映画プリキュアミラクルリープみんなとの不思議な1日 まだ観ていない人にオススメするための感想

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明日に行くんだ! キラやばー!な明日に! ミラクルンと一緒に!

この記事は未視聴者向けとして、一応ネタバレに配慮しているつもりです。
他の記事はネタバレガンガン踏み込んでいるのでもし興味があればどうぞ。

映画を観てのざっくりとした感想(つまり雑感)

 まず印象的だったのは、映画が終わったあとの子どもたちのはずんだ声でした。キュアグレースが~とか、ラビリンが~とか、最後どうだった~とか、お父さんお母さんに自分の感想を伝えようと一生懸命お話ししている子たちがそこかしこに見られました。よっぽど面白かったんでしょう。例年と比べてもかなり感触のいい反応だったと思います。
 今年は新型コロナ対策としてミラクルライト応援が自粛となりました。子どもたちの振るライトを見られないならいつもみたいに最後列の席にこだわらなくていいか、と思って今回真ん中くらいの席に座っていたのですが、ちょっと失敗だったかもしれません。楽しそうにしている子どもたちをもう少し眺めていたかった。(※ いや、ヨソ様の子どもをあんまりじろじろ見るべきじゃないですが)

 実際、いい歳した大人から見ても今回の映画は良い出来でした。絵がきれいで、よく動いて、そしてなんといってもシナリオが良かったです。シンプルな構成ながらきれいにまとまっていて、一本の映画として純粋に楽しむことができました。
 子どもたちの反応がよかったのもシナリオの出来ゆえでしょう。なんといってもわかりやすかった。ループものなのにわかりやすかった。主人公ののどかに視点を絞っていたのが良かったんでしょうね。登場人物たちが今どういう状況で、何を考えていて、どう行動しているのか常に明確でした。
 そういえば今回、映画の途中で集中力を切らしてお喋りしはじめたりグズったりする子を見かけませんでしたね。いつもなら中盤、盛り上がっていようが間延びしていようがそういう子たちが必ず数人出ていたものなんですが。なるほど。あれ、その子にとって話がわかりにくかったからだったのか。
 春映画の中盤といえば複数のプリキュアやゲストの視点が軽くザッピングするのがお決まりですしね。今回はそういうのありません。冒頭のヒーリングアニマルパートと最終決戦前の数カットを除けば常にのどか視点です。シンプル。

 のどか視点ということで、映画全体の雰囲気もテーマ性も『ヒーリングっどプリキュア』テレビシリーズとそこまで大きく変わっていません。逆をいえば他の2チームの活躍や交流が少なく、オールスターズらしいコラボレーションという意味では物足りなさもあるのですが。そのあたり割りきって、あくまで『ヒーリングっどプリキュア』の映画として仕立ててあるからこそ、高い完成度でまとまっているんですよね。
 ただし、それでいてオールスターズ映画である意味もしっかり用意されている物語でもあります。プリキュアシリーズとしての積み重ねがあるからこそ、ミラクルンや敵であるリフレインとの向き合いかたに大きな意味が生まれてくる物語構造です。シリーズ作品としてプリキュアにそれなりに強い思い入れを持っている私としては、クライマックスでとあるカットが挿入された意味に気付いたとき、ちょっとうるっときましたね。このあたりはネタバレ抜きでは語れないのでまた別途。

 総じて、子どもにもわかりやすくよくまとまっていて、オールスターズ映画というよりは『ヒーリングっどプリキュア』の映画だという感じですね。要するに。

各チームの描写について

ヒーリングっどプリキュア

 主人公であるのどかが中心で、ちゆとひなたはそのサポートといった感じの立ち位置でした。ストーリー的にはちゆひなたよりラビリンたちのほうが目立っていた感すらあります。元々は春公開予定だった映画なのでアスミは不在。前説でちょっとだけ登場します。

 ただ、バトルではちゆたちもしっかり活躍します。今作、新しいプリキュアといえどけっして力不足なわけじゃなく、先輩プリキュアたちの力を借りながら実力で敵を倒していきます。
 ちゆは優れた判断力と高い身体能力を活かした近接アタッカー、ひなたはぷにシールドとすばしっこさを活かした立ち回りで、それぞれ初期のバトルスタイルに近い立ち回りだった印象。のどかはストーリー上の都合でちょっと苦戦する描写が多めですが、春映画にありがちな謎の新技を使ったり、最終決戦ではもちろん先頭に立って戦ったりと、華やかな活躍でした。

 のどかは声の演技にも熱が篭もっていて、見ているだけで自分ものどかと同じ痛みを感じたり、悲しみに共感したり、心の強さにはっとさせられたりと、脚本の魅力を最大限エモーショナルに表現してくれていました。ああいう感情面で真に迫ってくる感覚は本当にもう、どんな優れた脚本があろうと演出が凝っていようと、結局俳優の芝居に血が通っていなければどうにもならないものなので、その点この映画をよくしてくれたMVPだと思います。

 ちなみに、YouTubeの予告動画では毎年恒例となっているアレの情報解禁もされていますよ。

スタートゥインクルプリキュア

 今作はシナリオの構成上、なかなか深い交流は描きようがない(※ 理由はネタバレ)のですが、そのなかでひかるはキラやばー!な感じでどこかイっちゃってるハイテンションの子として登場します。いつもどおりですね。
 あのマイペースキャラの割に意外と他人の心の機微に聡いところも健在で、ストーリー上なかなか良い立ち回りをしますよ。

 ひかるが奇人かつ聡い子というオールマイティなキャラクターな分、他のメンバーはなかなかこれといった活躍が少なかったかもしれません。ユニが対ひかるのツッコミ役として出番を確保していたのと、えれなが助言役としてちょっと気の利いたセリフを言うくらいでしょうか。あれで意外と常識人なララは出番控えめでしたが、一般人がいるところで堂々と頭のポンポンを伸ばしちゃうポンコツっぷりは相変わらずどうかと思いました。(※ 常識人とは?)

