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超人女子戦士ガリベンガーV 第67話感想 国が海賊を雇うこともあれば、海賊が国を自称することもある。

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生徒役:電脳少女シロ、アルス・アルマル、周防パトラ

やっぱ俺もバイきんぐとして知っとかなくちゃね、海賊のこと。

出演バーチャルYouTuber

電脳少女シロ

「シロね、3歳ながらにわかるんです。口説くならまずママから口説けと。・・・英二の母親よ、テレビをご覧ですか? シロは――」
「あ、もう寝てますね。母親もう70越えてるんで寝てます。あとこの世界観理解できないですよ」

 キズナアイよりは有名じゃないことで名高いバーチャル3歳児。賢そうにみえて意外とナゾナゾがあまり得意ではありません。どうやらどんな問題でもとりあえず力押ししてみる思考パターンをしているせいで、向こうがどんなイジワルを企んでいるのかメタ読みする思考がなかなか身につかないようです。まさに幼児。
 「いるだけで○○な子」という表現がこれほど似合わない人物もなかなかいないでしょう。いればだいたい何かしています。傍若無人に暴れてみたり、賢く機転の利くトークを繰りひろげてみたり、斜め上にカッ飛んだ名言を連発してみたり、他の共演者を気遣ったり、イジりたおしたり、あるいはゴキゲンにキュイキュイ笑っていたり。ちょくちょくワケワカンナイこともやりたがりますが、そういうときは「シロちゃんの動画は為になるなあ!」と、とりあえず納得しましょう。彼女はあなたが為になることを望んでいます。
 まるでアブない人のようですが、そして実際アブない人なのは確かなのですが、ああ見えて彼女は共演者をよく見ています。聡明です。共演者の対応力を推し測り、ギリギリ捌ききれる程度のムチャ振りを仕掛けるのです。おかげでいつのまにか人脈の輪がずんどこ広がってきました。タチが悪いったらありゃしない。

アルス・アルマル

「(使える魔法は)雷です。雷と爆発です。どーん!」
「テロリストじゃねえかよ。魔法使いじゃねえだろ、テロリスト見習いだろ」

 どこかの異世界と深夜の日本を行ったり来たりしている駆け出し魔法使い。その生活時間に反してまるで子役俳優のような舌っ足らずな喋りかたが特徴で、当然のごとく早口言葉も超苦手です。でも口調の幼さに反して意外と年齢16歳とのこと。マジで?
 得意属性は雷とのことですが、実際に雷を落とすよりは閃光のような頭脳のキレとして生かすほうが得意なようです。周りにどういう反応を期待されているのか瞬時に理解して、ときにリアクション芸、ときに煽り芸とフレキシブルに立ち回ります。ちなみに攻撃手段としても魔法より爆発物のほうが好み。C4! C4!
 またの名をアタマ・マルマル。もしくはお饅頭。睡眠時間泥棒。いやさ、むしろ睡眠時間マフィア。小峠教官にテロリスト呼ばわりされる前から物騒な通り名はあったようなので安心していただきたい。夜中にお饅頭という取り合わせもまた罪深いと思います。

周防パトラ

「ねー。小峠さんもだから真面目なんだなーってちょっと思ったわ」
「真面目よ俺なんか。そらそうよ。不真面目なのは頭皮だけだよ」

 最近職場の屋根裏部屋からどこかのビルの屋上に引っ越したらしいアポロチョコ付き大型犬。前の住まいは床に布団を敷いていましたが、今は床一面に段ボール箱が敷き詰められているご様子。その住居が魔界の女王様にふさわしい格なのかといえば、当の本人がのほほんと全く気にしていないようなので議論するまでもありません。
 なにかと多芸なクリエイター気質で配信活動の幅広く、特に作詞作曲ができることで知られており、同じ喫茶店で働くメンバー全員のオリジナルソングも手がけています。イジられキャラだけど中心人物。あるいは尻拭い担当。美少女へ向ける極まった性的関心にさえ目をつぶれば、目をかすませれば、あいや、目を背けさえすれば、そこそこ常識人です。
 彼女がひときわ力を入れているのがASMR。より心地よい音を求めて50本ものマイクを買い集め、生音採集のためのロケハンも厭いません。根っからの音屋さん。それもこれも全てはファンを寝落ちさせたいがために。

授業構成おさらい(+ 補足事項)

超難問:海賊の謎を解明せよ!

