ぼくはランク1ルン。だから、下のララを助けてあげる責任があるルン。
(主観的)あらすじ
ついにララの故郷・惑星サマーンに到着しました!
サマーン星は生活や仕事などあらゆることをマザーAIが管理し、人々は決められた住居、決められた食事、決められた仕事で暮らしています。そのほうが効率的だからです。ロケットのAIもマザーAIの管理下にあり、母星に帰ったからにはマザーAIと情報共有してパーソナルデータを更新することになります。
ところで、せっかく故郷へ帰ってきたというのにララは浮かない顔。ララにはコンプレックスがありました。ララの両親やお兄さんはみんなすごく優秀な人。マザーAIからも立派な仕事を与えられています。けれど、ララに与えられていた仕事はランクの一番低い調査員。ひとりだけ落ちこぼれでした。
もし、今の自分がプリキュアで、もっと別のやりたいことを見つけられたんだと明かせば、星のみんなを見返すこともできるでしょう。だけど言えませんでした。そのことを話したら、芋づる式にひかるたちに迷惑をかけてしまうから。
同じ悩みを抱くまどかは「自分の気持ちに従うべきだ」と言うのですが・・・。
悩むララの気持ちと無関係に状況は動きます。ノットレイダーが現れました。
サマーン星にはララのお兄さんが見つけたプリンセススターカラーペンがありました。それを狙ってきたのです。お兄さんの仕事ぶりが賞賛され、家族も嬉しそうにしていた、その象徴でもある大切なもの。ララとしては絶対に守りたいと思えるものでした。
けれど、いざノットレイダーを追い払い、大切なものを守ったというのに・・・。不幸なすれ違いによって、ララは逆にプリンセススターカラーペンを盗み出そうとした犯人なのだと勘違いされてしまうのでした。
惑星じゅうにララの指名手配が布告されます。
典型的なディストピアに見えて、よく見ると意志決定権はちゃんと個人の手に渡っているんですよね。ララの上司が証拠も無しにララを指名手配してしまったりとか、AIには体調のスキャンだけさせてグミの塩分調整はララのお兄さんが指示していたりとか。
「ララもロロのように、もう少しAIを使いこなしてくれれば」
惑星サマーンはAIが人間を管理する社会というわけではなく、あくまで人間がAIを使役して社会管理のサポートをさせているだけのようです。今話を見るかぎり、ちゃんとバランス感覚を持って上手にAIと付きあっているなという印象です。
その割に、何故か仕事だけはAIの決定が絶対だ、みたいな感じになっていましたけどね。けれど肩書きにランク付けがされていたり、職員間のコミュニケーションが意識されていたりするあたり、これも単純にAIによる適性分析を信頼しているだけ、というところでしょうか。(本当にAIに仕事の管理を委ねるならパーソナルAIを通して直接各員に個別の業務指示を出せるので、人間同士にわざわざ上下関係を設定する意味がありません)
家族もララにデブリ調査の仕事が割り当てられたからといって、彼女を見下したり哀れに思ったりはしていませんしね。きちんとそれぞれ自分の視点からAIの提供するものに納得している様子が窺えます。ララ以外。
逆にララはいったい何が不満なんでしょうか?
わかりきったことですね。彼女は自分の不甲斐なさに不満を抱いています。そのことは物語序盤から散々描かれてきました。
彼女は自分を無自覚に低く見てくる家族に苛立ちを感じているのではなく、優秀な家族に見合わない自分自身に苛立ちを感じています。むしろ家族のことは深く愛してすらいます。だからこそ、嫌になる。
「ララにはララに合った仕事があるルン。大変な仕事は僕らに任せるルン」
「・・・見つけたルン。私も――」
もしララが惑星サマーンの社会制度やAIとの付きあいかたに不満を抱くとしたら、それは――。
同じなのに
「ぼくはランク1ルン。だから、下のララを助けてあげる責任があるルン」
責任。
「私の星では13歳で大人ルン。だから、ロケットを直してプルンスたちを連れていくっていう、大人の責任があるルン」(第2話)
ララにとっては重い言葉です。
彼女はずっと、責任という言葉と向きあってきました。
ララは大人です。少なくとも惑星サマーンの慣習ではそういうことになっています。
だから当然、彼女には自分は立派な大人であるべきだという自己認識がありました。
「ありがとうルン。この子を守ってくれて・・・」(第1話)
第1話、ひかるがプリキュアに変身してフワをノットレイダーから守ってくれたとき。あのとき何故かララが落ち込んだ様子を見せていたことを覚えているでしょうか?
