キラキラプリキュアアラモード第1話感想 あなたはどうしてスイーツをつくるのでしょう?

これは私の思い! 絶対に渡せない!

キラキラ プリキュアアラモード まぜまぜ変身!スイーツパクトDX

(主観的)あらすじ

 宇佐美いちかは久しぶりに帰ってくるお母さんのためにショートケーキを作ろうと頑張りますが、うまく膨らまなくて失敗の連続。そこにお腹を空かせた妖精のペコリンがやってきます。ペコリンは失敗したケーキでもおいしいと喜んでくれて、それでいちかはやる気を取り戻します。
 試行錯誤の末、いちかはついにあと少しで完成というところまで漕ぎつけますが、残念なことにお母さんから帰ってこられなくなったという連絡が入ります。今度こそ完全にやる気を失ういちか。
 ケーキを奪おうと襲いかかる悪い妖精・ガミーにケーキを明け渡しそうになるいちかですが、ペコリンの言葉によってケーキに込めた大切な思いを思いだした彼女はその場でケーキを完成させ、プリキュアに変身します。
 スイーツと大切な思いを守るために戦う、新たなプリキュアの物語の始まりです。

 というわけで新しいプリキュアのはじまりはじまり。初回はだいたいのノリと雰囲気の紹介といった感じです。例年プリキュアは初期メンバーが揃った次の回くらいに本格的にエンジンが入り出す構成なので、現時点ではまだまだ真の魅力の片鱗しか見えていないと思っていいでしょう。今シリーズは5人もいるのでなかなかの焦らしプレイ。3月末が待ち遠しいですね。
 ・・・なのでこの感想文の方向性もまだしばらくは定まりません。さて、今年はどんな感じで物語を読み解いていきましょうか。とりあえず水彩色鉛筆画風の演出と変身バンクといちかの私服のイチゴ靴下かわいい!

スイーツづくりのきっかけ

 「うわー! ケーキがキラキラでピッカピカ!」
 「いちかもお母さん大好き! 大好きの入ったケーキも大大大好き!」

 お菓子づくり(未だにスイーツという単語になじめない古い人間です)を始めるきっかけって、大抵は憧れから入るものだと思うんですよね。お菓子づくりって時間も手間もかかりますし、失敗することも多いですし、材料費も普通に出来合いのものを買うより高くなりがち。単なる好奇心や食欲だけでは到底やってられない趣味です。
 私も子どもの頃は毎週何かしらつくってましたが、今となっては年に数回簡単なものをつくる程度です。せめてバター1箱249円以下で安定してくれたら・・・!

 いちかの場合はお母さんがケーキをつくってくれた思い出がお菓子づくりに踏み出す原動力となりました。お母さんへの大好きって気持ちがそのままお菓子づくりの情熱に転化しているんですね。
 「ねえお母さん、どうしてお母さんのつくるケーキはこんなにおいしいの?」「それはね、お母さんの気持ちを込めているからよ」「いちかが大好きって気持ち」
 お母さんにとってお菓子づくりは娘への愛情表現でした。だからこそお母さんが久しぶりに帰ってくるというこの特別な日、お母さんに特別な思いを伝えたいと願ういちかがお菓子づくりに挑戦するのは自然なことですね。

 いちかにとってお菓子づくりは特別なものです。それはお母さんに特別な思いを伝えるという重大事であり、憧れのお母さんのマネをするという偉大な挑戦でもあります。この一大決心を固めたいちかには、たったそれだけで世界が輝いて見えるのでしょう。「よーし、つくるぞ!」 陽の光降り注ぐ撮影効果が爽やかですね。
 「今日お母さん帰ってくるんです!」「私、ケーキつくるんです!」 街中に自分の気持ちを言いふれてまわる彼女はお菓子づくりの大変さをまだ理解していません。そんなことを考えていられないくらい、今の彼女の世界はキラキラしていて、ワクワクする希望に満ちあふれています。
 きっといちかのつくるショートケーキはお母さんがつくるのと同じくらい上手にできて、お母さんはそれを食べてあの日のいちかみたいに大喜びしてくれるはず。子どもにありがちな根拠のない過大妄想。けれどそのくらいの強い気持ちでなければ、ホント、お菓子づくりなんてやってられませんよ。

苦労、苦悩、失意。

 けれどお菓子づくりは気持ちの問題でどうにかなるものではありません。特にスポンジケーキなんてのは、レシピを見ながらでも最初は誰もが失敗してしまうくらい難度の高いものです。公式サイトで公開されている『うさぎショートケーキ』の難易度は第1話にして星3つ+。
 お菓子づくりには失敗にめげない強い気持ちが必要です。けれどそれだけでどうにかなるものでもありません。7回も失敗してまだ気持ちが折れずにいるいちかはそれだけで大したものですが、けれどそれだけではやっぱり足りません。

