超人女子戦士ガリベンガーV 第68話感想 かわいいかわいいテントウムシ、ときどきキモチワルイ。わぴちゃんはかわいい。

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生徒役:電脳少女シロ、音霊魂子、花京院ちえり

かわいいかわいいテントウムシさんについて、かわいいかわいいわぴちゃんと、かわいいかわいいちえりちゃんシロちゃん、あと今日初めましての魂子ちゃんとね、一緒に。教官もかわいいですよ。

出演バーチャルYouTuber

電脳少女シロ

「シロは虫は得意じゃないけど・・・、わぴちゃんは大好き!」
「僕はわぴちゃんが得意じゃないですけどね」

 .LIVE最大の繁忙期といえる年末年始が近づき、いつも以上に毎日忙しそうにしているバーチャルタレント。それでも多忙の合間を縫って後輩たちの文化祭に遊びに来てくれるとのこと。ところで、道すがらすれ違った子どもが何を怖がっていたか気持ちを理解できたのでママの才能があると主張していましたが、それはむしろ3歳児の才能だと思います。
 「いるだけで○○な子」という表現がこれほど似合わない人物もなかなかいないでしょう。いればだいたい何かしています。傍若無人に暴れてみたり、賢く機転の利くトークを繰りひろげてみたり、斜め上にカッ飛んだ名言を連発してみたり、他の共演者を気遣ったり、イジりたおしたり、あるいはゴキゲンにキュイキュイ笑っていたり。ちょくちょくワケワカンナイこともやりたがりますが、そういうときは「シロちゃんの動画は為になるなあ!」と、とりあえず納得しましょう。彼女はあなたが為になることを望んでいます。
 まるでアブない人のようですが、そして実際アブない人なのは確かなのですが、ああ見えて彼女は共演者をよく見ています。聡明です。共演者の対応力を推し測り、ギリギリ捌ききれる程度のムチャ振りを仕掛けるのです。おかげでいつのまにか人脈の輪がずんどこ広がってきました。タチが悪いったらありゃしない。

音霊魂子

「あおぎり高校っていう高校に通っている3年生の音霊魂子です。普段はASMR配信とかをYouTubeでしています。今日はよろしくお願いします」
「はー。・・・7割わかんなかった」

 あおぎり高校ゲーム部部長の3年生。ただし後輩に写真部と美術部も加わり、ついでにいうと本人もゲームよりASMRにハマっているため、だいぶ前からゲーム部とは名乗らなくなりました。初期設定ちょっと厨二病入ったローテンションキャラだったタイプのご多分に漏れず、現在ではヨゴレもイケる系の常識人として元気に活動しています。
 今となっては貴重になってしまった“アニメの登場人物なのに話しかけたら答えてくれる”みたいな立ち位置のバーチャルYouTuberです。あおぎり高校のメインチャンネルでは今ドキのギャグアニメ風なノリの短編動画を、個人チャンネルではエッチ路線のASMRを中心に配信しています。私としてはアドベンチャーゲームなんかのテキスト読み上げに光るものを感じますね。初見のテキストをすらすら読むことができるのはひとつの才能です。びっくりするくらい漢字を読めないのはさておき。
 総じて、YouTuberらしい無軌道なテンションに任せてぶちかます芸よりは、声優みたいに声の芝居をしっかり聞かせる演目のほうが得意な印象です。ただし台本に難しい漢字は御法度です。英語もやめてあげてください。理科や社会の知識も九九も絶対に振らないで。

花京院ちえり

「ちえりちゃん髪にテントウムシ付いてるよ」
「さくらんぼだよー!」

 ハロウィン配信で従業員の時給を200円に再設定したと思ったら、よみうりランドイベント冒頭でしれっと3円まで減給してくれた、やりおる社長。最近恐いものは共城住宅のお隣さんと労基だとのこと。得意な喜怒哀楽はぶっちぎりで哀。かわいさ極まって愛くるしい子なので仕方ないですね。
 花京院ちえりの特徴はなんといってもかわいいことです。彼女は自分の外見がかわいいことを信じていますし、内面もかわいくふるまおうと心がけていますし、ファンにもかわいいと言ってほしいと呼びかけています。理想のため地道にがんばる努力の人です。彼女は花京院ちえりがかわいくあるためにありとあらゆる努力を欠かしません。女は度胸、ちえりはかわいい。今日もちえりちゃんはかわいいなあ!
 そんなわけで彼女の配信の空気は全体的に茶番じみています。まず彼女自身が「ちえりちゃんはかわいい」と宣言し、すかさずファンも「ちえりちゃんはかわいい」と唱和することで、花京院ちえりというバーチャルなアイドルをみんなでかわいく盛り上げていく――。一種の観客参加型演劇が彼女のメインコンテンツとなっています。

授業構成おさらい(+ 補足事項)

超難問:テントウムシの謎を解明せよ!

