キラキラプリキュアアラモード第20話感想 違うけれど同じ夢。だからステキ!

ハチミツとベリーのパワーと、それにもっとすごいパワーも!

キラキラ☆プリキュアアラモード! Blu-ray Vol.1

(主観的)あらすじ

 今日のいちかたちはシエルの密着取材です。おいしい山の素材を集めながら養蜂場へハチミツを分けてもらいに向かいますが、シエルはビックリするくらいパワフルで、ついていくだけでも大変。ヘトヘトになってやっと養蜂場に着いたいちかは男の子に水をもらい、そのまま仲よくなりました。
 おいしいハチミツと山の素材にインスピレーションを受けたシエルはその場でホットケーキを焼きはじめます。いちかも負けじと焼きはじめます。彼女の場合はおいしい素材たちに加えて男の子の応援が原動力。技術ではシエルに及びませんが、それでも男の子には「おいしい!」と言ってもらえるのでした。

 いちかの珍獣っぷりを再確認する回。君はどうしてシエルの木登りのスピードについていけるんだ。君はどうして毎度一瞬で初対面の子と仲よくなれるんだ。君はどうして未だに机の角で卵を割ろうとするんだ。ステキ!
 本来の趣旨はいちかのシエルへの憧れとシエルのプリキュアへの憧れを並列させることにあるんだと思いますが、どちらかというと2話ぶりに発揮されたいちか本来の持ち味が目立った印象です。実際、今後の展開を考えてもこちらをシエルに見せることの方がたぶん大事。
 なお、絵本の主人公『コーヘイくんとユキオくん』は単にディレクターの名前を使っただけのお遊びなのであんまり深読みしないでいいと思います。(くそう)

憧れまぜまぜ!

 「いつかここで・・・。そう、ここで最高のスイーツをつくれば、きっと伝説のパティシエに・・・」
 妖精たちの設定を再確認しましょう。ちなみに私の感想文ではそういう設定周りの話は省略されがちです。読み返してみると・・・うん、案の定「自己満足」くらいしか書いてないな! 申し訳ありませんが自分で第7話を観るかヨソの感想ブログで確認してください。

 ペコリンやシエルを初めとしたいちご山の妖精たちは、山の工房で日々スイーツづくりに励んでいました。誰かに食べさせる目的があるわけでもなく、つくったスイーツは自家消費。それ自体は自己満足以外のなにものでもありません。
 ただ、それとは別に妖精たちには夢がありました。
 「ペコリンはいつか、言い伝えにある伝説のパティシエ・プリキュアみたいに、おいしいスイーツをつくれるようになりたいペコー!」
 「がんばるジャバ。みんなをスイーツで笑顔に、そして元気にできるように。そうすればいつかアレ(キラキラパティスリー)を使う日も来るジャバ」

 いつかプリキュアのようになりたい。いつかみんなを幸せにできるひとになりたい。スイーツ工房での日々はそのための修行でもありました。
 「外国で修行している仲間が心配ヤパ」
 シエルがフランスでパティシエをしているのも同じ夢のためのようですね。
 だとしたらジュリオがスイーツを憎んでいるのも、シエルの海外留学に置いていかれた=自分はプリキュアみたいになれる見込みがないと思い込んだことあたりが理由でしょうか。もうその時点で夢と動機が反転しちゃっていて不健全ですね。

 プリキュアは妖精なら誰でも憧れる夢の象徴。海外留学するほどに意欲にあふれたシエルならなおさら。
 シエルはプリキュアに憧れています。それはどうして? 「スイーツでみんなを笑顔にする!!」 多くの妖精たちと同じように、彼女もそういうひとになりたいと夢見ているから。

 この夢はいちかのそれと重なるところです。
 いちかはプリキュアに変身こそできましたが、肝心の「スイーツでみんなを笑顔にする!!」という部分では未熟なことを理解しています。キラキラプリキュアアラモードにおいて、プリキュアは悪者をやっつける戦士ではありません。スイーツでみんなを笑顔にするパティシエです。ただ変身できるだけでは意味がないんです。
 いちかはシエルに憧れる。シエルはプリキュアに憧れる。けれどその夢の実態は憧れる対象そのものになることではなくて、実質的には「スイーツでみんなを笑顔にする!!」という根本の動機を充足させることにこそあります。シエル、あるいはプリキュアという憧れのかたちはその象徴に過ぎません。

 いちかとシエル。ふたりはお互いの姿に憧れながら、お互いに全く同じものを夢見ています。

 それにしてもプリキュアを前にして舞い上がるシエルさんかわいいなあもう!

