生徒役:電脳少女シロ、名取さな、もこ田めめめ
はい、クソ女。・・・そうね。クソ女はひでえよな。バカ女はまだしもな。
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↓レジュメがガチなことで知られる私立ガリベン大学↓
出演バーチャルYouTuber
電脳少女シロ
「“ヒロインがピンチ!”って、英二助けに来てくれるよね!」
「あ、いや、とどめを刺しに行きます」
ゾンビが大の苦手なのでデーモンを殲滅していくバーチャル清楚。その割にちょくちょく自分からゾンビの話題を振りたがります。いいんです。ゾンビがイヤなのは殺す救済することができないからであって、想像上のゾンビなんてそもそも殺すピーーーも何もありません。漢字の部首で充分ヤりあえそう。ぬーん。
「いるだけで○○な子」という表現がこれほど似合わない人物もなかなかいないでしょう。いればだいたい何かしています。傍若無人に暴れてみたり、賢く機転の利くトークを繰りひろげてみたり、斜め上にカッ飛んだ名言を連発してみたり、他の共演者を気遣ったり、イジりたおしたり、あるいはゴキゲンにキュイキュイ笑っていたり。ちょくちょくワケワカンナイこともやりたがりますが、そういうときは「シロちゃんの動画は為になるなあ!」と、とりあえず納得しましょう。彼女はあなたが為になることを望んでいます。
まるでアブない人のようですが、そして実際アブない人なのは確かなのですが、ああ見えて彼女は共演者をよく見ています。聡明です。共演者の対応力を推し測り、ギリギリ捌ききれる程度のムチャ振りを仕掛けるのです。おかげでいつのまにか人脈の輪がずんどこ広がってきました。タチが悪いったらありゃしない。
名取さな
「あの・・・――コンセントを、スッと刺して、治しました」
「無理矢理考えてんじゃねえよ!」
相変わらずサナトリウムの外に出るときは外出許可が必要な未成年ナース。2周りくらい昔の2ちゃんねらー的なノリでネタ振りしてきつつ、感性自体は至極まともという謎のバランス感覚の持ち主でもあります。しかしその世代はかえってこのくらい地に足ついた、ほどよいカオス感が好きだったりもするのです。まさに名取さなクリーンヒット。
普段は雑談配信を中心として“せんせえ”たちとワイワイじゃれあいながら暮らしています。ふらっとラフになる独特の口調と気安い距離感による、殴りあいじみた双方向コミュニケーションが魅力。かなり極まったオタクであり、重度のヒキコモリでもあるため、古今東西のジャパニーズインターネットミームに精通しているところも特定方面のかたがたのハートをわしづかみです。そもそも貧乳+八重歯+露出の少ない衣装という鉄板の組み合わせが超かわいい。
ネット上の面白いことに貪欲で、特にバ美肉(バーチャル美少女セルフ受肉:男性俳優が本来の性別を公言しつつ女性キャラクターとして活動すること)勢の大ファンであることをちょくちょく主張しています。
もこ田めめめ
「あ。ヤバい。何言おうとしたか忘れちゃった」
「はい。もういいです」
羊とアルパカと人間のキメラな電子の存在、というフィクショナルなキャラクター設定なのをいいことに、思いつくままテキトーな設定を盛っていくあざといマスコット。ただし本人割とボーッと生きてんので、増えた設定をいちいち覚えてさしあげる必要はありません。なおかつつまんねーヤツってこともなし。おバカキャラですし。
キャラクターとして無敵のかわいさ大勝利って感じです。まず「もこ田」ときて、直後「めめめ」ですよ。めめめ。めめめめめ。はいかわいい。はいわかりやすい。ふわもこヘアー&シュッとしたスタイル、ピコピコお耳にピコピコBGM、そして忘れちゃいけない靴下ときた。とにかくマスコットに求められるもの全部がバランスよくまとまっているキャラクターです。いるだけでもうかわいい。すっかり大抜擢にも慣れてきたようで、どこにいてもリラックスした様子が見られるようになりました。とはいえ、そもそも頭の使いかたが草を食むようにまったり進行なこの羊。相も変わらず口癖でありつづける「えっとねー」に酔いしれろ。
ところで人間よゆめゆめ忘れるな。めめめは強い。つよいぞ。
授業構成おさらい(+ 補足事項)
超難問:石油の謎を解明せよ!
