超人女子戦士ガリベンガーV 第22話感想 自然の摂理は意味不明な存在すらも優しく受け入れる。

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生徒役:電脳少女シロ、本間ひまわり、カルロ・ピノ

ハマってる! 中毒者だよ。つっつき中毒者!

出演バーチャルYouTuber

電脳少女シロ → YouTube公式チャンネル

「待って。だってさ、聞いて。今テレ朝夏祭りでさ、小峠味ってコラボドリンク出てるの知ってる?」

 ついに2歳児となったバーチャルYouTuber最古参の一角。来週はいよいよ生誕祭です。昔の動画をふり返ると案外今と変わっていないようで、一方昔のインタビュー記事なんかを読むとだいぶ変わったなあという印象もあり。一時期はそもそも日本語を話す気がありませんでしたからね、この電脳少女。そのくせファンへの好意だけはストレートにぶつけてきます。順番に殴ってきます。
 やたらと語録が豊富、そしてやたらと逸話も豊富。というのも彼女は多趣味・多芸なうえ、やたらと柔軟な発想力も持ちあわせ、ついでに傍若無人な性格なため、自由にさせると大抵常人に理解できない奇矯な言動をしはじめるからです。彼女の動画を見てなんともいえない気持ちになったときは「シロちゃんの動画は為になるなあ」と、とりあえず納得しましょう。彼女はあなたが為になることを望んでいます。
 まるでアブない人のようですが、そして実際アブない人なのは確かなのですが、こう見えて彼女は共演者をよく見ています。聡明です。共演者の対応力を推し測り、ギリギリ捌ききれる程度のムチャ振りを仕掛けるのです。おかげでいつのまにか人脈の輪がずんどこ広がってきました。タチが悪いったらありゃしない。

本間ひまわり

「え、なんやろ。・・・え、やっぱり、え、なんやろか」

 “ひまわり”の名が示すようにいつも天真爛漫元気溌剌(読めない)、そして“本間”の名が示すようにかわいらしい関西弁を隠さない健やかガール。かのゲテモノロックンロール委員長・月ノ美兎からはじまるにじさんじの系譜でありながら、まっすぐ素直な正統派ヒロインです。いや、にじさんじってブランド自体そもそも何でもありの闇鍋みたいなものですけどね。
 コトウゲ教官の言うとおり、もこ田めめめにも似た飾らない愛らしさがあります。リアクションがいちいち子どもみたいに素直で、そしてアホっぽい。もちろん“飾らない”のは外見から受ける印象だけで、実際はそう受け取ってもらえるようみんな水面下で努力しているものなのだけれど。
 本間ひまわりの場合は子どもにも楽しんでもらえるようなコンテンツを目指しているんだそうで、実際にその願いは彼女自身の人となりにもしっかりと反映されていますね。なんでもできる、なんでもなれる。夢は追いかけていればいつか必ず叶うもの。

カルロ・ピノ

「え、何ですか? 何かおかしなことしました? 食べた?」

 『ぼくのなつやすみ3』から『エース・オブ・シーフード』、果てはかの有名な『AFRICA』すらも! 生きものが出てくる作品ならどんなものでも即興で豆知識を披露しつつ楽しく紹介できる、歩く百科事典なお嬢様。しかもただ生きものを愛でるだけでなく、自然の摂理や人間との関係性についてもありのままを受け入れるリアリストな側面もあり、幼いながら学者として高い素養を感じさせます。
 この子は鉄壁です。知識の盤石さもさることながら、そもそもどんな話題を振られても動揺するということがほとんどありません。というのも、彼女は日頃からよくものを考えて話すクレバーな子だからです。彼女は自分がどういう人物であり、また周りからどういうふうな期待を向けられているのかを明確に把握しているようです。だからブレません。いつも優雅に穏やかに、ウフフとイタズラっぽく笑っています。
 人気コンテンツは知識を生かした雑学講座と、ゲーム内設定を現実に置き換えて考えてみる考察遊び。なにかと頭が回る子なので、今回のようにゲスト出演するときはちょくちょく気の効いた(こまっしゃくれた)コメントを発します。

授業構成おさらい(+ 補足事項)

超難問:食虫植物の謎を解明せよ!

