生徒役:電脳少女シロ、八重沢なとり、もこ田めめめ
人を騙すとか、そういうのならできます。
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↓レジュメがガチなことで知られる私立ガリベン大学↓
出演バーチャルYouTuber
電脳少女シロ
「敵さんに見つかっちゃったときに、マイうさ耳を取り出して、耳につけて、『ウホ! ウホ!』って言うと――」
幼児でありお姉さんでもあるバーチャル2歳児。つまり2歳児です。いつもよくわからないボケを繰り返していますが、ときどき限りなくニアピンに近いボケも仕掛けてきて油断できません。まあ、どっちにしろボケるわけですが。小峠教官とはイジリたおしたり呆れかえられたりする仲。あとオタクです。
やたらと語録が豊富、そしてやたらと逸話も豊富。というのも彼女は多趣味・多芸なうえ、やたらと柔軟な発想力も持ちあわせ、ついでに傍若無人な性格なため、自由にさせると大抵常人に理解できない奇矯な言動をしはじめるからです。彼女の動画を見てなんともいえない気持ちになったときは「シロちゃんの動画は為になるなあ」と、とりあえず納得しましょう。彼女はあなたが為になることを望んでいます。
まるでアブない人のようですが、そして実際アブない人なのは確かなのですが、こう見えて彼女は共演者をよく見ています。聡明です。共演者の対応力を推し測り、ギリギリ捌ききれる程度のムチャ振りを仕掛けるのです。おかげでいつのまにか人脈の輪がずんどこ広がってきました。タチが悪いったらありゃしない。
八重沢なとり
「すご! めめめさん合ってるかも!」
マジメで友達思いな風紀委員長。全般的に距離感が近く、twitterなどで誰かが楽しそうなことを話しているとウキウキで混ざりに来ます。共感性が高いともいう。誰かが笑っていれば自分も楽しい。誰かが泣いていると自分も悲しい。そういう子です。あとオタクです。
彼女の最大の持ち味はなんといっても親しみやすさでしょう。イラストが上手かったりリズム感が優れていたり、何をやらせてもたいがい器用にこなす優等生のはずなのですが、なぜだかいつも隙だらけ。ついつい軽口を叩いて怒らせたくなってしまいます。感受性高く、涙もろく、隣に座ってころころ変わるいろんな表情を眺めていたくもなります。
ちなみにスカートの話は取り締まり対象なのでご注意を。あなたが言わなくても向こうから話を振ってきます。罠だ! 両手で振りまわす稲穂をうまく掻いくぐり、お煎餅でご機嫌を取りましょう。それで風紀が守られます。
もこ田めめめ
「えー! なんでなんでー! めっちゃ実用的じゃんー!」
ふわふわで楽しいこと好きな愛玩動物。ヒツジとアルパカと人間のキメラにして電子の存在というややこしいキャラクター設定ですが、まあ、おおむねヒツジと考えて差し支えありません。あとオタクです。
なんというか、キャラクターとして無敵のかわいさ大勝利って感じですね。まず「もこ田」ときて、直後「めめめ」ですよ。めめめ。めめめめめ。はいかわいい。はいわかりやすい。ふわもこヘアー&シュッとしたスタイル、ピコピコお耳にピコピコBGM、そして忘れちゃいけない靴下ときた。とにかくマスコットに求められるもの全部がバランスよくまとまっているキャラクターです。いるだけでもうかわいい。すっかり大抜擢にも慣れてきたようで、どこにいてもリラックスした様子が見られるようになりました。とはいえ、そもそも頭の使いかたが草を食むようにまったり進行なこの羊。相も変わらず口癖でありつづける「えっとねー」に酔いしれろ。
ところで人間よゆめゆめ忘れるな。めめめは強い。つよいぞ。
授業構成おさらい(+ 補足事項)
超難問:忍者の謎を解明せよ!
