キラキラプリキュアアラモード第2話感想 小さな勇気ひとかけら。それがあなたの大きな幸せになる。

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私は大好きなプリンのこと、聞いてもらいたかっただけなのに。

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(主観的)あらすじ

 なりゆきに全力で乗っかり、プリキュアの使命と自由に使えるパティスリーをゲットしたいちか。ある日、内気ですばしっこい女の子と出会います。有栖川ひまり。プリンに詳しいらしい彼女と一緒に、いちかはプリンづくりに挑戦します。
 ところがカラメルソースづくりから失敗の連続。ひまりは原因を知っているようですが、なかなか口を出すことができず、そしていざ口を開くと今度はなかなか止まりません。しかもそんな自分にはたと気付くと逃げるように去ってしまいます。彼女は昔からこんな性格で、そのせいでうまく友達をつくれずにいたのでした。
 けれど大丈夫。いちかはひまりが帰ったあともプリンづくりに挑戦し続け、今も彼女の知識を必要としてくれていました。今度こそふたりで協力して、ついにプリンが完成します。
 ようやくできた友達を守るためなら、ひまりはプリキュアになることもできます。プリンのキラキラルを奪いに来たプルプルを追い払い、ひまりは友達のいちかと一緒にプリンを味わうのでした。

 内気な女の子の小さな物語。今のところ魔法つかいプリキュア!の日常重視路線をさらに先鋭化させた感じの作風ですね。Go!プリンセスプリキュア(あるいはもっと以前)から続く個人主義志向ともいえます。物語の核はあくまでひまりがいちかと友達になれたこと。プリキュアがどうとか敵がどうとか、そんな非日常は彼女たちが楽しくスイーツをつくることとは関係ありません。
 一昔前のアニメなら個人的な事情が世界の存亡とリンクしていた(いわゆるセカイ系)ものですが、最近のプリキュアはそういう非現実な壮大さから脱却しつつあるような気がしますね。どうせ人の心の問題を描くなら、ややこしいノイズを除いて等身大ありのままに。私はこちらの方が好みです。

独演会

 大好きなことはみんなで共有したい。みんなに共感してほしい。当たり前の心理です。ひまりのような長広舌はしばしば知識量を自慢したいんだと誤解されがちですが、実際は(たぶん、大抵は)好きなものをみんなと語りあいたいだけです。もし自慢したいだけならひまりのようにネガティブにならずに「周りが自分のすごさを理解できないだけだ」と無用のプライドを形成してしまうことでしょう。
 おしゃべりはそれ自体楽しいものです。自分が好きなものの話ならなおさら。「すっごーいひまりちゃん」 だからリアクションが返ってくると嬉しいし、「その話いるか?」 退屈がられると悲しい。「ひまりちゃんは見た?」 自分が入っていけない話をされると寂しい。
 好きなものを存分に語りたいだけなら同好の士を集めて小さなコミュニティに篭もるのもアリです。みんなとおしゃべりしたいだけなら広く情報収集して盛り上がりそうかどうかで話題を選ぶようにするのもアリです。けれど「好きなもの」も「みんなと」も両方欲張ってしまうと、とたんに生き苦しくなってしまうもの。

 ひまりは不器用さんですね。けれど一切を諦めず一番ステキな幸せを追求する、この欲張りさ、不器用さこそがプリキュアの素質。さあ、強くなりましょう。ふたつを選べないなら選べるようになるまで頑張ればいいだけです。

 いちかからプリンづくりに誘われたことはひまりにとって千載一遇のチャンスでした。自分から行動することなく誰かか求められたいものを求めてもらえる幸運、それはそうそうあるものではありません。だからこそひまりは内気なりにノリノリでいちかについていくわけですが・・・。
 まあ、チャンスだけで何もかもがうまくいくわけがありませんね。ひまりの問題は幼い頃からなにも改善していません。同じシチュエーションになったら同じ失敗を繰り返してしまいます。「私が本で得た知識から察するには・・・あっ」「なんだか大変なんだね、プリンって」
 今のひまりは弱いまま。いくらチャンスがあっても、それを掴み取れる力がなくては願いは叶いません。今のひまりのままではスイーツの話をする友達なんかつくれっこありません。

