超人女子戦士ガリベンガーV 第55話感想 アメンボ赤いなあいうえお、浮き藻に小エビもああかわいい。

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生徒役:電脳少女シロ、天神子兎音、カルロ・ピノ

俺とわぴちゃんどっちがかわいいんだよ。・・・俺とわぴちゃんどっちがかわいいんだよ? なんちゅう質問だよこれ。

出演バーチャルYouTuber

電脳少女シロ

「かわいいに上下はないんだよ。“かわいい”か“かわいくない”かだから、“かわいい”と“かわいい”の比較は不毛だよ。不毛だけど、・・・あっ」
「不毛って、今お前俺の頭見て言ったろ」

 先日銀幕デビューが発表されたばかりのバーチャルアクトレス。ミニシアター、半チャリティー、リモート収録、ワンシチュもの、主演以外声での出演、双子役・・・と、いかにも小劇場系一人演劇の延長線上っぽい情報の数々に個人的には超ワクワクしています。感受性を刺激するアバンギャルドな作品だったらいいなあ。
 「いるだけで○○な子」という表現がこれほど似合わない人物もなかなかいないでしょう。いればだいたい何かしています。傍若無人に暴れてみたり、賢く機転の利くトークを繰りひろげてみたり、斜め上にカッ飛んだ名言を連発してみたり、他の共演者を気遣ったり、イジりたおしたり、あるいはゴキゲンにキュイキュイ笑っていたり。ちょくちょくワケワカンナイこともやりたがりますが、そういうときは「シロちゃんの動画は為になるなあ!」と、とりあえず納得しましょう。彼女はあなたが為になることを望んでいます。
 まるでアブない人のようですが、そして実際アブない人なのは確かなのですが、ああ見えて彼女は共演者をよく見ています。聡明です。共演者の対応力を推し測り、ギリギリ捌ききれる程度のムチャ振りを仕掛けるのです。おかげでいつのまにか人脈の輪がずんどこ広がってきました。タチが悪いったらありゃしない。

天神子兎音

「さあどうでしょうか? 求愛行為ね」
「求愛かあ。愛してるってことだよね」

 和ロックないでたちにしてJ-ロッカーなロリゴッド。グングンでズイズイな強気トークと鉄板の持ちネタで濃い目のキャラクターをアピールしていく一方、パネラーとしては意外に常識人で手のかからない優等生です。ただ、このガリベンガーV、出演回数が多くなるほどキワモノ属性を深掘りされていく番組なのよね。
 京都在住、ちょっとお金にがめつく、割とヨゴレ、アニメやマンガを愛し、コンビニ飯と缶チューハイもこよなく愛し、あと喋ってる途中でちょくちょく噛み様。基本、大上段からファンを見下ろすような高飛車なスタンスが持ち味です。なにせ神様ですから。ただしけっしてドM向けなキャラクターというわけではありません。サドとマゾは両立しうる性癖なのでそのあたりはご安心を。なんか理不尽にエラそうにしている女の子はポンコツであればこそイイのです。
 普段はとりあえずドッキリ企画をしてみたり、ひととおりYouTubeでの流行に乗っかってみたり、どちらかというと生身のYouTuberに近いノリで活動しています。それでも最近は生配信と歌動画の比率が増えてきたぶんバーチャルYouTuberっぽくもあるか?

