超人女子戦士ガリベンガーV 第54話感想 水に浮かぶかわいさアメンボ級、沈むかわいさわぴちゃん級。

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生徒役:電脳少女シロ、天神子兎音、カルロ・ピノ

あ、ごめん! おでこで押しちゃった!

出演バーチャルYouTuber

電脳少女シロ

「待って。英二、シロとアメンボどっちが好きなの?」
「あのー・・・。両方そうでもないです」

 バーチャルYouTuber界の元祖清楚にして、清楚杯の古傷が1年経っても癒えず、真清楚枠目指してライバルたちを清楚の闇に蹴落とさんとする清楚なトイレの妖精さん。最近はエロエロなカメラ小僧としての新境地も開拓し、オナゴをファインダーに収めてはゴキゲンのあまり新種のイルカ声を多数生成する日々です。
 「いるだけで○○な子」という表現がこれほど似合わない人物もなかなかいないでしょう。いればだいたい何かしています。傍若無人に暴れてみたり、賢く機転の利くトークを繰りひろげてみたり、斜め上にカッ飛んだ名言を連発してみたり、他の共演者を気遣ったり、イジりたおしたり、あるいはゴキゲンにキュイキュイ笑っていたり。ちょくちょくワケワカンナイこともやりたがりますが、そういうときは「シロちゃんの動画は為になるなあ!」と、とりあえず納得しましょう。彼女はあなたが為になることを望んでいます。
 まるでアブない人のようですが、そして実際アブない人なのは確かなのですが、ああ見えて彼女は共演者をよく見ています。聡明です。共演者の対応力を推し測り、ギリギリ捌ききれる程度のムチャ振りを仕掛けるのです。おかげでいつのまにか人脈の輪がずんどこ広がってきました。タチが悪いったらありゃしない。

天神子兎音

「めっちゃ面白いよ。ことぅーげもやろう」
「幼馴染みじゃねえからな?」

 齢500年の神にして、お下劣なネタをこよなく愛し、ことぅーげ教官にはきわめて気安い調子で絡みにいく――という、番組内での自分のキャラを初出演時からガチガチに固めにかかった抜け目ないゴッド。ただし、小峠教官は小峠教官でそういう殻に篭もった芸風を叩き割りにかかるタイプのMCなので油断は禁物です。
 京都在住、ちょっとお金にがめつく、割とヨゴレ、アニメやマンガを愛し、コンビニ飯と缶チューハイもこよなく愛し、あと喋ってる途中でちょくちょく噛み様。基本、大上段からファンを見下ろすような高飛車なスタンスが持ち味です。なにせ神様ですから。ただしけっしてドM向けなキャラクターというわけではありません。サドとマゾは両立しうる性癖なのでそのあたりはご安心を。なんか理不尽にエラそうにしている女の子はポンコツであればこそイイのです。
 普段はとりあえずドッキリ企画をしてみたり、ひととおりYouTubeでの流行に乗っかってみたり、どちらかというと生身のYouTuberに近いノリで活動しています。それでも最近は生配信と歌動画の比率が増えてきたぶんバーチャルYouTuberっぽくもあるか?

カルロ・ピノ

「代わりにピノ様解説します? ウフフ」
「いやいや。いやいや。聞きたいです」

 今月末に3冊目となる著書『ぴのらぼ キミの町にも恐竜、いる?』を発刊する予定の生きもの博士。今回のテーマは虫ではなく恐竜、それも架空シチュエーションものです。賢さと無邪気さを併せ持ち、ロマンをこのうえなく愛する彼女にとっては今回の作風こそがむしろ真骨頂。ゾイドも1体組み上げ準備万端です。
 この子は鉄壁です。知識の盤石さもさることながら、そもそもどんな話題を振られても動揺するということがほとんどありません。というのも、彼女は日頃からよくものを考えて話すクレバーな子だからです。彼女は自分がどういう人物であり、また周りからどういうふうな期待を向けられているのかを明確に把握しているようです。だからブレません。いつも優雅に穏やかに、ウフフとイタズラっぽく笑っています。
 人気コンテンツは知識を生かした生物講座と、ゲーム内設定を現実に置き換えて考えてみる考察遊び。なにかと頭が回る子なので、今回のようにゲスト出演するときはちょくちょく気の効いた(こまっしゃくれた)コメントを発します。

授業構成おさらい(+ 補足事項)

超難問:アメンボの謎を解明せよ!