甘蔗先生は省エネルギー技術の研究者です。それもPh.Dの学位を持っているゴリッゴリの工学博士ですね。
たとえばパソコンやスマホは電気の力で動いているわけですが、重い処理をさせるとすぐ熱くなります。別にホッカイロじゃないのに。コンピュータが電力を必要とするのはあくまでアプリケーションを動かすためであって、発熱するためじゃないはずです。なのに、ムダに熱くなります。仕方ないこととはいえ、私たちは本当に必要な分以上の電力をムダに消費しているわけです。甘蔗先生の研究は、こういったムダに使ってしまうエネルギーを再利用することで、全体のエネルギー効率を最大に高めようというものです。
石油は人類の文明を営むにあたって最重要のエネルギー源です。それが何十年も前から「もうすぐ無くなる」「間もなく枯渇する」と叫ばれつづけてきました。ちょくちょく技術革新で新しい油田を採掘できるようになったり、石油以外での発電方法を確立したりしてきたことで、なんだかんだで今日まで枯渇させずにやり過ごしてこられましたが、どっちにせよいつか枯渇するのは確実です。
ぶっちゃけ甘蔗先生の専門と石油の話はカスリもしていない気がするのですが、一応、先生の研究はこういう限りある資源をムダなく大切に使うためのものではあります。そういったつながりで今回授業に招かれたんでしょうね。
前哨戦
「吸わなきゃ」
「吸うの?」「吸うの?」
「吸って体内に溜めるんだよ」
「体内に溜めてどうするんだよ」
「吐くんだよ。――吐いて使うんだよ」
「めめめ!?」
何言ってんだコイツ、てな謎発言で今回のムードを一気に決定せしめたオープニングトーク。めめめ無双のはじまりです。
流れで聞くと何を言いたかったのかはわかるんですけどね。
「すごい!」
「すごーい!」
「黒いの!?」
「あ、もったいない!」
「勢いが・・・あ、ヤバい。吸わなきゃ」
実は直前にあった名取さなの発言「もったいない」を受けての「吸わなきゃ」なんですよね。この電脳ヒツジ、どこか自分を使い捨ての雑貨か何かと勘違いしているフシがあって、ムダに献身的なことを言いがち。(※ たぶんきっかけは「爆発した冷凍めめめ」のせい)
そうね。こぼしたらもったいないから吸わないとですね。かしこい。
「吐いて使うの?」
「お金になるじゃん、売れば」
「『金になる』・・・って、別にめめめの体内経由しなくてもいいだろよ、んなもん」
そこのところの大前提がまったく伝わらないまま、発言の面白さだけ一人歩きしていくのが実にもこ田めめめです。
なんといっても仮に意図を理解できてなお依然として頭悪い発言であることに違いないあたり隙がありません。原油価格なんて1リットルあたりせいぜい35円くらいですよ。何リットル飲み干すつもりなんです?
「でもほら、やっぱりアイドルの体内を通ったことで付加価値がつくわけですよ」
「つくかよ! なんでめめめの体内通ったらちょっと高くなるんだよ」
発言を拾ったのが小峠教官や電脳少女シロという頭の回る人たちだというのがまたタチが悪い。発言者の意図が理解されないまま、受け手にとっての意味不明っぷりだけがずんどこ加速していきます。
この子、説明下手なので割とちょくちょくこういうことが起こります。そして勘違いされたほうが面白くなるというトンチキな星のもとに生まれた子でもあります。自分からあんまり面白いことを言わなくても、居るだけですでに面白い。そういうキャラクターです。やっぱりマスコットですね。
トピック1:そもそも石油ってなに?
「シロね、ゾンビから染み出た汁だと思う」
「きっ・・・」
「『汚ったな』って言おうとしたでしょ! なんかシロ聞いたことあるのが――」
「聞いたことねえだろそんなこと」
「・・・っ。死体から取れるって――」
「何だ今の。今のリアルな、リアルなため息交じりの笑いよ」
最近電脳少女シロと小峠教官のこういう噛みあわない掛けあいが増えてきました。もともとの会話のリズムが違うんでしょうね。1年共演しつづけてお互い遠慮がなくなってきたからこそこういうことになる、てな感じで見ていてほほえましい。
それはさておき、相変わらず答えがわかっているときほど盛大にとぼけた大喜利をしたがる電脳少女シロ。おおむね正解です。
「石油は漢字そのまま書いて“石”“油(オイル)”。石から取れます!」
名取さなもいろんな意味で正解。「石」という言葉の定義には“鉱物”も含まれていて、つまり第29話のウンコ鉱物の授業で習ったとおり、天然の無機物なら液体であってもその一種に数えることができます。
また、これから説明されるケロジェンも石(というか、岩というか)なので、そちらの意味でも間違いじゃありません。
「石油って地面の下から取れるでしょ? だからマグマの近くにあると思うんだよ。だからその熱で石が溶けたものだと思います」
それ、ただの溶岩・・・。とツッコミたい気持ちは一旦脇に置くとして、ケロジェンが熱分解する反応を「溶ける」と表現するなら、もこ田めめめの回答も意外と的を外していません。
石油は動植物の死骸からできたといわれています。(※ よく「石油は動物由来、石炭は植物由来」と説明されますが、実際のところ石油は動物植物両方ともから生成することができます)
海中などに大量に堆積した死骸が、なおかつ微生物による分解を受けないまま地下へと沈み圧縮されることで、まずケロジェンと呼ばれる鉱石になります。ケロジェンは動植物由来の鉱石なので、高分子な有機化合物を多量に含んでいます。ケロジェンに含まれるこの高分子有機化合物が地熱によって熱分解され、液体化したものが石油です。
「生きた人間を圧迫してしばらく放置したら石油みたいに――」
なります。ただし、その人間は腐敗すら起きない不毛の地にいて、かつ何億年というスパンで高圧と高熱に晒されつづけなければなりませんが。
石油になるまで救済されないって意味ではほとんどゾンビと変わりませんね。
トピック2:石油が採れる場所の共通点は?
