超人女子戦士ガリベンガーV 第50話感想 どんな人が歌っているのか、に価値があるから“歌姫”という言葉がある。

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生徒役:小峠英二

なんか・・・、ガーターベルトしてる子がいたよ! あの子が気になるわ!

出演バーチャルYouTuber

電脳少女シロ

 電脳少女シロもそのファンたちも丸ごと愛するアイドルファンの鑑。そのうえ羞恥フェチなところがあるので気軽にファンを舞台に上げがち。すなわちシロウトさん大集合の地獄絵図をつくりがち。地獄の中心で心底嬉しそうにキュイキュイ笑います。電脳少女シロはファンを第一に考える子なので、ファン筆頭の彼女こそが一番エラいのです。
 「いるだけで○○な子」という表現がこれほど似合わない人物もなかなかいないでしょう。いればだいたい何かしています。傍若無人に暴れてみたり、賢く機転の利くトークを繰りひろげてみたり、斜め上にカッ飛んだ名言を連発してみたり、他の共演者を気遣ったり、イジりたおしたり、あるいはゴキゲンにキュイキュイ笑っていたり。ちょくちょくワケワカンナイこともやりたがりますが、そういうときは「シロちゃんの動画は為になるなあ!」と、とりあえず納得しましょう。彼女はあなたが為になることを望んでいます。
 まるでアブない人のようですが、そして実際アブない人なのは確かなのですが、ああ見えて彼女は共演者をよく見ています。聡明です。共演者の対応力を推し測り、ギリギリ捌ききれる程度のムチャ振りを仕掛けるのです。おかげでいつのまにか人脈の輪がずんどこ広がってきました。タチが悪いったらありゃしない。

富士葵

 クリオネ食べたりホース潰したりウンコを売ったりゴミ食ったりするバーチャルYouTuber界きっての歌姫。本当です。バーチャルYouTuberとして史上初のメジャーレーベルデビューを果たし、シングル2枚とフルアルバム1枚を発表済みです。普段あんなだけど本当は普段からマジ歌姫です。
 歌以外にもコメディ調の動画をたくさん制作しているのですが、こちらのノリがまた、歌声からの印象よりさらに「孫」。田舎在住の女子中学生が母方の家(さらなるド田舎)に遊びに来て、祖父母といっしょにウキウキでホームビデオ撮影をしている感じとでもいいますか。妙に子どもっぽくて変にシュールでいやに楽しそうで、とりあえずかわいがりたくなるのは間違いなし。あれは孫だ。
 孫っぽい素朴さ(エキセントリックさ)を持ったまま、着々とメディア出演の経験を積んできた彼女。素朴だからこそどんなイベントでも物怖じせず自分の個性を表に出せて、場慣れしているからこそ――やっぱり物怖じせず堂々としていられます。素朴さと場慣れ、正反対の素養が結果的には同じ強みを醸成し相互に補強しあっている、面白い子だと思います。

ブイ子

 YouTubeチャンネルでおなじみ、テレビでもちょこっとおなじみ。ふにゃっと気の抜けたような話しかたと、ふにゃっと雑に盛り上げたがるコメントが特徴のガリベンガーV公式バーチャルYouTuberです。このたびADからディレクターに昇格し、ご褒美としてテレビでもコーナー企画をひとつ任せてもらえる運びとなりました。
 元々は汎用性が持ち味のキャラクターとして企画された子です。外見はVRoid studioというフリーのキャラクターメイキングアプリで製作されており、そのおかげでどのバーチャルYouTuberよりもお手軽に、大量の衣装バリエーションを獲得しています。当初は人格すらフレキシブルになる予定で、ADやアナウンサーや小峠教官が素体に入ることで様々な表情を見せる・・・みたいな説明だったのですが、なんとなくADのブイ子が人気となり、いつの間にか(割と最初から)どのモードでも人格はADのまま固定されるようになりました。
 口調も性格もこれでもかってくらいふにゃっとしていますが、しかしやはりテレビマンの端くれ。仕事と出世と美味しいもののためギラギラしていくべきところは意外にしっかりギラギラしています。そういうところ、根底がきままな個人事業である他のバーチャルYouTuberと比べるとバックボーンの違いを感じさせますね。

感想

富士葵

 「心まで洗われる、本当にVTuber界の歌姫として活躍されている葵ちゃんなので、ファンからすると逆にガリベンガーVがとんでもない奇名を世に知らしめたとんでもない番組だって認識かもしれないですね」
 それはないからダイジョウブデス。