 「深夜にアメンボで30分やろうとしてるってことですか。とてつもないですよ」
 ・・・NHK教育テレビかな?

 アメンボは昆虫綱カメムシ目カメムシ亜目に属する昆虫です。ぶっちゃけ、わぴちゃん先生とカルロ・ピノの知識がWikipedia記載の情報より遙かに充実しているので、ニワカ仕込みの私なんかじゃあんまり補記できるような事柄がありません。
 ぱっと見だと4本足に見えますが、昆虫なので当然6本足です。頭の先にある、触角のように見える短い2本が実は前足なんです。そのくらいでしょうか。

 わぴちゃん先生は自然科学系のライターです。ピンク色のかわいいジャケットとぬいぐるみのかわいい小物入れがトレードマーク。ガリベンガーVの第1回ステージイベント『激突!スーパーヒロイン知能大戦』ではクマさんポーチにホテルルートインの朝食券を入れていました。今回はウサちゃんです。
 難関資格として知られる気象予報士を持っていることが注目されがちですが、実は気象関係と同じくらい植物についての著書も多数手がけています。『激突!スーパーヒロイン知能大戦』でも野菜の花についてのクイズを出題していましたね。昆虫についての活動となると単著はありませんが、執筆協力というかたちで図鑑などに関わったことがあるようです。ちなみに大学の卒業学科は人間科学部。ド文系です。本当に、いったい何者なんだ・・・。

トピック1:なぜ水の上に浮くことができるの?

 「はい! 実は、シロは、お風呂でアヒルさんのオモチャを使ってるんですね。それが浮いてるんですよ。でもシロは沈むんですよ。つまりここから閃いた! かわいすぎると沈んで、まあまあかわいいと浮くんですよ」
 いっつも感心するんですけど、こうやって明らかにノープランで話しはじめておいて、最後にはなんだかんだでオチをつける謎の話術、すごいよねえ。いわゆる為と呼ばれるものの多くはここから生まれています。人間の浅漬け。
 話しはじめると頭が真っ白になるコミュ障には到底マネできません。つまり私には為を生み出すことができないということですね。悲しい。

 「お皿洗いをしているときに油がめっちゃ水に浮くんですよ。ベッタベタのやつ。汚ったねーやつ。だからきっと、アメンボの手には油がいっぱい。ギットギトな気がする」
 「たぶん、アメンボさんの足は剛毛なんですよ。メチャクチャ毛が生えていて、水面にいっぱい接するから沈まないんですよ」

 ここでの正解は天神子兎音とカルロ・ピノ。カルロ・ピノに至っては完全にメカニズムを理解したうえで言っている感じがありますね。いつものことながら。
 アメンボは全身が毛に覆われており、また、毛の間から油を分泌しています。

 第6話のペンギンの授業で、ペンギンはぼんじり(皮脂腺)から染み出る脂を使って毛づくろいすることで羽毛の防水性能を上げている、という話があったのを覚えているでしょうか? 細かな毛の集まりである羽毛は内側にたっぷり空気の層を含んでいて、この空気が断熱材の役割を果たすんですが、羽毛の内側に雪や海水が浸透すると空気が逃げてしまうのでペンギンはあっという間に凍えてしまいます。
 アメンボは防寒のために毛を生やしているわけではありませんが、それでもこの毛と油の役割はペンギンと似たようなものといえます。
 みなさんご存じの通り、水と空気の境界、つまり水面には表面張力が発生します。細かいメカニズムはやたら難しい物理学の話になるので割愛しますが、要するに水というものは空気と混じりあうことを頑として拒む性質があるんですね。アメンボは足先まで空気をたっぷり含んだ毛で覆うことによって、この表面張力、水が空気をはじく力を最大限に利用しているわけです。
 ただし、毛の間に水が染み込んでしまうとせっかくの空気が逃げてしまいます。水と空気は仲が悪いですが、水と毛束は困ったことに仲がいいんです。簡単に染み込んじゃいます。これを避けるため、ペンギンと同じで油を使ってコーティングするんですね。