「・・・見つけたルン。私も――」
あのとき、彼女は一度失ったんです。しがないスペースデブリ調査員でしかない自分が責任を負える、数少ない貴重なものを。ノットレイダーから逃げて漂流していたフワとプルンス、その助けを求める声。
「彼女たちは、ララ様が航行中に保護した異星人。宇宙星空連合の第4条、『漂流中の者は保護し、ふたたび宇宙に送り出す責務がある』によりお連れいたしました」
本来の職務からは離れてしまいますが、連合法という、より上位の大義名分がありました。しかも“責務”まで明文化されています。きっと嬉しかったでしょうね。これで自分もお兄さんと同じ、ちゃんとした大人になれるって。
ララがフワたちを保護したことすら母星に報告していなかったのは少し意外でしたが、そう考えると納得できます。
言えないですよね。ちゃんと自分が“なれた”と確信するまでは。誰にも手出しさせられたくないですよね。
・・・けれど、失敗しました。
ノットレイダーに追いつかれるという絶体絶命のピンチを打開したのは、ララではなく辺境惑星の子ども・ひかるでした。
「なんであなたがプリキュアルン。データを分析してもわからないルン。フワと一緒にいた時間なら私の方が長いのに・・・」(第2話)
悲しかったでしょうね。結局、自分の力では自分に課した責任を果たすことができなかったわけですから。せっかく見つけた“責務”は結果的に自分には遂行能力がなかったという現実だけを突きつけてきて、余計にみじめな気持ちにさせられます。
後に自分もプリキュアになることはできましたが、それはあくまで自分が子どもであるという自覚を持ったひかると同等の立場。大人になりたいララの自己承認欲を満たせるかというとまた別の話です。以後、彼女はしばらく(幸いなことに地球ではララにしかできない仕事である)ロケット修理に固執することになります。
「ララちゃんってすごいよね。ロケット操縦して、修理までできちゃうんだもん」
「いい大人ルン。できて当然ルン」(第2話)
「私、ララの力になりたいんだ」
「――ロケットの修理は私の仕事ルン!」(第6話)
ララが自信を持てるようになり、責任という言葉で求めていたものをようやく見つけられたのは、それから間もなくしてのこと。
「ミルキーは私たちが守る!」
「――みんな! 力を貸してほしいルン!」(第6話)
ひかるたちに大切に思われていることを知って、そのひかるたちのために自分にできることがあると気付いて、彼女はようやく満たされました。かつて一度失ったものとはまた違う、他に大切なものを見つけました。
それからの日々が次々に新しいものと出会っていく、驚きに満ちた楽しい毎日に変わっていきました。
・・・けれど。
「ダメでプルンス! 星空連合に所属していない地球人が来たと知れたらマズいでプルンス!」
「星空連合はプリキュアを見つけて、連合に入れようとしているルン」
その、ララにとって責任という言葉に代わる大切なものは、惑星サマーンでは通用しません。
ひかるたちのことも、プリキュアのことも、おいそれと話すわけにはいきません。
ならば、惑星サマーンにいるかぎり、ララは昔と変わらず責任ひとつ負うことのできない、情けない大人モドキのまま。
あの誰もが立派だと認める優秀なお兄さんは、自分とまったく同じ環境下で育った双子だというのに。
・・・こんなにも、違う。
大切なもの
実際のところ、ララが惑星サマーンの人たちに認めてもらえる方法はあります。
「自分がプリキュアだって言えばきっと認めてくれるルン。それに、調査員として全てを報告するのが大人の責任ルン」
それはララにとってすごく簡単なこと。プリキュアの正体を明かしてしまえばいい。たったそれだけで自分の能力が過小評価されていることを訴えることができます。報告義務という簡単な責任すら負いきれなかった汚名も雪ぐことができます。
けれど、できません。
今のララが抱えているものはもっと大切なものだからです。
ずっと負い目を感じてきた“責任”よりも大切なものって何でしょう。
もちろんそれはひかるたちのこと。けれど、それはどうして?
ひかるたちの友達になれて、ひかるたちのためにできることを見つけて。――それが、責任を負うことができないと見なされていたコンプレックスと天秤にかけられるほど大切だとのことですが、はて、それはどうして?