「人々がいっぱいいたところ」
なぜか石油の材料が人間ってことになった以外は習ったことをちゃんと応用できている名取さな。なんで人間を犠牲にした?
「死体がある場所なので、さなちゃんの言った『街』以外だと、墓場かなって」
電脳少女シロも同様。この子いっつも人間を救済してるな。
「漠然だな」と小峠教官が突っ込んでいましたが、まさしくそのとおり。
石油の材料は動植物なので、過去に生物が存在していた場所ならどこでも石油が生成される可能性があります。(※ 腐敗して堆肥に還る環境だと石油化する前に食物連鎖に組み込まれちゃうので、もうちょっと色々条件はありますが)
実際、商業採掘できるかどうかを度外視すれば、油田は世界中あちこちに見つけることができます。
石油は世界中で生成されうる。つまり、ここで先生が問うているのは石油が生成される場所ではなく、もっと別の条件についてということになります。
具体的には石油が溜め置かれる条件。石油は液体なので、せっかく生成されても固体である土や岩石の隙間をすり抜け拡散してしまいます。密度が高く硬い岩盤ならさすがにすり抜けられないのですが。また、石油は油なので水に浮きます。
つまり・・・。岩盤と地下水に挟まれていれば、石油は1ヶ所に溜まっていられるというわけですね。この構造を先生はトラップと呼びます。もっといえば石油は水に浮くので、下が地下水で上が岩盤でなければならず、すなわち岩盤が凸型に出っ張っている背斜構造の地層に、石油はよく見つかります。
また、地殻プレートの移動によって岩盤が割れる(=地震が起こる)と、当然石油が染み出ていってしまうので、日本のように複数のプレートが重なりあう(=地震が多い)地域は石油採掘に向かないとされています。
「先生。石油が一番採れるのってどこの国なんですか?」
そういうわけで、現在石油を多く産出しているのは、広大なユーラシアプレートの中央に位置するロシアや中国、北アメリカプレートをほぼ網羅するアメリカ、そしてアラビアプレートのサウジアラビアあたりとなります。
ただ、アラビアプレートって小さいですし、実際サウジアラビアは地震国なんですよね。あの地域で石油が多く採れるのは、先生が解説したのとはまた違う理由があるとされています。(※ 死骸が腐敗しないまま堆積していた時期が長く、単純に石油生成量が多かった)
「あ。はーい」「あー! ひどいひどーい!」「えっと。こう」「じゃんかー」「えーん、えーん。聞いてよー」「石油だってめめめのこと好きだもん!」「あのね」
ちんたらとしゃらくさいおっとりのんびりしためめめ喋り全開で質問しようとするもこ田めめめ。
そりゃ小峠教官も「クソ女」呼ばわりするわ。私も人のこといえないけれど。
けれど、あの小峠教官がテレビ収録中だというのにうっかり行きすぎた暴言を吐いてしまうこと自体、もこ田めめめに不思議な愛嬌というか、ついつい我を忘れてしまう魔性のイジられ属性があるということなんでしょうね。
「で、何よ」
「あのね。掘り出した石油を工場までどうやって運ぶのかなって」
陸上では基本的にパイプラインです。石油が採れる地域は大抵地震が少ないわけで、この手の大きい構造物を設置しても長く使えるんです。
パイプラインを敷設できない地域や海を挟む地域ではタンカーを使います。石油はとにかく単価の安い商品なので、これを運ぶタンカー(※ ダジャレではない)は一度に多く運べるよう大型化を求められます。最大で30万トン型という、他の船舶とは比較にならないサイズの巨大タンカーも少なからず運用されています。
トルクメニスタンにある50年燃えつづけている穴、「地獄の門」の話題も出ました。
どこぞのMinecraftサーバーで見た光景によく似ていますね。あっちと同じくこちらも観光名所化しているようです。
先生の解説はちょっとだけ間違っていて、正しくは“大規模な落盤事故が起きて有毒ガスの発生が止まらなくなったから、わざと火をつけて無毒化しようとした”という事情だったようですね。当時はこんなにも長く燃えつづけると思っていなかったそうなので、やっぱりミスはミスなのですが。
ちなみに、あと数年もすればいいかげん鎮火するだろうともいわれています。
トピック3:トイレットペーパー爆買いの理由は?