 桃井治郎先生は清泉女子大学の国際関係学准教授です。国際関係学というのは、政治や経済などの社会システムと、思想や歴史など各国各地域文化との2つを軸として学ぶ、いわゆるグローバル人材を養成するための学問分野・・・というか、教育コースですね。桃井先生はそのなかでも特にアルジェリアの歴史に詳しい研究者です。アルジェリアの大使館に専門調査員として駐在していた経歴もあります。

 アルジェリアといえばバルバリア海賊。赤髭海賊・バルバロッサ兄弟を輩出したことでも知られ、16世紀から19世紀にかけて地中海沿岸全域で略奪を繰り返していた悪名高い奴隷狩りですね。桃井先生がこの地域の歴史に興味を持ったのもバルバリア海賊がきっかけだったようです。
 バルバリア海賊がそれほどに勢力を強大化させられたのは、ヨーロッパの私掠船から流れてきたはぐれ者たちを取り込んでいったことが理由のひとつとしてあげられます。私掠船は民間委託された国軍のようなものですから、その時代最新鋭の造船・航海技術が使われていたんです。そんな最新技術をホンモノの海賊が手に入れてしまったら、そりゃあ手に負えなくもなる。
 そんなわけで、バルバリア海賊を研究するなら必然的にヨーロッパ全域の海賊史を学ぶことにもつながるわけです。

 歴史上、海賊の存在は、当時その地域を治めていた国家がどの程度の力を持っていたかを表す指標になりえます。大規模な物流を一手に担う海運業はいつの時代も国家運営の要であり、従ってそれを阻害する海賊を取り締まることは国力増強に直結するからです。
 つまり、海賊とは人間社会が国を形成することでつくりだす秩序の対極にある存在といえます。

 ・・・そのはずなのですが、今回の授業で学ぶとおり、歴史的には国に雇われた海賊というものも何故か、それも多数存在します。この矛盾が歴史の面白いところ、人間や社会の仕組みの興味深いところですね。
 業が深いと断じてしまえばそれまで。ですが、その壮大な自己矛盾を許容してしまうには、それが必然となるだけの合理性があることもまた事実なわけで。海賊とは何かを学ぶことは、国家システムを、特に国際関係の仕組みを理解することにつながります。

トピック1:なぜカリブ海には多くの海賊がいた?

 お金があるところにそれを取っていこうとする者が現れるのは必然です。
 泥棒とか海賊とか呼ばれる者たちがまさにそれですし、なんなら私だって似たようなものです。会社のお金目当てに雇用契約を結んで、労働力を対価として分け前をかすめ取っています。お金の持ち主に憎まれるか喜ばれるかの違いはありますが。

 そんなわけで、海賊の歴史は人間が海運業を営むようになった瞬間からはじまります。
 海賊がのさばっているんじゃみんな困るので、国をつくって共同体意識を広めたり、軍隊をつくって殲滅したりして、どうにかこうにか彼らを牽制してきました。ですがまあ、国家道徳に馴染まないアウトローはどうしても出てくるもので、また、取り締まりを躱すため武装までしてくる悪辣なヤカラも当然いるわけで。
 そのあたりは秩序と悪徳とのパワーゲーム。海賊を減らすことはできても、その存在自体を完全に封殺することはできません。もちろん現代においても未だなお。存在しうること自体が必然なので。

 「ヘロドトスの『歴史』っていうのが2500年ぐらい前にあるんですけれども、その古代ギリシアの歴史書のなかにもうすでに海賊が現れているんですね。そういうふうに考えると、人間が海で活動しだしたときにはそれを襲う海賊が現れたんじゃないかなと」

 さて。歴史上、海賊の最盛期は17世紀から18世紀初頭にかけてだったといわれます。
 アメリカ大陸発見とインド航路確立という大きな出来事があった、大航海時代がちょうど一段落した時期ですね。要するに、その成果としてヨーロッパに莫大な富が入ってきはじめたのを狙って、主にカリブ海を拠点とした海賊が増えたわけです。

 「コレっスよ。コレ」
 「ああ、金ね」

 そんなわけで基本中の基本事項としては周防パトラ大正解。ただ、桃井先生は今回の授業でもう少し違った側面を語るつもりでした。

 キーワードは「私掠状」

 ぶっちゃけた話、新大陸からもたらされる富が欲しいのはアウトローばかりじゃないわけですよ。当然のことながら。真っ当に生きている人たちだって欲しいものは欲しい。
 また、国家間のパワーバランスが崩れると戦争が起きたり不平等条約が結ばれたりして生活が脅かされます。自分のところに富が入って来ないのを仕方ないとするにしても、その場合ならなおさら、他の国が豊かになるのだけは断固として阻止しなければなりません。