 実は食虫植物というのは研究対象としてなかなか興味深い存在なんだそうです。なにせ、本来は身動きしないはずの植物が、虫を捕らえるために体を動かすんですから。その例外っぷりは調べれば調べるほどワケワカランもので、彼らを知ることで逆になぜ普通の植物が体を動かさないのかなんとなく察せられるほど。
 ハセベ先生は基礎生物学研究所という機関を主宰している理学博士です。生物学自体が博物学(自然界のあらゆるものひとつひとつを地道に調査していく学問)の一部なのに、その基礎研究とはなんぞや? と、正直ちょっと思ったのですが、どうやら彼らは生物分類に一石を投じようとしているようです。旧来の生物分類は見た目の違いや能力特性を基準に仲間分けをしてきたわけですが、ハセベ先生たちはゲノム解析による遺伝子レベルでの生物研究を行っているとのこと。遺伝子レベルということは、ひいては進化の歴史、進化の理論を紐解くことにもつながるわけですね。進化についての研究が専門だということもあって、例外的存在の代表格である食虫植物にも精通しているわけです。

トピック1:食虫植物はどれ?

 今話の先生はいつもガチなガリベンガーVの教授陣のなかでもひときわ気合いの入った人らしく(先週も書いたなコレ)、なかなかパンチの効いた写真資料を持ってきました。
 ウツボカズラ、モウセンゴケ、ハエトリソウあたりは誰でも一度くらい見たことがあると思うんですが、花の姿や別種まで知っている人はそうそういないんじゃないでしょうか。この写真自体に新鮮な驚きが詰まっていて、いきなり興味を引かれます。うまい先生ですね。
 そしてこの巧妙な引っかけ問題に惑わされず葉の形に気付けるカルロ・ピノもさすが。
 ウツボカズラに種類があるという重要ポイントにしっかりピッケルを打ち込んでいく電脳少女シロもさすが。

 実は6枚出した写真6枚ともが全て食虫植物でした。
 落とし穴式のウツボカズラ。粘着式のモウセンゴケ。挟みこみ式のハエトリソウ。吸いこみ式のタヌキモ。迷路式のゲンセリア、そしてもうひとつ粘着式の日本固有種であるコウシンソウ。
 つまりこの超難問は導入部であると同時に、一言に食虫植物といっても様々な種や戦略があるんだと説明するためのものだったわけですね。

 ちなみに番組内で紹介されなかった部分を捕捉すると、タヌキモはよく見ると食虫部の先端に毛が生えていて、これに虫が触れたとき吸い込んでいます。
 ゲンセリアは地下に中空の細長い器官を何本も持っていて、この中に迷い込んだ微生物を消化液の出る中枢部分へと誘導する仕組みになっています。
 コウシンソウはモウセンゴケと同じで葉に粘着性の消化液を分泌するタイプですね。絶滅危惧種です。

トピック2:ハエトリソウが獲物を探知する方法は?

 上記タヌキモの部分でも少し触れましたが、一部の食虫植物には動作のトリガーとなるセンサーが備わっています。これを“感覚毛”といいます。
 探知する=何かしらのセンサーがあるというのはもう大前提なので、先生としては生徒たちにどういうセンサーなのかを考えてほしかったんだと思います。