ときめくワケ

 ああ、でも「スイーツでみんなを笑顔にする!!」が本当に彼女たちの根底かというと、少し違うかもしれませんね。

 そもそもいちかがキュアホイップに変身できたきっかけは、贈る相手のいない、自己満足でしかないうさぎショートケーキをつくりあげたことにあります。そこに誰かを笑顔にしたいという気持ちはありませんでした。あったとしても、それは主ではありませんでした。
 いちかの物語はそういう自己満足なきっかけから始まり、やがてたくさんのスイーツをつくり続けるなかで、やがてもっとたくさんの人に食べてもらいたい、もっとたくさんの人に気持ちを届けたいと拡張していったものです。
 その意味では「スイーツでみんなを笑顔にする!!」は必ずしも彼女の本当の根底ではなく、その根元にはさらに別の思いが置かれていることになります。

 いちかの原体験はお母さんのつくってくれたスイーツにあります。
 「ねえお母さん、どうしてお母さんのつくるケーキはこんなにおいしいの?」
 「それはね、お母さんの気持ちを込めているからよ」

 いちかはスイーツが好きです。おいしいスイーツにはつくったひとの気持ちが込められているからです。だからいちかは贈ることができないとわかっていながら、それでもお母さんのためのうさぎショートケーキを完成させました。
 「どうでもよくないよ。このケーキはお母さんへの大好きって気持ちを込めたものだもん。これをあげたら全て捨てることになっちゃう。だからあなたには渡さない!」
 いちかの「大好き」が向かう先は、スイーツが大好きだという気持ち、もっというとスイーツに気持ちを込められることにあります。

 スイーツをつくればそこに大切な気持ちを込めることができる。たくさんの人にスイーツを食べてもらえればそれだけたくさんの人に自分の気持ちを伝えられる。だからシエルのようにスイーツでみんなを笑顔にできる優れたパティシエになりたい。
 いちかの夢はそういうかたちをしています。

 一方シエルの方は・・・まだ充分に語られたとはいえませんが、どうやらいちかとはもう少し違うかたちをしているようです。
 「地元で一番の素材を選ぶのは基本でしょ」
 「この山っておいしい宝物だらけね」
 「世界はおいしい素材であふれている。そのパワーを使って最高のスイーツをつくりたい!」
 「素材はいろんなアイディアをくれる」
 「同じ素材でも品種や産地、収穫時期・・・それぞれみんな違う顔がある。どう調理して何と合わせるか、無限の可能性の中から、私は最高の一品を追求したいの!」

 彼女の根底にあるのは、やはりスイーツが大好きだという気持ち。けれどその意味はいちかのものと少し違っています。

 シエルの「大好き」は素材に向かっています。良い素材は良いインスピレーションをくれる。様々な顔をした素材たちと向き合えば、それだけ多様なスイーツに出会うことができる。そして己の実力を高めれば、素材たちのもっと別の顔を引きだすことができて、もっともっとステキなスイーツにしてあげられる。
 良い素材たちと出会い、彼らをステキなスイーツに仕立ててあげたい。みんなを笑顔にできるような最高の一皿に。だからパティシエとして成長したい。プリキュアみたいな最高のパティシエになりたい。
 シエルの夢はそういうかたちをしています。

違うけれど、おそろい

 いちかとシエルの夢のかたちは似ているようで、少しだけ違います。
 だからスイーツのつくり方もやっぱり違います。
 シエルはハチミツやベリーなどの素材からインスピレーションをもらってスイーツをつくりあげますが、いちかにはそれをマネすることができません。いちかの「大好き」はシエルと違う方向を向いているからです。

 いちかの「大好き」は、そう、気持ちの込もったスイーツづくり。
 だからいちかのインスピレーションは、素材ではなく誰かの強い思いからこそ湧き上がってきます。
 「がんばって! お姉ちゃんがんばって! がんばれー!」
 さっき仲よくなった男の子。彼と絵本のことで語らった楽しい思い出が、シエルにも負けない強力なインスピレーションをいちかに届けてくれます。
 「キラッとひらめいた!」

