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キラキラプリキュアアラモード第22話感想 「才能」なんてないよ。だから絶望することもない。

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おいしいよ。でもいちご山でつくってくれたワッフルの方がもっとおいしかったな。

(主観的)あらすじ

 キラリンはジュリオの正体を悟ります。パリで行方不明になった双子の弟・ピカリオ。かつてはキラリンが泣いたときおいしいワッフルを焼いてくれた姉思いのピカリオ。それなのに、何故か今のジュリオはキラリンに激しい憎しみを滾らせます。
 パリでの修業時代、キラリンがメキメキと実力をつけていく傍らで、ピカリオの成果は芳しくありませんでした。どれだけ努力しても姉に追いつくことができません。それどころかあの日自分で焼いたワッフルの味にすら。そのことを姉の口から伝えられ、彼は自分の才能のなさに絶望したのでした。
 憎しみに染まったジュリオの闇のキラキラル。けれどそれはどこまでもキラキラルで、つまり彼の思いのかたちでした。キュアホイップは彼のキラキラルを正面から受け止め、その憎しみの気持ちの正体が姉への「大好き」の気持ちの裏返しであることを解き明かします。
 プリキュアの活躍によってピカリオの心は闇から解き放たれました。けれど、今度は一番近くにいながら彼の気持ちに気づいてあげられなかったキラリンの心に絶望が滲みます。

 色々と予想が外れました! いつものことながら! でもこのストーリーラインの方が確かにキレイです。自力でこういう可能性に気づけなかった私はなんて才能がないんだ・・・。(闇)
 才能。ピカリオとキラリンは才能と言いました。自分には才能がないんだと絶望しました。人の優劣が生まれつきの才能で決まっているという考え方、私は大嫌いです。だってそんなの理不尽じゃないですか。夢見る子どもたちに対して残酷じゃないですか。私は才能の存在を断固として否定します。
 ・・・もっとも、代わりに私は幼少時の体験とか親の思想とか出会いとか成功体験とか幸福感とか、後天的であってもおおよそ本人にはコントロールできない諸々の来歴によって、その後の要領のよさやひたむきさが変わることは認めるところなんですけどね。まあ結局才能と大して変わらないかな、本人にとっては。けれど周りの人にとっては全然違う。教育って大事よと言い張れる。
 私はどうかな。とりあえず愛されて育った気はするけれど。

才能

 「諦めるのはまだ早い。君には埋もれた才能がある。君にしかない力が」
 いくらがんばっても自分は姉のようにはなれない。スイーツづくりに絶望していたピカリオは、ノワールの導きによって自分の本当の才能に出会います。
 才能あふれる姉でさえ持っていないであろう「美しい闇の輝き」。自身の中に強大な才能が眠っていたことに安堵したのでしょうか、ピカリオは歪んだ笑みを浮かべます。

 ・・・寝ぼけたこと言ってんな、と思います。ノワールが取り出してみせたのはピカリオの絶望、あるいは姉への憎しみの気持ちです。そんな才能があるものか。
 ピカリオが絶望したのはつい先ほどのことです。積もり積もった無力感もあるのでしょうが、それだってパリ留学以降の話です。姉への憎しみも同様。先天的に持って生まれてきたものではありません。
 それともこうして絶望する運命まで含めて「才能」と呼ぶのでしょうか。ピカリオは絶望するためにいちご山で一度きりの偶然を手にし、絶望するために想い出のワッフルを姉から愛され、絶望するためにひたむきにスイーツづくりを続けてきた、と。
 だとしたら彼がこうして才能を手にしたこと自体も運命で、せっかく才能を得たこれから先の人生も結局あらかじめ定められた運命に縛られていることになってしまうんじゃないでしょうか。
 そんなのクソくらえです。なんにも嬉しくない。
 ピカリオが手にした「才能」は少なくとも先天的なものではなく、だからといって運命的なものを認めてしまっては何の救いも残りません。これでは才能というものの存在意義がありません。

 「キラリンにはいちかみたいな力はないキラ。気持ちを受け止めてキラキラにして返す力・・・」
 スイーツづくりでは自分が上を行っているのに、プリキュアになれたのはいちかの方。キラリンは自分の才能のなさに絶望します。
 いつか憧れのプリキュアになれると信じてスイーツづくりに励んできたのに、その修行は彼女にいちかのような力をもたらしはしませんでした。プリキュアの条件であるだろう、自分には救えなかった弟を救ってくれた、その力だけは。