カルロ・ピノ

「アメンボさん食べたことありますか?」
「あります!」

 これまで幾度となく虫食いキャラとしてイメージづけられかけてきましたが、そのたびに新たな一面を開拓してイメージの固着を防いできた跳ねっ返り娘。先入観や固定観念というものが大嫌いで、先日お披露目された新衣装もジェンダーレスを強調したデザインとなっていました。女の子だろうがオッサンだろうがかわいいものはかわいい。
 この子は鉄壁です。知識の盤石さもさることながら、そもそもどんな話題を振られても動揺するということがほとんどありません。というのも、彼女は日頃からよくものを考えて話すクレバーな子だからです。彼女は自分がどういう人物であり、また周りからどういうふうな期待を向けられているのかを明確に把握しているようです。だからブレません。いつも優雅に穏やかに、ウフフとイタズラっぽく笑っています。
 人気コンテンツは知識を生かした生物講座と、ゲーム内設定を現実に置き換えて考えてみる考察遊び。なにかと頭が回る子なので、今回のようにゲスト出演するときはちょくちょく気の効いた(こまっしゃくれた)コメントを発します。

授業構成おさらい(+ 補足事項)

超難問:アメンボの謎を解明せよ!

 アメンボは昆虫綱カメムシ目カメムシ亜目に属する昆虫です。ぶっちゃけ、わぴちゃん先生とカルロ・ピノの知識がWikipedia記載の情報より遙かに充実しているので、ニワカ仕込みの私なんかじゃあんまり補記できるような事柄がありません。
 ぱっと見だと4本足に見えますが、昆虫なので当然6本足です。頭の先にある、触角のように見える短い2本が実は前足なんです。そのくらいでしょうか。

 わぴちゃん先生は自然科学系のライターです。ピンク色のかわいいジャケットとぬいぐるみのかわいい小物入れがトレードマーク。ガリベンガーVの第1回ステージイベント『激突!スーパーヒロイン知能大戦』ではクマさんポーチにホテルルートインの朝食券を入れていました。今回はウサちゃんです。
 難関資格として知られる気象予報士を持っていることが注目されがちですが、実は気象関係と同じくらい植物についての著書も多数手がけています。『激突!スーパーヒロイン知能大戦』でも野菜の花についてのクイズを出題していましたね。昆虫についての活動となると単著はありませんが、執筆協力というかたちで図鑑などに関わったことがあるようです。ちなみに大学の卒業学科は人間科学部。ド文系です。本当に、いったい何者なんだ・・・。

 「わぴちゃんは賢者だよ。いっぱい知識があって、後世に残したい“かわいい”だよ」

トピック4:どうやって求愛するの?

 「アメンボの名前の由来が『飴の匂いがするから』って聞いたことあって、なので、お互いの飴の匂いをペロペロして匂いを確かめあって、『あ、これは好きな匂い』ってなったら結ばれるのかなって」
 電脳少女シロの回答は第12話の恋愛についての授業を思いだしますね。自分と遺伝的に遠い相手とつがいになったほうが免疫的に強い子が生まれやすくなるので、体臭から相手の遺伝子型を読み取っているんだという説。

 アメンボはカメムシの仲間です。そしてカメムシが悪臭を出すのは敵に襲われたときであり、また、密閉空間でこの臭いを出すとカメムシ自身も死んでしまうというのはよく知られた話だと思います。これはカメムシのニオイ成分がトランス-2-ヘキセナールというアルデヒドの一種だからです。臭くて死ぬというより、普通に毒なんですね。
 もっとも、アメンボの飴のような匂いはトランス-2-ヘキセナールの臭気とは異なるのですが、こちらも外敵に襲われたとき臭いを出すという習性自体はカメムシと共通しています。天敵である魚が嫌う匂いだという説も前回説明されていましたね。つまりこの臭いはアメンボにとってストレスの強い、警戒もしくは攻撃的な匂いなんだと考えられます。
 そんなものを求愛のために使うかというと・・・。アメンボの考えることの正確なところは人間である私にはよくわかりませんが、ちょっとロマンチックじゃない気がします。

 「動物たちはダンスをして相手に愛を伝える、みたいなのを聞いたことがあるので、水面をスイスイーって滑るときをダンスのように大きく表現することで『愛してるぜー!』みたいなことを伝えていくのかなって思いました」
 小峠教官にウザ絡みしているときのヨゴレ芸人っぽい印象はどこへやら、ちゃんと筋道立ててちょっと乙女チックな回答をした天神子兎音。
 なんだかそれっぽくはありますが、残念ながらアメンボの求愛行動は私たちの想像を超えてユニークです。足でステップを踏むところまでは合っているんですけどね。