手裏剣ぴぴっ! 忍術ドーン! 風とともに走り、雲のごとく消え、水のように敵地の警備をすり抜けては、月光の一閃で悪を斬り裂く。闇に生まれて闇に死に、己が心に刃を当てて、主命ならばいかなる任務も冷徹にこなす。くノ一は鎖かたびらという名目の全身網タイツを着ていてやたらエロい。バックスタブと感度1000倍攻撃が得意技。
今日私たちが忍者に対して抱いているイメージはそのほとんどがファンタジーです。実際の忍者は超人でも何でもないただのスパイだったといわれており、マトモに考えてそう結論づけるのが当然ではありますが、いかんせん大した資料が残っていないので真相は一応闇のなか。
今回の授業はそんな忍者についてのお話です。
山田先生は忍者研究の第一人者と呼ばれている教授です。忍者関連の本を数多く手がけ、所属している三重大学でも忍者学の講義を受け持っています。ちなみに本来の専門は日本中世史。なかでも特に文化史と宗教史に詳しい研究者のようですね。
今回は黒装束を着て教壇に立ちました。実際の忍者が着ていたわけではない、後世において創作された忍者イメージの産物です。ですが、勘違いしてはいけません。研究者にとっての研究対象はこの世の真理。ときどき誤解されるのですが、その点においては理系も文系も変わりません。
文系の学問は人の営みを研究の中心に置いています。ゆえに、歴史の発端である忍者の真実の姿のみならず、後世において創作されたイメージもまた、等しく研究対象たりうるのです。創作なんてしょせんは実体を伴わない虚構。ですが、その虚構を語りあい、語り継いできた人々が実在していたことは紛れもない真実なんですから。創作された忍者のイメージを探ることは、その時代時代の文化や風俗、人々の思いを知るうえで大切な一助となりうるでしょう。
人々の営みの連なりのことを、私たちは歴史と呼んでいます。私たちは今そんな歴史の先端に立っていて、そして先人たちのたくさんの思いが織り重なってできた忍者というファンタジーを愛好してもいます。
トピック1:忍者って何者?
最初のキーワードに「正心」を持ってくるとは、なかなかロマンチストな先生ですね。
正心とは読んで字のごとく“正しい心”のこと。性格の悪い人はこれを聞いただけで何の話かピンとくることでしょう。私はきました。放送コードに引っかかるので黙ってネットで答え合わせしときましょう。
さておき。
里にもよるのでしょうが、これから忍者を志そうという者は訓練に入る前にひとつ誓約していたそうです。
「忍術はお国のために使います」
ざっくりいうとだいたいこんな感じの内容。これが忍者の「正心」です。
忍者というのは何者でしょう?
「印を結んでやったりとか、木とかに化けて隠れたりとか、あと、二段ジャンプとかするイメージ」
「忍者は、やっぱりあの、暗殺とかやってそう!」
「なんか、配達のお兄さんだと思ってます。なんか、配達物、巻物とかをカンガルーみたいにポケットに入れてシュタタタタタって運んでるイメージです」
そのどれも残念ながら今回に限っては不正解。忍者を忍者たらしめるのはその技術や任務などではありません。
すなわち忍者とは、お国のために忠義を尽くす者たちのことです。・・・山田先生はロマンチストだなあ!
番組内での説明だとざっくりすぎてよくわからないかもしれません。最初に「正心」って精神論的な切り込みかたをしたのに、なぜか結論が「情報収集する人」みたいになってましたし。
でも、ちょっとだけ想像してみればなんとなくわかると思います。
忍者はスパイみたいなものなので、その仕事はもっぱら情報収集が主となります。
ちょっと後ろ暗い仕事です。敵国に潜入して、何食わぬ顔していろんな人から情報を聞いて回り、そしてその情報を元に自国の軍をその国へ攻め入らせるんですから。昨日まで楽しく談笑しあっていた人の家に、明日は火矢を撃ち掛けるんですから。
忍者は人を騙す仕事です。人を裏切る仕事です。場合によってはもこ田めめめの言うような暗殺任務すらこなさねばならないこともあります。当然、良心の呵責に苦しめられることになるでしょう。
それでも、忍者たちは己の仕事を為しつづけました。
それが正しいことだと信じていたからです。
どんなときでも、誰に何を言われようと、揺るがずまっすぐに自分の信じるものを信じられる人は強いもの。どんなに苦しかろうと大切な人のためならがんばれます。どんなに悲しかろうと大切なもののためなら立ち上がれます。
心にまっすぐな芯を持つ人は、どんなときでも自分のやるべきことをけっして見失いません。
そのどこまでも正しい心をもって、忍者は忍者たりうるのです。
忍者に限らず、基本的にどこの国でも本職のスパイというのは熱烈な愛国者であることが多いものです。
トピック2:忍者の必須アイテムは?
