スタートゥインクルプリキュア 第32話感想 “私のすべきこと”を、誰が決めるのか。

フワを守りたい。あの気持ちだけは変わらない。てか、変えられない!

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→ TVerアーカイブ配信(放送後1週間限定)

(主観的)あらすじ

 12星座のスタープリンセスが復活し、フワも成長しました。未だ足りないものはあるそうですが、プリキュアたちの前途は洋々です。
 その一方で、ガルオウガは自身の失態に責任を感じていました。宇宙に居場所を失った者たちの寄り合いでもあるノットレイダーという組織のため、なんとしてでも己の手で成果を持ち帰らなければならないと、ガルオウガは決意のもと再び出撃します。

 迎え撃つひかるたちは「守りたいものがあるから強くなれる」「守りたいという気持ちは誰にも負けない」と言ってフワを守るため戦います。けれど、現実に彼女たちより強い力を持ち、それでもかつて自分の故郷を守りきれなかったガルオウガは、彼女たちの思いをただの驕りだと批判します。
 それでも、ひかるたちは自分の思いを曲げずに抵抗します。ガルオウガからどう見えたとしても、「フワを守りたい」という思いは間違いなく彼女たちの偽りない本心でした。
 ひかるたちはプリキュアになってからの数ヶ月で学んでいました。宇宙にはいろんな人たちがいて、いろんな考えがある。自分と違う考えかたの人とぶつかりあうこともある。けれど、その多様性のなかで、自分にも自分だけの譲れない思いがあるんだと。

 それはもはや“責任”などではなく、思いと思いとのぶつかりあい。
 ガルオウガの強い信念の篭もった攻撃に対して、ひかるたちはそれぞれの思いを重ねた新しい必殺技で対抗します。
 プリキュア・スタートゥインクルイマジネーション!
 なりたい自分として輝くために、ひかるたちは自分だけの譲れない思いを貫きます。

 「力ある者には責任がある」と、誰かが言いました。
 その一方で、その人は「自分には力が無いけれど責任がある」と、率先して責任を負おうとしていました。

 「力が伴わないのなら『守る』などと口にするな」と、誰かが言いました。
 一方で、その人は自分の力が足りていないのを自覚しつつ、何か譲れないもののために戦っていました。

 “責任”って、なんなんでしょうか?
 それは重いものなんでしょうか。辛いものなんでしょうか。苦しいものなんでしょうか。理不尽なものなんでしょうか。誰かにお仕着せられるものなんでしょうか。何かの代償なんでしょうか。どうしても負わなければならない義務なんでしょうか。
 責任って、イヤなものなんでしょうか?

 ・・・だったら、どうして。
 「大丈夫ルン! 私は大人ルン。それに楽しいルン。いろんな星を見てまわるのはステキルン」(第30話)
 どうして、自分が責任を負えるようになったことを嬉しそうに話す子がいるんでしょうか?

フワを守る!

 「責任・・・? みんなを・・・守る・・・。守るって、私には・・・」(第31話)

 「力がある者にも責任があるのである」(第31話)
 自分が何か責任を負っているだなんて考えたこともありませんでした。
 「宇宙の伝説でプルンス!」
 「私が? わあー!」(第2話)
 何かを守れる力が自分にあると知ったとき、ただ純粋に嬉しく思っていました。
 「自分の弱さを知ったである」(第31話)
 自分には力が足りないのかもしれないと思うと、とても悲しくなりました。

 「私、はしゃいでたかも」(第11話)
 責任なんて今まで考えたこともなかったはずなのに、誰かに迷惑をかけてしまったと感じるたび、なんだか、どうすることもできない気持ちで胸がいっぱいになっていました。

 「私はフワを、フワを・・・フワを守るー!!」(第1話)
 知りあったばかりの新しい友達を守りたいと思ったのは、それが自分の義務だからというわけではありませんでした。
 そのときのひかるはプリキュアではない普通の女の子で、何の打算もないくせに宇宙へ飛び込んでいく無鉄砲さんでした。

 「私は、・・・守りたいルン。私はフワを守りたいルン。私の力で!」(第2話)
 初めは自分に誰かを守れる力があるなんて、そもそも信じてすらいませんでした。
 そのときのララはプリキュアではない普通の女の子で、ランク8調査員のくせに大人の責任を取ろうと足掻く意地っぱりでした。

 「弟たちを笑顔にしてくれた。この子は泣かせない!」(第4話)
 生きものだということも知らなかった子のために飛び出したのは、ただ涙を見てしまったから、それだけでした。
 そのときのえれなはプリキュアではない普通の女の子で、プリキュアですら苦戦している戦場に足を震わせていました。