勇気ひとかけら

 千載一遇のチャンスをフイにして、ひまりの日常はいつものようにくすんでしまいます。図書室のシーンが象徴的ですね。ひまりの所属する画面全体が暗いなか、いちかのいるところだけが陽の光を浴びて明るく輝いています。あのとき失敗していなければ、きっと私もあそこにいられたのに。後悔ばかりが燻ります。スイーツが好きだと言ってくれたいちかの顔が、声が、脳裏に浮かびます。
 そうです。ひまりにとってあの千載一遇のチャンスはまだ終わっていません。彼女はまだあそこに未練があります。失敗を取り返せるものなら取り返したい。そう願うなら、有栖川ひまりはまだ「諦めない、負けない」。プリキュアの戦いが始まります。

 もちろんいちかの方が終わったことにしているなら、ひまりが何を思おうがどうしようもないんですけどね。ですが幸いなことに、彼女にとってもプリンづくりはまだ終わっていませんでした。「ああー! また失敗!」「砂糖が結晶化するってどういうこと?」 手に持っているのはひまりの愛読書『スイーツの科学』。彼女はまだひまりを必要としてくれていました。

 まだ初変身も終えていないひまりは弱く、できることなんてたかが知れています。持てるものはなけなしの勇気ひとかけら。
 「その本!」 今のひまりにできることはたった一言、それも驚いた拍子にやっと絞り出すことだけでした。
 けれど、たったそれだけのか細い勇気が彼女に道を切り開きます。千載一遇のチャンスをやり直させてくれます。そしてたったこれだけで今回のひまりの戦いは充分。千載一遇のチャンスといったでしょう? 安心して。あとはいちかが助けてくれます。あなたが今掴み取ったのはそれほどに大きな幸運だったんです。あなたが逃げずに勇気を振り絞りさえすれば全部うまくいく、とびっきりの親切仕様。子どもの世界は祝福されています。

 「スイーツは科学です。分量を量って正しくつくれば失敗しない。だから好き」 目に涙を浮かべながら好きなものを語るチグハグ。「好き」と言うだけの簡単なことさえこれまでのひまりは満足にできませんでした。彼女は、ずっと逃げていたから。
 「でも友達の気持ちは私には量れません」 たぶん後々改めて向き合うことになるんでしょうが、実のところ彼女の問題はそこではありません。幼い頃の失敗、クラスメイトからちょっと冷や水をかけられたくらいでずっと逃げてきたから、これまで彼女は友達をつくれずにいました。いちかが友達になってくれて、他の子がそうじゃなかったのは、たったそれだけ、ひまりが逃げたか勇気を振り絞ったかの違いだけです。
 その証拠。「うん、わかるよ」 いちかはひまりの気持ちを受け止めてくれました。「有栖川さん本当にスイーツが大好きなんだなって」 ひまりの長広舌にスイーツへの愛情を感じない人はいないでしょう。きっと幼い頃のクラスメイトたちにだってひまりの気持ちはこれでもかとよく伝わっていたはずです。ただひまりが勝手に萎縮して、勝手にスイーツの話をするのをやめてしまっただけで。きっとあのときも諦めずにスイーツの話をし続けていたら、それをきちんと受け止めてくれるクラスメイトもいたはずですよ。(もちろん空気は読んだうえで、ですけどね!)

 「だから、色々教えてくれて嬉しかったよ。さ、次はプリンの生地だね。一緒につくろう」「はい!」
 「ねえ、今度みんなでさあ・・・」 あの日取りこぼしたおしゃべりの続きを、今、ひまりはようやく取り戻しました。ほんのひとかけらの勇気でも強さは強さ。今のひまりはあの頃のひまりよりも着実に強くなっています。自分を取り巻く世界をほんの少しだけステキなものに変える力を持っています。
 そしてこれから1年かけて、有栖川ひまりは大きく強く、成長していくことでしょう。

 「私はせっかくできた友達をなくしたくないんです!」
 キュアラモード・デコレーション! ほら、さっそくまた少し強くなれた。

その他細々したことをとりとめなく

 プリキュアの説明。雑! これ今回もまともな説明なしの魔法つかいプリキュア!方式でしょうか。いいと思います。語る必要のある設定は少なければ少ないほどいい。魔法つかいプリキュア!の不人気なエピソードも大抵は説明ゼリフが多い回でしたしね。

 オープニング。前回悪い妖精たちが隠れていたカットが微妙に変わりました。ひまりの書斎からガミーがいなくなり、代わりにゆかりのブティック右側にプルプルが隠れています。毎週妖精を入れ替えて間違い探しをさせる趣向でしょうか。

