超人女子戦士ガリベンガーV 第28話感想 ちなみに大抵の植物も切り分けるとそれぞれクローン再生します。

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生徒役:電脳少女シロ、花鋏キョウ、猫乃木もち

近年まれに見る普通じゃねえかよ。

出演バーチャルYouTuber

電脳少女シロ

「我々バッテリーで生きているもので。大変失礼をいたしました。電脳ジョークですぅ」

 もはやどういう生態ということになっているのか誰も把握できない、ガリベンガーV限定のバーチャルYouTuber独自設定に乗っかったり乗っからなかったりする波乗り少女。キテレツなメンバーと一緒にいるときはマジメになり、マジメなメンバーの中ではキテレツになるといった具合で、そっちでもよく波乗りしています。
 やたらと語録が豊富、そしてやたらと逸話も豊富。というのも彼女は多趣味・多芸なうえ、やたらと柔軟な発想力も持ちあわせ、ついでに傍若無人な性格なため、自由にさせると大抵常人に理解できない奇矯な言動をしはじめるからです。彼女の動画を見てなんともいえない気持ちになったときは「シロちゃんの動画は為になるなあ」と、とりあえず納得しましょう。彼女はあなたが為になることを望んでいます。
 まるでアブない人のようですが、そして実際アブない人なのは確かなのですが、こう見えて彼女は共演者をよく見ています。聡明です。共演者の対応力を推し測り、ギリギリ捌ききれる程度のムチャ振りを仕掛けるのです。おかげでいつのまにか人脈の輪がずんどこ広がってきました。タチが悪いったらありゃしない。

花鋏キョウ

「V V になっちゃいました。ぶいぶい」

 7月24日生まれの17歳。誕生星はかに座β星アル・タルフ。すなわち星言葉は「ひたむきなる人生の主役」となります。まさにこの言葉どおり。花鋏キョウは歌専門のバーチャルYouTuberです。特にトークが得意というわけではありません。ゲームやASMR、ホラーなどのバーチャルYouTuber定番コンテンツも扱っていません。本当に歌一本。ひたむきに歌だけと向きあいつづけてたくさんのファンを獲得してきました。
 その人となりは小峠教官が「めちゃくちゃ普通の子だね」と評したとおり、どこまでも普通の子。神楽すずのように発想が小市民っぽい以外はエキセントリックということもなく、YuNiのようにあくまでアニメキャラっぽい普通さというわけでもなく、本当に生身の女の子らしい女の子です。趣味といい、好き嫌いといい、感性といい、普通。
 ただ、唯一歌に対する姿勢だけはちょっとだけユニークです。歌うためなら他のあらゆる人生の楽しみも、大好きな猫や、何気ないおしゃべりすらも諦めてしまっていいと言えてしまう歌バカ。一曲一曲の曲解釈に頭を悩ませ、ふさわしい表現を探して産みの苦しみを味わいながら、それでも歌が一番大切だと胸を張って言えるのが花鋏キョウです。

猫乃木もち

「ビスケットだ」

 ワルに憧れるほどなぜか幼児っぽくなっていく難儀なギャル。そういえばギャルでした。相方の風紀委員長も風紀を取り締まろうとするたびふにゃふにゃとろけているので、世のなか案外そういうものなのかもしれません。根がマジメなので曲がった生きかたができないのです。どちらに曲がるにしても。
 彼女の人気を確立したのはホラーゲーム実況。用意されたトラップことごとくに引っかかっては絹を裂くような美しい悲鳴を上げつつ、それでいて謎解きはスムーズにすいすい解いていくという、ホラーゲーム実況のお手本のようなプレイスタイルです。猫耳はある朝目を覚ますとなんとなく生えていました。後日尻尾も生えました。
 陽気で物怖じしない性格、趣味は野球観戦と猫を愛でること、歌唱力に類い稀な才能があり、ついでにセクシー(というかフェチズム)路線にも理解があるという、おおよそオッサンの夢を詰めこんだようなキャラクターとなっています。

授業構成おさらい(+ 補足事項)

超難問:プラナリアの謎を解明せよ!