 「フワを守る! 私はそう、決めたんです!」(第5話)
 そもそも他に大切なものがある身で、そんな自分に他のことを選ぶ自由があるとは思っていませんでした。
 そのときのまどかはプリキュアではない普通の女の子で、お父さんにウソをついてしまうことに不安を感じていました。

 「星のみんなは救いたい。でも、その前に。・・・倒れているんだ。目の前で。この子たちが!」(第20話)
 故郷を救うという大きすぎて手に余る目的があるくせに、結局他のものを切り捨てられなかっただけでした。
 そのときのユニはプリキュアではない普通の女の子で、誰かを守るどころか自分の気持ちを押し殺す必要があるとすら考えていました。

 「お前たちのその思いはただのかわいがり! そいつを子ども扱いしているだけ! 自分の力が上だと思っているがゆえの発想!」
 いいえ。
 最初に守ると決めたとき、ひかるたちはむしろ自分の無力をこのうえなく自覚していました。

 最初は力ある者の責任なんて負っていなかったはずで、
 最初は守れるだけの力なんて伴っていなかったはずで、
 それでも「フワを守る!」って決めたんです。

 だからこそ、プリキュアになれたことが嬉しかった!

つまり“責任”とは

 「力がある者にも責任があるのである」(第31話)
 「『守る』などと軽々しく口にするな!」(第31話)

 そもそもの因果関係が逆なんです。
 力があるから何かに責任を負うのではありません。
 力があるから何かを守ろうと思うのではありません。

 それはトッパーやガルオウガ自身を見ていても明らかなこと。
 責任を負いたいから力を必要とするんです。
 何かを守りたいから力が欲しいんです。

 「もうたくさんなの。奪い取られるのは。失うのは!」
 「自分が上だなんて思ったことないルン! ただ、守りたいって思っただけルン!」
 「出会ったのがさ、ぬいぐるみだと思ったら、プリンセスの希望だったってだけだよ!」
 「驕りなんてありません。ただ、必死にフワのことを思っていただけです!」

 初めにあったのは思いでした。
 どうしても叶えたくて身を突き動かされるほどの切実な思いでした。
 できるかできないかは問題ではありません。
 したい、と、ただ純粋にそれだけ思っていました。
 無力なくせに宇宙星空連合のトップに立ちつづけているトッパーと同じで。
 守れなかったくせに今も何かのため戦いつづけているガルオウガと同じで。
 その思いを胸に抱いているからこそ――、
 「責任・・・? みんなを・・・守る・・・。守るって、私には・・・」(第31話)
 守れなかったとき、胸が苦しくなるんです。

 「私、はしゃいでたかも」(第11話)
 以前、ひかるは自分のワガママでみんなに迷惑をかけてしまったことに責任を感じたことがありました。
 冷静に考えたらあの敗北の原因はひかるのワガママとは全然関係なかったのに。
 周りを見渡してみれば誰もひかるを咎めていなかったのに。
 ひとりで勝手に責任を感じて、ひとりで勝手に落ち込んでいました。

 それこそが“責任”というものです。
 責任とは本来、誰かにお仕着せられるようなものではありません。
 「責任を全うする」「責任を持つ」「責任を取る」などというように、本来は自ら主体的に受け持つものです。
 なぜなら、責任を果たせないとき、つまり自分のすべきことができなかったとき、一番悲しい思いをするのは自分自身だから。
 責任とは、自分が何かをしたいと思う気持ちそのものです。

 だからこそ、トッパーやガルオウガ、あるいはララなんかは、力不足を承知でわざわざ自分から責任を負いたがっていたわけです。
 できるかできないかではなく、ただ、自分の意志で何かをしたいと思わずにいられなかったから。

 その意味で、ひかるはすでにたくさんの責任を負っています。
 先にも書いた「はしゃいでいた」ことへの責任。友達から向けられているたくさんの期待に応えたいと思う責任。みんなともっともっと新しい世界に飛び込むため努力していきたいという責任。そしてあるいは、みんなを、宇宙の星々を、フワを、守りたいという責任。
 それら全て、ひかるは自分の力で間違いなく果たさなければなりません。
 なによりもまず、自分のために。
 自分のしたいことをするために。

 最初のころ、ひかるは自分のやろうとしていることを人に説明するのがすごく下手な子でした。
 今はいちいち説明しようとすらしません。説明しなくてもララたちが理解してくれて、ちゃんとついてきてくれるってことを、ひかるは信頼しています。
 ひかるはひかるなりに、自分が背負った責任を果たそうとしています。
 自分のしたいことをすることで。

 プリキュアは自分たちの日常を守るために戦うヒーローです。
 その新しいヒーロー像は第1作の『ふたりはプリキュア』から一貫しています。なのに、彼女たちはその素朴すぎる願いにも関わらず、いつも世界を守る大きな戦いに巻き込まれていきました。かつての自己犠牲的なヒーローたちと結局同じように。
 けれどそれは、彼女たちが自分の守りたいものを守ろうとしていたからこそでした。あくまで日常の延長線上に世界があったというだけであって。
 そのどこまでもまっすぐな思いのかたちこそが、プリキュアという名の普通の女の子たちが自分に課した、“責任”です。

 プリキュアになれるだなんてこの幸運、いったいどんなにか嬉しいことでしょう!
 だって、その力があればもっと大きな責任に挑むことができるんですから!