オイルショックの話題です。
第4次中東戦争の折、アラブ諸国がイスラエル側に味方している各国に対し、報復的に原油価格をつり上げたことが発端の世界的事件です。当時はアメリカがイスラエルを支援していたため、その同盟国である日本も影響は免れられませんでした。
この当時、日本では「トイレットペーパーがなくなる」という風説が流れ、日本中の店頭からトイレットペーパーが姿を消すという騒動が起きましたが、実はこの風説はまったくのデタラメでした。当時から日本は製紙業が強い国でしたし、そもそもトイレットペーパーを生産するのに石油なんてほとんど関係ありませんしね。普通に燃料・電力源としてしか使いません。
このデタラメが信じられてしまった背景には2つの原因がありました。
ひとつは当時の通産省大臣・中曽根康弘が出した『紙節約の呼びかけ』。
といっても、これ自体には別におかしなことが書かれていたわけではありません。もともとこの頃はオイルショック前から世界的にパルプ価格がじわじわと上昇傾向にあったんです。
このタイミングで発表することになったのはあくまできっかけの問題。苦境にあった製紙業界にとってオイルショックがダブルパンチ状態だったのは確かですが、一番の問題はあくまでパルプ価格のほうでした。
もうひとつは千里ニュータウンに立地するとあるスーパーが出した宣伝文句。トイレットペーパーの特売情報に「紙がなくなる!」という一文を添えたんです。
これが上記『紙節約の呼びかけ』などによって生まれつつあったネガティブな消費者マインドにクリーンヒット。不安感を煽られた主婦たちが殺到する事態となり、特売品のトイレットペーパーはわずか2時間で完売。それだけに留まらず、特売品と比較して2倍の値段だった通常価格販売の別のトイレットペーパーまで完売する熱狂ぶりでした。
さらにはこの騒ぎをマスメディアが取りあげ、「あっと言う間に値段は二倍」などといいかげんな見出しをつけたせいで、この狂騒は全国に波及。政府が誤解を拭う対応に乗り出すも効果は上がらず、完全に終息するまで実に4ヶ月もかかったんだそうな。
「え。じゃあ、奪いあう意味はまったくなかったってことですね」
なんというか、身につまされる話ですね。
インターネットが普及して集団的知性が形成されればこの手のデマゴークに騙されるバカはいなくなる、などと語る人も昔はいましたが、ところがどっこい。インターネットのおかげで個人ベースでも便乗商売や悪意あるイタズラができるようになった結果、デマゴークの波及力・影響力はこの当時よりもさらに強くなってしまっています。
頭使って生きましょう。
トピックex:先生に聞いてみよう!
「今までこの世界で石油で一番稼いだ人って、王のなかの王だと思うんですけど、誰なんですか?」
名取さなはなんだかんだいっても現代っ子なので、twitter構文も当然たしなんでいらっしゃる。
先生が考えるそれは、ジョン・ロックフェラー。アメリカの石油王にして、おそらく歴史上最大の大富豪。あらゆる手段を用いて競合他社を倒産・吸収合併に追い込み、アメリカ全土の石油市場の実に90%を独占せしめたすさまじい実業家です。
彼は自社影響力だけで石油業界を完全にコントロールできることをいいことに、旧態依然としたアメリカの石油採掘や精製、流通販売システムを徹底的に合理化したんだとか。結果、たとえば灯油の価格はロックフェラー以前と比較して80%も安く販売されるようになったそうな。
独裁政治がうまくいっている国にちょくちょく見られる光景ですね。民主主義国と違って政策実行までの手続きがほとんどないので、思いきったこともガンガンできるっていう。ただしトップが愚王だと刹那に泥船が沈んでいく諸刃の剣。その意味でも、ロックフェラーはまさに王のなかの王だったのかもしれません。
「何か質問あるかたいらっしゃいますか」
「はい! あ。ヤバい。何言おうとしたか忘れちゃった」
「はい。もういいです」
今回はオチまでめめめ無双。
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