忍者が任務中に持ち歩いたといわれる定番のアイテムが6つあります。
ひとつはカギ縄。電脳少女シロが言うように、高い塀を越えるときや、あるいはちょっとした川を渡るときなんかにも使います。
ひとつは網笠。自分の顔を隠したままあちこち移動できるので便利です。
ひとつは三尺手ぬぐい。顔を隠したり、川の水を漉して飲んだり、あと包帯にしたり、石を包んで武器にしたり、とにかく便利に使っていました。
ひとつは打竹。竹筒の中に火種を入れて持ち歩く道具です。いつでも簡単に火を点けることができました。
ひとつは石筆。柔らかい石を細長い形に整えたもので、要するにチョークみたいなものです。地面や壁なんかに文字を書くのに使います。手で払えば消せるというところが墨に比べて便利でした。
ひとつは薬。毒薬から血止め薬までいろいろな薬を携行しますが、なかでも特に必需品だったのは胃薬です。上にもあったように、場合によっては生水とか飲むわけですからね。
なお、手裏剣は忍者の武器というイメージが強いですが、実際には忍者が使ったという記録がありません。というのも、手裏剣は室町時代に考案された武器であり、忍者が主に活躍した戦国時代にはとっくに廃れていたんです。
忍者の衣装といえば黒装束ですが、これも実際には使われていませんでした。歌舞伎の舞台において一目見て怪しい人間だとわかるように、黒という目立つ色の衣装を着せるのがお約束となったそうな。
「③が一番謎でさー。ちょっと考えてみたんだけど、この③ってさ、帽子みたいじゃんかー。これを川にー、浮かべるじゃん。で、帽子の下にさ、こう、沈むんだよ! で、息をこう、ここへ向いてさ、息をしてさ、川の中をこう、ついーってさ」
今回ももこ田めめめ劇場が聞けてなによりです。毎度のことながら、内容以前に話しかたがダラダラ長すぎるんだってば。でもそこが好き。小峠教官もなんだかんだで一応最後まで聞いてからツッコミ入れるのよくわかってる。
トピック3:「深草兎歩」どんな技?
『忍秘伝』という忍術書があり、この本のなかに忍者の歩法が5つ書かれています。
ちなみにこの本、ちょうど今年になって現代語版が出版されました。
差し足は床を指すように足を置き、床に着いてから体重を乗せる歩きかた。
浮き足は爪先からそっと下ろす歩きかた。
犬走りは四つん這いで歩くこと。
狐走りは四つん這いになったうえ、さらに爪先を立てる歩きかた。
そして深草兎歩は自分の手を踏みながら歩く歩きかたです。私、そういや小学生のころこの歩法を自力で編みだしてたような気がするー。友達に自慢げに紹介して、誰もマネしてくれなくてひとりさみしくやってた気がするー。
差し足や浮き足はともかく、どうしてわざわざこんな珍妙な歩きかたをするのかといえば・・・それがさっぱりわかっていません。たとえば第16話に出てきた水蜘蛛が実は足に履くものではなく、もっと大きいものを浮き輪みたいにして使うものだと最近になってようやく明らかになったことからもわかるように、実はこの手の忍術書に書いてあるのはざっくりとした概要だけなんです。
だから、やはり足音を消すためだとか、動物に擬態するためだとか、はたまた訓練のためなんだとか、いろいろな説が出されていて未だ決着がついていません。
忍者は長らくその存在自体が大衆にはあまり知られておらず、広く知られるようになったのは、困窮した忍者の末裔たちが待遇改善を求める運動を起こした江戸中期になってやっとだったといわれています。なので江戸期には忍者を研究する学者があまりいませんでした。
そして大衆に知られると同時に、忍者は小説や歌舞伎の題材としてたちまち人気になりました。実はその影響で、江戸期の数少ない忍者研究本もどこまでが事実に基づいた記述で、どこからが歌舞伎のネタなのか、さっぱり判別しがたいものが多くなっているのが実際のところだったりするんですよね。