 「フワを守りたい。あの気持ちだけは変わらない。てか、変えられない! だから私は『フワを守る!』」

プリキュア・スタートゥインクルイマジネーション

 「最後の希望を真のかたちにするためには、集めなくてはなりません」
 「トゥインクルイマジネーション」
 「それが、フワを大いなる力へと導きます」

 これからひかるたちが探さなくてはならない、かたちなき宝物。きらめく想像力。
 それと同じ名前を持った必殺技が強敵・ガルオウガを打ち倒しました。
 ひかるたちとフワの、お互いを守りたいという、当初から揺らぐことのなかった強い思いの結実。

 「わかったんだ。・・・宇宙って広いんだなあって。いろんな人たちがいて、いろんな考えかたがあって、まだよくわからないし、あなたのこともメチャクチャ恐い。でも――、フワを守りたい。あの気持ちだけは変わらない。てか、変えられない!」
 今話でひかるの言っていること自体はプリキュア・サザンクロスショットを習得した第11話のころとさほど大きく変わりません。自分以外に多様な価値観があって、まだ見ぬ新しい世界もたくさんあって、そのことを認めたうえで、私は私、と主張しているだけ。
 ただ、あのとき「私、想像してたんだ」(第11話)と言っていた部分が、今回「わかったんだ」に変わりました。
 昔から何度も心のなかで冒険を繰り返してきた想像上の宇宙が、実際にロケットを飛ばしてみた空の向こうの宇宙と重なりました。
 虹色に輝く広い宇宙はたくさんのuniが寄り集まってできていました。想像していたのと同じくらいいろんな人たちがいて、想像していたよりずっといろんな考えかたがありました。
 そして、それらを見てまわるひかる自身もその一員なんだと気付かされました。

 だからひかるは堂々と主張します。
 「フワを守る!」と。

 「私は全てを捧げ、力を得た。お前たちは甘い! 守るべきものが大きければ力が出るだと? たまたま拾ったそいつのために力が? 笑わせる!」
 自分たちより明らかに凄惨な生い立ちを語り、自分たちよりはるかに重い覚悟を見せつけたガルオウガに向かって、ひかるは気後れも遠慮もせず、ただ、自分の等身大の思いを正面から主張します。

 「フワを守る!」
 その確かな自分の思いは、他の誰かの思いの強さと比べるようなものではないと確信して。
 彼の背負っているものと同じくらい、自分の背負っているものもかけがえないものなんだと確信して。
 責任は自分のために負うもの。ひかるにも、ガルオウガにも、それぞれ自分だけの“したいこと”があります。たとえ他人にそれが大したものではないと見くびられようとも、それでわざわざ自分の背負うものの価値をあえて毀損してやる必要なんてありません。自分の価値を下げることなんてありません。
 私は私、あなたはあなた。あなたが強いと認めるからこそ、私も強い。どちらもこの宇宙を賑わす多様な個性のひとつなのだから。
 だから、ひかるは威風堂々と自分の思いの強さを主張します。

 「守るフワ! フワも、プリキュアを守るフワ!」
 それでも・・・、この果てしなく多様な宇宙のなかで、偶然に同じ思いを重ねられる友達と出会えることが、いったいどれほど幸福なことか。
 「声を重ねるフワ!」
 今のひかるにはそんな奇跡が起こりうる確率がいかほどかまだわかりません。宇宙はまだまだ知らないことだらけです。もしかしたら今自分に想像できるよりもっとすごいことかもしれませんし、意外とありふれていることかもしれません。わかりません。それでも、その奇跡に途方もなく大きな価値があることだけはひかるにも確信できます。だって、それはひかるの大好きな友達と一緒に起こした奇跡なんだから。
 「イマジネーションの輝き! なりたい自分に!」
 昔よりもほんの少しだけ詳しく知れた宇宙のなかで、ひかるは友達と一緒に、自分らしい輝きをいっそう強めていきます。

 「見つければいいんだね、トゥインクルイマジネーション! わかった! 任せて!」
 臆することなく、いっそ気楽なほどに、ひかるはまたひとつ自分に新しい責任を課していきます。
 友達と出会ってから、新しい世界を知ってから、ひかるの毎日はいつも“したいこと”だらけです。

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