 富士葵の歌の魅力は、卓越したテクニックと鍛えられたフィジカルが両立していることによる歌声の自然さにあるんだと思います。生半可な歌手が技巧的な歌を歌うとだいたいカラオケ臭い、原曲の上っ面をなぞるだけみたいな歌いかたになりがちなんですが、彼女の場合はそれがありません。しっかりと自分のお腹で、自分の喉で、自分の体幹で丁寧に歌いあげます。
 バーチャルYouTuber業界黎明期からそういうことができていたからこそ、必然的に彼女がメジャーレーベル進出第一陣として名を上げることとなりました。

 一方でダンスがちょこちょこコミカルというか、イモっぽくなっているのは仕様です。歌声のカッコよさを見ていると忘れがちですが、やはり彼女はいつでもどこでもお前らの孫なんです。

樋口楓&静凜

 バーチャルYouTuberプロダクション最大手・にじさんじの初期メンバーです。キャラクターコンテンツというよりニコニコ生放送あたりから続く生主文化の色が濃い2人ですね。
 バーチャルYouTuberライブに生バンドやライトアップ演出などを最初に導入したのは、より正確にはキズナアイのほうが先、もっといえばそのキズナアイのライブですら初音ミクが確立した文脈の延長線上だったりします。ただし、キズナアイや初音ミクにとってのこれらの導入意図がフィクショナルなキャラクターが現実空間に融和する面白さを狙ったものであるのに対し、樋口楓らの場合は生主文化の文脈から、キャラクターのアバターを被っていても当然に実在の人物であるという表現として機能しているところが異なります。現実感を纏うことによって、逆説的に“バーチャル”の化粧を拭い落としていくように。
 番組で紹介されたこのライブはステージ衣装からしてそもそも地味な私服。見た目はコテコテのアニメキャラクターなのに全然飾らない、すっぴんで、普段から生配信で見せているラフなありかたをそのまま特別な舞台に上げる、という意味での面白さです。
 つまるところ、これはこれで彼女たちなりのキャラクター表現になっているんですね。

 「すごい、なんか自然体な感じがいいですよね。自然とこのテンションができている感じで」
 「あー、わかるわかる。普段からこの感じっぽいもんね」

花譜

 「現役高校生のかたですね」
 ややこしいですが、これはキャラクター設定の話ではありません。花譜を演じている生身の人物の年齢のことです。いいえ。花譜を演じている、といういいかたからして不正確ですね。
 “花譜”はそもそもキャラクターを演じることを売りとしたコンテンツではありません。とある事情により生身での芸能活動が困難だとのことからアバターを纏って活動しているという触れ込みだけあって、活動の根本はあくまで歌です。見た目がアニメキャラクター風なだけで、活動スタイル自体は普通の歌手と何ら変わりません。
 花譜とは演じられているキャラクターではなく、芸名であり衣装であり化粧であり、中の人=花譜なんです。

 なお、これは彼女だけの特別なスタンスというわけではなく、最近では他にも割とたくさんいます。むしろ「バーチャルYouTuber」という用語の意味する範囲が幅広いんですね。

 となると、いよいよキャラクターに対するキャラクターソングとしての観点ではなく、純粋に音楽的側面から語るべきだと思うんですが、正直なところ私はそっち方面あんまり興味がないのでなんとも。
 ただ、生身での活動ができないにしても純粋に歌声オンリーで売り込むのではなく、結局何らかのかたちでビジュアルを必要としたっていうのは興味深いことですね。生身の歌手もみんなそうですが、歌というのは意外とそれ単体で評価されることは少なく、どんな人が歌ったのかが重要になってくるもののようです。

ホロライブ

 急成長著しい業界2番手のプロダクション。あいにく今のところ興味を持てるキャラクターと出会えていないため全然詳しくないのですが、最近よくない話ばかり聞こえてきます。ネットでこの手の話がファン以外にまで伝わってくるときって大抵ごく一部のろくでもない人たちが個人的な不快感でダダこねているだけなので、まともに受け取らないことをオススメします。利害関係なく他人を中傷するのは最初から責任を負うつもりのない下品な行為ですし、利害関係があって中傷しているならあなたを利用するべく思考誘導しているわけです。どっちにしろ不特定多数に向けて誰かの醜聞をバラまいている人間にろくな動機はありません。
 正義感からの行動は必ず誰かを傷つけます。それはあなたが自らの手で他人を善と悪とに選り分ける行為だからです。あなたはその行動がもたらす結果に責任を持てますか? そもそも責任を取ってまで行動したいと思えることですか? とてもそういうふうには見えない人たちが騒いでいるということは、つまりそういうことです。

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