 ガリベンガーV養成所が誇る最高火力のかわいい枠、わぴちゃん先生は自然科学系のライターです。ピンク色のかわいいジャケットとぬいぐるみのかわいい小物入れがトレードマーク。ほっぺたスリスリしすぎて若干黒ずんでいるのはご愛嬌。愛嬌のある先生ですね。
 難関資格として知られる気象予報士を持っていることが注目されがちですが、実は気象関係と同じくらい植物についての著書も多数手がけています。第1回ステージイベント『激突!スーパーヒロイン知能大戦』でも野菜の花についてのクイズを出題していましたね。昆虫についての活動となると単著はありませんが、執筆協力というかたちで図鑑などに関わったことがあるようです。ちなみに大学の卒業学科は人間科学部。ド文系です。本当に、いったい何者なんだ・・・。

 色鮮やかな甲を持つテントウムシは古くから人々に親しまれてきました。日本語では天道虫、太陽に縁がある虫とされています。英語ではLadybird、畑を虫害から守る益虫であることから聖母マリアの遣いとみなされています。他のキリスト教圏も多くは同様。ロシア語ではБожья коровка、神の牛という意味になるようです。・・・いわれてみればホルスタイン柄かも?
 ナミテントウという種が畑を荒らす害虫のアブラムシをよく食べることから、一時期は生物農薬として持て囃され、アジア圏からヨーロッパ諸国やアメリカへ輸出されたこともありました。ただ、このナミテントウ、意外と捕食対象が広くてよく増えるので、各地で深刻な生態系汚染を引き起こしていたりもいます。鳥もめったに食わない同族のテントウムシすら食べますからね、こいつら。
 今回はそんなテントウムシについての授業。どんなだ。・・・わぴちゃん先生の授業ってテーマを広く浅く紹介していくスタイルなので、導入で何を書いたらいいのか毎回悩みます。

トピック1:テントウムシの名前の由来は?

 テントウムシは世界に約6000種も存在しており、そのなかには甲が黄色いものや斑点が白いもの、甲全体に大きな斑が広がっているものなど、様々な模様のものが存在しています。食性も肉食のものや草食のもの、はたまた菌食のものまでいるんだとか。
 そういえば中国ではテントウムシのことを金亀子と呼ぶこともあるようですよ。日本でテントウムシといえば赤い甲に黒い斑点ですが、中国には黄色いテントウムシがメジャーな地域もあるのでしょう。

 「スカラベみたい・・・」
 産毛の生えたベニヘリテントウを気持ち悪がった電脳少女シロのつぶやき。ちなみにスカラベとはフンコロガシのことです。ブレない。

 さて、そんなテントウムシの名前の由来は? (↑でもう書いちゃいましたが)

 「やっぱ、最初に見つけた昔の人が、点が10個ある、“点”“十”の“虫”を見つけたんじゃないかと。それがだんだん濁ってきて“テントウムシ”になってきたみたいなの」
 花京院ちえりの回答。
 たしかに斑点が10個あるトホシテントウという種類もいます。ちゃんと日本の在来種です。幼虫が「お前どうした!?」って思わず聞きたくなるようなすごい見た目をしているので必見。
 今回用意された正解ではありませんが、特に否定されるような材料もありません。古い大和言葉の「ほし」と「てん」の使い分けを調べたら何かわかるかもしれませんね。私は「ほし」は“白い光点”、「てん」は“小さな黒点”という認識だったんですが、日本で身近に見かけるテントウムシの斑点ってむしろ黒いのが多いんですよね・・・。

 「なんか、お天道様が見つけて、お天道様に気に入られたから『お前も仲間になれよ』みたいな感じでテントウムシ」
 音霊魂子の回答。
 残念ながらガリベンガーVという番組はこの程度のメルヘン回答なら平常運転です。ボケのうちに入りません。なんて残酷な環境。
 ちなみにテントウムシという名前がお天道様に由来しているという意味で大正解です。

 「すっ転んでる人がいても気に留めずに堂々と上とかに留まっちゃうから、転倒している人を助けない、無視する、――虫!」
 電脳少女シロの回答。
 ダジャレじゃねーか。
 「無慈悲なヤツめ」
 やかましいわ。

 正解は「お天道様(太陽)に向かって進むから」
 わぴちゃん先生はなるべく専門用語を使わず平易な表現を心がけているようですが、テントウムシのこの性質を“走光性”ともいいます。要は光に向かって飛ぶ性質。ガとかハエとかと同じですね。
 走光性自体はいろんな昆虫によく見られる性質なんですが、テントウムシの場合は、草や花の茎などを先端まで登ってからようやく飛ぶというのが特別に印象強いところですね。彼らは立派な甲を持っているぶん体が重いため、できるだけ足を使ってから飛び立つようにしているのでしょう。

トピック2:なぜテントウムシはカラフルなの?