 「やっぱり人間の世界も虫さんの世界もパリピが相手を捕まえる時代なんですよ。つまりコミュニケーションのとれない陰キャのアメンボさんはたぶん相手を見つけることができないので、パリピのアメンボさんこそがモテる存在なんじゃないですか」
 お前は何を言っているんだ。

 意味のわからないカルロ・ピノの珍回答はさておき、ここでのキーワードは「波紋」。
 前回の授業でも説明があったように、アメンボの足はたいへん鋭敏で、波紋だけで水面に落ちてきたものが羽虫か木の葉かを区別することができます。そのくらい優れた感覚器官です。
 たとえば嗅覚に優れたイヌがおしっこの匂いで縄張りを主張しあうのと同じように、鳴き声の使い分けが上手な人間が音声で会話するように、だから、アメンボは波紋を立ててお互いにコミュニケーションを取っています。
 求愛行動もこのコミュニケーションの一環ですね。エロエロな資料映像を見てみると、想像するよりずっと激しく波紋を立てているのがわかります。

 「うわ、すげえ。こりゃモテるなこいつ」

 先ほどカルロ・ピノがワケワカランことを言っていたのはこの話だったわけですね。
 「パリピのアメンボさんこそがモテる存在なんじゃないですか。陽キャはよく喋るじゃないですか」
 ・・・婉曲表現すぎるわ!

 ちなみに、「波を立てるのはオスだけなんですか?」という小峠教官の質問に対してわぴちゃん先生の回答が若干わかりにくくなってしまっているので補足しますが、あくまで求愛行動を取るのはオスだけです。
 ただし、アメンボは求愛以外のコミュニケーションにも波紋を使うので、たとえば縄張りを主張するときなんかはオスもメスも波紋を立てます。

トピックex:わぴちゃん VS 小峠教官

 「いやいやいや。かわいいかわいいとかなんか言ってるけど、かわいかねえだろわぴちゃん」

 ひょんな流れから生まれたかわいい論議。

 女性の言う「かわいい」は男性の感性とどこか噛みあわない、というのはよく語られるネタですが、私からすると別にそんなことないと思うんですけどね。
 「かわいい」って要するに“心惹かれる”ってことじゃないですか。なんかいいなあって思う気持ち。「好き」をもっと情動的にした表現というか。
 たしかに多くの男性は女性ほど広い範囲を指して「かわいい」を使いません。男性の「かわいい」は女性的なものや小さなものへの愛おしさに限定して使われることが多いです。ですが、だったら男性は女性の思う「かわいい」を感じないのかというと全然そんなことはなく、「いい」とか「面白い」とかって言葉で表現を代替されています。
 同じように、男性の言う「カッコいい」も、一部の女性にとっては「ステキ」とか「美しい」とかって表現したほうがしっくりくる場合があったりするようですね。
 たったそれだけの話です。
 何かに心惹かれる思いは男性も女性も共通していて、それを「かわいい」とか「カッコいい」とかそれ以外の言葉とかでラベリングする範囲が、男性と女性とで、というか個人ごとでそれぞれちょっとずつ違っているだけです。

 「かわいいに上下はないんだよ。“かわいい”か“かわいくない”かだから、“かわいい”と“かわいい”の比較は不毛だよ」

 たったそれだけの話。
 だからわぴちゃん先生はかわいいし、小峠教官もかわいい。どちらにも好感を持たないはずがない。
 どっちがかわいいかとか決められない。だってそれは坂本龍馬と新幹線のどっちが“カッコいい”か聞かれているようなもの。たまたま同じ言葉でラベリングされているだけであって、好ましく思う気持ちの内実はそもそもまったく別物です。