 足りないものを持ってきてくれたのは妖精のペコリン。キラキラルを視認できる能力もありがたい助けでしたが、それ以上に彼女がいちかのつくった失敗作をおいしく食べてくれたことが重要です。
 「いただきますペコ! クッキーおいしいペコ!」「膨らまなくてすみませんね。ケーキなんですけど」「でもおいしいペコ!」
 お菓子づくりにはこれが何よりも大切です。
 つくって楽しいとか、食べておいしいとか、その程度の気持ちではやってられないくらいの敷居の高さがお菓子づくりにはあります。いちかは「お母さんに喜んでほしい」という強い気持ちによってこれを乗り越えてきましたが、7回も失敗するうちに次第に笑顔が消え、いつしかしかめっ面でレシピとにらめっこするようになっていました。
 おいしく食べてくれるペコリンの笑顔がいちかに最初の気持ちを取り戻させます。そう、彼女はお母さんに、食べてくれる人に笑顔になってほしいからお菓子づくりに挑戦したのでした。それを見失っては彼女の理想は絶対に実現できません。だって彼女が理想としているお母さんのケーキには愛情がいっぱい込められていて、だからこそ彼女はそのケーキをおいしいと感じていたんですから。料理は愛情。

 けれど苦難は重なるもの。初心を取り戻し、今度こそスポンジケーキの焼成に成功したいちかでしたが、今度はお母さんが帰ってこないという不運に直面します。
 せっかくショートケーキをつくっても、そこには食べてくれるはずの人がいません。お菓子づくりの描写が充実していて、プリキュアではなくひとりでできるもん!を見ている気分になっていましたが、やっぱりキラキラプリキュアアラモードはプリキュアシリーズです。料理番組では普通やらない、前提からひっくり返してくるようなドラマを平気な顔で用意してきます。
 さあ、ここからがプリキュアの真骨頂。料理は愛情、だけでは済ましません。

「思い」を巡る戦い

 いちかはお母さんに愛情を伝えるためにショートケーキをつくりました。なのにお母さんがそれを食べてくれないなら、頑張ってつくった意味なんて何ひとつありません。
 代わりに食べたいという人がいるならあげちゃった方がまだ有意義です。自分で抱えていてもこのケーキはどうせ捨てるだけ。けれど、それでもこの物語はガミーにケーキをあげるという代替行為を良しとしません。プリキュアはあくまで理想に向かってひた走るヒーローです。

 「でもお母さん帰ってこないし、食べてもらえないならもうどうでもいいよ・・・」
 そう言いながらもいちかの表情は暗い。どうでもいいとうそぶきながら、それでもガミーにケーキをあげることには何か悲しいものを感じます。
 「ねえお母さん、どうしてお母さんのつくるケーキはこんなにおいしいの?」「それはね、お母さんの気持ちを込めているからよ」
 「いちかもお母さん大好き! 大好きの入ったケーキも大大大好き!」
 いちかにとってこのケーキは大切な思いを宿した特別な存在です。
 例えばラブレターを書いたとして、それを恋人に届けられなかったとしても、果たしてラブレターはただの紙切れに戻るでしょうか。例えば子どもの頃に読み聞かせてもらった絵本は、大人になって読まなくなったとしても、果たしてそれは不要な紙束に変わるでしょうか。

 「どうでもよくないよ」 大切な思いの篭もった品は、本来の用途を超えて失うことのできない大切なものに変わることがあります。
 「このケーキはお母さんへの大好きって気持ちを込めたものだもん」 だって品物がムダになることはあっても、そこに込められた大切な思いまで色あせてしまうわけではないんですから。
 「これをあげたら全て捨てることになっちゃう」 本当に大切なものはケーキではなく、気持ち。だからこそこのケーキはお母さん以外の人にあげるわけにはいきません。
 「だからあなたには渡さない!」 世界のためではなく自分のために戦うプリキュアの伝統が、今、いちかに引き継がれます。

 「いちか! ここでケーキを完成させるペコ!」
 ケーキを食べてくれる人はもういません。これが料理番組なら誰も食べてくれない料理なんてつくりません。
 けれどキラキラプリキュアアラモードはプリキュアシリーズです。料理番組とはまた少し違う論理で、誰も食べてくれないケーキを完成させる意義をつくり出します。
 いちかがケーキをつくるのは、もはやお母さんに食べてもらうためではありません。今彼女を突き動かすのは自分の中にあるお母さんへの思いを完成させたいという気持ちだけ。そのためにこそ、このケーキは必ず完成されなければいけません。