「これは私たちのロケットルン! みんなが楽しくなるような、ステキなロケットにしたいルン!」(第7話)
それは、最初のうちは居場所でした。負い目のせいで居心地が悪かった家族に代替する、何の気兼ねもなく安らげる自分だけの居場所でした。
けれどその認識はすぐに変わります。
「私が変なことばかりしてたら、ひかるやえれなやまどかまで変な目で見られるルン。いえ、見られてしまう。・・・がんばるルン。いえ、がんばります」(第13話)
血のつながった家族のもとですらときに安らげない場所に変わるのと同じように、ひかるたちの傍にいることにもそれなりの苦労を求められました。一時は一緒にいてちっとも楽しくない、むしろ重圧に押しつぶされそうな場所に変わったこともありました。
それでも逃げずにひかるたちの傍を選びつづけたのには、居心地のよさとはまた別の、大切な発見があったからです。
「ひかる。ララじゃなくて、ルンちゃんになってるルン」(第13話)
もし単純にひかるたちの傍のほうが居心地がいいというだけであれば、ララは今話、こんなにも悩まずに済んだでしょう。(割り切るのに苦労はするでしょうが)
だって、自分がプリキュアだということを明かせば、これまで居心地の悪かった家族内での立場が一気に改善されるんですから。きっとどこよりも居心地のいい場所に変わることでしょう。肉親ですしね。
けれど、今やララにとってひかるたちと一緒にいる理由は、ただ居心地がいいだけではありません。
「学校を傷つけるのは許さないルン! ここには私の知らない世界がたくさんあるルン。とても面白いルン。もっと知りたいルン。私はまだ日直をやってないルン!」(第13話)
「今までいろんなほ――じゃなくて、国を旅してきたルン。みんな違ったルン。でも、みんな変じゃないルン」(第14話)
「来てみて初めてわかったルン。いろんな人がいたルン。この星の人たちはデータや数じゃないルン! 『たかが』で済ませられるものじゃないルン!」(第19話)
そこには、新しい出会いがありました。
「みんなといると宇宙が広がるルン」
「みんなのおかげで、心のなかの宇宙が無限に広がっていくルン」(第25話)
ただ居心地がいいだけではなく、自分を高めることまでできました。
サマーン星では元々自分の不甲斐なさにコンプレックスを抱いていたララです。それはもう、成長の機会を得たとみるや貪欲に努力しつづけました。自分に自信を持てるようになることほど嬉しいことはそうそうありません。
ずっと負い目だった“責任”。
ララはそれに向きあう辛さから逃げることなく、それでいて責任を果たすこととはまた別のかたちで、コンプレックスから脱していきました。
そんなララだからこそ、今話の選択にはいっそう苦しむことになるのですが。
自分の気持ちに、従う
「“ララは”どう思っているのですか? 自分の気持ちに従うべきです」
まどかの考えかたには感銘を受けますが、それでもまだ困り顔。ララの迷いはまだ解けていません。
たぶん、言っているまどか自身もわかっていますよね。この考えかたではまだ迷いを振りきるのに足りないと。結局のところ、大好きなお父さんに嘘をつきつづけている現状に気を病んでいるまどかなら。
ララには大切なものがあります。
「でも、みんなは――。プリキュアが星空連合に入ったらみんなの生活がメチャクチャルン。地球に還してもらえるかどうかもわからないルン」
ひとつはもちろん、ひかるたち。
けれど、実はもうひとつあります。困ったことに。どうしようもないことに。
「・・・喜んでるルン。兄が――ロロが見つけたから。トトも、カカも、みんな、私の家族が喜んでるルン! だから、私は何があっても守るルン!」
ララには大切なものがもうひとつあります。
家族。
今話のバトルはララの家族への思いが鍵を握りました。それまでのストーリーの流れと逆行するかのように。
自分の気持ちに素直になれといわれても、困る。
だって二者択一の選択肢、どちらもララには切り捨てがたいものなんですから。大好きなひかるたちを困らせたくはない。けれど、もうひとつ大好きな家族にも胸を張れる立派な大人だとわかってほしい。
当初ララは大人としての責任に固執していました。それができないせいで家族の顔をまっすぐ見ることができずにいたからです。
今のララは本当ならもっと堂々としている子です。ひかるたちと出会ったことで彼女は大きく成長を果たしました。