 そんなわけで、当時のヨーロッパ諸国は国が海賊を雇うというトンチキなことを思いつくわけです。
 新大陸から他国に入ってくる富をできることなら奪いたい。もしくはせめて叩き潰したい。歴史上類を見ない莫大な富の流入=大規模なパワーバランスの変化を目前に、それは彼らにとって命にすら関わってくる切実な願いでした。
 ですが、さすがに正規軍にそんなことをやらせるわけにはいきません。というのも、他国から奪いたいくらいお金が足りていないわけですから、手持ちの軍隊だってそんなに大きくないわけですよ。大っぴらに略奪なんてしたら戦争不可避。正規軍は相手国の軍隊と戦うので手一杯になるでしょう。
 だから、民間の海賊を雇って手っ取り早く略奪する作戦に出たわけですね。私掠船の誕生です。

 主に狙われたのは大航海時代の主役、コロンブスの開拓した新航路を持っていたスペインです。当時新興の小国ながら、アメリカ大陸の原住民を征服できたおかげで巨万の富を握っていました。
 一番暴れたのはみんな大好き歴史の徒花・イギリスです。大航海時代は貧乏国だったので満足に船を出せず、新航路開拓に後れを取っていました。私掠船で他国の富をふんだくって列強へとのし上がっていきます。

 「先生。じゃあ、今のお話にあったように、海賊ってちょっと犯罪行為に近いのかなってイメージあるんですけど、国が犯罪を認めてたってことですか?」
 電脳少女シロの質問。そのとおりです。
 何のために法律や道徳観念というものがあるのか考えたら想像できることだと思います。法律は、国内で海賊や泥棒などが跋扈することを牽制するためにあります。そして道徳は、同胞が海賊や泥棒などの標的にならないよう牽制するためにあるわけです。
 国外で略奪してくる分には誰も困りませんね。

 イギリスでは特に功績の大きかった私掠船の船長・フランシス・ドレークに騎士の叙勲を授けるほど、大っぴらにやらせていました。

 (※ 現代は国際関係が雁字搦めになっているので、当時と違って「自国民さえ守れたらそれでいい」みたいな考えかたは許されにくくなっています。ご安心を)

トピック2:味方の信頼を得るためにしたことは?

 バーソロミュー・ロバーツという海賊がいます。
 400隻ものもの船を略奪し、カリブの海賊のなかでも最も成功したひとりです。

 彼は元々商船の乗組員出身で、真面目な性格でした。不幸にも海賊に捕らえられてしまいましたが、その有能な仕事ぶりを買われて仲間に誘われ、またたく間に船長にまで推薦されました。オシャレで、酒より茶を好む英国紳士でした。
 ちなみに、元の商船の積み荷は奴隷でした。商船も海賊船もイギリスのものでした。
 海賊になったあと彼は「まっとうな船に乗り組んだら食事はわずかで給料も安いうえに仕事はキツい。それに比べてこの商売は腹いっぱい食えるし、楽しみや自由、力がある。イチかバチかの仕事をしくじっても、少しばかりの苦渋を飲めば済む。どっちの稼業が得か勘定するまでもないだろう。楽しく短く生きるのが俺の主義だ」と語っていたそうです。

 そんな彼が海賊船の船長として信頼されていたのにはある特別な理由があったのだと桃井先生は言います。それは何か?

 「信頼を得るにはまずは外堀から! 親御さんに挨拶に行ったんですよ」
 電脳少女シロの回答。
 それお宅の事務所の馬面プロデューサーがやっていたことですね。姿を見られなくなって久しいですが、未だに身内からの信頼篤い様子の彼は今もお元気でいらっしゃるでしょうか。

 「やっぱり男心を掴むのは胃袋ですよ。胃袋を掴んだ!」
 周防パトラの回答。
 さすがに手料理をふるまったという話は聞かないですが、彼の船では食料に余裕がないとき以外は自由に飲み食いすることを認めていたようです。そのあたりは寛容な人物でした。イギリス海軍の奇襲を受けて殺害されたとき、乗組員はみな酔い潰れていたとされるほどです。

 「やっぱり味方の信頼を得るには、大事なものをひとつ預かる。『裏切ったらコレどうなるかわかってんだろうなお前ら』みたいな」
 アルス・アルマルの回答。また物騒な。
 前もってそういう質入れみたいなことをしていたかはともかく、一定の稼ぎを終えるまで海賊をやめることは許さないという掟はあったようです。いわば自分自身が人質のようなものですね。そのあたりは現代のヤクザと変わりません。