 これこそがいちかの本領発揮。
 技術面では素材に情熱を注ぐシエルにどうしても劣ってしまいますが、ことスイーツに気持ちを込めることに関してはいちかは誰にも負けません。
 もっとも、それゆえ彼女のスイーツの美味しさは気持ちの届きにくい第三者にはなかなかわかってもらえないという問題があるのですが・・・それはたぶん追々。
 少なくとも同じ思い出を共有し、スイーツに込めた気持ちがしっかり届く男の子(と、その家族)には抜群の美味しさに感じられます。
 「ねえ聞いて。この子ったら、私のつくったケーキがキラキラ光ってるっていうのよ」
 「いちかにはお母さんのつくったケーキが特別に見えるんだな」

 スイーツに気持ちを込めるプロフェッショナル、いちかのスイーツづくりには彼女の原体験がしっかりと息づいています。
 「絵本と一緒だあ! 僕これ食べたい!」
 「もちろん。パワーをくれたお礼にどうぞ」
 「パワー?」
 「うん、すっごいパワー」

 シエルのスイーツは素材にインスピレーションを得てたくさんの人を笑顔にし、いちかのスイーツは思い出にインスピレーションを得て仲よしの男の子を笑顔にしました。
 夢に臨む思いのかたちはふたりそれぞれ微妙に異なり、だからインスピレーションの得かたも、笑顔にできる相手も、今はまだ違っています。
 だけどふたりの夢は同じです。
 「スイーツでみんなを笑顔にする!!」
 そう、「みんなを」。その意味ではいちかもシエルもまだ半人前。「みんなを」はまだ笑顔にできていません。まだまだ成長できる余地があります。
 そして幸いなことに、いちかとシエルの得意分野はそれぞれ違っていて、笑顔にできる相手もそれぞれ違っています。
 「大好きが集まれば苦手でも頑張れるから、失敗でもステップアップ、一緒ならハッピー」
 違うからこそお互いに高めあうことができます。いちかにとってシエルは自分に無いものを持っている、尊敬すべき人です。そしてそれは、今回ようやくいちかの実力を目の当たりにできたシエルにとっても。
 「どういうこと? これは・・・普通のパンケーキだわ。なのにあんなにキラキラルが。どうして?」
 「やっぱり普通なのに。どうしてこんなに人を笑顔にできるの?」

 個性バラバラな5人のプリキュアに、今、6人目が加わろうとしています。またみんなと違う、とってもステキな新しい個性の持ち主です。
 違うけれどおそろい。違うからこそ一緒になればパワーてんこ盛り。君と私の夢をまぜまぜして、一緒に同じ高みを目指しましょう。

今週のアニマルスイーツ

くまパンケーキ。難易度星ひとつ。つくる難易度より命名規則を理解する難易度の方が高い気がします。カタカナとひらがな、いったいどう違うんだ・・・。

 レシピとしてはごく普通のパンケーキです。市販のホットケーキミックスを使っても全く問題ないでしょう。レシピでは顔を描くときフライパンを毎回冷ますことを勧めていますが、テキパキ描けるなら熱いフライパンを使っても問題ありません。要は焦げなきゃいいんです。
 このあたりは子どもにつくらせることを考えた配慮でしょうね。いちいちフライパンを冷やすなんてレシピ、私は初めて見ました。

 ホイップバターに牛乳を加えるというのは扱いやすくするための工夫ですね。これに卵黄と砂糖、バニラを加えると生クリームよりおいしいバタークリームをつくることもできます。・・・が、パンケーキに使うならやっぱりシンプルなバターの風味とシンプルな塩味の方がよく合うでしょうね。

 ちなみにベーキングパウダーがなく、ミックス粉も手元にない場合はメレンゲを加えることで生地をふくらますこともできます。要は生地に気泡を含ませられればいいんですから。・・・面倒だけど。
 今回シエルがつくったスフレパンケーキなんかまさにそういうレシピですね。たっぷりのメレンゲを加えることでふんわりモコモコ、口に入れるとじゅわっととろける食感に仕立てることができます。チーズなどの乳固形分を入れると安定しやすいかも。ベーキングパウダーで似たようなものをつくろうとすると嫌な味が強く出ちゃうので、スフレタイプにするのはメレンゲの専売特許です。
 ちなみにちなみに、この手の生地は通常ぽってりと硬いものになります。さらっとしたリボン状の生地であそこまで焼き上がりを分厚くできるのは天才パティシエ・シエルならではの魔法です。そう簡単にマネできるものとは思わないでください。

 ついでにいうと山に生えている野生種のラズベリーやブルーベリー、ミントが栽培種より優れているということもまずありません。(クルミは鬼クルミの方がおいしいという人もいます)
 あれはきっといちご山の妖精たちが栽培したものなんですよ、きっと。

シェアする?

フォローする!