配信イベントの厳選シーン

 3月1日に行われたイベント『ヒロイン危機一髪!筋肉&妖怪大進撃』の名場面を3つ紹介。

 ひとつめは○○といえば?ゲーム中の一幕。電脳少女シロとアイドル部3人でゲームしたのですが、このときはとにかく北上双葉の天然ボケが冴えわたりました。小峠教官の彼女を見る目が変わった瞬間。私も北上双葉のことはアイドル部きっての常識人だと思っていたので、ここでこういうボケをするとはまったく想像していませんでした。
 ちなみに北上双葉の盛大なボケっぷりに隠れていますが、「なんて日だ!」のポーズを正しくできているのが花京院ちえりだけだったというのも地味に見どころです。

 ふたつめは2人1組でのジェスチャーゲーム。キズナアイと電脳少女シロのツーカーっぷりがとにかくすごかった。このゲームは事前打ち合わせ無しだと普通2人で同じ動きをしてしまいがちなんですが、このふたりの場合はお互いの動きを見て2人で1つのシーンをつくっているんですよね。
 完全アドリブだったらしく1問目のバスケットボールこそ2人で同じジェスチャーをしていたものの、2問目3問目は理解の早いキズナアイがリードし察する力の高い電脳少女シロがフォローするかたち。4問目のボブスレーはキズナアイがうまくイメージできなかった様子。5問目の工事現場はお互いの動きを見ながらそれぞれ違う作業のジェスチャーを重ねていきました。6問目のガソリンスタンドはおそらく一番の名作。今度は電脳少女シロのリードに併せてキズナアイが情景を補完し、給油→窓拭きと移り変わる完成度の高い芝居をつくりあげました。7問目はそもそもコンビでどう演じ分けたらいいのかわからないバッティングセンターでしたが、ここは回答側の富士葵のファインプレーで乗りきりました。8問目赤ちゃんと9問目モグラ叩きはもはや目が合った瞬間に役割分担が確定している以心伝心ぶり。10問目シンクロナイズドスイミングも難易度高めのお題だと思ったんですが、ミライアカリが一目で水泳の~までたどり着いたので意外にすぐ正解しました。

 このゲームでそれぞれ違う動きをするのって本当に難しいんですよ。なにせ2人1セット前提のジェスチャーをするということは、相方が理解して合わせてくれなかったら不完全で意味の通らないものにしかならないんです。リードする側はまず相方を信頼して、自己完結できるジェスチャーを捨てる勇気を持たなければいけません。フォローにまわる側も、自分は本当に相方の意図を理解できているんだろうかと不安に怯えながらジェスチャーすることになります。そのうえで、それぞれ相方の動きに合わせた芝居を考えるアドリブ力ももちろん要求されます。
 このふたりの場合は2問目で電脳少女シロが餅こねの動きを始めたのが大きかったんでしょうね。元々の関係性から、リードとフォローの役割分担も自然にできました。3問目以降はふたりとも最初から相方が合わせてくれる前提のジェスチャーをしています。
 まあ、やろうと思えば1問くらい捨てる腹づもりでとりあえずムチャ振りしてみるのもアリなんですけどね。合わせてくれたら次もコンビ、対応できていなかったらソロでって感じで。慣れている人だとそういうことしますよね。ただ、このふたりはそうじゃなくてゲームの過程で役割分担をつくっていったっていうのがすごく面白いです。

 みっつめは小峠教官がドはまりしていたブイ子の殺陣シーン。
 要はあらかじめリアクションする位置をバミっておいて、タイミングを合わせて決まったアクションをするだけ。とはいえ主役のブイ子が録画なので、普通の演劇と違ってアイコンタクトでタイミング融通を利かせてもらえないのが大変そうです。完全に事前打ち合わせどおりに動かなければいけません。演じるスタントさんにとっては実質音ゲーみたいな感じでしょうか。・・・楽しそう。

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