 「キラキラキラルン・キラキラル! チーズケーキよ、出なさい!」 それこないだ紅茶が出る前にケーキを食べ尽くした先輩たちの専売特許です。どうしてもやりたいなら春映画ではーちゃんあたりに頼んでください。

 昼休み。良い子のみんなは12時ちょうどからいきなり遊びに出ないでください。先にお昼ごはんを食べましょう。

 『料理の科学』 ひまりの本は表紙がすり切れていて、よく読み込んでいることがわかりますね。いちかが図書室から借りてきた本と比べるとほんとボロッボロ。中身は意外ととりとめのない内容に見えますが・・・。

 ドデカプリンのチラシ。VITELLUSというのが店名でしょうか。ラテン語由来の古い英語で「卵黄」という意味になります。個人的には隣の紫色のムース?が気になるところ。たぶんスミレ味だと思うのですが、私は花を使った食べ物はだいたい大好きです。バイオレットリキュールとかバラのジャムとかハイビスカスゼリーとか、あとキクのおひたしとか。
 ちなみに前回被害を被ったパティスリー・シュガーとはまた別のお店のようで、こちらはいちかたちの帰り道に出てきますね。

 「だったらつくればいいペコ!」 去年のモフルンが分別ついていた反動かペコリンは容赦しませんね。というかいちかもピントずれてるし。バレなきゃいいんだよ、バレなきゃ! 実際バレないし! こういう潔さ、好きです。

 カラメル失敗。あれやらかすと地獄絵図になります。溶岩みたいに膨れ上がるのとかもマジで起きます。キッチン中香ばしい匂いが充満しますし、なにより鍋にこびりついた飴がいくらこすっても剥がれないのが辛いところ。何度かお湯を沸かして根気よく煮溶かしましょう。
 あといちかさん、火を使う工程でゴムべらを使うのは厳禁ですよ。一応最近は200度まで耐えられる耐熱性のものもありますけどね。本来カラメルはひまりのように木べらを使ってつくるものです。
 というかこれ砂糖の再結晶化とかそういう問題じゃない!

 「じゃあ解説しますね!」 デフォルメの効いた作画がたびたび出てくる今作は画面が賑やかでいいですね。魔法つかいプリキュア!みたいなしっとりした画面もいいですが、ぱっと見の華やかさがあるのはやっぱりいいことです。
 クレームブリュレはフランスのお菓子。皿に盛ったカスタードクリームの上にグラニュー糖を振りかけ、バーナーなどで焦げ目をつけます。
 クレマカタラーナはスペインのお菓子。製法はクレームブリュレとほぼ同じですが、サラマンドラを使うこちらのほうが焦げ目の層が厚く、またクリーム部分は比較的あっさりしています。
 ボネはイタリアのチョコレートプディング。アーモンド風味の焼き菓子を砕いて入れるのが特徴。
 バインフランはベトナムスタイル。プリン自体は普通のカスタードプディングですが、コーヒー風味のカラメルと練乳、かき氷をトッピングするのがいかにもベトナムっぽい。

 らんこコメディアンアイドル先輩。お元気なようで何よりです。

 『スイーツノート』 立派な装丁と思いきや中身はひまりの手書き。闇の書みたいなものですね。タイトル部はテプラでしょうか。最近は角を丸く切ってくれる機種もあるんですよね。「スイーツは化学」とありますが、結局科学なのか化学なのか、どっち?

 バニラビーンズ。公式レシピではバニラオイルを使っていますが、ひまりはより本格的にバニラビーンズを使ったようです。
 せっかくサヤで用意するなら生地に直接種を入れるよりキャスター糖にした方がいい気もしますが、まあ日本で食べるならバニラビーンズが見える方がなんとなく嬉しいですしね。

 キュアカスタードの変身バンク。黄色の割には作画の凝り方は控えめ。もともと毎年控えめにしようって方針を出しているらしいですが、今回ようやく方針通りに収まった感じでしょうか。その代わりBGMがとびきりかわいい。
 あとこの子はやっぱり尻尾がかわいいですね。リスの尻尾はちぎれやすいうえ再生もしないので気をつけて!

 りすプリン。今回の難易度は星2つ。アーモンドの耳とホイップクリームの尻尾というアイデアはお見事ですね。それにしてもやっぱりどう考えてもうさぎショートケーキの難易度は頭抜けていました。プリンで星2つなら星1つはゼリーとか白玉団子みたいな誰でもお気軽につくれるスイーツになるんでしょうか。
 「びっくり! キュアカスタード!」

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