ところで小峠教官の狐走り実演を見る八重沢なとりに注目していただきたい。
「小峠教官やってみたらどうですかー?」
「あっ、やっぱりやってほしい!」
「やってみてくださいよー。見たい見たいー」
「やってみてください! ふっ、ははははははは! 生きもの・・・?」
テンション大MAXな電脳少女シロに隠れぎみですが、いやあ、なんとかわいらしいことでしょうか。実は電脳少女シロの次に教官イジリが好きよね、この子。
トピックex:忍術を学ぶ
川上仁一氏は現代に残るラストニンジャです。彼自身は忍者の家系ではありませんでしたが、6歳ごろ、地元の宿に滞在していたお爺さんがなにやら変わった遊びをしているのを見つけてマネして遊んでいたら、実はそのお爺さんが忍者の末裔だったのだとか。その後正式に弟子となり、18歳で師父の家名を継承しました。
彼は弟子を取っていませんので正真正銘ラストニンジャとなります。現代社会に忍術は無用という判断です。彼自身、定年までは(修行は続けながらも)普通のサラリーマンとして働いていました。
・・・なんというか、マンガの主人公みたいな来歴ですね。
「忍者について学んだその先には――、どうなんですかね? 先生、何があるんですかね?」
「忍者というのは、人と人とのコミュニケーション、これを非常に身につけていた人で、そこから様々な情報の収集ということをやっています」
うずら隠れの術とかノミシラミの術とかを見ての通り、忍術というものには人間心理をうまく利用した手練手管が数多く含まれています。思いっきり聞こえの悪い話ですが、それを丁寧にオブラートに包んで話せば、忍者はコミュニケーションに長けていたといえなくもないでしょう。
現代はコミュニケーションの取りづらい時代――。情報化が進み、コミュニケーション手段はむしろ昔よりはるかに多く、そして身近になったはずですが、先生は不思議なことを言うものです。けれど、これも不思議なことに、私たちからしても深く共感する話でもあります。こんなに日常的に世界中に向けてたくさん発信しているのに、なぜか気持ちが伝わらない。
何なんでしょうね、ほんと。
忍者は人を騙す仕事です。人を裏切る仕事です。
ありのままの自分の本性なんてちっともさらけ出しません。
なのに、結局のところそういう人のほうが案外多くの人に信頼され、たくさんの情報を得られていたわけです。
不誠実だ、卑怯者だと思うところはあるでしょう。ですが、一度考えてみてください。彼らにできていたことが、どうして私たちにはできないのか。
彼らは情報を得るという目的のため、自分を偽り他人に信頼されるようなコミュニケーションを心がけていました。
匿名掲示板やSNSが普及した現代において、逆に私たちは飾らないありのままの自分をさらけ出したり、歯に衣着せぬ率直な言葉を気軽に発信できるようになりました。“正直さ”という意味では道徳的に正しい環境でしょう。
ですが、そのぶん今度は誰かに何かを伝えようとする意識を忘れてしまってはいないでしょうか? 「私をこういうふうに知ってほしい」「誰かにこう動いてほしい」という明確な思いを乗せず、露悪的に「俺なんてどうせこんなもの」「みんなだってどうせこんなもの」などと自分でも何がしたいのかわからない感情をそのまま他人にぶつけてしまってはいないでしょうか?
そんなんじゃ誤解されるばかりですよ。悪いほうに、悪いほうに。
忍者は不誠実で卑怯者かもしれません。
けれど、彼らは自分が何のために、どうふるまうべきかを明確に考えていました。
今回の感想文はいつにも増して番組内容から逸脱した話題が多くなってしまいました。
そこばかりは本当に申し訳ないのですが、これが私の、今あなたに伝えるべきだと思っていることです。
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