 ハエトリソウのセンサーは葉の内側に生えている3本のトゲ。これに何かが2回続けて触れたとき、葉を閉じる仕組みになっています。つまり、ちょっとしたホコリや立ち止まらず通り過ぎていく虫には反応しないようになっているわけですね。
 どうしてハエトリソウがこんな慎重策を採っているのかというと、先生もちらっと言っていましたが、植物にとって体を動かすというのは大変エネルギーを使う活動だからです。
 それはもう、ヘタしたら捕らえた虫の栄養より捕らえるために使ったエネルギーの方が多くなる場合すらままあるほどに。園芸で育てるときは虫を近づけないで普通に肥料を与えることを推奨されるほどに。植物の体にとってこういう活動は大変負荷がかかります。
 樹上で葉っぱだけ食べているナマケモノがゆっくりとしか動けないのと同じ理屈ですね。植物が普段摂取しているカロリー量は動物に比べて圧倒的に少ないため、動物と違って気軽に動くことはできないんです。
 だからこそハエトリソウが閉じた葉をもう一度開くのに最短で2日もかかってしまうわけですね。

トピック3:食虫植物はどうやって虫を食べる?

 「シロ、ご飯を食べるときヨダレが出てしまうんですけど、(それと同じで)ヨダレで溶かしてますね、虫を」
 正解。動物の唾液や胃液と同じで食虫植物も消化酵素を使っています。酵素の種類はヒドロラーゼ、つまり加水分解反応ですね。(wikipediaを見ただけの知ったかぶりなのでここまでしか語れません)

 「食べるときに脚が引っかかったら邪魔だから、脚とか全部もいで飲む」
 ちなみに、ここでのカルロ・ピノは明らかにわかったうえでボケていましたね。
 食虫植物の持つ消化酵素は大して強いものではありません。ウツボカズラの消化液なんて飲もうと思えば飲めるほど。というか原生地の住民が普通に食材として使っているほど。食虫植物の生態はこういうところも省エネ志向です。
 だから、実は大抵の食虫植物は昆虫の脚を消化できないんです。脚どころかほとんどの外骨格を溶かすことができません。ウツボカズラの中を見ると溶かせずに残った虫の死骸がそのままの姿で浮いていることがよくあります。植物界で食虫がいつまで経っても流行らない理由が察せられるというものです。

 「やっぱりあれかな、プスッてストローみたいなの刺して、茎だとかをプスッと刺して、チューチューチューチューチューみたいな」
 それはクモの食事方法です。奇跡的なことに、次のトピックで語られる内容とほんのりリンクします。

トピック4:ウツボカズラを利用する生き物は?

 「あ、わかった。コウモリのうんちとかおしっことかを食べてる」
 先生が用意していた模範回答はコウモリ。
 コウモリに住居を提供する代わりに彼らの糞尿を養分とする、いわゆる共生関係を結んでいるウツボカズラがいます。
 トピック1でも紹介されていた、糞尿目当てにネズミを誘い込むシビンウツボカズラと同じ仲間ですね。

 カルロ・ピノが知っていたように、アリと共生しているウツボカズラもいます。
 こちらは消化液中に湧いた邪魔者のボウフラをアリに食べてもらい、そのうえやはりアリの糞尿も得ています。

 また、クモと共生しているウツボカズラもいます。
 先にも書いたようにクモは捕まえた獲物の体液だけしか食べないため、その食べ残しにはまだ充分に栄養が残っているわけですね。
 ちなみにウツボカズラ自身も獲物を消化しきらないため、逆にそっちをエサにして暮らしている生きものもいるそうです。

 ここまでしつこく何度も書いてきたことですが、ぶっちゃけ食虫植物にとって食虫による栄養確保はきわめて非効率です。
 だからコウモリだとかネズミだとかアリだとかの糞尿を目当てにする食虫植物(?)も出てくるわけです。糞尿なら普通の植物ですら吸収できるくらい、栄養源として扱いやすいですからね。
 じゃあ、どうしてそこまでして彼らが虫を食べようと思ったのかというと、そこが何とも不思議。そもそもマトモに虫を捕まえられる形状が完成するまでの、進化途中の中途半端な世代はいったいどうやって生き残ってきたのか? そういう進化の不思議を追求するため、ハセベ先生のような研究者たちはゲノムや実際の植物、あるいは動物たちと日々にらめっこしています。

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