 プリキュアは思いの力で戦うヒーローです。その伝統は、その姿がプリンセスになっても魔法つかいになっても、パティシエになったとしても、絶対にブレません。
 強い思いがあれば、女の子は誰でもプリキュアになれる。

 魔法つかいプリキュア!からバトンを引き継いだ新たなプリキュアに、どうかまたたくさんの祝福がもたらされますように。その道行きに希望と幸福が満ちあふれますように。

その他細々したことをとりとめなく

 「よーし、つくるぞ!」 春映画のガイナ立ちもそうですが、この子どうしてこうちょくちょく男前なたたずまいを見せるんでしょう。カッコイイからいいけど。

 タイトルロゴ。普通のデコレーションケーキと思いきや、何やら鉄板で焼いているような風情ですね。実はホットケーキだったんでしょうか。普通ホットケーキにはこんなにたくさん油を引きませんが、たっぷり油を引いて揚げ焼きにしたホットケーキはそれはそれで結構おいしいものだったりします。ドーナツみたいな食感。カロリーのことを考えてはいけません。

 「ボンボン セシボン」 番宣で聞いたときからずっとなんのこっちゃと思っていたのですが、どうやらこれフランス語のようですね。テーマがスイーツなのでその本場の言葉を、ということでしょうか。「Bon.Bon.C’est si bon」 訳すなら「おいしい。おいしい。これすっごいおいしい」といったところ。

 「シフォンみたいね? こころは不思議」 ひまりの書斎に2匹、ゆかりのブティックに1匹妖精らしきものが映り込んでいますね。今年も3幹部制は維持するということでしょうか。プラスして謎の仮面イケメンもいますが。

 劇中歌シーン。これたぶんバンクですね。毎回お菓子に合わせて実写映像とお菓子づくり部分のアニメを差し替える感じでしょうか。使い回せそうな尺が半分くらいしかなくて意外と手間がかかってそうです。

 「見事なクッキーだな」 クッキーは元々ケーキの余り生地で試し焼きしたものがルーツだといいますから、意外とそう的外れな認識でもありませんね。

 「そっか、今までかき混ぜすぎてたんだ!」 初心者がやってしまいがちな失敗ナンバーワン。ベースになる全卵をよく泡立てたうえ、小麦粉もふるいにかけていっぱい空気を抱き込んでいますから、これ以上泡立て器を使ってもせっかく抱き込んだ空気の粒を潰してしまうだけです。小麦粉からグルテンも引きだしちゃいますしね。大抵泡立て器よりゴムべらの方を多用するのがお菓子づくりの現実。・・・それにしても公式レシピ、しれっと共立てでスポンジを焼かせるんですね。ホント難易度高い。お母さん頑張れ。
 それにつけても生地が膨らむのをオーブンの前でじっと見守るところ、あれはすごくいいですね。今話一番の名シーンです。

 黒電話。どうしてまたこんなトラディショナルなデザインの電話を・・・と思いましたが、そういえば今どきの家庭は携帯電話があるからあんまり家に電話を置かないんでしたね。案外スマホアプリのアイコンに使われている黒電話(もしくは受話器)のデザインの方が子どもにはわかりやすいのかもしれません。

 「これはいちかのケーキペコ! 渡さないペコー!」 今までなら主人公が率先してやっていた英雄的行動を、今年は妖精が代行します。なにせ歴代主人公は第1話でいきなりいちかほど落ち込む試練は受けていませんでしたからね。その意味でも今年はさっそく独自色を見せています。

 変身バンク前後。変身アイテムを受け取るときジャンプしているところとか、バンク中ケーキの後ろでバンザイしているところとか、今話は遠景でのキャラの動きが妙に可愛らしい。
 バンクといえば今年はハピネスチャージプリキュア!以来久しぶりに笑顔で変身するんですね。(魔法つかいプリキュア!も喜怒哀楽4パターンの変身バンクを持ってはいましたが) 私は勇ましいのよりこっちの方が好きです。

 エンディング。もうすっかり本編を完全3D化しても違和感なさそうなくらい美麗なモデリングになりましたね。プリキュアのことですからまた1コマずつ丁寧に調整して、セルアニメよりはるかに手間暇かけているんでしょうけれど。それにしてもこれはすごい。春映画にも俄然期待が湧きますね。

 シュガー店主。劇中で商品からキラキラルを奪われたケーキ屋さんのことですね。看板にはパティスリー・シュガーとあります。「ケーキ店主」ではなく「シュガー店主」という表記でクレジットされているということは、ひょっとしてフレッシュプリキュアのカオルちゃんみたいな準レギュラー扱いだったりするんでしょうか。

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