彼女にとっては家族も、ひかるたちも、どちらも大切なものです。自分の気持ちに従えと言われても困ってしまいます。素直な気持ちに従えばこそ、迷わずにいられない問題なんですから。
「・・・見つけたルン。私も――」
見つけたものは、困ったことに、大切なもの2つ目。
今話の物語は前後編のうち前編です。実は、今回提示されたララの問題はまだ解決に至っていません。
今話でララが進展させることができたのは1点。
「強情ね。さっさと諦めなさい!」
「・・・諦めないルン。・・・喜んでるルン。兄が――ロロが見つけたから。トトも、カカも、みんな、私の家族が喜んでるルン! だから、私は何があっても守るルン!」
諦めない気持ちです。
そもそもプリキュアとは諦めないものです。二者択一の選択肢を突きつけられたところで素直にどちらかを選択するなんてことはまずしません。
片方を選んだら片方を切り捨てることになるだなんてそんな理不尽まっぴらごめん。
目の前に選択肢が迫ったとき、過去のプリキュアたちは決まって同じことばかりしてきました。
プリキュアとは、選択肢そのものをぶん殴って両方取りにいく欲ばりな女の子たちのことです。
コメント
「プリキュアのこと隠してプリンセススターカラーペンを拾った設定で1本差し出せばいいんじゃねーの?」と考えた私はランク8決定。
ロロがありもしない残りのペンを探して徒労に終わるしかなくなりますねw
同じく「ララだけがプリキュアと名乗り出る」のも、おそらく複数人チームと割れてるので不可能。
例えば裁判の証拠品のように、客観的事実とは本来かなりの影響力を秘めたものですからねぇ。
それを突きつけてしまえるAIの発言力はそりゃ高くなりますよ。
とか言いながら実は「AIを使いこなす」ってのが何なのかピンと来てなかったり。
もし「解析結果から為すべきことを導く」力を指すなら、思考が必要となるので偉い立場(=優れた能力)のククが疑わしきを即刻罰したことと矛盾してしまいます。
2話の描写から、空想という概念が咄嗟に出てこないらしいこととも。
そもそもソレ実行したらお兄さん(と、叙勲のためにわざわざ最高幹部を派遣した宇宙星空連合)のメンツ丸つぶれなので、思慮深いララにはできないでしょうね。(長い括弧書きしておいてナンですがトッパーさんはこの際どうでもいいですね)
感想文には盛り込みきれなかったんですが、今話もプリキュア側の状況を悪くしたのは、他人に気を使いすぎて萎縮してしまう優しい気持ちだったりします。ララが周りへの影響を気にせずプリキュアのことなりプリンセススターカラーペンのことなりを事前に報告できていれば、あそこで指名手配される事態にはならなかったはずなんですよね。
「AIを使いこなす」は概ね「解析結果から為すべきことを導く」ってことで合ってると思いますよ。他に乗り物のコントロールなんかも含まれるみたいですが。
スタートゥインクルプリキュアにおける思考停止には、“頭が真っ白になって何もできなくなる状態”だけでなく“本来なら絶対しないはずの選択を考えなしに選んでしまう浅慮”も含まれているように見えます。「歪んだイマジネーション」と呼ばれているものの大半はまさにこの後者。
ひかる達と出逢って友情を育む前のララが何故、サマーンにずっと報告を入れなかったのか?謎だったんですが……。
もしかすると、ララは「プリキュアになり、スターカラーペンを回収してスターパレスを再建し、ノットレイダーも退治して宇宙の平和を取り戻す」という大手柄を一人占めすることで、サマーンでは通常ならば望めない大出世を遂げようとしたのかもしれません。
プリンセスの力を発見した兄・ロロを表彰したのがサマーン当局ではなく宇宙星空連合だった、のがミソで、プリキュアとして任務を果たせば星空連合が評価してくれるーーーーーー結果、サマーンにおいてもララの評価が上がる、と目論んだのではないかと(日本で評価されてなかった研究者がノーベル賞を獲った途端に日本でもチヤホヤされるのと似たような理屈)。そのためには当然、ララが他の(特にランク上位の)サマーン人の助けを借りず、無論、未開惑星人の助けなど絶対に借りず、一人で手柄を立てる必要がある訳で……。
ひかると出逢って間もなくの頃のララが全てを一人でこなそうとする理由として「大人ルン」だの「責任があるルン」だの言い張っていたのは、チンケな功名心をカモフラージュする言い訳だったのかもしれず、そんなララがひかる達と友情を育み、そして幾多の現場を踏んでいくうちに「友や家族、大切な人達を守り抜くためにチンケな功名心など捨て去ることこそ本物の大人の責任」と自覚するようになったーーーーーーのかもな、と。