 けれど実際のところ、いちかのその力は持って生まれた才能ではありません。幼い頃からお母さんの思いのこもったケーキを食べて育ち、思いのこもったスイーツこそがおいしいんだという彼女なりの信条を獲得したからこそ、今のいちかがあります。
 いちかはジュリオの闇のキラキラルから彼の絶望のかたちを酌み取るができました。しかしそれはなにも特別な力などではありません。お母さんのケーキのおいしさの秘密が自分への愛情にあると、つまりお母さんがケーキに込めたキラキラルの力によるものだと感覚的に理解していたことの延長線上にある力です。スイーツを通してキラキラルを受け取るか直接キラキラルに触れるかの違いでしかありません。
 いちかの力は先天的な才能なんかじゃありません。キラリンが材料やスイーツそのものへの興味からスイーツづくりの技術を磨き上げてきたのと同じように、いちかは幼少時の体験からスイーツに込められた思いを受け取り、自身も同じように込められる感受性を研ぎ澄ましてきました。その違いでしかありません。このあたりは前話の感想でも語ったところですね。
 才能だからどうしようもないと諦めていいものではないんです。

 「プリキュアを夢見る資格があったのは才能があったお前だけ。俺は・・・何もかも最初から違ってたんだよ!」
 キラリンとピカリオではスイーツづくりの上達具合に大きな差がありました。それは事実です。けれど、それだってきっと単純な才能の多寡じゃない。だって生まれつきの才能なんてものはそもそも存在しないんですから。
 ピカリオがキラリンのようになれなかったのには、きっと別の理由があるはずです。

思い

 「わあ、おいしいキラ! こんなおいしいワッフル初めてキラ」
 ジュリオが「一回きりの偶然」と切って捨てた想い出のワッフル。それは本当に「一回きりの偶然」だったのでしょうか。

 あのとき、ピカリオには是が非でもおいしいスイーツをつくらなければならない理由がありました。大好きなキラリンが大切な泡立て器を壊して泣いていたのです。
 里の他の妖精たちはどう励ましたものかわからず彼女を見守るだけ。けれどピカリオだけは行動しました。必死の表情でワッフルをつくりあげました。彼はキラリンの弟で、なんとしてでも励ましてあげたいという強い思いがあったからです。
 できあがったワッフルには長老に讃えられるほどたくさんのキラキラルが込められていました。見た目はデコレーションも何もない素朴なワッフルなのにも関わらず。
 彼のつくった最高のワッフルを食べてキラリンが笑顔を取り戻します。キラリンの笑顔を見て彼も嬉しくなります。大成功です。ピカリオは是が非でもやらなければならないことを、やらなければならないときに見事に成功させたのでした。

 このときのピカリオのスイーツづくりに挑む姿勢はいちかのそれと同じです。
 大切な人に大切な思いを伝えたい。大好きなキラリンに励ましの思いを伝えたい。
 だからこのときピカリオはただの素朴なワッフルにたくさんのキラキラルを詰めこむことができて、だからこのときキラリンはただの素朴なワッフルを他のどんなものよりもおいしく感じられたんです。
 「『大好き』が一番のマストアイテム」
 「『大好き』が集まれば苦手でも頑張れるから」

 そう。これは偶然ではない必然。心を込めたスイーツに勝るものはありません。

 こういう想い出を持つピカリオは、本来キラリンとは別のところに適性がありました。
 彼は優れたスイーツをつくること以上に、姉に喜んでもらえるスイーツをつくることにこそ強い関心がありました。そういう原体験がありました。スイーツそのものに強い関心があるキラリンとはモチベーションのベクトルからしてそもそも違っていたんです。そりゃあ姉に向いた修行方法では彼が上達できるはずがありません。
 修行が芳しくない理由がわからず心を疲弊させた彼の前で、たまたまキラリンが彼のつくったワッフルを口にします。あのときのように。救いを求めて、ついつい想い出の再現を期待してしまいます。
 「おいしいよ。でもいちご山でつくってくれたワッフルの方がもっとおいしかったな」
 けれどあれは偶然ではない必然です。たまたま練習でつくっていただけのワッフルにあのときのような強い思いが込められているはずもなく、必然として想い出の再現は叶いません。

 「スイーツなんかで気持ちが通じあうものか!」
 スイーツでは思いなんて届かない。スイーツはオレを救ってくれない。想い出のあの一回は単なる偶然だ。ぬか喜びさせやがって。オレにはスイーツづくりの才能なんてないし、スイーツがオレを幸せにしてくれることもないんだ。
 だから、「スイーツなんて大嫌いなんだよ!!」

 なんだかな。
 もっと早くにいちかと出会えていれば彼の人生も大きく変わっていたんでしょうけどね。彼の適性はいちかのそれに限りなく近いものでしょうから。
 いえ、過去形にする必要はないか。彼のつまづきは先天的な才能によるものなんかじゃなく、後天的な関心と環境とのミスマッチにあったんですから。
 持って生まれたどうしようもないものじゃない限り、きっと今からでも取り返しは効く。思いを込めてワッフルを焼けば、今度こそ想い出は蘇る。