 「なんか、赤とか黄色のテントウムシさんのイメージが強いので、暖色系だなって思ったんですよ。暖色ってなんか興奮する色って聞いたことがあって、だから自分で自分を興奮させて闘争モードに火を付けようとしているのかなって思いました」
 電脳少女シロの回答。
 ファッションで自己表現するのは大切なことですね。“自分はこういう人間なんだよ”と周囲にアピールすると同時に、“こういう自分になりたい”と一種の宣誓をすることで自分に対しても理想を追求する意欲をかき立てることができます。
 ただまあ、こういうマインドな発想は自然科学では基本取り上げられないですね。もしかしたらテントウムシ自身は本当に闘争意欲を刺激するためこういう色をしているという側面もある可能性はありますが、現在の自然科学の傾向、つまり人間が学問としてテントウムシに向けている興味自体が今のところそういう方向性ではありません。

 「さっきお天道様って言ってたから、太陽に近づきたいみたいな気持ちの表れなんじゃない?」
 「あー。太陽が赤いから」
 「そうそうそうそう。そうそうそうそうそうそう。で、カラフルになってくのでは?」

 花京院ちえりの回答。
 小峠教官のこういうさりげないフォロー、いいですよね。
 バーチャルYouTuber・・・というか、ネット配信者は日頃自分に興味を持ってくれているファン向けに配信しているので、意識していないと言葉足らずになりがちです。そのへん1から10までいちいち説明しなくてもファンのほうで積極的に脳内補完してくれますから。こういうところにテレビとインターネットという活動媒体の違いが出ますね。
 それはそれとして花京院ちえりの「そうそうそう」かわいい。

 「人間もそれぞれ黒とか白とかあるじゃないですか。だから、テントウムシも個性を付けたかったから赤とか黄色とかあるんですよ。・・・わかんないです」
 音霊魂子の回答。
 ちょっと危ないところを突いてきましたね。聞く人によっては発言の趣旨ガン無視して人種差別的だと言いだしかねません。ポリコレなんて本当はあんな言葉狩りめいた規制で実現するべきものじゃないんですけどね。個人ごとに異なる尊厳を守りたくてポリコレやっているんですから、言葉尻だけ捉えて画一的な対応を求めるんじゃ逆に色眼鏡もいいところです。
 「人間にも個性があるように、テントウムシにも個性があるってことですかね」
 こういうところでも小峠教官のフォローが光ります。
 そうそう。発言の前提にあるのはあくまで個性というものへの普遍的な賛美なんです。言葉というものはその都度都度の趣旨と意図とを捉えたうえで解釈しなければなりません。

 キーワードは「コシネリン」
 テントウムシは身の危険を感じたとき黄色い汁を出す性質があります。これは血液です。テントウムシの身体は緊張して血圧が上がると特定の関節箇所から出血するようにできています。
 さて、この黄色い血液は臭くて苦いという特徴を持ちます。この特徴はコシネリンというアルカロイド系の物質によるもの。アルカロイドとはいえ有毒といえるほどの毒性ではありませんが、不味なのでこれを好んで捕食する動物はいません。

 テントウムシがカラフルな体色をしているのは、積極的に目立つことで自身が不味であることを捕食者にアピールする狙いがあるとされています。警戒色といいます。
 「信号とかのやつだ」
 そのとおり。目立つとなると捕食されるリスクが上がりそうにも思えますが、それこそ人間が赤信号を見ると歩みを止めるのと同じように、鳥などの捕食者もテントウムシの体色を見ると食べるのをためらいます。
 なぜならテントウムシは不味いからです。彼らは不味いのだと、鳥たちにも学習する力があるからです。

