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超人女子戦士ガリベンガーV 第51話感想 クラゲの水槽、横から見るか上から見るか。

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生徒役:電脳少女シロ、カルロ・ピノ

煮付けるかよ。クラゲが、自ら、セルフで、煮付けるかよ。

出演バーチャルYouTuber

電脳少女シロ

「あれれ? 今日、楽屋弁当見あたらなくない?」

 電脳存在であることをいいことに、自身も自宅収録ながら当然のようにスタジオに現れて楽屋弁当を所望する、便利な設定の塊少女。そういう、現実世界に片足突っ込みつつ雑にファンタジーな立ち回りを貫くところに魅せられて、私は数あるバーチャルYouTuberのなかでも特に彼女とその周辺に惚れこみました。
 「いるだけで○○な子」という表現がこれほど似合わない人物もなかなかいないでしょう。いればだいたい何かしています。傍若無人に暴れてみたり、賢く機転の利くトークを繰りひろげてみたり、斜め上にカッ飛んだ名言を連発してみたり、他の共演者を気遣ったり、イジりたおしたり、あるいはゴキゲンにキュイキュイ笑っていたり。ちょくちょくワケワカンナイこともやりたがりますが、そういうときは「シロちゃんの動画は為になるなあ!」と、とりあえず納得しましょう。彼女はあなたが為になることを望んでいます。
 まるでアブない人のようですが、そして実際アブない人なのは確かなのですが、ああ見えて彼女は共演者をよく見ています。聡明です。共演者の対応力を推し測り、ギリギリ捌ききれる程度のムチャ振りを仕掛けるのです。おかげでいつのまにか人脈の輪がずんどこ広がってきました。タチが悪いったらありゃしない。

カルロ・ピノ

「いやー。たぶんみなさまリモートワークですからかね。お腹空きましたよね」

 まるでリモートワークが他人事であるかのような言いまわしをするバーチャルハイソサイエティ。もしかしたら本当に電脳世界にしか存在しない非実在お嬢様かもしれませんし、ファンの側も本当にそうなんだと信じるそぶりをしたほうがバーチャルYouTuberというキャラクターコンテンツをより楽しめるでしょう。そして彼女はそういう我々の茶番劇に丁寧に付きあってくれます。
 この子は鉄壁です。知識の盤石さもさることながら、そもそもどんな話題を振られても動揺するということがほとんどありません。というのも、彼女は日頃からよくものを考えて話すクレバーな子だからです。彼女は自分がどういう人物であり、また周りからどういうふうな期待を向けられているのかを明確に把握しているようです。だからブレません。いつも優雅に穏やかに、ウフフとイタズラっぽく笑っています。
 人気コンテンツは知識を生かした生物講座と、ゲーム内設定を現実に置き換えて考えてみる考察遊び。なにかと頭が回る子なので、今回のようにゲスト出演するときはちょくちょく気の効いた(こまっしゃくれた)コメントを発します。

授業構成おさらい(+ 補足事項)

研究室から出題:クラゲの謎を解明せよ!

 今回で2回目となるクラゲの授業。新企画「ガリベンラボ探訪」の初回でもあります。
 コロナ自粛によりスタジオ収録ができずにいるガリベンガーV久々の新作授業であり、ガリベンマガジンvol.1でタカマツDが「ロケものとかやってみたいですね」などと語っていた計画の一端であり、そして何より第31話で奥泉先生がカルロ・ピノに「今度来たらね、バックヤードご案内します」と約束していたことが実現したかたちでもあります。
 この番組、何かにつけ一度出演していただいた先生がたとのコネクションを維持して次に繋ごうとする姿勢が徹底していますよね。出演したバーチャルYouTuberや小峠教官との関係性も本当に密ですし、そういう人との繋がりを大切にするところが番組を長続きさせる秘訣でもあるんでしょう。(正直、この感想文を書きはじめた当初は1クールで終わるニッチな一発屋番組になると思っていました)