かなり穿った見方ですが……そうだとすればララは相当な野心家の資質を持ち合わせていたことになり、そんなララの資質を検知したマザーAIがララを「サマーンの体制・秩序に疑義を呈して動揺をもたらしうる危険分子」と見なして「最低ランクの(ロクな権限を持たない)肉体労働」に従事させたーーーーーーと考えると妙に辻褄が合ってくるんですが(ただ、その労働がスペースデブリ回収という外回り仕事で、文字通り「虎を野に放つ」形となった辺り、やっぱりこのマザーAIかなりのポンコツな気が)……。
さて、野心家というと、サマーンを来訪中の宇宙星空連合代表・トッパー氏。この御仁も相当な野心家という感じがします。
そもそもプリキュアはスタープリンセスの代理人・フワによって任命されており、本来スターパレスないしスタープリンセスに所属するのが筋だと思うんですが、そのプリキュアを(スターパレスの体制が再建される前に)星空連合に編入させようと画策する辺り、かなりのタヌキ親父のようで、馴れ馴れしく呼び掛けられたプルンス殿が明らかに距離を取りたがっていたのも、この親父のタヌキ振りを知悉していたからなのでは(そういえばスターパレスの廷臣・プルンスも単独行動にこだわり、トッパー率いる星空連合に助けを求めようとはしなかったんだよね)……。
自分自身も同じようなことを書いておいてナンですが、さすがにプリキュアという番組でララにそこまで生臭い設定はつけないんじゃないかなと。
ただ、実際問題ララは惑星サマーンでランク8調査員をしているかぎり、絶対に名誉挽回できないんですよね・・・。上位の調査員が監督している=自己責任で大きな仕事に挑戦することはできないということですし。せっかく大人になったのにいつまでも子ども扱いされているようなものですよね。
私がララと同じ立場なら、フワやプルンスとの出会いは最初で最後の人生逆転チャンスのように見えてしまうと思います。イヤになりますね。
ただ、そのチャンスを前にして実際に現状打開を試みるララのバイタリティはつくづくカッコいいとも思っています。私なら夢見るだけ夢見て、たぶん踏み切れない。保護した時点で報告するかサマーンに連れ帰ると思います。
マザーAIがポンコツ? 何言ってるんですか。ヤツはあの“自分が直接指示出ししているにも関わらずまどかに現場監督をやらせた”(第7話)ロケットAIさんのオリジナルですよ? 分析力ならまだしも判断力に関してはポンコツに決まっているじゃないですか。
(ホント、なんで職業選択という重大事に限って適性分析だけでなく提案までAIに任せているんだろ・・・?)
最終決定権が人間側にあるからディストピアではないという論を前提に考えると今回、ククの誤認と誤解によりララが指名手配されてしまったのはディストピアではないゆえの悲劇とも言えますね。
全てをAIが判断して決定してるのならば、あんな断片的な情報で根拠のない判断をするとは考えにくいですから。
素直にディストピアを描くよりえぐい。さすがプリキュア。
せめて現実の公務員ばりに決裁ルートを冗長にしておけば回避できた悲劇なんですけどね。上級職員とはいえ、どうしてたったひとりの判断で星ひとつが動いてしまうのか・・・。
あれはAIに大きく依存していた社会構造の問題ではなく、ヒューマンエラーに対して脆弱すぎる組織運営が原因だと思います。ディストピアって普通は社会主義の究極型として描かれるものだと思うんですが、ククさんのやらかしはどちらかというと寡頭政治っぽいですよね。見た目とウラハラに古くさい社会制度。その意味でも、私は惑星サマーンはディストピアではないと考えています。
いちおう、AIの分析が常に信頼できるものだったからこそ油断して決裁を簡略化してしまったんだと考察することもできるんですが。
次話はどうやらマザーAIがアイワーンにハッキングされる(=コンピュータが一個人に騙されてしまう)お話っぽい様子。残念ながら判断力に難があるのはククさんだけではなく、マザーAIさんもどっこいどっこいだったようです。(知ってた)
対するは今話で「彼女たちは、ララ様が航行中に保護した異星人」と人工知能らしからぬ柔軟な判断力を見せつけていたロケットAIさん。(たぶん) 彼女も少し前まで相当なアホっ子だったのにね。人間と同じくAIも成長するようです。
・・・自己判断できるAIの登場って、それこそディストピアまっしぐらなシンギュラリティなのでは?(杞憂民)