケン作画ですし。
 最終戦でのひときわ大がかりなギミックも、あくまでキュアモフルンが単独戦で使用したギミックの延長線上に置かれていて、唐突感がマイルドになるよう工夫されています。こういうところ、おもちゃ遊びが好きな監督ならではの感性でしょうね、たぶん。

 物語の方もシリアスとギャグとほのぼのと熱血をバランス良く組み立て、なおかつ緩急もきっちり付けています。観客の心理と語るべきことを綿密に計算した脚本の綿密さはGo!プリンセスプリキュアから引き継がれていますね。
 物語のテーマはモフルンの物語みらいが抱えている問題の2本柱を、はーちゃんの言葉と祝福が要所要所で補完している構造です。リコの物語はテレビシリーズでもかなり先行して展開されたことからもわかるとおり、これらの土台になる部分なので、映画では大きく取り上げられません。それからオールスターズで語られたソルシエールと先生のディスコミュニケーションと重なるシーンもあって、まさに魔法つかいプリキュア!の集大成といったところ。
 もちろん総合すると「手を繋ぐ」ことに収束します。序盤の問題提起部分とラストシーンでの顛末がしつこいくらい明示的に描かれていて、プリキュアはどこまでも子どもたちのために真摯な物語を描こうとしていることがよく伝わってきますね。
 言葉で表すと一言で済んじゃいますが、魔法つかいプリキュア!が1年かけて描こうとしているテーマって本当に難しくて豊かなんですよ。それを(テレビシリーズと相補関係があるとはいえ)70分のコンパクトな尺に収めてみせる田中脚本の手腕はつくづくとんでもないですね。

 長編エンディングはテレビシリーズと同じ『魔法アラ・ドーモ!』。本編にパワーを注ぎきったからか特別な趣向はありません。映像がスタッフロールの脇の小窓に流れるので、踊りたい子どもにとっては少々不便なレイアウトだったかもしれませんね。周りの子どもたちはみんなおとなしく座っていたので実際どうなのかよく分かりませんが。

 ちなみに魔法文字の読み取りは案の定ボロボロ。画面の情報量多すぎでした。あとフツーに映画に観入ってしまうので、とてもじゃないですが枝葉の部分にまで気を回せません。
 いちおうフードメニューに「ラーメン」があったことと、補習メイトが付けていた腕章に「捜索」と書かれていたことだけは読み取れました。

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