 キーワードは「ザ・リパブリック・オブ・パイレーツ」。海賊共和国と訳しましょう。

 ロバーツをはじめ、幾人かの海賊船長は自身も含めて船員全員に厳しい掟を誓わせていました。
 無法者のイメージが強い海賊なのにどうしてそんなことをしたのか?
 法律というものが何のためにあるのかを考えたらすぐにわかることですね。仲間同士でトラブルを起こさないためです。集団として秩序を保つことは理不尽な損害から身を守ることにつながり、全員にとっての利益となります。
 真っ当な人間が身を寄せあって国家をつくるのと全く同じ発想です。だから海賊共和国。

 ロバーツが定めた掟は他の海賊たちと比べても特に厳しく、そして平等なものでした。
 船員全員に投票権を認め、就寝時間を定め、略奪品の分け前は役職ごとに明文化。賭博は禁止。楽隊が安息日に休んでいても咎めないこと。

 とりあえず本気で困ることが少なく、それなりにいい思いもできている間、大抵の人間は現状に満足します。
 国家や法律、道徳というものは本質的に個人の自由を束縛するために存在するものですが、その窮屈さは自分自身を秩序ある世界に置くために望んで契約した結果です。よっぽど欲の皮突っぱった人間や、守られている平穏を当然の権利と勘違いする愚か者でない限り、好き好んで混沌とした不安定な立場に身を置くことはないでしょう。いくら大儲けできたとしても、いつそれが奪われるのかわかったもんじゃないのなら、不安で心配で、いくら稼ごうと自分の身の上に満足できる日は来ないのですから。

 先ほど引用したロバーツの言葉にもありましたね。「イチかバチかの仕事をしくじっても、少しばかりの苦渋を飲めば済む」と。
 ロバーツとその部下にとって、彼の管理下にある海賊稼業は充分に秩序ある安定した暮らしだったんです。

トピック3:海賊旗の重要な役割は?

 「ここの旗の区域に入ったら殺しちゃうよってやつ」
 アルス・アルマルの回答。なんでもいいけどとりあえずその口に入れてる何かを出せ。
 言いたいことはたぶんだいたい正解なんですが、攻撃する側であるはずの海賊が攻撃圏内に入る前から警告してどうするというのか。

 「やっぱりね、仲間に入ってもらうためにはカッコいい絵柄で勧誘をね、煽ろうと思って。だから仲間勧誘のために重要な役割を」
 授業範囲外ではありますが、意外と周防パトラの回答も正解かもしれません。
 というのも、海賊旗のイメージがある黒地の旗って、実はイスラム教圏における正規軍の色なんです。最初のほうでちらっと紹介したバルバリア海賊も根拠地がアルジェリア、つまりイスラム教圏でして、こんな感じでヨーロッパ周辺海域には元々イスラム教圏に根ざす海賊が多かったんです。
 なので、海賊旗が黒地になったのはイスラム教圏の軍旗にあやかってのことだといわれています。現代でも、たとえばISなんかのイスラム系テロリストは黒地の旗を掲げていますね。あれもイスラム教徒へ向けたあざといイメージ戦略の一環だったりします。イスラム教圏においては黒地は正義の色なんです。

 「シロはね、よく旗を見るんですよ。ズバリ! お子様ランチに立ってるんですね。なので思ったのは、『俺らに反逆したらお子様ランチにして食ってやる!』っていう意志表示なので、周囲への牽制で振ってるんだと思います」
 この電脳少女はまーた脳みそ直結で喋りながら回答を組み立てていますね。つくづく器用な子です。
 ・・・だから攻撃し始める前から牽制仕掛けてどうする。

 正解は「脅すため」。アルス・アルマルや電脳少女シロの回答は本当に正解に近いのですが、微妙に趣旨が違っていました。
 海賊が他の船を襲うのは金品や人夫を略奪するためです。船を沈めるのが目的ではありません。なんなら状態のいい船を拿捕したらそのまま自分の船団に加える、なんてこともしていました。なので、相手の戦意を挫くために「自分たちは悪名高い○○海賊だぞ!」と、自分たちの素性をアピールしていたんですね。

 「そっかそっか。無抵抗なほどお宝がいっぱい手に入るもんね」

 なお、こんなもの攻撃圏内に入る前から掲げていたら逃げられるに決まっているので、普段は一般の商船に偽装しておいて、襲撃に入る直前に旗を掲げ替えるなんてことをしていたようです。

 授業では“黒髭”とあだ名されたエドワード・ティーチのものと、トピック2で登場したバーソロミュー・ロバーツの海賊旗が紹介されました。これらは一般にイメージされる海賊旗と違い、ガイコツではなく悪魔の絵が描かれています。まあ、どちらにせよ死を想起させる不吉な図案であることには変わりないですね。

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