 「それでですね、敵に覚えてもらわなきゃならないんですよ。一種類だけなんかこう、私みたいに奇抜な格好をしてても、これが警戒色なのかってわかんないですよね」

 ここからがまたテントウムシの生態の面白いところ。

 人間だって生まれつき赤信号を見たら足を止めるわけじゃありません。いちおう赤は本能的に警戒する色ではありますが、それでも生まれたばかりの幼児が初見で赤信号の意味を正しく理解できるわけではありません。交通安全教室などで交通ルールを学んで初めて“赤は止まれ”と理解します。
 それと同じように、鳥だっていくらテントウムシが派手な色をしていようと生まれつき“食べられない”と理解しているわけじゃないわけですよ。というか、私たち人間もテントウムシのことを危険だと思わず、むしろかわいいと思っちゃっているわけで。
 本能に訴えかけるだけじゃ警戒させるのには足りないんです。若い鳥は迂闊にもテントウムシを食べちゃいます。

 そこで、テントウムシは複数の種で体色を共有する性質を示すんです。
 ナミテントウという種がいます。日本や他のアジア圏で最も多く見られるポピュラーなテントウムシです。なんと彼ら、同じ“ナミテントウ”という種であっても個体ごとに体の模様が異なります。
 テントウムシの仲間にはナナホシテントウやキイロテントウなど種ごとに体色が固定されているものもいるのですが、ナミテントウは周囲にいる近縁の仲間の体色をマネしてフレキシブルに自分たちの体の模様を変えるんです。こうすることによって鳥たちに対し、地域ごとに警戒すべき体色をわかりやすく学習させ、犠牲となる仲間を最小限にしているんです。
 これをミューラー型擬態といいます。ハチの仲間がどれもみんな黄色と黒のしま模様なのと同じですね。テントウムシの場合は赤だけじゃなく黄色や白もあってバリエーション豊かですが、地域単位で見たらおおむね統一されています。

 ちなみにベイツ型擬態といって、全く関係ない種が有毒動物の体色を模倣する生存戦略もあります。テントウムシに似せている昆虫だと、たとえばヘリグロテントウノミハムシというものがいます。こちらはコシネリンを出しません。

トピック3:なんで集まってるの?

 電脳少女シロと花京院ちえりは.LIVEのなかでも特にこの手のゾワッとする見た目のものが苦手なんですよね。恐いもの知らずのように見えて、実は意外と人一倍繊細なところがあるふたり。今回はどうやら音霊魂子もこういうのダメだったようで、全滅でした。

 テントウムシはときおりテントウムシ同士で一か所にぎゅっと集まることがあります。それはどうしてか、という出題。

 「集まって、ひとつになって、合体変形テントマンになるんだと思います。たぶん近くアニメ化されますね」
 電脳少女シロの回答。
 同じ素体だけで複数合体するロボットってそういえば見たことないですね。何気に新しい。いえまあ、オモチャを売ることを考えたらひつぜんてきにそうなるってわかりますけれども。

 「1匹おいしいのがいて、その1匹をみんなで一緒に食べようっていって集まってきて、そいつをみんなで食べてるんですよ。ゲヘヘ」
 急にはじけた音霊魂子。しかしこれこそ見慣れた音霊魂子。
 ちなみにテントウムシは実際同じテントウムシの仲間をよく捕食します。

 キーワードは「集団越冬」
 テントウムシは1年中いつでも見られる昆虫ですが、さすがに冬の寒さは苦手です。冬のあいだは石の下や家の軒下などで、仲間同士身を寄せあい温め合ってやりすごします。たまに暖かい日が続くと冬でも外に出てくることもあるようです。
 本来テントウムシの寿命は2ヶ月ほど。そう考えると冬を越すことなんてできそうもありませんが、実はテントウムシは冬のあいだだけ寿命が延びます。活動が鈍くなり、特に体力を多く消費する産卵をしなくなるからです。春になってから卵を産むことで種を繋ぎます。

 「今日始まるときみんなでおしくらまんじゅうしてたから、ねー、そんな感じだ」

トピックex:先生に聞いてみよう!

 「苦いやつを飛ばすって最初言ってたじゃないですか。苦い汁。苦い汁、わぴちゃん舐めたことありますか?」
 花京院ちえりの質問。
 そういうのは岸辺露伴かカルロ・ピノに任せておけ。・・・と言いたいところですが、実際フィールドワーカーな研究者ってそういう官能実験も割と普通にやってる人が多いんですよね。わぴちゃん先生もなかなか踏ん切りが付かないだけで、いつかやってみたいとは考えているようです。
 そのためらってしまう感覚もそれはそれで大事な臨床実験といえるでしょう。

 「未遂でした」
 「ね。未知の領域だったね、まだ」
 「これからするかもしれませんね」

 今年に入って本当に息が合うようになったな、このふたり。

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