 ちなみにアメンボの水面に浮く力というのは私たちが想像しているより強いらしく、交尾のためにオスがメスの体にのしかかったとき、つまり自身の体重の倍の負荷がかかったときでも全然沈みません。まあ、そもそもアメンボ自体の体が見かけの割に軽いって理由もあるんですが。
 昆虫の世界ってなんかこう、変なところでオーバースペック感のある話がちょくちょく出てきますね。

 「私も軽そうなんですけどね」
 「いや、重そうです」
 「すみません、重いです」
 「かわいいが詰まってるんだよ」

 まさか最後の最後で電脳少女シロの珍説が伏線として生きてくるとは。
 電脳少女シロとわぴちゃん先生はかわいすぎるので沈みます。小峠教官が沈むかどうかは実験報告がないのでわかりませんが、少なくとも煮卵は沈みます。

トピック2:なぜ水の上を進めるの?

 「今ね、アメンボさん、すいすい水の上を動いてましたけれども、じゃあどうしてこうやって水の上を進むと思いますか? 浮かぶだけだったらさっきのでいいんですけど、進むってなるとね」

 これ、私考えたこともありませんでした。でも、考えてみればそうなんですよね。表面張力って空気側のエネルギーを水が受け取らないからああいうふうになるんですもんね。空気を含んだ足先で水面を撫でるだけだと摩擦力すらろくに発生しないはずです。

 「足の先に付いている爪をドュン!って水面に突き刺して、ドュン!って進むんですよね」
 というわけでカルロ・ピノが正解。こういう知識ってつくづくどこで仕入れるの・・・?

 表面張力あるかぎり水面でいくらジタバタしたところで推進力は発生しません。けれど鋭い爪で引っかけることができたなら、それで初めて前へ進むことができるようになるわけです。あたかもアルペンスキーで用いるストックのように。

 「あんたやっぱ詳しいね」
 「はい。アメンボさん飼ったことあるんですよ。だって気になりませんか? なんで浮いてるんだろうって思って、洗剤いっぱい入れたら溺れちゃって、『あれ? 何でだったんだろう』ってすごい不思議だったんですよね」

 わぴちゃん先生が言うように、アメンボの水槽に食器用洗剤を入れてみる実験は子どもの自由研究の題材として有名です。
 私も小学生のころ本で読んだことはあるんですが、自分で試してみようとは思ったことがありませんでした。だって、その手の本って実験の結果どうなるか、とその解説まで詳しく書いてあるんですもん。結果がわかっていることをわざわざ自分の手で確かめる意味がわかりませんでした。なんというか、攻略本を読みながらゲームする、みたいな邪道っぽさすら感じていましたね。
 ですが、こういうのって自分の手と自分の目でひとつひとつ確認していくのがすごく大事だったんですね。結果どうなるのかは本さえ読めば知ることができるんですが、「どこに疑問を感じればいいのか?」まで導線が敷かれて、きっちり解決してしまうぶん、次につながりません。自分で観察していると「あれ? 何でだったんだろう」という疑問のフックがより具体的に、より主体的になって、次の興味、次の実験につながっていきます。
 私、このへんの感性が鈍かったから自然科学系には進まなかったんでしょうね。本だけはたくさん読んでいて、理科のテストの点もそれなりによかったはずなんですが。対照的にカルロ・ピノは好奇心でもってたくさんのことを実地で確かめていったからこそ、人並み外れた豊富な知識を蓄えていくことができたんでしょう。好奇心は金なり。

 「そう。風の吹くまま気の向くままー。うまいー」
 「何もうまかないですけどね」

 ところで子兎音さん。最近続けて2回ほど花京院ちえりと共演したせいか、若干芸風が写っていません?

トピック3:どうやって獲物を食べるの?