 バトルでは遠距離戦特化という珍しい個性を持ったまどかが目を惹く活躍をしていた印象です。あとは、ひかるの空間に星形の足場を設置するバトルスタイルはどんなときでも映えますね。

HUGっと!プリキュア

 めちょっく!なことがあっても底抜けに明るいはなは画面にいると賑やかでいいですね。声に力がある子でもあるので、ドラマでもバトルでも何気ないところでしっかりと存在感を発揮します。

 他のメンバーのなかではえみるとルールーが活躍していました。えみるははなの保護者として便利なキャラクターですし、ルールーは淡々とボケたり胡乱な数字を出したりと軽いフットワークで動いてくれる子ですしね。バトルスタイルにも華があるペアなので、そちらの方面でも目立っていました。

 なお、さあやのハート・フェザーは割れるもの。

ストーリーについて

 元々プリキュアの春映画はその年のテレビシリーズでのストーリーの核心をぎゅっとまとめたような話作りになっている(※ たとえば『スーパースターズ!』は挫折した人を奮い立たせる応援の価値を描いていましたし、『ミラクルユニバース』は思い込みによる他人への無理解とそれを乗り越えて絆をつなぐ意味を描いていました)のですが、今作はのどか視点で描かれている分、例年にも増して『ヒーリングっどプリキュア』らしさが濃く出ていました。

 『ヒーリングっどプリキュア』は地球を蝕む病気との闘いを描く物語です。
 敵は病気の化身、ビョーゲンズ。病気ですから、一見すると共存しようがない相手、どちらかが殲滅されるまで終わらない戦いのように思えます。

 その構図は本作『ミラクルリープ』でも同じ。
 のどかたちは偶然知りあった精霊のミラクルンを守って明日を目指すことになるのですが、対する敵のリフレインは過ぎ去った時間を巻き戻すことで、のどかたちを今日という日に閉じこめます。
 未来を求めるのどかたちと、過去に縛りつけようとするリフレインとの対立構造。リフレインはビョーゲンズ同様、本質的に和解しようのない敵としてのどかたちの前に立ち塞がります。

 であれば、のどかたちはリフレインを消し去ることで目的を達するべきなのでしょうか?

 いいえ。
 のどかは優しい子です。重い病気で入院していたころお医者さんたちの献身的な優しさに出会って以来、彼女はその優しさに強く憧れるようになり、元気になったら自分もああなりたいと強く願いつづけてきました。プリキュアを志したのもそれが理由。敵を倒したくてプリキュアになったのではありません。
 まして、リフレインは過去というものを象徴する存在です。そんな彼のありかたを安易に否定することは、過去に出会った憧れがきっかけで人に優しくあろうとしている、今ののどか自身を否定してしまうことに他なりません。

 未来を望む願いはいつだって過去に抱いた思いに立脚するものであり、過去と現在と未来は誰にとっても連続しています。
 今作の物語はループものです。同じ日を何度も繰り返すなかで情報を集め、試行錯誤し、自分たちの力で未来へ至る道筋を見つけなければなりません。ループするたびに得た経験がのどかたち最大の武器となります。たとえ同じ日を何度も繰り返していたのだとしても、100回目のループと101回目のループとはそれぞれ違う一日に変わるはず。

 激しい戦い、リフレインの圧倒的な力を前に、のどかたちは何度も地に叩きつけられます。けれど彼女たちはそのたびに立ち上がり、絶対に諦めません。
 「だって私たちはプリキュアだから!」
 プリキュアとはそういうものだから。『ヒーリングっどプリキュア』も、『スタートゥインクルプリキュア』も、『HUGっと!プリキュア』も、そしてもっと昔のプリキュアたちも、ずっとそうしてたくさんの困難に抗ってきたんですから。

 ならば、ですよ。
 改めて考えてみましょう。のどかたちはリフレインを消し去ることで目的を達するべきなのでしょうか?

 今作の物語は、病気がきっかけとなってプリキュアになり、再び病気と戦っているテレビシリーズでののどかの姿に重なります。
 リフレインとの戦いの顛末を、その意味を、ぜひあなた自身の目で見届けてあげてください。

次の映画について

 映画が公開となるより早く公式発表もありましたが、『ヒーリングっどプリキュア』の単独映画は2021年3月20日公開予定。タイトルは『映画ヒーリングっどプリキュア ゆめのまちでキュン!っとGoGo!大変身!!』。なんと『Yes!プリキュア5GoGo!』のメンバーも出演します。
 公開日程が大幅にズレ込んだ影響か、今回は珍しくしっかりとした予告映像がありました。

 テーマは「夢」。
 だから『Yes!プリキュア5GoGo!』が関わってくるんですね。
 のどかたちがプリキュアになったのは、それぞれにどうしても叶えたい夢があったからです。そしてプリキュアの活動を通して、あるいは何気ない日々のなかで、今もなりたい自分目指して一途に努力を重ねつづけています。
 のどかたちのそのありかたは、自分とみんなの夢を守るため戦っていたのぞみたちと似ているかもしれません。少なくとも気が合うことは確かでしょう。

 こちらもまた楽しみですね。
 ・・・もう少し近場にプリキュアを上映してくれる映画館ができたらいいのだけれど。(※ 個人的なボヤキ)

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