 阿形先生は基礎生物学研究所の第9代所長です。専門は再生生物学。イモリの尻尾やプラナリアなど、再生力旺盛な生物の研究をしています。言葉の端々から漏れ出ているとおりのなかなかファンキーな先生で、自身が発見したプラナリアの頭部生成遺伝子にnou-darake遺伝子などとユニークな命名をしているほど。
 子どものころから遊び好きで、研究者となった今も根底には研究を通して楽しみたいという思いがあるそうです。電子顕微鏡を持ち込んでその場で実験した今回の授業スタイルはまさにその理念そのもの。

 プラナリアという研究対象はそんな阿形先生にうってつけの遊び場。どれだけ細切れにしても分裂再生する生命力はもとより、脳を持つ動物として最も原始的であること、口と肛門が一緒になっている動物と分かれた動物の中間に位置していること、雌雄同体であること、環境の変化に弱いことなどから、生物学の様々な分野においてたいへん研究のしがいがある生きものと見なされています。最近では動物が脳以外にも記憶を蓄積していることを実証する例としても注目されていますね。
 ついでにいうと意外にそこらの田んぼや川にも多く生息していて、子どもの自由研究の題材としても身近な存在です。阿形先生もプラナリアについて子ども向けの本を書いています。

トピック1:どうやって再生する?

 トーマス・ハント・モーガンの実験で279に分割された断片から再生したという記録があるように、プラナリアはたいへん再生力旺盛な生きものです。傷口から体液が漏れ出さえしなければ切断されても活動を再開することができ、1週間後には欠損した部位もすっかり再生します。

 「体全部に脳がいっぱいあるから切っても考えることができて、なんか必死に生存本能で考えて考えて、できちゃうの。全部。体も足も」
 プラナリアは明確に脳という独立した器官を持っている動物なので、あくまで脳は頭部にひとつきりです。ただ、その再生メカニズムを考えるうえで電脳少女シロのこの発想は当たらずとも遠からず。

 近年、iPS細胞という研究分野がたいへんな注目を集めています。これは生物の体から取り出した細胞に特別な処理を施したもので、元がどの部位から取り出した細胞であってもあらゆる部位に培養することができます。脚の細胞から腕を、皮膚の細胞から臓器を、などといった具合。体の一部を失った人のための再生医療や、薬物の体内作用を特定するための実験素体として役に立つことを期待されています。
 ですが、何にでもできるということは、何になってほしいかを何らかのかたちで指示して培養しないといけないということ。現在iPS細胞の実用化に向けてはこの培養コストの高さが壁となっています。その点、プラナリアは体のどの部分を切っても自然と欠損した部分だけを再生するんです。まるでひとつひとつの細胞が「今、何が必要か」を考えながら細胞分裂しているかのように。

 プラナリアは全身の25%に全能性幹細胞を持っています。ざっくりいうと、全能性とは体のどの部分にもなれる性質のこと。幹細胞とは分裂を繰り返して全身に新しい細胞を供給する細胞のこと。全能性を持つ幹細胞は、普通の動物の細胞では受精卵のみが該当します。
 要するに、プラナリアは全身が卵でできているようなものなんですね。だから脳だろうと生殖器だろうと何でも再生できます。

 ちなみに、脳といえば、体を切断されて分裂したプラナリアは、頭部以外から再生した固体(つまり新しく脳をつくった固体)にもある程度の学習記憶が継承されていることがわかってきました。迷路実験なんかをすると、表層記憶は失われるのか最初はもたつくんですが、分裂前のデータや他の固体と比べて、繰り返し実験したときの学習効果が明らかに高くなっているんです。
 記憶が遺伝子に記録されているのか、それとも全身の細胞に格納されているのか・・・。

 「尻尾の断片からも胴体の断片からも、脳が再生して、目が再生して、一匹のプラナリアになる。とんでもない。便利ですね」

トピック2:どうやって食事をする?