 まず、大前提としてアメンボは肉食です。そのうえで体長はきわめて小さく、せいぜい15mm程度。体重0.1g未満です。
 ミルクティーに沈んだタピオカを飲みこむ要領でボウフラやプランクトンをベビタッピできるものならしてみてもいいでしょうが、ボウフラの体長は通常4.5mm程度と丸飲みするには意外と大きく、逆にプランクトンは小さすぎるので水と一緒に飲みこんで漉し取るのが定石です。アメンボがそんな食餌をしていたら体重0.1g未満のスレンダーボディを維持できないでしょう。

 さて、ではアメンボはどのようにしてエサを食べているのでしょうか?

 「虫食い植物みたいなのあるじゃないですか。なんか、虫を食べる。あんな感じでパカッと開いてズバンとやってシュバッとなるのかなって思いました」
 ありがとう、タニスタさんのイラスト図解。天神子兎音の発言だけだと何言っているのかさっぱりわからねえ。でもこの勢いゴリ押しなノリは割と好き。

 「これもベビタッピするんですよ。こう、ストローをドゥン!って刺して、ギュン!って吸うんですよ」
 カルロ・ピノの擬音もたいがい似たようなものですが、どうしてこっちはこう、音のセンスがいちいち重いのか。たぶん怪獣好きだからですね。

 「蚊みたいに対象に何か突き刺して吸う」
 「んー。・・・なるほどね。はいはいはい」
 「ねぇぇー」

 てっきり今日の電脳少女シロは100%おふざけモードだと思っていたので、急に普通の回答されてもリアクションに困る。だってあなた、共演者がマジメなメンツだとバランスとって大喜利しはじめるのがいつものパターンじゃないですか。今回の生徒、意外にガチ回答が多い500歳と生きもの博士の組み合わせですよ。

 でも正解です。
 キーワードはベビタッピ。もとい、口吻です。読みかたは“くちづけ”ではなく“こうふん”となります。センシティブな言葉じゃないのでそう興奮しないでください。
 口吻というのは、それこそ蚊のように鋭く尖った針状の口のことをいいます。アメンボ含むカメムシの仲間全般この器官を持っています。この針をエサに突き刺して体液を吸うんですね。
 アメンボの場合は水面に落ちてきた虫を獲物とし、最初に消化液を流し込んでから溶けた体組織を吸いあげます。いわば獲物の体を胃の代わりにしているようなものですね。体外消化といいます。

 ちなみにアメンボは足が微細な毛に覆われているだけあってたいへん感覚が鋭敏で、虫が水に落ちたときの波紋を感じ取ってすぐさま駆けつける性質を持っています。なんと、虫と落ち葉の波紋を見分けることすらできるとか。

トピックex:わぴちゃんに聞いてみよう!

 「アメンボって溺れることってあるんですか?」
 先ほどカルロ・ピノが実験したことがあると語っていたように、界面活性剤が流れ込んで来るなどして表面張力がうまく働かない水面では溺れてしまうことがあります。体の側面にある気門と呼ばれる呼吸器が水に濡れると致命傷。
 このため、アメンボは水質汚染のないきれいな水辺にしか生息することができません。アメンボの仲間のうちいくつかの種は人間の生活排水の影響を受けて絶滅危惧種にもなっています。

 「お魚さんって落ちてきた虫をアメンボさんと同じく食べていたと思うんですけど、アメンボさんって食べられないんですか?」
 一応、Wikipediaではアメンボの天敵は魚類と鳥類ということになっています。さすがに食べられるときは食べられるんでしょう。カメムシ同様に外敵から刺激を受けると匂いの強い毒液を出す性質があるとはいえ、そもそも丸飲みされたのでは手遅れですし。
 ただ、わぴちゃん先生やカルロ・ピノはアメンボが魚に捕食されているところを見たことがないようですね。毒液にも事後的には一定の効果があるということでしょうか。魚だって後味最悪なエサをそう何度も口にしたくはないでしょうし。
 ちなみにアメンボの毒液はべっこう飴の匂いがするそうです。だから飴棒、アメンボと呼ばれるようになったんですね。

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