 奥泉先生はクラゲ展示で有名な加茂水族館の館長さんです。例によってクラゲ飼育の世界的権威でもあります。何を隠そう、廃館目前まで追い詰められていた同水族館をクラゲ展示特化に転身させ黒字化に成功したのは、当時たまたまクラゲの飼育を担当していた奥泉先生ご自身の才覚と当時の館長による経営判断のたまものです。
 大学で学んだ研究者ではありませんが、長年クラゲの飼育員として培ってきたノウハウの豊富さには目を見張るものがあり、教えを請うべくしばしば世界中の水族館から視察者がやって来ます。聞くところによると、普段からああいう気さくな感じで惜しみなく自身の持つノウハウを伝授しているのだとか。

トピック1:クラゲの目はどこにある?

 「水族館で見ると、クラゲさん同士でしょっちゅうぶつかってるイメージがあるんですよ。だから目があると思ったことがなくて。ただ、幻想的なライトのほうに向かってるなってイメージはあるんですね。なので、目はあったけど要らなくなって食べちゃったんじゃないか。目、ないんじゃないかな」

 電脳少女シロの回答。観察するぶんにはとても鋭い着眼点を持っているのに、気がついたらよくわからない結論に着地しているのがこの電脳少女の芸風です。
 とはいっても、今回に関しては単に“目”という言葉の定義に若干すれ違いがあるだけのように感じますけどね。言いかたからして、彼女は単純に光刺激を検知するだけの器官を目と呼ぶとは思っていなさそうな感じです。物体を像として検知できて初めて目と呼べるってイメージなんでしょうか。

 ミズクラゲに目はあります。傘の外周8箇所に眼点と呼ばれる器官を持っています。いっちょ前に1箇所あたり2つの眼点を持っているので計16個。ただし、電脳少女シロの観察はたいへん的を射ていて、ミズクラゲの眼点はたしかに周囲にいる仲間を認識する能力を持っていません。認識できるのは光の強弱だけで、ものの色や形を識別できないんです。
 とはいえ光の強弱さえわかれば近づいてくる魚影にも気付くことができるので・・・、うん? 気付いたところでクラゲの遊泳能力で逃げきれるのか? でも、強い光に集まる性質があるっていうことはやっぱり影に忌避感を抱いているってことですよね。・・・きっと彼らなりに強く生きているんでしょう。

 なお、ミズクラゲには一応の目があったわけですが、クラゲの仲間には本当に一切目を持たないものもいます。目、やっぱり要らない説。

 「なんか、結構立派な顕微鏡ですね」
 「ああ。車1台買えます。ピノちゃん来たらね、覗かせてあげるからね」

 自分の城だからか、ものっすごいフットワークの軽さで幼体(エフィラ)観察やら毒針発射実験やら見せてくれた奥泉先生。「1分時間もらえればなんとかなります」とか、いかにもデキる技術者って感じのセリフでカッコいい。
 ちなみにこの顕微鏡、実際のところおいくらぐらいのものなのか興味が湧いてざっと調べてみたんですが、やっぱり門外漢だとなかなか特定できないですね。難しい。とりあえずカールツァイス、島津、オリンパスあたりの製品をチェックしてみましたが、生物用の正立顕微鏡ハイエンドモデルだとだいたい100~400万円くらいするみたいです。まあ、この手の研究機材ってちょくちょくキャンペーンやっていたり値引き交渉当たり前だったりして、定価なんてあってないようなものなんですけどね。

 「英二。お酢かけたらさ、いっぱい生えてくるんだって」
 「生えねえよ! そんな簡単に・・・」
 「はっはっは! 頭いいね!」
 「頭よかないでしょ今の。酢かけて生えるんだったら使ってるよずっと」

 残念ながら・・・。クラゲに酢をかけると毒針が出てくるのは元々刺胞細胞に針が内蔵されているからでして。つまり、そもそも毛根がない頭皮に酢をかけても・・・。

トピック2:どうやって光る?