 「脳みそができてくるってことは・・・脳みそに口ができる」
 「目に口があって、目から、えっと、いろんなものを食べるんじゃないかと思います」
 「食べ物のなかに入り込んで、全身に細胞があるなら全身で吸収するのかな、みたいな」

 三者三様の予想が出てきたのは、なんだか頭に口っぽい器官が見当たらないから。

 実はプラナリアの口は腹部にあります。普段は体の内側に引っこめられていて見えませんが、エサを見つけると咽頭と呼ばれる管を伸ばします。この咽頭がプラナリアにとっての口です。
 ちなみにプラナリアに肛門はありません。食べかすは咽頭から排出します。

 地味な話のように思えますが、この口と肛門が別の穴として存在するかどうかは動物分類において非常に重要な指標のようです。
 生命誕生直後の原始的な動物は最初、プラナリアのように口と肛門が分かれずに1つの穴しか持ちませんでした。それぞれ分かれて2つの穴を持つようになるのは進化が進んだ比較的新しい動物ということになります。
 プラナリアは脳を持ち、体の構造も左右対称でそれなりに整えられているのですが、口と肛門が分かれていません。この条件に当てはまる動物は、たとえばイカなど、案外多くいるのですが、プラナリアはそれらのなかでは比較的原始的な身体構造をしているという点で、しばしば研究対象になっているようです。(このあたりの話は軽く調べただけじゃ正直よくわかりませんでした)

 ちなみに、口と肛門を分けるようになった動物は、進化の初期段階で持っていた穴から、全身を貫くようにして反対側の位置にもうひとつの穴を持ち、そちらを口として使うようになりました。元々持っていたほうの穴は肛門としています。
 生物の進化がそういう流れになっているため、穴をひとつしか持っていないプラナリアは他の動物なら肛門がありそうな位置に咽頭を持っているわけです。そういえばイカなんかも体の後ろがわに口がありますもんね。

トピック3:どうやって増える?

 「他のプラナリアに合体して、また生きていくと思います」
 花鋏キョウの説だと増えずにむしろ減ってしまいますが・・・。
 このトピックと関係ないんですが、実際プラナリアは共食いもするようです。そして共食いした相手の記憶を継承もしてしまうようです。
 なので、この説自体は意外にも事実に即しているんですよね。残念ながら繁殖の話ではないのでここでは関係ないんですが。

 プラナリアは基本的に分裂によって繁殖します。それも、上でも書いた強力な再生力を最大限に活用し、自ら体をちぎって増えていきます。このほうがいちいち交尾相手を探したり、外敵に襲われやすい卵や幼体の段階を経なくていいので、単純に数を増やす目的なら有性生殖より有利なんですよね。
 エサの豊富な環境ではそのようにして無性生殖で繁殖していきます。

 一方で、エサに乏しいなど劣悪な環境になると、プラナリアは交尾による有性生殖も行います。
 遺伝子を多様化させて環境変化に対応し、種の保存を目指すわけですね。
 たとえば栽培バナナは種子ができないため、株分けによって木(草)を増やしているわけですが、その結果流通しているほとんどのバナナが同一遺伝子になってしまっています。数年前に(というか過去何度か)新パナマ病という、現行品種にクリティカルな病気が流行したことがありました。実は現在も終息していません。徹底した水際対策によって食い止めてはいますが、一度農園に菌が侵入してしまうと今でも全滅必至です。
 これが遺伝的多様性のある農作物なら、病気に耐性のある個体に栽培品種を切りかえることで根本対策できるんですけどね。そういうわけで、プラナリアは環境が悪くなると有性生殖を行うようになるわけです。
 「理に適ってる」
 電脳少女シロがつぶやいた言葉はそういう意味です。

 ところで、元々無性生殖で増えた個体しかいない環境で交尾しても遺伝的多様性って生まれるんだろうか・・・?
 生まれるんでしょうね。詳しくないので断言はできませんが。
 ほら。高級イチゴから種を取って自分で栽培してみても、全然元の品種と似つかない、ちっとも美味しくないイチゴにしかなりませんし。(※ イチゴも株分けによって栽培する農作物です) 生物って不思議。

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