 いちかの歩んできた物語がそれを保障します。
 第4話。シュークリームづくりに挫折しかけたとき、まりこお姉さんから教わりました。
 「女の子はね、『大好き』から気持ちが始まるの。だからときどき思い出すのよ。気持ちが始まったそのときを。大切な気持ちの始まりを。思いは女の子の輝く力になるの」
 第11話。ボロボロになってでも想い出のショートケーキを守ろうとするお父さんから学びました。
 「スイーツは食べたら消えちゃうけど、受け取った気持ちは想い出になってずっと残る!」
 第17話。大好きな気持ちを奪われ、それでもなお残る想い出のあり方を知りました。
 「どんだけ奪われたって、私の『大好き』はここからたくさん生まれてくるんだから! いちか印のキラキラルに賞味期限はないのだー!!」

 だからいちかはそのことをジュリオにも教えてあげます。
 彼がやり直せるように。彼に大切な想い出からまたやり直してもらうために。
 「『大好き』から始まった気持ちはね、それが生まれたときからずっと消えずに残っているの。ここに・・・」

誤解

 さて、ジュリオを救って休む間もなく、次回はシエルの絶望と対峙することになります。

 彼女はこの間からずっと勘違いしています。自分にはいちかのような才能がないと。だから自分はプリキュアになれないと。
 「ずっとずっと一緒にいたのはキラリンなのに、ピカリオの気持ち全然わかってあげられなかったキラ。いちかみたいに苦しみを理解してあげられなかったキラ。キラリンにはいちかみたいな力はないキラ。気持ちを受け止めてキラキラにして返す力・・・」

 ええ。あなたはそれを持っていませんとも。いちかがそういう感受性を研ぎ澄ませている間、あなたは別の技術を磨いていたのですから。あなたといちかはそれぞれ関心のベクトルが違っていて、だから今のあなたと今のいちかが同じものを持っているわけがありません。
 ですが、何度も書いているとおり、それは「才能」なんかじゃありません。だから努力すればあなたも獲得することができます。

 そもそもがですね、キラリンにだってそういう感受性はとっくに芽吹いているんですよ。
 「わあ、おいしいキラ! こんなおいしいワッフル初めてキラ」
 想い出のワッフル。彼女は天才パティシエと呼ばれるようになった今でもその味を高く評価しています。
 「おいしいよ。でもいちご山でつくってくれたワッフルの方がもっとおいしかったな」
 「ピカリオだって、あのときのワッフル! あのときのこと忘れないキラ!」

 何の変哲もない素朴なワッフルなのに。彼女はそれを何よりもおいしいと感じました。
 それが全てです。

 「ねえお母さん。どうしてお母さんのつくるケーキはこんなにおいしいの?」
 「それはね、お母さんの気持ちを込めたからよ。いちかが大好きって気持ち」

 いちかの原体験と全く同質のものを、キラリンだって本当はすでに経験しています。今まではただそちらに関心を向けてこなかっただけで。理解するための下地はすでに整っています。

 幸運なことに、彼女のためにスイーツに思いを込めてくれるピカリオが帰ってきてくれました。
 相手の思いを受け止め、キラキラにして返す力がプリキュアの条件だとしても、絶望することなんてありません。あなたはいつでもその力を手にすることができます。
 大好きなあなたのためにスイーツをつくってくれる人がいて、そしてあなたもその人のことが大好きなんですから。

 「大好き」はスイーツを通じて循環します。つくる人の「大好き」が食べる人を幸せにし、食べた人の「大好き」はつくった人を喜ばせます。
 それはとてもとても当たり前のこと。世界に息づく心の営み。才能なんて関係なく、ただあなたがそれに気付けるかどうかの問題です。
 キュアパルフェ、いよいよ次回登場です。

今週のアニマルスイーツ

 ・・・は無いんですよね。今回も次回も。エンドカードではメモワールミルフィーユとキラリンクッキーが紹介されていますが、そっちの記事はもう書いちゃいましたし。

 ということでワッフルについて。
 歴史が古く、そのためヨーロッパ全土で見られるポピュラーなスイーツです。なかでもベルギーのものが特に有名ですね。四角いブリュッセルスタイルと丸いリエージュスタイルがよく知られていますが、その他にも味やら形やら食感やらにこまごまとしたバリエーションがあるようです。
 フランスにももちろんワッフルはあって、ゴーフルと呼ばれています。お土産によくある薄くてパリパリのアレとは別物ですよ。アレは名前が同じだけで日本発祥のローカルスイーツです。コイケヤのスコーンや駄菓子のマコロンみたいなもので、本場のものとは縁もゆかりもありません。

 日本ではホットケーキミックスなんかでもつくられますが、元々のルーツはパンの一種なのでイースト発酵します。一時期流行りましたね。大粒のパールシュガーを混ぜ込んだカリカリ食感が大変おいしゅうございました。生地自体が甘いのでアイスクリームやチョコレートソースをトッピングされるとそれはもう暴力的な甘さになっていましたっけ。
 ちなみに丸くて甘い生地をそのまま食べるのはリエージュスタイル、アイスやチョコレートを乗せるのはブリュッセルスタイルの食べ方のようです。レッツ・ラ・まぜまぜ!

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