 「これ何かわかります?」
 「ウリクラゲさん?」
 「そうですね。これシンカイウリクラゲっていうクラゲです」

 さすピノ。(※ さすがピノ様は博学であらせられます、の略)

 「さあ。これはね、どうやって光っているのかピノちゃんわかりますか?」
 「はい。これって、ウリクラゲさんが泳ぐときに動かしている細かい毛に光が反射して光っているように見えるんですよね、たしか」

 鮮やかな虹色に光るのでホタルイカのような発光体を持っているのかと思ってしまいますが、実はこれ、構造色です。つまり光を反射してこういう色に見えているだけです。構造色については第47話のカラスの羽根の色の話題でも習いましたね。ウリクラゲ側面にある櫛の歯状に並んだ微細な毛が光の波長をプリズム分解することでこの色を出しています。

 「ウリクラゲさんについて質問なんですけど、他の仲間のクラゲさんをエサにしているって聞いたんですけど水族館のほうでのご飯ってどうしてるんですか?」
 「非常にいい質問です。今お見せしたシンカイウリクラゲ、ご飯あげてないです」

 つまり人工繁殖させられず、現状では海から採取したものだけ展示しているってことですね。
 ウリクラゲや、そのエサのカブトクラゲの仲間を有櫛動物といいます。この有櫛動物、残念ながらクラゲの仲間のなかでも比較的研究があまり進んでいない種類なんですね。だからクラゲを食べるという珍しい食性のウリクラゲはもちろん、カブトクラゲの繁殖方法もまだ確立していないわけです。
 水族館や動物園は単に娯楽施設として動物を展示しているだけではなく、動物の生態についての先端研究を行う研究施設としての側面も持ちます。

 ちなみにこのウリクラゲの食事方法、VTRにも出てきましたが、クリオネみたいに口を大きく開いてばっとエサを丸呑みするという、なかなかショッキングな絵面だったりします。
 さらにちなみに、先ほど勉強したとおりクラゲの仲間は目があまり良くないので、ウリクラゲはしばしば自分の体の容量を超えた巨大カブトクラゲでも敬遠せず捕食します。単に吸い付いているだけにしか見えない、見た感じ簡単に逃げられてしまいそうな絵面になりがちなのですが、そこはエサのほうもクラゲ。元々動きが緩慢なのであまり派手に抵抗せず、しかもウリクラゲ同様カブトクラゲも毒針を持っていないので、結局されるがままに食べられてしまうようです。のどかダナー。

 「そしたら今度ウリクラゲさんにも――あっ、ウリクラゲにもエサをやることができる」
 「先生もウリクラゲ“さん”って言っちゃったよ」
 「ピノちゃんがね、さん付けだから移っちゃったね。かわいい」

 なお、そう言う電脳少女シロさんも今回ずっとさん付けで通していた様子。

トピック3:バックヤードを巡る

サラクラゲ
 カサのフチに付いている短いレースみたいなのは4000本以上も並んでいる触手。そしてこの触手1本1本の根元に眼点が付いています。十字の線(放射管及び各種内臓)がくっきり見えていて美しいですが、実は食餌する口もこの模様に沿って十字に裂けているんだとか。どうしてそこまで十字にこだわるの・・・。

シロクラゲ
 前回の授業で紹介されたときもその愛らしさで好評、名前がシロだと知るとみんなさらに大喜びだったシロクラゲ。不定期に大量発生することがあり、ナイロン袋で適当に掬っただけで1000匹くらい取れるほどだと説明されていました。

キタユウレイクラゲ
 大きい個体だと全長40mほどにもなる世界最大のクラゲです。先生も水族館で大きく育てようと試行錯誤していて、それでも自然界には敵わないと前回の授業で悔しがっていましたね。

コティロリーザ・ツベルクラータ
 英語圏ではfrid egg jellyfish、目玉焼きクラゲと呼ばれています。食べるエサの色によっては真ん中のこぶ状の部分がもっと黄色く見えるので、そうなると本当に目玉焼きそっくりです。
 ちなみに前回の授業では通称卵の黄身クラゲ、サムクラゲなんてものも紹介されていました。以前は近縁種だと考えられていましたが、遺伝子解析の進んだ現在では完全な別種として扱われているようです。

 水族館の水槽って表の展示ブースの窓から見るとすごい広く感じられて、私なんか小さい頃はどのくらいの大きさなんだろうと真横とか真下とか変な角度から一生懸命覗こうとしたものですが、バックヤードから見ると案外普通の大きさの水槽なんですね。ライティングの魔術怖い。

 「え、そこに頭突っ込んだら」
 「そこに頭突っ込んだら刺されて終わりだよ」
 「あ、そっか。クラゲさん刺すから頭突っ込んだらダメだ。バカすぎた」

 コティロリーザ・ツベルクラータの水槽を見て不意に謎発言をする電脳少女シロ。
 そうですね。この水槽に小峠教官が頭突っ込んだら目玉焼きと煮卵の共演ですね。(合ってる?)

 「この水槽1個に2日分のクラゲが入っています」
 ミズクラゲの幼体の飼育槽を見せながら先生が不思議なことを言うので確認してみましたが、ミズクラゲの寿命はだいたい半年から1年程度。ということは、そんな2日周期で展示するクラゲを代替わりさせる必要はないはずですから、これはおそらくエサ用に育てているぶんですね。それとも展示中の個体が大きく育ちすぎたらエサ用に回して、順次若い群れと入れ替える体制なんでしょうか。巨大水槽で大規模に展示していることと併せて考えると後者かな? エサ兼展示の一石二鳥。
 前回の授業で紹介されたサムクラゲなどがミズクラゲを好んでエサにしているそうですよ。
 「スノードームみたいですね」
 小峠教官、いい感性をしています。実際クリスマスシーズンになると各地の水族館でスノードームに見立てたエフィラの展示が行われているようですよ。

 「さあここで問題なんだけど、これ何匹くらいいると思います?」
 出題しておきながら話題が脇に逸れたせいで答えがどっか行っちゃうライブ感。頭にキノコ生やさなきゃ。
 仕方ないので加茂水族館のwebサイトで確認してみたところ、ミズクラゲの5m巨大水槽には約1万匹いると書いてありました。
 「なんか、先生前何千匹いるみたいな話を前回されていた気がするんですよ」
 さすが電脳少女シロはこういうことをよく覚えています。録画を確認すると、前回の授業では5000匹いると紹介されていました。
 えっ。たった半年で繁殖数が倍化したの・・・? そりゃ世界的権威の大先生も若手の進歩に太鼓判押すわ。

 「バックヤードからも問題出しちゃいましょう。さあ、これは何をする所でしょう?」
 「クラゲさんがお風呂に入るところ?」
 「まあ近いもんですね」
 「近いって、ピノちゃん! 何だろう?」
 「あ、全然近くないです。ごめんなさい」

 上げて落とされ少女。

 出題されたのは水槽に循環させる水をつくる濾過槽。事前に見せてもらったクラゲのエサと同じ色の沈殿物がヒントでした。排水前にエサやフンなどを漉し取るだけでなく、毎時1トンほど取り込んでいる新鮮な海水も濾過器にかけています。
 「先生、あの、海水をそのまま使っちゃダメなんですか?」
 このあたりは自宅でアクアリウムを楽しんでいる人なんかだとよくやらかす失敗らしいですね。自然の水をそのまま水槽に入れると変な微生物や藻なんかが繁殖して汚くなってしまいます。また、バクテリアも繁殖するので育てている魚やクラゲが病気になるリスクも高まります。
 そういえば小学校で育てていたメダカの水槽にいつの間にかタニシがいたこともあったな・・・。小学生なので管理が雑でメダカを全滅させてしまって、なんとなくそのまましばらくタニシだけ飼っていました。発生過程がミステリアスだっただけに、地味に教室内での人気があったんです。

 「やっぱ、そういう細かい作業がこうやって繁殖につながっているわけですよね」
 長年研鑚を重ねて膨大な量のノウハウを蓄積してきたマイスターの仕事の一端が垣間見えた、とっても面白い授業でした。

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